バカとテストと召喚獣~響き渡るバカ達の絆~   作:shin-Ex-

90 / 130
第84話!

今回は響さんをメインにしたオリジナルの話です!

「今回で響の家族が登場するけど・・・・・」

「・・・・」

まあ心中お察しします。それでは本編にいきましょう。

「本編どうぞ」


幼き紅との邂逅
第84話


とある一流ホテルのパーティールーム。キラキラと煌びやかな空間には高そうなドレスやスーツを着飾り、装飾で身を固める様々な企業、財団のトップ達が集まっていた。

 

そんな中・・・・

 

「・・・・・はあ」

 

仲渡響はゲンナリとした表情で溜息を吐いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~1週間前~

 

プルルルルル♪

 

学校が終わり、リビングでくつろいでいた響の携帯に着信が入る。

 

「誰だ?」

 

電話に出よううと響は携帯を手にとった。だがディスプレイに映る文字を見た瞬間、響は動きを止めて表情を強ばらせる。

 

携帯のディスプレイには『仲渡充』と・・・響の父親の名前が示されていた。

 

「・・・・・はあ」

 

響は溜息を一つつき、通話ボタンを押して携帯を耳に持っていった。

 

『全く。電話に出るのにどれだけ時間をかけるつもりだ。私はお前と違って忙しいのだからすぐにでろ。本当にお前は愚図だな』

 

電話に出た響に投げかけられた言葉は、到底父親から息子に放たれるものとは思えぬ罵倒であった。

 

「・・・・・申し訳ありません父様」

 

響はその罵倒に反論するわけでもなく謝罪する。ただその声は常のものより幾分かトーンが低かった。

 

「ところで要件はなんでしょか?」

 

『うむ、一週間後に我が社主催のパーティーを開くことになってた。お前もそれに出席してもらう』

 

「またですか?それはやめたほうがよろしいので?何度も申し上げましたが父様の知っているように私は落ちこぼれなのですよ?そのような場に出ても社の印象を悪くするだけかと思いますが」

 

『お前ごときが社に直接貢献できるとは最初から思ってなどいない」

 

なんとも酷い物言いだ。

 

だが無理もない。この父親は全くと言っていいほどに本当は響がいかに有能であるのかを理解しておらず、無能だと思い込んでいるのだから。

 

『だが・・・・・そんな落ちこぼれのお前にも利用価値はある。貴様は容姿だけはそれなりにいいからな。それは何度も言っただろう。物覚えの悪い奴だ』

 

「・・・・・申し訳ありません」

 

『そういうわけだ。一週間後のパーティーには必ず出席してもらう。貴様に拒否権はない。わかったな』

 

「・・・・・はい」

 

『わかればいい。それではな』

 

プツッ

 

充は要件を響を伝え終えると、電話を切った。

 

「響様」

 

そして電話が切れるのとほとんど同時に、咲夜が響に声をかける。

 

「咲夜・・・・話は聞いていたか?」

 

「はい・・・・来週のパーティーに出席されるのですか?」

 

「ああ。役割は・・・・・いつもと同じだよ」

 

「そうですか・・・・・」

 

咲夜は心配そうな眼差しを響に向ける。

 

「大丈夫だよ。いつもどおり・・・・適当にやり過ごすさ」

 

響は咲夜を安心させようと優しく微笑みかける。

 

「・・・・・そうですか」

 

だが、その微笑みを見てもなお咲夜の表情は優れない。

 

「・・・・まあパーティーだって悪くはないさ。ユーセーやにとりとだってパーティーの時にあったんだし。もしかしたら面白い人と知り合えるかもしれないしさ」

 

響は心にもないことを口にした。今回のパーティーは仲渡家が主催したものだ。故に参加者のほとんどが仲渡家の人間と同類であろうことは容易に想像できる。

 

そんなパーティーに遊星やにとりの様な響とそりが合う人物が参加している可能性は限りにく0に近い。

 

「響様・・・・・ええ。そうですね」

 

しかし咲夜は響が自身を気遣ってそう言ってくれていると理解したため、その気遣いを無下にしないように僅かにだが微笑みを浮かべた。

 

こうして、響は仲渡家主催のパーティーに出席することが決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時、響は想像さえしなかったであろう。

