バカとテストと召喚獣~響き渡るバカ達の絆~   作:shin-Ex-

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第52話!

さて、今回の話は・・・・・・色々と暗いですね。

「せっかく新しい東方キャラも出てくるというのに・・・・・・」

本当私何考えてこういう展開にしちゃったんでしょう?まあ反省はしていても後悔はしていませんが。

「さて、それじゃあ本編にいこう」

ですね。それでは本編どうぞ。


第52話

side 響

 

清涼祭一日目の日程が終わり後、俺は学園長室の前に向かっている。理由はもちろん今日あった妨害工作のことを話すためだ。

 

ちなみにアキ達はいない。俺が付いてこないように行ったからだ。これから話すことは・・・・・・・正直アキ達には聞かれたくないからな。だからアキ達には巻き込まれて誘拐された人達に事情を説明することをお願いして俺ひとりでカオル婆さんさんのところに向かっている。

 

コンコン

 

学園長室の前についた俺は扉をノックした。

 

「誰だい?」

 

「仲渡響です。少々よろしいでしょうか?」

 

「ああ。入りな」

 

「それでは失礼します」

 

部屋に入ると中にはカオル婆さんと紫さん、そして・・・・・

 

「久しぶりだな響」

 

「ええ、そうですね藍さん」

 

紫さんの妹、藍さんもそこにいた。

 

八雲藍さん。紫さんの妹で紫さんの秘書として働いている人。この人は俺にとって最も尊敬する人だ。藍さんは紫さんという優秀すぎる姉をもっても決して腐らずに自分に出来ることで紫さんをサポートし、その為に努力を惜しまない。誰よりも紫さんを信頼している人だ。そんな彼女の生き様はある意味俺が目標としているものだ。だから俺は藍さんを尊敬している。

 

「試合は私も見ていたぞ。やはり響は凄いな」

 

「・・・・・・どうも」

 

・・・・・・・・こんな心持ちでなければ藍さんに褒められて嬉しいと素直に思うことができたのに。

 

「響?どうしたのかしら?」

 

様子がおかしいと思ったのか紫さんが声をかけてきた。

 

「いえ、なんでもないです。それよりも・・・・・・」

 

俺は以前盗聴器が仕掛けられていた植木鉢があった場所の方を見る。

 

「大丈夫、盗聴器は仕掛けられてないわ。徹底的に調べたもの。それに・・・・・・竹原本人に釘をさしてある」

 

紫さんが不敵な笑みを浮かべながら言った。これは大丈夫そうだな。

 

「・・・・・わかりました。それでは話します」

 

俺は話をする前に一息おいた。

 

「今日、うちのクラス生徒とうちのクラスに来ていた子供が誘拐されました」

 

「「「!?」」」

 

俺の話を聞いて紫さん達は表情を驚愕に染めた。

 

「誘拐された人達を助け出すことはできました。ですが・・・・・・」

 

「・・・・・・差し向けたのは竹原ね」

 

「・・・・・ええ。誘拐した本人に確認を取りましたので間違いありません」

 

「・・・・・・そう」

 

「・・・・・・全くあいつは、まさかそこまでするとはね」

 

「自分が何をしたのか分かっていないようですね」

 

紫さん達の表情からは怒りの感情がはっきりと見て取れる。当然だ。竹原さんがやったことはそれほどのことなのだから。

 

「姉さん、これは立派な犯罪です。直ぐにでも警察に連絡しましょう」

 

「そうね。もしシラを切ったとしても藍のおかげで横領の証拠もあるし、そっちで捕まえることもできるわ。そのあとでじっくりと話をさせてもらうとしましょう。いいかしらカオル?」

 

「仕方ないさね。世間体があるからあまり大事にはしたくなかったけど流石に見過ごせないからね」

 

紫さんは携帯電話を手にとった。警察に連絡を取る為だろう。

 

「ちょっと待ってください」

 

「どうしたのかしら響?」

 

「・・・・・・警察に連絡するのは明日にしてもらえませんか?」

 

「どうしてだ?竹原がやったことは犯罪だ。すぐに警察に引き渡すのが最適だろう?」

 

「それは分かっています藍さん。ですが・・・・・抑えられないんです」

 

