バカとテストと召喚獣~響き渡るバカ達の絆~ 作:shin-Ex-
今回は雄二さんと翔子さんのウェディング体験です!
「いっそこのまま本番に・・・・」
「流石にそれは無理だって」
まあそうですね。それでは本編にいきますか。
「そうだな。本編どうぞ」
side 雄二
「ハハハッ!馬子にも衣装だな雄二」
パーク内のホテルに準備された舞台の袖で、タキシードに着替えた俺にユーリがうすら笑みを向けてきた。
「それ褒めてねえだろ・・・・つうか演技はどうした?」
「周りに他の客がいないからする必要ねえだろ。あれ肩こるしな」
ユーリは肩を回しながら言う。まあ確かにあれはユーリの性格には合わねえし肩がこっても仕方ないといえば仕方ないか。
「ところでアリスはどうした?一緒にいないのか?」
「ああ、アリスなら翔子の着付けしてるぜ。あいつそういうのも得意だからよ」
器用だなアリス・・・・あいつも確か翔子に負けず劣らすのお嬢様だったよな?
「そうか・・・・・」
「なんだ?随分とまあ暗いじゃねえじゃねえか。もっとテンション上げてこうぜ」
「上がるわけねえだろ・・・・・恥ずかしさで今すぐにでも逃げてえ気分なんだからよ」
さっきは仕方がないからって吹っ切れてたが・・・・本当に乗り気にならねえな。
「今からそんなんじゃ本番の時苦労するぞ?」
・・・・・本番か
「・・・・・翔子と本番をするとは限らねえのにそんなことを言われても困るんだが?」
「俺は別に翔子とだなんて一言も言ってねえぞ?」
ユーリはニヤニヤといやらしい笑顔を浮かべる。いつもの俺ならここで大げさにリアクションとっちまうんだろうが・・・・
「・・・・ああ、そうだったな」
なぜか今はそうならなかった。なぜか頭にこねえっていうか・・・・テンパらねえんだよな。
「雄二、お前・・・・」
『それではいよいよ本日のメインイベントウェディング体験です!皆様、まずは新郎の入場を拍手でお迎えください!』
ユーリが何か言おうとするのを遮るように木下姉のアナウンスが耳に入ってきた。その後に拍手がなるのも聞こえてくる。
「・・・・はあ、いくか。ところでさっき何言いかけたんだユーリ」
「・・・・・いや、なんでもねえ。気にすんな」
「??そうか」
結局何だったんだ・・・・まあいい。とっとと行って終わらせるか。
side ユーリ
(雄二はわかってんのか?ウェディング体験に気乗りしない本当の理由・・・・)
あいつがこのウェディング体験に気乗りしない理由は恥ずかしいからだけじゃねえ。もっと他に・・・・別の理由からだ。
(・・・・まあ気持ちはわかんねえことはねえけど、決めるときはきちっと決めろよ。でないと・・・・後悔するのは目に見えてるしな)
俺は舞台にあがる雄二を見送りながらそう思った。
side 雄二
「おいおい・・・・なんだよこのセットは・・・」
舞台に立った俺の目に映ったのはまるで協会を思わえるようなセットだった。まさかここまで手が込んでるとはな・・・・まあ紫さんがプロデュースしたって言うならある意味当然か?
つうか客満員じゃねえか・・・・マジで勘弁してくれよ。
『それでは新郎のプロフィール紹介を・・・・』
そこまでやるのか・・・・まるで本物の結婚式だな。大方秀吉や康太にでも聞いて下調べを・・・
『・・・・省略します』
・・・・手ェ抜きすぎだろ。
「ま、紹介なんていらねえだろ」
「興味ない~」
「ここが俺達の結婚式に使えるかどうかが問題がしな」
「だよね~・・・・」
・・・・またあの馬鹿カップルか。
つうかあいつらO☆HA☆NA☆SHI受けてたはずだよな?もう復活したのか・・・・?すげえ回復力だな。
『・・・・他のお客様の御迷惑になりますので大声での私語はご遠慮いただけるようにお願い致します』
木下姉が注意を促した。若干イライラしているのか声に怒気が含まれているように聞こえるな。
「これあたしらのこと言ってるの~?」
「違ぇだろ。なんてったって俺らはオキャクサマなんだからよ」
「だよね~」
お前たちの他にいるわけないだろ。他の客も見てるし・・・・どんだけ厚顔無恥なんだよ。プレオープンであんなガラの悪い奴らに来られるなんてマジで如月グループには同情するな。
『それではいよいよ新譜のご登場です』
アナウンスの後、演出により舞台の証明が消えた。
(さて、まあないとは思うがこれで翔子の花嫁衣装が似合ってなかったら興ざめもいいところだな。どうなってることやら・・・・)
『本イベントの主役、霧島翔子さんです!』
(!?)