 

そのパーティーで自身の人生を変えてしまうほどの出会いが待ってることを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まあ、あなたって仲渡家の次男なんですの」

 

目がチカチカしてしまうほど派手な色のドレスを着たいかにもそれらしい少女と、響は話をしていた。

 

「ええ。まあ兄様や姉様に比べたら私など若輩もいいところなのですが」

 

「そう・・・・ですがそれは仕方がないのではなくて?なにせ比べる相手があの信さんと雫さんですもの」

 

「・・・・そうですね」

 

どこか見下したように言う少女の言葉を、響は嫌な顔一つ見せずに受け止める。

 

「でもまあ・・・・・容姿という一点ならあなたも二人に見劣りしないわ。中々私好みよ。どうかしら?今度私と食事でもいたしません?」

 

あくまで上から目線を崩さずに提案する少女。響を見る少女の目は、わかりやすく『断るな、受けろ』と語っている。

 

「前向きに検討させていただきます」

 

しかし響はそんな視線など無視してそう答えた。

 

「・・・・・・まあいいわ。それでは私はこれで失礼いたします。まだ挨拶をしなければならない方もいますから。それではいずれまた」

 

少女は響に一礼すると、その場を去っていった。そしてすぐに次のターゲットである若い男性を見つけて声を掛けていた。

 

「・・・・・ふう」

 

「お疲れ様です響様」

 

ようやく解放され、一息ついた響に、近くで待機していた咲夜が飲み物を差し出した。

 

「ありがとう咲夜」

 

響は咲夜からグラスを受け取って喉を潤す。

 

「大丈夫でございますか?酷く疲れて見えますが」

 

「・・・・大丈夫ではないな。流石にちょっと気が滅入る」

 

明らかに疲れを見せながら言う響を見て、咲夜はやはりと思った。

 

響は非常に社交的な性格である。初対面の相手でも紳士的に振舞うことができるのだから。ただこの場ではその性格が仇となってしまっているのだ。

 

このパーティーに出席したものの多くは現在の仲渡家と同類の者たち。彼らは社会的地位は高くとも人間性はあまり褒められたものではないのだ。そのような人物たちに礼儀正しく相手をしているのだから疲れてしまうのも無理はない。

 

「でもまあ・・・・仕方がないさ。それが俺に与えられた役割なんだから」

 

「・・・・・そうですか」

 

咲夜は苦笑いを浮かべる響を見て、痛々しく思わずにはいられなくなり、なぜ響がこのような目にあわなければならないのかと・・・・・響に深く同情してしまった。

 

「・・・・すみません響様、少しお手洗いに行ってまいります」

 

咲夜は逃げるように響から離れていった。それは響にとって自分から同情を向けられるのは辛いことであるとわかっているからこその行為であった。

 

「・・・・・気を使わせてしまったな。本当に俺はダメだな」

 

そしてそんな咲夜の考えがわからないほど響の察しは悪くはなかった。

 

咲夜に気を使わせてしまったことを気に病む響。

 

そんな時・・・・・

 

「何をサボってるのよ響」

 

響に話しかけてくる女性が居た。

 

「・・・・・何か御用ですか?姉様」

 

その女性は響の姉・・・・・仲渡雫であった。

 

「別に。ただあんたがサボってるようだったから注意しに来ただけよ」

 

「サボってなんかいませんよ。ちゃんと役割は果たしています」

 

「ふうん・・・・・それで?今何人?」

 

「7人です。そのうち3人から食事に誘われました」

 

探るように尋ねてくる雫に響は淡々と答えた。

 

「当然その誘いは受けたんでしょうね?」

 

「・・・・いいえ」

 

「いいえって・・・・・あんたね、本当にここに居る目的理解しているの?あんたがここに居るのは・・・・あんたの嫁候補を探すためなのよ?」

 

「・・・・・」

 

雫に言われ、響の機嫌は著しく悪くなった。

 

そう、響を落ちこぼれ扱いしているのにも関わらず充がこのパーティーに響を出席させた理由は・・・・・響の嫁候補を見つけるためであった。

 

