さて今回は塔についたところからです。では本編どうぞ!
「もうそろそろだな。エルザたちはここら辺にいる筈だ」
「あの塔かな?ここら辺だとあそこくらいだよ、陸があるの」
「ナツの鼻がありゃもうちょい楽だったんだけどな」
エルザとハッピーが攫われ、アカネビーチに偶然あった船を出すこと十数分、目的地と思われる島に辿り着いた。入り口前にあった桟橋に着けて、地下に何かないかジュビアに水中を探らせることにした。
「なんか人がたくさんいるぞ?」
「あんなやつらぶっ飛ばして先にいくぞ!」
「やめとけナツ、そんなことしたらエルザとハッピーに危険が及ぶぞ」
上陸して、時折やってくる巡回兵を影から観察していると、結構な数の人がいるみたいで、2分から3分に一回は出入り口付近を通り過ぎることを確認した。
「隠れての正面突破は難しいな。出た瞬間にバレる可能性が高いぞ」
「そろそろ水中に行ったジュビアも戻ってくるんじゃないか?」
グレイの言葉通りにすぐに戻ってきた彼女は水中の洞窟に入れる場所があるのを確認していた。
「地下洞窟か。正面突破ができない以上そこからいくしかなさそうだな」
「空気のある場所までは十分ほどかかります、皆さんには空気の入ったこちらを…」
ジュビアの能力で水の球を作り、そこにしばらく呼吸が出来るように空気を閉じ込めているみたいだ。
「俺は能力でどうにかなるから他のみんなに渡しておいてくれ」
「分かりました、そうしましょう」
準備ができたところで早速潜って向かい、洞窟内の陸地に上がった。
「こっちは正門に比べて警備が薄いな。ところで出入り口はどこだ?」
「あそこからだったら行けそうだ」
「あの天井の?でもあれ内側から開ける式っぽいし、こっちでは開けるのが難しいかも」
潜入に成功したが一方通行の扉があるだけで入れる気がない仕掛けになっていた。
「はぁ。せっかく着いてもこれじゃ厳しいな」
「どうしよう?このままじゃ何もできないけど…」
悩んでいるうちにどこから見てたのか分からないが敵兵がうじゃうじゃと出てきた。
「貴様らここで何をしている!?」「何者だ!!」「絶対逃すな!」
「何者だと!覚えておけ、俺たちはフェアリーテイルだ、バカヤロウ!!」
「運が悪かったなお前ら!仲間は返してもらうぜ!」
ジンヤたちが地下スペースで暴れること十数分、やって来た部隊はことごとくやられて床に転がっていた。
「骨のねぇ連中だこと。能力の無駄使いだったぜ」
「…どうやらさっきの扉が開いたみたいだ」
「俺たちのことバレてるのか?」
「遠隔操作しているみたいですし、おそらくどこかから私たちを見ているのでしょう」
挑発をするかのように静かに降ろされた梯子を登りきると、だだっ広い部屋にたどり着いた。
「こっからどうするかだな。まずはエルザとハッピーの合流と回収かな」
「そうだね。まずは早くエルザと合流したいけど…」
5人で小会議を行ってると連絡が入ったのか、第2部隊が追いかけて来た。身構えるジンヤたちをその刃は襲うことはなく、1人によって沈められた。
「エルザ!」
「まさかそっちから来てくれるとはな。無事で何よりだ」
「か、かっこいいです」
「な!?お前たち何故ここにいる!」
まさか会うと思って居なかったエルザは驚きを隠せなかった。
「そりゃ仲間が攫われたんだ!来るのは当然だろ!」
「お前だけじゃなくハッピーも攫われたんだよ。なにか思い当たる節はないか?」
「ハッピーもだと?そうとなると、おそらくミリアーナだろう。だが、どこにいるかは分からん」
「よし、分かった!」
「(何が分かったんだ、こいつ)まさかハッピーの元に行くのか?」
「当たり前だ!うおぉ、待ってろよー!」
制止する前に完全に先走ったナツは部屋を飛び出し、何処へと向かっていってしまった。
「待て、おい!」
「追うな。お前たちは先に帰れ」
後を追おうとしたところでエルザに刃を向けられ、止められてしまった。
「エルザ、なんのつもりだ。すぐに行かないと追いつかねえぞ!」
「ミリアーナはかなりの愛猫家だ。いくら敵とはいえ、無闇にハッピーに手をあげるとは思えん。2人は私が連れて帰るからお前たちは離れろ」
「はいそうですかと言うとでも思うのか、俺らがよ」
「お前たちは無関係だ。巻き込みたくない」
「俺たちはもう十分巻き込まれてんだよ、あのナツを見ただろ?」
ジンヤに続いてグレイからも言葉がかけられたが、エルザは黙り込んでしまった。
「昔のことでいろいろ言いたくないだろう。
それでも俺たちは仲間だ、どんな時でも側にいる」
「か…帰れ…お前たちには」
「エルザらしくないよ?いつもみたいについて来いっていってくれれば良いのに」
「ルーシィの言う通り、俺たちは力を貸す。仲間なんだからな。お前だって怖えと思ってもいいじゃねーか。だから…うっ!」
肩を震わせていたエルザの目には涙がたまっていて、皆を驚かせた。
「エルザ、お前」
「…この戦い、勝とうが負けようが私はこの世界から姿を消すことになる」
「どういうこと?」
「今から私が知っていることの全てを話そう」
そこで話されたのは自分たちのいる『楽園の塔』について、そしてエルザがここに奴隷として働いていたこと、その時の仲間たちについてだった。
「だから、私は戦うしかない。この悪夢を終わらせるには…」
今回も二千字超えました。エルザの回想は書くと長くなりそうだったのでカットしました、すいません。今後の話では地の文とかでその都度、必要に応じて説明して行こうかと思います。後、原作とちょっとセリフの言い回しや喋らせる人とか量とか変えました。
そういえばセンター試験から1週間経ちましたね。受験生の皆さん、最後まで過去問と基礎練習を勧めます。頑張ってください!
脱線しましたね。それではまた次回お会いしましょう!