バカとテストと召喚獣~響き渡るバカ達の絆~   作:shin-Ex-

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第76話!

今回は響さんと咲夜さんのターンです!

「・・・・正直かなり恥ずかしんだが」

「一体何があったのさ?」

それは見てのお楽しみです!それでは本編どうぞ!


第76話

side 響

 

周りを見れば多種多様なアトラクション。そしてそれを笑顔で楽しむお客たち。

 

流石は遊園地といった感じの光景だ。

 

そんな中俺と咲夜は・・・・・

 

 

「「・・・・はあ」」

 

頭を垂れてため息を吐いていた。

 

原因は・・・・今俺が手にしている写真だ。

 

この写真は先ほど入場ゲートでコウに撮られてものだ。写真の中心に写っていつのは腕を組んでいる俺と咲夜。それはまあいいのだが・・・・・問題は写真の装飾だ。

 

フレームはハートで型どられており、写真の上には可愛らしい丸文字で『私たち結婚します♥』と書かれている。しかも俺も咲夜も緊張した様子もはじている様子もない分変にリアルに見える。

 

「本当に・・・・・勘弁してほしいな」

 

「・・・・同感ですね」

 

「「・・・・・はあ」」

 

俺と咲夜は再びため息を吐いた。

 

ユーリもアリスもコウも愛子も何してんだ・・・・というかなんで俺達が今日来るってことを知ってるんだよ?今日ここに来ることは確か話した覚えはないぞ?この分じゃ他の連中も来ている可能性が高いな・・・・・そして皆してなんかお節介を焼いてきそう。

 

・・・・・なんか憂鬱な気分になる。

 

「あの・・・・響様。どうしますか?」

 

俺が頭を悩ませていると咲夜が尋ねてきた。

 

「どうも何も・・・・・行くしかないだろう」

 

「・・・・そうですね」

 

「「・・・・・はあ」」

 

3度目のため息。もう本当に頭が痛くなってきた。

 

実は俺と咲夜は先ほどユーリたちに絶対にお化け屋敷に行くようにと強く推されていた。その時の表情が非常にいい笑顔であったことから明らかに何かあると察することができる。正直そんなところに行くなど自ら死地に向かうに等しい事なんだろうが・・・・・行かなければそれはそれで後で非常に怖い。

 

俺と咲夜に・・・・選択肢などないのだ。

 

「・・・・行こう咲夜」

 

「・・・・はい。響様」

 

俺と咲夜は若干テンションが低くなりつつもお化け屋敷に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

如月グランドパークのお化け屋敷

 

そこは廃病院を改造してものであり、怖さは他の遊園地のお化け屋敷とは比較にならないであろうとオープン前から有名であった。

 

ただ俺にとっては・・・・・

 

「「お化け屋敷にようこそ!」」

 

今目の前で満面の笑みを浮かべる親友のトーマと空の方がその数倍恐ろしい。

 

「・・・・やっぱりお前たちもいるのか。トーマ、空」

 

「トーマ?誰のことでしょう?私の名前はフォーです」

 

「私も霊烏路空なんて名前じゃないよ」

 

トーマと空は一切笑みを崩さずに俺と咲夜に言う。というか空・・・・・なんか通常運転だな。スタッフとして演技する気はないのか?

 

「・・・・トーマ、お前がその名前を名乗るのは色々な意味でダメだろ」

 

「空・・・・響様は霊烏路なんて苗字は一切口にしていないわよ」

 

俺と咲夜は呆れながらツッコんだ。

 

ただ諦めから互いにツッコミに覇気がない。

 

「まあそれはともかくとして、こちらにサインをしてください」

 

「サイン?」

 

「このお化け屋敷はあまりにも怖いから入る前に誓約書を書いてもらうことになってるんだ」

 

「へえ・・・・」

 

誓約書が必要なほど怖いお化け屋敷か・・・・。

 