充は響を落ちこぼれとして扱っているがその容姿の良さは認めていた。故にパーティーに出席させれば響を見初める令嬢が少なからずいるであろうと踏んでいる。

 

すなわち響は・・・・・仲渡家の発展を促す政略結婚の道具としてこの場に招かれたのだ。

 

「・・・・わかっています。だから誘いを受けなかったのです。万が一予定が合わなかったら気分を害してしまう恐れがありましたから」

 

「・・・・ていのいい言い訳ね。まあいいけど。それにしても・・・・あんたって愚図のくせに本当に容姿だけはいいわよね」

 

雫は響を舐めるような目で見回しながら言う。

 

「あ~あ・・・・あんたが弟じゃなかったら可愛がってあげたのに。本当に残念だわ」

 

雫は男ぐせが非常に悪い。今までに数え切れないほど多くの男を手玉にとり、飽きたら直ぐに捨てるということを繰り返していたのだ。

 

「あんたも残念でしょ?私みたいな美女が姉のせいで手を出せなくてさ」

 

雫はからかうようにいやらしい笑みを浮かべた。

 

「・・・・・ええ。そうですね」

 

そんな雫に響は棒読みで答えた。

 

「・・・・・チッ、可愛げのない奴」

 

響の態度に舌打ちを打って悪態をつく雫。

 

「まあいいわ。それよりもサボらないでよ。今日中に最低10人は落としなさい」

 

そういって雫はその場から去っていった。

 

「・・・・本当に勝手な人だな」

 

雫の背を見つめながら、雫に聞こえないように響はそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・そろそろ戻りましょう」

 

パーティー会場から離れていた咲夜は、気分が落ち着いた為に響の下へと戻ろうとする。

 

「やあ咲夜」

 

そんな咲夜に背後から声をかけてくる者がいた。

 

男の名は仲渡信・・・・・響の兄だ。信は笑顔を浮かべて咲夜を見つめている。

 

その視線を受けた咲夜は・・・・・不快感を感じていた。

 

「・・・・なにか御用でしょうか信様。急いでいるのでできたら手短にお願い致します」

 

礼儀を崩さずに言う咲夜。だがその声色からはどこか刺を感じさせた。

 

「あはは、相変わらずそっけないね。でも・・・・・そんな咲夜も可愛らしいよ」

 

対する信は咲夜の不快感なの一切察することなく、笑顔を崩さなかった。

 

「・・・・・御用がないのなら失礼いたします。響様が待っていますので」

 

「待ちなよ」

 

咲夜は信の脇を通ろうとするが、信はその行く手を阻んだ。

 

「ねえ咲夜・・・・・いい加減僕のものにならない?あんな落ちこぼれの愚図に仕えたって疲れるだけだろう?いくらお爺様の命だからって従う事ない。僕なら咲夜の能力を有効に活用してあげられるしさ」

 

信はさも当然のように咲夜に囁きかけた。まるで咲夜を誘惑するかの如く。

 

まあ咲夜からしてみればそれも不快感でしかないが。

 

「・・・・・響様が愚図ですか?」

 

「そうだよ。なんのとりえもなくてあらゆる能力が僕に劣る。あれを落ちこぼれと呼ばずになんて呼ぶ?」

 

実の弟を平気で蔑む信。そんな信が行っていることは今の咲夜には到底理解しがたいものであった。

 

咲夜は知っている。響が目の前にいる軽薄な青年よりもよほど有能で人として立派だということに。

 

「・・・・見解の相違ですね」

 

「え?」

 

「私は響様の事を落ちこぼれの愚図などとは思っておりません。響様に仕えることができるのは・・・・私にとって何よりも誇らしいことです」

 

「何を言ってるんだ?あいつは・・・・」

 

「信様」

 

咲夜は信の言葉を遮った。

 

「これ以上私の主を・・・・響様の侮辱する事は許しません」

 

咲夜は信を睨みつけながらキッパリと言い放つ。その目には信に一切の有無を言わさぬ迫力があった。

 

「・・・・・私は響様の従者です。響様以外の者に使えるつもりは一切ございません。それでは失礼致します」

 

咲夜は足早に信の前にから立ち去り、響の下へと急いだ。

 

「・・・・くそっ、落ちこぼれ風情が」

 

