バカとテストと召喚獣~響き渡るバカ達の絆~   作:shin-Ex-

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第62話!

さて!今回は雄二さんと翔子さんのターンです!

「・・・・・その割にはなんか俺の話しかしてなくないか?」

・・・・・まあ確かにそうですけど・・・・・それでもお二人にとっては大事な話になるはずですので!

「・・・・・まあ確かにそうだけどさ」

さて、それでは本編にいきますか。

「そうだな。それでは本編どうぞ」


第62話

side 雄二

 

俺は今日翔子と一緒に清涼祭を回っている。昨日翔子に誘われ、それでまあ・・・・・・特に断る理由はねえから一緒に回ることにした。そして今は近くにあった1年がやっている喫茶店に入ったのがだ・・・・

 

「♪~」

 

「・・・・随分と機嫌が良さそうだな翔子」

 

俺は出されたコーヒーを飲みながら聞いた。

 

「・・・・・そう?」

 

「ああ、見ればわかる」

 

まあパッと見では表情はほとんど変わってねえから実際に見て分かるのなんて俺と翔子の家族と・・・・・響と咲夜だけだろうがな。響と咲夜も翔子とは付き合いが長いみたいだからな。

 

「それで?何があったんだよ」

 

「・・・・・・これ」

 

そう言って翔子は俺に一枚の紙切れを見せた。その紙切れには・・・・・・『如月グランドパークのペア招待チケット』と書かれていた。って・・・・・

 

「翔子!お前それどこで手に入れたんだよ!」

 

俺はあまりのことに思わず声を張り上げてしまった。

 

召喚大会で優勝したのは明久と響のペアだ。だからこのチケットはあの二人が持っているはず・・・・・ん?待てよ・・・・響は・・・・・

 

「まさかそれ・・・・・・響が?」

 

「・・・・・・うん。昨日響から貰った」

 

やっぱりか!そういやあいつはオリエンテーションの時に同じやつを手に入れてやがったんだ!チッ!どうして響なら親戚である翔子に渡すって思いつかなかったんだよ俺は!

 

「・・・・・・本当に響には感謝」

 

「・・・・・そうか」

 

響の奴余計なことを・・・・・だがまあ結婚させるとかどうとかっていう話はなくなったようだからな。そこについては心配はいらねえか。約束しちまったのは俺だし・・・・・仕方がねえここは約束通り行くしかねえか。あくまで仕方がなくで響の思惑にはまったみたいでスゲエ腹が立つがな。にしても・・・・・・

 

「♪~」

 

本当に期限が良さそうだな。・・・・・そんなに俺なんかとい行くのが嬉しいのか?それとも・・・・・・

 

「なあ翔子」

 

「・・・・・何?」

 

「響とはどれくらい付き合いがあるんだ?」

 

俺は翔子に聞いてみた。

 

「・・・・・響とは10年以上前からの付き合になる」

 

「・・・・・そうか」

 

10年・・・・・・そんなになるのか。俺よりもずっと長いな。まあ二人は親戚同士なんだから当然といえば当然か。

 

「・・・・・どうしてそんなこと聞くの?」

 

翔子は気になったのか小首をかしげて聞いてきた・・・・・・クソッ、いちいち可愛いな。

 

「響とは随分と仲がいいから気になってな」

 

「・・・・・雄二、もしかしてヤキモチ?」

 

「なっ!?ちげぇよ!ただ純粋に気になっただけだ!」

 

翔子の奴・・・・・なんてこと言ってやがる!俺が響にヤキモチだと?そんなことあるわけねえ!・・・・・まあ少し翔子と仲が良すぎるとは思っていたが・・・・

 

「・・・・・大丈夫。響は私にとってお兄ちゃんのような存在だから。雄二がヤキモチをやく必要はない」

 

「だからちげぇって言ってるだろ!」

 

「・・・・・そう。わかった。じゃあそういうことにしておく」

 

「わかってねぇぇぇぇぇ!」

 

クッ、これ以上俺の首を絞めるのは勘弁だ。話を戻さねえと。

 

「それで?どうして響とそこまで仲がいいんだよ?やっぱり親戚だからか?」

 

「・・・・・それもある。でもそれだけじゃあない。響は・・・・・優しいから」

 

・・・・・響が優しいか。

 

「まあ確かにそうだな。他人のことをまるで自分のことのように・・・・・いや、自分のこと以上に気遣って考えられるような奴だからな。お前が仲良くなるのはある意味当然か」

 

「・・・・・・違う」

 

「あ?」

 

「・・・・・そういうことじゃあない」

 

翔子は少し悲しそうな表情をして言った。

 

「・・・・・・確かに私は響の優しさに惹かれた。でもそれ以上に・・・・・響のことをかわいそうに思った」

 

「・・・・なんだと?」

 

響を・・・・・かわいそうだと?