舞台の反対側から花嫁衣装姿で出てくる翔子。
「・・・・綺麗」
会場に来ていた客の誰かがそう呟くのが聞こえた。正直・・・・そう呟いたのは仕方がないことだと思う。
今の翔子を表現する言葉は・・・・・・それ以外は一つも出てこなかったのだから。
花嫁衣装姿の翔子は・・・・これ以上のものなんてないんだと思わせるほどに本当に綺麗だった。
「・・・・雄二」
「翔子・・・か?」
翔子の綺麗さに当てられた俺はついそんな当たり前であるはずのことを聞いてしまった。
「・・・・うん。どう?私お嫁さんに見えるかな?」
「あ、ああ大丈夫だ。少なくとも婿には見えない」
お、俺は何言ってるんだよ?そんなの当然だろ・・・・
つうか・・・・もっと他に言ってやるべきことがあったんじゃねえのか?
「・・・・雄二」
「お、おい翔子?」
翔子は俯いてしまった。やっぱり今の返しはマズかったか?
「・・・・嬉しい」
「え?」
『ど、どうしたのでしょうか?花嫁が泣いているように見えますが・・・・』
木下姉の言うとおりだった。翔子の頬には・・・・涙が伝っている。
「ど、どうした翔子?」
「・・・・ずっと・・・夢だったから」
『夢ですか?』
「・・・・・小さい頃からずっと・・・・夢だった。・・・・私と雄二2人で結婚式を挙げること。・・・・私一人じゃ絶対にか叶わない小さな頃からの私の夢」
「翔子・・・・」
なんで・・・・どうしてお前は・・・そんなに強い気持ちを抱けるんだ?
翔子の俺への想いは・・・・罪悪感と責任感からくる勘違いのはずなのに。
・・・・いや、違う。本当は・・・・わかってる。
そんなんじゃないってことは・・・・わかってる。
「・・・だから本当に嬉しい・・・・他の誰でもなく、雄二と一緒にこうしていられることが・・・・すごく嬉しい」
ポロポロポロポロと翔子の目からはとめどなく涙が溢れている。
『どうやらうれし泣きのようですね。花嫁は相当一途な方なようです。さて、花婿はこの告白にどう答えるのでしょうか?』
・・・・どう応えるのかか。
俺がすべき応えはコイツの勘違いを正してやること・・・・・なんかじゃねえ。
そもそも翔子の想いは勘違いじゃねえんだ。
俺がすべき応えは・・・・逃げずにちゃんと自分の想いを伝えることだ。
・・・・どうしてこのイベントに乗り気じゃないのかがようやくわかった。恥ずかしいからなんかじゃねえ・・・・中途半端だったからだ。
俺は・・・・翔子の想いが勘違いからくるものだと決めつけ、答えを先延ばしにし・・・・・自分の気持ちに向き合わずに中途半端でいた。
だがもうそれを終わりにしよう。今まで散々待たせちまった。だから今ここで・・・・俺の気持ちを翔子に伝える。
「翔子・・・・俺は・・・」
「あーあつまんない。マジつまんないこのイベント~」
俺が翔子に思いを伝えようとした瞬間、馬鹿カップルの片割れの女が遮るように声を上げた。
「人のノロケじゃなくて早く演出とか見せてくれな~い?」
「だよな~。お前らのことなんてどうでもいいっての」
・・・・ちっ、ウザってぇ奴らだ。邪魔してんじゃねえよ。
「ってかさ?お嫁さんが夢ってお前いくつだよ?キャラ作ってんのか?バカみてぇ。ぶっちゃけキモイんだよ!!」
・・・・・あ?こいつ今なんつった?
「純愛ごっこでもやってんの?そんなもん見たって時間の無駄って感じ。あの女マジでアタマがおかしいんじゃない?ギャグにしか思えないんだけど」
「ああこれってコントじゃね?あんなキモい夢ずっと持ってる奴なんていねぇもんな!」
「え~これってこんとなのぉ?だとしたら超ウケるんだけどぉ~」
(・・・・もう我慢ならねぇ!こいつら潰す!!)
俺は馬鹿カップルをぶちのめそうと舞台から降りようとした。だが・・・・
「・・・・おい」
「あ?なんだおま・・・」
バキッ!!
