FAIRY BEAST   作:ぽおくそてえ

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これで一応ラクサス編決着です。最後力尽きて端折り気味になって申し訳ないです。


第41話 王道と覇道

「うおおお!!」「だらぁあ!」

 

猛攻を加えるナツとガジルだがそれでもいなされ、ついにはナツが吹き飛ばされてしまう。

 

「ブレスだ!」

「火竜の…咆哮!」

「鉄竜棍!」

 

吹き飛ばされたナツをつかみ、ブレスの勢いと炎をまとった状態の鉄竜棍を浴びせかけるが難なく避けられ、脚を変化させた鉄竜剣も上空へ逃げられカウンターを浴びせられてしまう。

 

「ようこそ、そして堕ちろぉ!」

 

しかし、待っていたとばかりに先回りしていたジンヤに斉天の巨腕でなぐられ、地面に叩きつけられた。そこに畳み掛けるようにナツの火の玉とガジルの鉄槍が襲う。

 

「火竜の…」

「鉄竜の…」

「仙法・青竜の…」

 

ジンヤの着地のタイミングを見計らい、三人は肺に大量の空気を吸い込み、そして一気に吐き出していく。

 

「「「咆哮!!!」」」

 

火、鉄、仙法の3つの力がラクサスに直撃し、巨大な爆発が大聖堂に、そして街に轟いた。しかし、白煙が晴れたその先にはまるでダメージを受けていないかのように立つラクサスがいた。

 

「滅竜魔法に獣人の力がこの程度とは、聞いて呆れる」

「馬鹿な!竜迎撃用魔法なんだぞ!ありえねぇだろ…」

「そいつは簡単な事さ…ずっと隠してたんだが、特別に見せてやろう」

「ま、まさか…」

 

彼の歯が牙の様に鋭くなり、雷をまとった腕には竜の鱗の模様が浮き始めた。

 

「すぐに終わらせてやる。雷竜の…」

「やはりお前もドラゴンスレイヤーだったのか、ラクサス!!」

「咆哮おぉ!」

 

ナツやガジルのブレスと桁違いの威力に為す術なく三人とも飲み込まれていった。そして雷の消えたところにはダメージと痺れでまともに動けなくなっていた三人が地面に倒れ込んでいた。

 

「いい加減くたばれよ…テメェらも、ミストガンも、エルザもジジィもギルドのやつらもマグノリアの住人も…全て消えやがれぇ!!」

 

雄叫びを1つあげるとラクサスの手元に強大な魔力が集中し始めるのが感じられた。

 

「こ、この魔法は確か…」

「この感じ…じっちゃんの」

 

フェアリーテイルに伝わる三大魔法、超絶審判魔法フェアリーロウを発動しようとしていた。

 

「フェアリーロウって、マスタージョゼを一撃で倒したあの…。反則だろ敵と認識した者全てが攻撃対象なんてよぉ!」

 

かつてガジルのいたギルドのマスターもマカロフが放ったこの魔法にやられている。その威力は絶大で、自分以外のほとんどが敵のラクサスにとっては逆転さえも可能な魔法だ。

 

「やめて、ラクサス!!」

「レビィ!」

「バカヤロウ、何しに来やがった!」

「ここにいたら危ねぇ!逃げろ!」

 

彼女が最前線にいては危ないと避難させようとしたがその言葉が聞こえないのか、ラクサスに向かって叫ぶ。

 

「マスターが、あんたのじいちゃんが…危篤なの!早く戻ってあげて!」

 

沈黙が場を支配した。誰もが耳を疑い、言葉を吐き出すことができない。信じられないような顔をしている。ラクサスの目にも正気が戻ったように見えた。しかしラクサスはまだ野望を捨ててはいなかった。

 

「なんだ、これで俺がマスターになれる可能性が再び浮上したってわけだ」

「危篤…じっちゃんが?」

「消えろ、フェアリーテイル!俺が誰にも負けない最強のギルドを作り上げてやる!フェアリーロウ、発動!」

 

手に集まった魔力と光が一気に放たれ、一瞬にしてマグノリアの街を包み込んだ。そして光が収まり、発動に成功したラクサスは勝利を確信していた。

 

「俺は、ジジィを超えた!俺にかなうものはいない!」

 

が、煙が消えるとそこにはさっきまで戦っていた三人の誰も消えていないのに気づき、焦りが募る。

 

「なんでだ…なんで誰も消えてねぇ!あんだけの魔力をくらって平気なわけねぇだろ!」

「ギルドのメンバーも…街の人も全員無事だラクサス。誰1人としてやられていない」

 

誰かと戦ったのだろう、傷だらけになったフリードが現れ、皆の無事を告げた。その言葉が信じられず、フェアリーロウは完璧だったとラクサスは吠えたが、敵にしか効かない魔法ということはギルドを壊す気がないという心を魔法に見抜かれたということでもあった。

 

「これがお前の本音だ、ラクサス」

「違う!!俺の邪魔をする奴は全員敵だ、敵なんだ!!」

「もうやめるんだラクサス、マスターの所に行ってやれ」

「俺は俺だ、ジジィの孫じゃねぇ!ラクサスだっ!!ラクサスだぁああぁー!!!」

「吠えるなよ、クソ野郎…」

 

ジンヤの言葉にラクサスは睨み返していた。

 

「マスターの孫だからなんだってんだよ!俺たちはギルド全員で家族だろうがぁ!」

「テメェに何がわかる…」

「俺は仲間を失い、いろんな人に出会い、支えられた!だからわかる!仲間はお互い知ろうとすることから始まるんだと!」

「ほざくなぁ、ジンヤァ!」

 

お互い力はほとんど残っていなかったがそれでも拳を互いにぶつけていく。しかしやはり連戦の疲れが出たのかラクサスの拳がジンヤを押し始める。吹き飛ばされたジンヤを更に攻撃するがしぶとく立ち上がる姿に苛立ちと恐怖の念が湧いてくる。

 

「こんな…もの、かよ…ラクサスゥ」

「このヤロ〜、跡形もなく消し去ってヤルァ!!」

「よせラクサス!その魔法を使えばあいつは!」

 

もはや側近たるフリードの言葉さえ耳に届かない。両手で雷の武器を型取り、それを躊躇なく放った。

 

「雷竜方天戟!!!」

「殺す気かぁ!」

「(くそ、立つのが限界か。奴には勝てなかったか!)くそぉ!」

 

避けられない。もはや死ぬしかないのかと思われたがジンヤの手前で急に曲がり、ガジルが自分を身代わりにしたのだ。

 

「行け、ジンヤ!」

「ガジル!(俺に最後の力を!『仙法・獅子奮迅』!)」

 

一度解けてしまった能力を無理やり開放し、全身に極度の負担をかけていく。最後の魔力を出し切ってしまったラクサスは動くことさえかなわない。

 

「お、おのれぇ。おのれぇぇえっ!」

「おまえの負けだぁ!ラクサスァ!」

 

拳に乗せられた力がまるで虎のように力強くラクサスを吹き飛ばし、ついに決着がついた。まるで勝ちを知らせるかのように一際大きな咆哮が空に響き渡った。




どうも、ぽおくそてえデス。なんか大型犬に噛まれて痛みと戦いながら書いていたので圧縮&テキトーになってもうた。申し訳ない。
皆さんも怪我や病気にはご注意あれ。

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