残された信はその場にいない響への恨み言を口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう・・・・夜風が涼しいな」

 

「そうですね」

 

響は戻って来た咲夜を連れて、パーティールームのバルコニーに訪れた。

 

「・・・・なあ咲夜」

 

「なんでしょうか?」

 

「こういう場に来るといつも思うんだが・・・・俺は本当にこういう場には向いていないな。肩が凝って仕方がない」

 

「そうですね。響様にはこのような場よりも明久たちとバカ騒ぎする方がお似合いだと私は思います」

 

「ハハッ!それは最高の褒め言葉だ」

 

響は嬉しそうに声をあげて笑った。

 

「・・・・・本当に嫌になるよ。この場所も、そして親から与えられた役割を形だけとはいえ淡々とこなそうとする自分にも。本当に・・・・・・嫌になる」

 

「響様・・・・」

 

自嘲気味に笑みを浮かべる響。そしてそれを心配そうに見つめる咲夜。

 

二人の間には・・・・・何とも言えない微妙な空気が流れる。

 

その時・・・・

 

「あら?先客がいたのね」

 

二人の耳に幼い声が聞こえてきた。

 

声のする方に振り返るとそこには・・・・・小さな少女が一人いた。

 

少女は白いヒラヒラしたドレスに白い帽子をかぶり、水色の髪に紅い目をしていた。

 

「まあいいわ。お邪魔してもいいかしら?」

 

「ええ。構いません」

 

「ありがとう。仲渡響」

 

「私の事を知っておられるのですか?」

 

「当然よ。なにせあなたは有名ですもの」

 

クスリと口に手を当てて上品に笑う少女。

 

「俺が・・・・有名?」

 

「ええ。と、そういえばまだ自己紹介をしていなかったわね」

 

少女はスカートの裾を掴み、ペコリと頭を下げた。

 

そして・・・・・

 

「はじめまして。私はレミリア・スカーレット。以後よろしくお願いいたします」

 

礼儀正しく、自らの名を名乗った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『レミリア・スカーレット』

 

彼女との出会いが、響の人生に大きな変化をもたらす。




あとがき座談会のコーナー!INバカテス!!

今回のゲストは前回に引き続き咲夜さんです。

「よろしくお願いするわ」

はいよろしくお願いします!それでは進めていきましょう!

「今回響の家族が登場したわけだけど・・・・・あれは酷すぎるね。本当に響の家族なの?」

「全くだわ。なぜ響様があんな・・・・・」

まああの人達は世間的には有能とされていますが人としてはあまりにも酷すぎますからね。それに能力だって実際は響さんの方が高いですし。

「買いかぶりすぎだ。俺は・・・・そんなに有能じゃない」

(・・・・・やはり響さんは決定的に自分に自信がないのですね)

「それにしても、響を政略結婚の道具にしようとするなんて・・・・・許せないよ。響を一体なんだと思ってるんだ」

「まあそれを知りながら適当に形だけこなしていた俺もたいがいだけどな」

「それはそうするしかなかったから仕方がないことでしょ」

「それでもやっていたことには変わらんさ。まあ・・・・微塵たりとも本気ではなかったけど。将来そういう関係になるとしたら咲夜としか考えられないし」

「そ、そうですか////」

(これで付き合ってないんだもんなこの二人)

(この二人を見るとなんか付き合うっていうのがどういうことかよくわからなくなるなぁ)

「さて、話を変えよう。最後の最後でレミリアが出てきたわけだが・・・・まさかこのタイミングで出てくるとは」

「・・・・私としては複雑な気分だわ。原作ではお嬢様の従者だったけれどこの小説では響様の従者だから・・・・・」

まあ咲夜さんからしたらそうでしょうね。

「それで・・・・レミリアさんが響の人生を変えるっていうのはどういうこと?」

それはまだ詳しくは言えませんよ。ですがまあ・・・・・察しのいい読者なら気がついているのではないかと思います。

「てことは何か伏線が張られていたっていうこと?」

まあそうなりますね。これ以上は答えになりますので何も言えませんが。

「そうか」

さて、今回はここで締めにしましょう。

それでは・・・・・




「「「「次回もまたきてくれ(きてください)(きなさい)!!」」」」




▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。