「ゴハァッ!?」
「リョ、リョータ!?」
俺よりも先に馬鹿カップルに近づき、ぶん殴った奴がいた。
そいつは俺のよく知る人物・・・・・響だった。
「てめぇ!!いきなりなに・・・」
「うるせぇ、黙れ」
「「ヒッ!?」」
響がさっきの篭った鋭い眼光を向けると馬鹿カップルは震え上がった。
「貴様らに・・・・何がわかる?翔子の何がわかるっていうんだよ!!」
響は本気の怒号をぶつける。
「翔子の夢を笑ってんじゃねえ!翔子はな・・・・ずっと夢見てたんだぞ!ずっとずっとずっとずっと・・・・・雄二とああなることを夢見てたんだぞ!どんなに辛い思いをしても・・・・どんなに苦しい思いをしてもあいつは夢を決して捨てなかった!決して諦めなかった!その夢があいつにとって何よりも大切な宝物だったからだ!それなのに・・・・・何も知らない貴様らが気安く笑って踏みにじってんじゃねぇぞ!」
(響・・・・)
そうか、あいつは翔子とは親戚同士・・・・色々と翔子から話を聞いていたんだろうな。だから・・・・翔子の夢を嘲笑ったあいつらを・・・・許せなかったんだろう。
・・・・そう考えると響がやたらと俺と翔子の背中を押してきたのも当然といえば当然か。・・・・・翔子は一体どんな思いで響に話していたんだろうな)
「俺は貴様らを許さねぇ・・・・ぶっ潰してやるよ!」
響は怒りのままに拳を振り上げる。
「お待ちください響様」
その響の拳を咲夜が制した。
「放せ咲夜。俺はこいつらを潰す」
「お気持ちはよくわかります。ですが駄目ですよ・・・・彼らには殴る価値さえありません」
咲夜は馬鹿カップルを冷ややかな目で見ながら言った。
・・・・まあ咲夜の言い分も一理あるな。こんなやつら殴る価値なんてねえ。むしろ殴った手が腐ると言ってもいいな。
「・・・・咲夜に感謝するんだな。今すぐにここから消えろ」
響は振り上げた手を下ろしながら馬鹿カップルに言い放った。
「い、いこリョータ」
「お、おう・・・・覚えてろよこのクソガキ!」
馬鹿カップルは悪態をつきながら去っていった。
『は、花嫁さん?花嫁さんはどちらに行かれたのですかっ!?』
「何?」
振り返ると、翔子がいなくなっており、翔子がいた場所にはヴェールとブーケが落ちていた。
あとがき座談会のコーナー!INバカテス!
本日のゲストはユーリさんです!
「いやなんでだよ?俺ほとんど出番無かったんだが?」
まあまあそう言わずに。座談会進めますよ。
「わかったよ・・・・」
「とりあえずまずユーリに聞きたいことがあるんだが」
「なんだ?」
「ユーリは雄二がウェディング体験に気乗りしない理由がわかっていたようだがそれはどういうことだ?」
「ああ、あれか。理由は雄二が俺と同じだったからだな」
「ユーリと同じ?」
「そうだ。あいつは俺と同じように相手からの気持ちに気がついていながらそれを自分の都合のいいように誤魔化して中途半端な気持ちを持ち続けてたからな。だから気乗りしてないんだってわかったんだよ」
「なるほどな」
「言われてみるとよくわかるよ」
まあ響さんと明久さんも似たようなものですからね・・・・つまりヘタレだからっていうことです。
「「うっ・・・・」」
「・・・・まあ俺もそうだったからあんまり反論はできねえけどよ。主に言われるとなんかムカつくな・・・・」
なんでですか!?少なくとも私はあなたたちよりもヘタレではありませんよ!私はきちんと告白したんですから!
「「「・・・・え?」」」
なんですかそのありえないものを見る眼差しは!
「いや、告白したって・・・・え?」
「主・・・・告白したことあるの?」
ありますよ!しかもちゃんとOKもらって付き合ってたんですからね!
「「「嘘ぉ!?」」」
そこまで驚く事ないじゃないですか!そんなに信じられないんですか!?
「だって・・・・主だしな」
「主だもんね」
「主だもんな」
ヒドッ!?まあ別にいいですけど・・・・
「ちなみにその人とはどうなったの?」
まあなんやかんやあって別れることになりましたよ。その結果現在独り身ですし。
「それはなんといいますか・・・・ご愁傷様」
その道場に満ちた目辞めてくださいよ・・・・そこまでめちゃめちゃショックってわけでもなかったですし。
「そうなのか?」
ええ。これでも色々と経験は豊富ですので・・・・色々と思うところがあるんですよ。
「そ、そうか・・・」
(((な、なんか主に貫禄を感じる・・・・)))
まあ。それはともかくとして、次回で雄二さんと翔子さんのお話はクライマックスですね。
「どうなるんだろうな・・・・」
「大丈夫だよ。あの二人ならさ」
「・・・そうだな」
では今回はここまでにしましょう。
それでは・・・・
「「「「次回もまたきてくれ(きてください)!!」」」」