 

「それはどういうことだ?」

 

「・・・・・・そっか、響は雄二に話してなかったんだ」

 

「話してない?」

 

「・・・・・・響は本当に優しい人。でも・・・・・響は優しすぎる。だから響は・・・・・・自分で自分を苦しめた」

 

「なん・・・・だと?」

 

どういうことだ?一体・・・・・翔子は響の何を知っているんだ?

 

「・・・・・教えてくれ翔子。響は・・・・・・・なんで苦しんだんだ?」

 

「・・・・・・さっき私は響が私にとってお兄ちゃんみたいな存在だって言った。でも・・・・昔は違う。昔は・・・・・私がお姉ちゃんになろうとした」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

noside

 

 

~10年前~

 

 

『うっ・・・・ぐっ・・・・ひっぐ・・・・・』

 

『・・・・・響?」

 

『!・・・・・翔子ちゃん・・・・・どうしたの?僕の部屋なんかに来て・・・・・僕に何か用?』

 

『・・・・・響と遊ぼうと思って・・・・・響泣いてる?』

 

『そ、そんなことないよ。僕は泣いてなんかない。それよりも・・・・・・僕なんかと一緒にいちゃあダメだよ?僕は・・・・・・翔子ちゃんと違って落ちこぼれなんだからさ』

 

響は儚い笑顔を浮かべて翔子に言う。

 

『・・・・・またおじさんたちに言われたの?落ちこぼれって』

 

『・・・・・・』

 

『・・・・・・答えて』

 

『・・・・・うん。でも仕方がないんだよ。だった僕は・・・・・父様が言うように落ちこぼれなんだから。兄様や姉様に比べて・・・・・なんの才能もない、何もできない・・・・・落ちこぼれだから。だから・・・・・・仕方がないんだよ』

 

『・・・・・・響』

 

『だから翔子ちゃんは僕と一緒にいちゃあダメだよ。翔子ちゃんは僕と違って落ちこぼれじゃあなくて・・・・・すごく立派なんだからね』

 

『・・・・・』

 

ギュッ

 

翔子は涙を流す響を抱きしめた。

 

『翔子ちゃん?』

 

『・・・・・違う。響は落ちこぼれなんかじゃあない。響は・・・・・今の仲渡家の中で誰よりも立派』

 

『僕が・・・・立派?何を言ってるの?僕は・・・・・・立派なんかじゃあないよ?』

 

『・・・・・そんなことない。だって響は・・・・・凄く優しい』

 

『え?』

 

『・・・・・・響は優しい。凄く苦しんで・・・・・悲しんでるのに・・・・私のことを気遣ってくれた。誰かのことを責めたりしなかった。だから響は・・・・・十分に優しい』

 

『翔子ちゃん・・・・・』

 

『・・・・・・お父さんもお母さんも言ってた。響はすごく優しくて立派な人だって。そのことがわかっていないおじさんもおばさんも信さんも雫さんもおかしいって』

 

『・・・・・・』

 

『・・・・・わかってるから。私は・・・・・響のことをちゃんとわかってるから。だから・・・・・私の前では無理しなくていいから』

 

『しょう・・・・こ・・・・ちゃん・・・・・うわぁぁぁぁ!』

 

響は翔子の胸の中で泣き叫ぶ。

 

『・・・・・大丈夫。いつか絶対に響の優しさを理解してくれる人がたくさんできるから。響のことを救ってくれる人がたくさんできるから。だから・・・・・今は私が響のお姉ちゃんになって守る』

 

翔子は響を優しく抱きとめる。それはまるで・・・・・・響の本当の姉のように。

 

『翔子・・・・ちゃん・・・・・・ありがとう』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 雄二

 

「・・・・・響は他の誰でもない自分の肉親に苦しめられていた。両親、兄、姉に罵られ、幼い心に大きな傷を作った。私は・・・・・そんな響を救いたいと思った。それがたとえ哀れみからくる感情だとしても・・・・・響を救いたかった」

 

「翔子・・・・・」

 

