FAIRY BEAST   作:ぽおくそてえ

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遅くなりました、すいません。


第33話 墜つる天の光

エルザが最上階を目指す中、2人の戦士達が衝突を繰り返していた。

「無月流、迦楼羅炎!」

「危ねぇ!」

斑鳩の抜きはなった刀から大蛇が踊りでたかのように炎がジンヤに襲いかかったが悟空の神通力『縮地法』を使ってなんとか上方へと逃げることができた。

「刀から炎とかどんな剣術だよ」

「まだまだこれからどす。無月流、夜叉閃空!」

「くっ!!」

凄まじい一閃に身体を小さな蝙蝠に変えて散らすことで攻撃の当たる箇所を小さくさせるという奇策に出たが、それでも何箇所からか血が流れ出してしまった。

「あんな状態からよく私の攻撃を躱しましたなぁ」

「…全力を出してないのにそう言われてもな」

「ふふ、なら全力で参ります」

そこから更に十分ほど経つが未だに決定打を打てていない状況だったが、脇腹に受けた傷以外にも肩や腕から血が流れて痛みが悪化していた。

「(あちこちから血が流れ過ぎたな。負けないとか言っときながらボロボロたぁ、情けねえ…)」

「これで終わりどす!」

斑鳩が長刀を居合の状態に持ち込み、一気に踏み込んだ。

「くっ、おあぁー!」

あと少しで斬られようとした瞬間、周りの大気が弾け飛び、身体中に模様が浮き出てきた。さらに身体から青い炎がオーラのように纏わりついて斑鳩を牽制した。

「いきなり、姿が…あの炎は一体!?」

「ココで負けるワケにはユカぬゥ!」

ダメージをおった状態で無理に発動したため、力のコントロールが効かず暴走状態になっていた。そんな状態にも関わらず目にも止まらぬ速さで一気に詰め寄った。

「一瞬千撃、『瞬獄殺!』」

「ひっ!?うあぁあぁぁ!!」

その拳は敵の骨が残らぬ程に強烈な連撃を浴びせ、遠く彼方へと吹き飛ばした。斑鳩は全身の筋肉や骨が傷つきもはや動くこともできず、それを見届けた後、オーラが消え去った。

「ぐっ!?はぁ、はぁ(このパワーは無理に引き出すもんじゃねえな)」

地に伏した斑鳩が声をかけてきた。

「それがあんたの本当の力どすか?」

「さあな。俺にもよくわからねぇ」

「ふふふ、変わった方どすな。でもジェラールはんが居れば…」

そう言い残して意識が途切れた。

「…奴には引導は渡してやる、死者の復活なぞさせてたまるか」

 

 

「…ショウ、頼みがあるんだが。痛て!」

「な、なんだよ(大丈夫かこいつ、突然変身するし?)」

なんとか立てるようになったところでショウにこの塔内にいる仲間を全員退避させるように言い渡した。エルザもそれを望んでいるだろうと伝え、連絡を取らせながら出口に向かわせた所で自分は階段へとおぼつかない足取りながら歩を進めた。

「姉さんたちを必ず連れて帰って来てくれよ!」

「当たり前だ!(待っていろよジェラール、エルザ!)」

無理に力を引き出した疲労を隠すように力強く応えた。

 

かくして斑鳩の翼を折り、地に沈めたジンヤは傷に薬を塗りながら最上階へ向かうが、何故か後ろにいたはずのナツとシモンと遭遇することになった。

「お前らなんで避難してねえのか…」

「なんのことだ?エルザはどうした?」

シモンに聞かれたことに素直に先に向かったと答えたがそのエルザがエーテリオンを使ってジェラールを道連れにするつもりだという言葉を聞き、不用意にエルザを先に行かせてしまったのを後悔することになった。

「(まだやられてねぇと思うが)とりあえずシモン。お前は他の奴らと合流してろ、おら行くぞナツ!」

呆然とするナツを引っ張るようにして連れて行くのだった。

 

「くそったれ、まだ着かねえのか!?」

「発射まで時間ねぇのに!」

塔の中を五分近く登っていたが未だに頂上が見えないことに苛立ちを感じて来ていた。しかも2人揃って身体に限界が近づいていたからか、なかなか速く走れない。

「長すぎるだろここの階段…ん?なんか外が急に明るく?」

顔を窓に向けた瞬間、稲妻より鋭く重たい衝撃と爆音が塔全体を襲った。超絶時空魔法エーテリオン炸裂の時だった。

 




ぽおくそてえです。この能力の名前を付けたいんですが中々いいのが思いつかないです(汗)。そして今回、別の原作技を入れました。瞬獄殺です。ご存知の方も多いかと思いますがストリートファイターに出てくる豪鬼というキャラの大技で一気に30コンボで体力を半分も削る悪魔のような技です。一気に近づくのが(作品内で名前は出てませんが)阿修羅閃空と言います。
さて、後2,3話で楽園の塔編終了です。ようやく目標の半分ぐらいまできました。まだ先が長いっすが頑張っていこうと思います!

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