「え?」

 

「竹原さんへの怒りが、憎しみが・・・・・抑えられない。俺は・・・・・あいつを許せない」

 

「響・・・・・・」

 

「だから俺はこの手で・・・・・竹原さんの目の前で企みを潰して・・・・・屈辱を与えてやりたいんです」

 

そうしなければ俺は・・・・・・本気で竹原さんを・・・・・

 

「響・・・・・・気持ちはわかるがそれは・・・・・」

 

「わかってます。無茶を言ってることも。自分が間違っていることも。十分にわかっています。でも・・・・・・・・それでも俺は・・・・・」

 

わかってる。自分が今怒りと憎しみに囚われてしまっていること。そしてこんな俺を見たらアキ達に・・・・・何よりも咲夜に心配をかけさせてしまうことも。それでも俺は・・・・・・・

 

「・・・・・わかったわ」

 

「姉さん!?」

 

「警察に連絡するのは明日、あなたと吉井くんが大会で優勝した後にするわ。それでいいわね?」

 

紫さんは携帯をしまいながら言った。

 

「紫さん・・・・・ありがとうございます」

 

俺は紫さんに頭を下げた。

 

「紫!あんた何言ってるんさね!」

 

「そうです姉さん!自分が言ってることの意味をわかってるんですか!」

 

カオル婆さんと藍さんは紫さんを非難した。

 

「ええ、わかっているわ。自分が大人として不適切な判断をしたということは重々ね」

 

「ならどうして「そしてそれは響もわかっている」え?」

 

「わかっていても・・・・・・止められないのよ。人を憎む気持ちは人を想うことと同じように・・・・・理屈じゃあないから」

 

「「・・・・・・・」」

 

「今ここで響を止めるのは簡単よ。警察に連絡すればいいだけですもの。でも・・・・・・そうすれば響の中の憎しみは行き場をなくし、ずっと心に巣食ってしまう。そうなってしまえば・・・・・・響はもう戻れなくなってしまうわ」

 

・・・・・・紫さんの言うとおりだ。もしもここ竹原さんが警察に捕まってしまえば・・・・・俺はこの憎しみを晴らすことはできなくなる。この憎しみを・・・・・心にずっと住まわせることになる。

 

「だから私は・・・・・・響の意思を尊重するわ。それに・・・・・・不謹慎かもしれないけどいつも人のことばかりで自分のことを後回しにする響が我侭を言ってくれるのは嬉しいしね」

 

紫さんは笑顔で言った。優しく、暖かい笑顔で。

 

「姉さん・・・・・・・わかりました」

 

「藍さん・・・・・・」

 

「確かに、響が我侭を言うなんて初めてですからね。だったら聞いてあげないと」

 

「・・・・・そうさね。あの響が頼み事をしてきたんだ。聞いてやらないとね」

 

「カオル婆さん・・・・・」

 

「但し、もしも竹原がまた何かしでかそうとした時はすぐに警察に連絡をする。すぐにだ。わかったな響?」

 

「はい、本当にありがとうございます」

 

俺は藍さんとカオル婆さんにも頭を下げた。

 

「さて、話が終わったなら帰りなさい。あなたを待っている人がいるんだから」

 

「はい。それではこれで失礼します」

 

俺は学園長室を後にし、皆のいる教室へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は進んで今は夜の23時。あの後、アキ達と合流してそれぞれ帰路についた。家に帰った後いつも通りにアキと妹紅、慧音さんと共に家で食事にした。今日の食事当番は咲夜だ。あんなことがあった日でも咲夜の料理の美味しさは変わらなかった。ただ・・・・・食事中は誰も今日あったことは触れなかった。いや、触れたくないと言ったほうが正しいのだろうな。

 

そして今、俺は・・・・

 

「ねえ響、ここは?」

 

「ああ。ここはだな・・・・」

 

アキと共に明日の決勝戦に向けて勉強をしている。

 

明日の決勝戦、対戦相手は()()()()だ。はっきり言って今のままでも負ける気は一切しない。だが念のためということもあるし何より・・・・・・あいつらを叩き潰してやりたいからな。

 

「・・・・・響」

 

「なんだアキ?」

 