(俺も咲夜もお化けを怖がるようなタイプではないが・・・・・面白い。まあどれほどのスリルを味わえるのか期待させてもらおう)

 

俺はサインすべく誓約書の内容に目を通す。

 

「なになに・・・・『私仲渡響は十六夜咲夜を生涯愛し、苦楽を共にすることを誓います』・・・・・」

 

「「・・・・・は?」」

 

ゴシゴシ

 

俺は何かの間違いなのではないかと思い、目をこすってもう一度誓約書を見る。咲夜も食い入るように覗き込んできた。しかし誓約書に書かれている文字は先ほど読み上げたものと一字一句違わない。

 

「こちら実印になります」

 

「朱肉もあるよ!」

 

トーマと空は仲渡の実印と朱肉を差し出してきた。

 

「おい待て!なんだこの誓約書は!これ完全100パーお化け屋敷の誓約書じゃないだろ!そして朱肉はともかく実印なんてどうやって用意した!」

 

俺は怒涛の勢いで二人にツッコミを入れる。ちなみに咲夜は・・・・

 

「ひ、響様に・・・生涯愛・・・・///」

 

顔を真っ赤にして恥じらっているためツッコミに参加できない状態だ。

 

「誓約書についてはちょっとしたジョークですのでお気になさらずに。それと実印については響の御祖父様から・・・・・・・いえ、なんでもありません」

 

「写しまで用意するとかどんな手の込んだジョークだよ!というかこれウチの祖父さんも関わってんのか!?」

 

あの人何やってくれてるの!?俺と咲夜の味方をしてくれてるのはすごく感謝してるけどだからって実印渡すって普通にダメだろ!

 

「まあ落ち着いて響。それよりも早く咲夜と一緒に入りなよ」

 

空がどうどうと俺を宥めながら言った。

 

「はあ・・・・・わかったよ」

 

正直もう・・・・ツッコむのも疲れたしな。このままじゃ埒があかないし素直に従おう。

 

「入るぞ咲夜」

 

「え?あ、はい。響様」

 

俺が声をかけると咲夜は我に返った。

 

そして俺と咲夜は手を繋いでお化け屋敷に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ・・・・流石は廃病院を改造しただけのことはあるな。雰囲気満点だ」

 

俺はお化け屋敷の内装を見て感心した。徹底して窓から外の光が入らないようにし、ところどころボロボロにかけた壁や床。放置された医療機器。そして申し訳程度に足元を照らす弱光がおどろおどろしい雰囲気を醸し出している。あまり詳しくはないがお化け屋敷としては相当に怖い部類になるのだろう。

 

現に・・・・

 

ギュ

 

咲夜の俺の手を握る手の力がお化け屋敷に入る前よりも幾分か強い。それに表情も少し怯えたように見える。

 

あの咲夜がここまでになるとはな。

 

「大丈夫か咲夜?」

 

「は、はい。大丈夫です。問題ありません」

 

俺の問に咲夜は笑顔で答える・・・・・が、その笑顔は少々引きつって見える。やはり怖いようだ。しかもなんかフラグまで立てちゃってるし。

 

それにしても・・・・

 

(怯えた咲夜のことがたまらなく可愛いと思っちまうとか・・・・)

 

そう。今の咲夜は本当に可愛い。おどおどとしていて若干涙目になって・・・・凄く守ってあげたくなる。

 

そして同時に・・・・・なんか苛めたくなる。

 

「・・・・・・・」

 

ゴンッ!

 

俺は壁に向かって思い切り頭突きした。

 

(俺は馬鹿か?馬鹿なのか?何考えてるんだよ俺!)