「でも・・・・・私は結局響を救うことができなかった。私は・・・・肝心な時にはいつも響の側にいられなかったから。響を救ってくれたのは・・・・・・咲夜だった」

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・・私は響に申し訳なく思う。私は響のお姉ちゃんになってを守るって言ったのに・・・・・結局それができなくて、今は響が私のお兄ちゃんになって私を助けてくれる。私は・・・・・何もしてあげられなかったのに」

 

翔子は顔を伏せて言った。・・・・・ったくこいつは・・・・・

 

「・・・・翔子がそんな風に思う必要はねえよ」

 

「え?」

 

「あいつは・・・・・響は間違いなくお前に感謝している。でなけりゃ・・・・・お前にそれを渡したりはしねえよ」

 

俺は『如月グランドパークのペア招待チケット』を指差していった。

 

「・・・・・これは響が優しいから」

 

「確かにあいつは優しい奴だ。でも・・・・・・お前に対しては特別優しいような気もするぜ」

 

「・・・・・特別?」

 

「ああ、あいつは・・・・・・昔のことでお前に助けられたことで感謝していて・・・・それでその時の恩を返したくてお前に世話焼いてんだよ。俺にだってわかるんだから俺よりも付き合いの長い翔子ならそれぐらいわかるだろ?」

 

「・・・・・雄二」

 

「だったらお前は・・・・・・そんな響の思いに答えてやれ」

 

「・・・・・雄二・・・・・うん。そうする」

 

翔子は頬笑みを浮かべていった。

 

「・・・・・・それでいいんだよ」

 

(・・・・・響、今回はお前の思惑に乗ってやるよ。だけどな・・・・・・お前よりも俺の方が翔子の事を想ってるんだ。その気持ちだけは・・・・・・絶対にお前には負けてねえからな)

 

俺はすっかり冷めちまったコーヒーを飲みながらそんなことを思っていた。




あとがき座談会のコーナー!INバカテス!

今回は響さん、明久さん二人ともお休みで雄二さんと翔子さんに来てもらいました!

「よろしくな」

「・・・・・よろしく」

はいよろしくお願いします。さて、今回はお二人のデート回ですが・・・・

「どこがだよ。響と翔子の過去の話じゃねえか」

「・・・・・確かにそっちが話の主軸だった」

あ~・・・・すみません。ついこの話を思いついてしまいまして・・・・・

「・・・・まあいいけどよ。俺にとっても興味深い話だったからな。というか・・・・・あれって本当に響なのかよ?今と全然違いすぎるだろ」

「・・・・・響は昔あんな性格だった。泣き虫で気が弱くて・・・・・いつも家族に対してビクビクしていた」

「そうか・・・・・響がああなったのは家族が原因だっていうことか?」

「・・・・・うん」

本来安らぎであるはずの家族という存在が響さんにとっては心に傷を与えさらにその傷を抉る存在となってしまっているんですよね・・・・本当にいたたまれないです。

「・・・・・確かにそうだな。でも今の響からは昔の響の面影はほとんど感じねえな」

「・・・・・それだけ咲夜との出会いが響にとって大きな影響になったっていうこと」

そうですね。咲夜さんが響さんの心の傷を癒して、強くしてくれたのです。そして咲夜さんだけでなく明久さんもそうですね。明久さんも響さんを救った一人です。

「・・・・・本当にあの二人には感謝してる。二人のおかげで響はよく笑うようになった」

「流石はあの二人ってところだな。響の従者と親友なだけある」

そうですね・・・・ただまあ咲夜さんとも明久さんとも昔色々とあったんですけどね。特に咲夜さんとは・・・・

「・・・・・そういえば咲夜はよく昔の自分を恥じていた」

「それと何か関係あるのか?」

そうですね。ありますよ。ですがそれを語るのはまだまだ先の話ですので。それまで待っていてください。

「わかった。さて、それじゃあもう一つ聞きたいことがあるんだけどいいか?」

はいなんですか?

「本編で信と雫って名前が出てきたが・・・・そいつらって誰だ?まあなんとなく想像は出来るけどよ」

ああそのことですか。これは読者の中で察している肩もいると思いますが信は響さんのお兄さんで雫は響さんのお姉さんです。

「やっぱりそうか・・・・というかお前その二人のことはさん付けしないのかよ?」

するはずないじゃあないですか。だってこの二人は響さんに仇なす人なんですから。

「・・・・・ある意味当然」

「そうか。まあ確かにその通りだな」

さて、今回はここで締めますか。それでは・・・・・・


「「「次回もまたきてください(きてくれ)(きて)!!」」」

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