「明日は・・・・・絶対に勝とうね」

 

アキは俺に言った。決意を秘めた目で。

 

 

 

 

 

 

 

正直、今の俺にとってアキは眩しかった。アキは学園を救うために明日の戦いに臨もうとしているというのに俺は・・・・・・竹原さんへの復讐で頭がいっぱいになっている。

 

竹原さんに一杯食わせてやる。そんな思いを胸に秘めて俺は明日の戦いに臨もうとしている。

 

アキは俺のことを優しいとよく言うが実際はそんなことなんて全然ない。俺は・・・・・・自分の好きなようにしているだけ。誰かの為にやっているんじゃない。自分の為に・・・・・自分の自己満足のためにしか行動できない。自分の為に・・・・・・今日の咲夜に手を出した連中を粛清しようとした時も。あの時・・・・・・観察処分者になった事件の時も。ただ、自分の為だけに。周りの人のことを考えずに・・・・・・止めようとしたアキを・・・・・・俺は・・・・

 

「・・・・・・・」

 

「響?どうしたの?」

 

「なあアキ、お前は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺を恨んでいないのか?」

 

 

 

 

 

 

 




あとがき座談会のコーナーINバカテス!

本日のゲストは八雲藍さんです!

「よろしく頼む」

はいよろしくお願いいたします!

「藍さん。わざわざご足労ありがとうございます」

「気にするな。それとここは座談会の場なんだからそこまで畏まらなくてもいいんだぞ?」

「いえ、藍さんは俺が最も尊敬する人ですから。そういうわけにはいきませんよ」

「そ、そうか・・・・流石に照れるな」

「・・・・・・」

「ん?どうしたアキ?」

「いや、なんていうか・・・・・なんか今の響が見慣れなくて」

「?そうか?」

まあ明久さんの気持ちはわかりますよ。文とかじゃあわかりづらいですけど響さんの藍さんに対する態度は明直に他の人に対するものとは違いますからね。

「そうなのか?確かに姉さんと接する時とは少し違うなとは思っていたが」

ええ。何せ藍さんは響さんが最も尊敬する人ですからね。

「そこなんだがどうして響は私のことを尊敬しているんだ?」

そうですね・・・・・一番の理由は藍さんの境遇にあります。藍さんは響さんと同じく上に紫さんというとても優秀な人(まあ響さんの兄。姉はそこまでなんですけど)がいますからね。そんな境遇では卑屈になったりしてもおかしくないのに藍さんは堂々としていて紫さんのサポートをするために努力をし続けているところが響さんにとって尊敬に値するものダッカたらです。

「そうなのか。私はただ姉さんにできないことをできるようにしているだけなんだけどな」

「それがすごいんです。そんな考えに至るのって実際はすごく難しいですからね」

「響その気持ちわかるな。僕も姉さんのことで色々と劣等感に感じることがあったから」

「そうか・・・・・なら私から二人にこの言葉を贈ろう。いくら優秀であってもできることとできないことははっきりしている。人は皆違うんだから自分にできないことができる人がいて、自分ができることができない人がいる。だからこそ人は欠点を補って支えあうんだ。それを覚えておいてくれ」

「藍さん・・・・はい。絶対に忘れません」

「ありがとうございます」

「ふふ、気にするな」

さて、それではいい感じに話が纏まってきたことですし、ここで本題に行きますか。

「ああ。そうだな」

「本題?今の話がそうじゃないの?」

「ああ。違う。今回の座談会で読者の皆に一番伝えたいことは本編での俺についてだ」

「本編での響?」

「ああ。今回俺は竹原さんに復讐するために行動すると決めたが・・・・・・これは間違った判断だ」

「・・・・・そうだな。仮に万が一現実でこんなことが起きたとき、響のような判断をするべきではない」

「俺の判断は間違った見本だ。憎しみに囚われたらろくな目に遭わないのが目に見えている。だから・・・・・・読者の皆は俺のようにならないでくれよ」

とまあこれが今回の座談会で最も伝えたかったことです。少しでも皆さんの心に響けばいいんですが・・・・・・さて、それではここで締めましょう。

「そうだな。それじゃあ・・・・・」



「「「「次回もまたきてくれ(きてください)!!」」」」

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