 

「ひ、響様!?」

 

咲夜は突然の事に驚いている。まあ当然だな。目の前にいる自分の主人がいきなり奇行に走ったのだから。

 

「き、気にするな。ちょっと自分で自分をしばきたくなっただけだから」

 

・・・・・俺は一体何を言ってるんだ?聞きようによってはドM発言だぞ?実際はドSだったからこそやった行為だというのに・・・・

 

「は、はあ・・・・そうですか」

 

気を使ってくれたのだろう。咲夜は詮索してこなかった。ただその気遣いが今は少し痛い・・・・

 

そんなこんなでお化け屋敷を進んでいくと・・・・

 

うぁぁぁ~・・・

 

「!?い、今の・・・なに?」

 

突然エコーのかかった低いうめき声のようなものが背後から聞こえてきた。まあ配置されたお化けだろうな。分かっていれば怖くはない。

 

・・・・咲夜はちょっと怖がってるみたいだけど。

 

(ここはまあ・・・・・とりあえず振り返るのが礼儀か)

 

俺は後ろに振り返った。そして俺の目に映ったのは・・・・・

 

「うぁぁぁぁ~」

 

全身を包帯でコーティングされた大男がこちらに向かって全力ダッシュしてくる姿だった。

 

「きゃぁぁぁぁ!!」

 

「うぉぉぉぉ!?」

 

俺と咲夜はそれを見た瞬間に全力で逃走した。あんなもん見たら誰だって逃げ出したくなる。

 

「ひ、ひひひ響様!あ、あれあれあれは一体なんですか!?」

 

咲夜が涙を浮かべながら俺に尋ねてくる。まあ確かに

 

「え、えっと・・・・・し、進撃の包帯大男?というか咲夜落ち着け!テンパりすぎだ!」

 

「そ、そそそそそんなこといわ言われても!」

 

まあ気持ちはわからんでもない。あんなのに全力で追いかけられたら誰だって混乱はするだろう。かく言う俺もなんとかギリギリで冷静を保っているがいっぱいいっぱいだ。

 

というよりあの包帯大男速すぎるだろ!俺と咲夜が振り切れないとかどんだけだよ!どうしてあの格好であんなに速く走れるんだ!そしてなぜ俺と咲夜のあとを追ってくるんだ!

 

「きゃっ!」

 

「咲夜!!」

 

咲夜が躓いて転んでしまった。包帯大男はなおも進撃してくる。

 

「ひ、響様!私に構わずお逃げください!」

 

「んなことできるか!」

 

俺は咲夜を抱きかかえて再び逃走をはかる。だが流石にスピードは落ちてしまうので少しづつ包帯大男に近づかれてしまう。

 

(クソッ・・・・・どうすれば・・・・)

 

俺の頬に冷や汗が流れる。その時・・・・

 

「何をやっているんですか!」

 

スパンッ!

 

「うおっ!?」

 

聞き覚えのある女の声と小気味よい炸裂音が俺と咲夜の耳に入ってきた。

 

何があったのかと気になり後ろを振り向くとそこには・・・・巨大なハリセンをもったナース姿の華扇がいた。近くで包帯大男が頭を抑えて悶えている。

 

「全く・・・・ごめんなさい響、咲夜。少々やりすぎてしまいました」

 

華扇は申し訳なさそうに頭を下げてきた。

 

「え?・・・・え?」

 

咲夜は何が何だかわからずに頭に『?』を浮かべている。

 

だが俺は・・・・なんとなく全部分った気がした。

 

「うおぉ・・・・・華扇。少しは手加減しろ」

 

「何を言っているんですか羽羅!どう見てもやりすぎです!」

 

「・・・・・やっぱりお前羽羅なのか」

 

予想通りだな。

 

「あ、あの・・・・響様。これってもしかして・・・・」

 

咲夜もようやく察しがついたようだな。

 

「ああ・・・・どうやらお節介を焼かれたらしい」

 

全く・・・・・・ユーリたちといい・・・・皆どんだけ全力なんだよ。

 

「というより羽羅・・・・・一体お前はどういうつもりだったんだよ?」

 

俺は若干呆れながら羽羅に尋ねた。

 

