FAIRY BEAST   作:ぽおくそてえ

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第34話 夢幻の星々

「ナツ。大丈夫か?」

「ちょいと擦りむいたけどそれ以外はなんとか」

「そうか、なら先に行ってくれ。こっちは少し休んでくわ…ふぅ。」

「無理すんなよ。エルザのことなら俺に任せろ」

塞いだ傷が無理な運動をしたことと強い衝撃を受けたで再び開いてしまったのを治そうと立ち止まり、力強い言葉をかけるナツをいち早くエルザの元へと急がせた。

「間に合ってくれよ、ナツ…痛え!うう、情けねぇ」

(すまんな、少し助けるだけのつもりじゃったんだが…)

なんでも悟空曰く傷を繋げる程度で済ませる筈だったがなぜか想定以上に力が流れ込み過ぎたために眠っていた力が目を覚ましたらしいと説明されながら上へと進む。

「なるほどな。だがおかげで動けんだし、あの女剣士も倒せたし助かってるんだ…ぐぅっ!(なんだ急に、頭が!)」

(おいジンヤ!!くそ、ワシの神通力が通じぬ!)

半開きになっている扉に近づいた瞬間抑え込んでいたはずの能力が再び暴走しはじめた。

「(飲まれてたまるか、こんなところで!)」

一か八かの賭けでかつて悟空を目覚めさせる時に使った能力で己の腹部を貫き、封印術式をかけた。腹部にかなり大きな傷を負うことになったが完全に飲み込まれることなく無事だった。

(大丈夫か?なぜかワシの神通力じゃ干渉できんでな)

「あ、ああ。もうダメかと思ったわ(封印術を覚えてて良かった)…とりあえず行くぞ」

 

塔の中で盗んできたエネルギー薬を一息に飲み干したジンヤは体を奮い立たせて扉を潜ったら、ジェラールに倒され意識を手放したナツが目に入った。

「…ジェラールはテメェか。仲間を散々にやってくれたようだな」

「遅かったなジンヤ、ERAで会って以来かな?バトルロワイアルのゴールに着いたの、お前が最後だぜ?ここからが本番だってんだから待たせないでくれよ。そして、君がここに残った最後の戦士だ」

「ERA?そうか、そういう事だったか。お前はジークレイン自身だったのか。あの時のエルザの反応がおかしいと思ったら…(そして、その顔はあいつと同じ!)」

ナツの後ろで気絶して静かに眠っているエルザを見て頭に血が昇り、足元のラグリマにヒビが入るほど怒りがこみ上げていた。仲間を傷つけられたこと、そして目的のために人を多く殺しかねないエーテリオンも投下させるという考え方に血が逆流する感覚さえ覚えた。

 

「仲間をこんなんにしたんだ。こっから先はお遊び程度じゃ済まさねぇぞ、クソが!」

「遊びのつもりはないし、これは俺の夢のためなんだ。いたって真面目だぜ、俺は?そのためにゼレフを復活させる!」

「史上最凶と呼ばれた男を呼び覚ますというなら、その夢幻から解いてやる、ボケナスが!」

「こい、化け物め!俺の天体魔法の塵にしてくれる!」

こうして大いなる野望を胸に持つ星と仲間を生きて連れ帰すと誓う野獣の互いの信念を賭けた戦いの火蓋が切って落とされた。

「「沈むがいい!」」




こんにちは、ぽおくそてえです。
今回はかなり短め+ストーリーがほとんど進まない一話になりました。正直次のやつとくっつけた方が良かった気がしますが、文章力皆無なのでこういう形になりました。次は長めに(といっても2000字くらいかと思いますが)書くのでご容赦を。
あと、活動報告でも書きましたが来週あたりから投稿が出来ないかもしれません。来週まで投稿がなかったら次回は3月半ばくらいになるので予めよろしくお願いします。

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