「いや、危機的状況に陥れればお前たちの絆が深まると思ってな。どうだ?スリリングだっただろ?」

 

羽羅は豪快に笑いながら言った。包帯で顔が見えないがおそらくドヤ顔を炸裂させているだろう。

 

「だからってあれはやりすぎです!」

 

華扇はそんな羽羅を咎めた。

 

まあ確かにあれはな・・・・お化け的恐怖とは明らかに違うジャンルのスリルだったし。

 

「そう言うな華扇。作戦は成功したんだからいいだろ」

 

「ま、まあそうですが・・・・」

 

羽羅と華扇は俺と咲夜の方を見てきた。ただ何故か華扇は少し顔を赤くしている。

 

「あ、あの・・・・響様」

 

「ん?なんだ・・・・って、あ」

 

咲夜に声をかけられて俺はようやく気がついた。

 

俺は今・・・・咲夜をお姫様抱っこしている事に。

 

「ご、ごめん咲夜!」

 

「い、いえ!私の方こそすみません。従者でありながら響様に・・・その・・・」

 

「「////」」

 

ク、クソッ・・・・咲夜を直視できない・・・緊急時とは言え俺はなんてことを・・・

 

じ~・・・・

 

羽羅と華扇の視線が痛い・・・・・は、早く退避しよう。

 

「い、行くぞ咲夜」

 

「は、はい。響様」

 

俺は咲夜の手を引いて逃げるようにそそくさとお化け屋敷の出口へと足を進めた。

 




あとがき座談会のコーナー!INバカテス!

今回のゲストは咲夜さんです!

「よろしくお願いするわ」

はいよろしくお願いします!それにしても・・・・かなりいい感じでしたね!

「・・・・主?覚悟はできている?」

スラッ

「ごめんなさい。お願いですからそのナイフをしまってください」

「全く・・・・」

「それにしても咲夜がお化け屋敷であそこまで怖がるなんてね。ちょっと意外だったよ」

「アキがそう思うのも無理はないか。咲夜は特にお化けとか怖がらないタイプだし・・・俺もちょっと意外だった」

「ま、まあ確かに普段ならあまり怖いとは思いませんが・・・・どうにもあの雰囲気がちょっと・・・」

まあ廃病院を改装したものですからね。怖くて当然です。響さんにはあまり通用していませんでしたが。

「確かに怖いとは一切思わないな。理由はよく知らんが。でもまあ・・・・・流石に羽羅のあれは怖かったが」

完全にジャンルは違いますけどね。まあ2m近い包帯大男に全力ダッシュで追い掛け回されればそう思うのも無理はないですね。

「あれは・・・・本当に怖かったわ」

「下手すればトラウマものだからな・・・・」

「・・・・うん。否定はできないね」

私だったら一週間は悪夢として夢に見るでしょう。

「羽羅は本当に・・・・気合入りすぎだね。あ、それはともかくとして僕一つ気になることがあったんだけど」

なんですか?

「・・・・なんで華扇さんナース服姿だったの?」

ああそれですか。それは羽羅さんの指示ですね。看護師の幽霊に扮して驚かせるように言われて着ていたんです。

「・・・・それ建前じゃないか?」

・・・・正解です。本当はただ単純に羽羅さんが華扇さんのナース服姿を見たかったからでしょうね。

「・・・・あいつのそういうところはある意味で羨ましいな」

「・・・・うん。同感」

「・・・・あの、響様」

「ん?なんだ?」

「その・・・響様は私のナース服姿を見たいですか?」

「超見たいです。是非ともお願いします(まあ可能ならな。でも無理してそんな格好することないからな)」

「響・・・・・本音と建前が逆になるほど見たいんだね」

「しまった!!」

「そ、そうですか・・・・では後ほど」

良かったですね響さん!

「あ、ああ・・・」

さて、今回はここまでにしましょう!

それでは・・・・


「「「「次回もまたきてくれ(きなさい)(きてください)!!」」」」

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