バカとテストと召喚獣~響き渡るバカ達の絆~   作:shin-Ex-

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第38話!

今回はとうとう例のあの人が登場!

「きっと待っていた人もいると思う。是非本編で確認してくれ」

それでは本編どうぞ!


第38話

side 響

 

『・・・賞品の・・・・として隠し・・・」

 

『・・・こそ・・・勝手に・・・・如月ハイランドに・・・』

 

『・・・・・一体・・・・何様・・・かしら・・・』

 

俺達が学園長室の前に着くと中から3人の声が聞こえてきた。一つはカオル婆さんの声。一つは・・・・・竹原さんの声。そしてもう一つは・・・・

 

「あの人が来てるみたいだな~」

 

「ああ」

 

久しぶりだな。最近は学園に来てないみたいだったし。

 

「あの人?」

 

「いったい誰のことだ?」

 

あの人を知らないアキとユウが聞いてきた。

 

「ちょっとした知り合いさ」

 

俺は学園長室の扉の前に立った。

 

コンコン

 

『誰だい?』

 

響仲渡響です。他の者もいます。入ってもよろしいでしょうか?」

 

『ああ、入りな』

 

「では失礼します」

 

扉を開き、俺達は学園長室に入った。中には案の定、カオル婆さんと竹原さん、そして・・・・・

 

「久しぶりね。響、遊星、にとり」

 

「そうですね・・・・・紫さん」

 

彼女・・・・・八雲紫がそこにいた。

 

八雲紫。文月学園の創設に関わった筆頭スポンサーにして世界有数のグループ企業『八雲グループ』の現総帥。アリス、輝夜の家も彼女のグループの傘下だ。俺は彼女のおかげで色々な人に知り会えた。俺の爺さんが八雲家と関わりがあったおかげで俺は彼女に知り合い、彼女が俺を連れ出して色々な人と引き会わせてくれたのだ。ちなみに俺を文月学園に入るように勧めたのも彼女だ。

 

「えっと、あなたは?」

 

アキは紫さんに聞いた。アキとユウは会ったことがないから気になったのだろう。

 

「ふふ、初めましての人もいるわね。私は八雲紫。この文月学園のスポンサーの一人よ。よろしくね吉井明久くん、坂本雄二くん」

 

「俺と明久のことを知っているのか?」

 

「ええ。あなた達のことは響に聞いているから。ものすごく面白い友人だって」

 

紫さんはニコニコと・・・・胡散臭そうな笑顔でそう言った。この雰囲気は相変わらずだな。

 

「・・・・ねえ響、八雲さんに僕達のことなんて話したの?」

 

「心配するな。別に変なことは話していない(はずだ)」

 

「ならいいけど」

 

「・・・やれやれ、とんだ来客ですね。これでは話が進められません。・・・・まさか学園長、あなたの差金ですか?」

 

竹原さんは俺達を見ながら言った。まるでゴミを見るかのような目で。俺達はFクラス、しかも俺とアキはあいつに退学を宣言させられたこともある。エリート思考の強い竹原さんからしたら俺達は価値のない人間なのだろう。

 

「馬鹿を言わないでおくれ。どうしてアタシが負い目があるわけでもないのにそんなセコイ真似をしきゃいけないのさ。元々こいつらを待っていた時に呼んでもいないのにあんたが来たんだ。とんだ来客はあんたの方だよ」

 

「・・・・そうですか。それではこの場は私が引きましょう」

 

そう言って竹原さんは学園長室から出ていった。しかしその時に室内にある植木鉢に視線を向けていることを俺は見逃さなかった。俺はポケットからメモとペンを取り出した。

 

「さて、あんた達、よく・・・・」

 

学園長はそこまで言って口を閉じた。というのも・・・・

 

『少し静かにしていてください』

 

と書いたメモを学園長に見せたからだ。

 

(響、どうしたの?)

 

(ああ。少しな)

 

俺はアキとアイコンタクトで会話した後、先ほど竹原さんが見ていた植木鉢に近づき調べた。

 

(・・・・・やはりな)

 

「っと!足が滑った!」

 

バキッ!

 

俺は植木鉢を蹴り壊した。

 

「なっ!?響!あんた何してるんさね!」

 

カオル婆さんは俺の突然の行動に驚いている。俺はそんなカオル婆さんにある物を見せた。

 

「!それは・・・・」

 

「・・・・・盗聴器か」

 

そう。俺の手にあるのは壊れた盗聴器。間違いなく竹原さんが仕掛けたものだろう。

 

「部屋を出るとき竹原さんの様子が少しおかしかったので調べてみたら案の定でした」

 

「・・・・・呆れたわね。まさかここまで馬鹿なことをする人だったなんて」

 

紫さんは頭を押さえながら不機嫌そうに言った。

 

「なんで竹原先生は盗聴器を?」

 

「おそらく私の弱みを握るためだね。本当にあいつはろくなことをしない」

 

・・・・・ちっ、本当に何様のつもりだあいつは。

 

「ところで学園長。どうして俺達を呼んだんだですか?」

 

ユウが本題に触れてきた。どうでもいいけどユウが敬語使うとすごい違和感があるな。

 

「ああ。あんた達を呼んだのは頼みがあるからだ」

 

「頼み・・・・ですか?」

 

「ええ。あなた達は清涼祭で行われる召喚大会は知っているかしら?」

 

「はい。トーナメント制の2対2のタッグマッチで一般客に公開する大会ですね」

 

「その大会がどうかしたんですか?」

 

「大会自体がどうかしたわけじゃあない。問題はその賞品なんさね」

 

「賞品?」

 

「確かその賞品って・・・・如月グランドパークのペア招待チケットだったっけ?」

 

咲夜がオリエンテーリング大会で手に入れたものと同じだな。そういえば俺に一緒に行こうって話した時の咲夜の顔・・・・・真っ赤になってて可愛かったな。・・・・・まあ今は関係ないな。

 

「その賞品のチケットなんだが・・・・よからぬ噂があってね」

 

「よからぬ噂?」

 

「如月グループは如月ハイランドにあるジンクスを作ろうとしているの。『ここに訪れたカップルは幸せになる』っていうジンクスをね」

 

「それのどこが悪い噂なんですか?いい話じゃないですか」

 

確かにいい話だ。だが・・・・なんだ?なんか嫌な予感がする。

 

「そのジンクスを作る為に招待チケットを使ってやって来たカップルを結婚までコーディネートするつもりらしい。多少強引な手を用いてもね」

 

「「なんだと!?」」

 

カオル婆さんの言葉を聞いて慌てて俺とユウが声を上げた。ってなんでユウも?

 

「どうしたんだ二人共。そんなに慌てて」

 

「慌てるに決まってるだろ!」

 

「今カオル婆さんが言ったことは『招待チケットを使ってやって来たカップルを如月グループの力を使って強引に結婚させる』ってことだぞ!」

 

「いや、言い直さなくてもわかるよ?」

 

「そのカップルを出す候補が文月学園というわけさ」

 

「くそっ!うちの学校は何故か美人揃いだし試験召喚システムのおかげで話題性はたっぷりある!」

 

「学生から結婚までいけばジンクスとして申し分ない。如月グループが目をつけるのも無理ないか」

 

「さすが響ね、理解が早いわ。坂本君も流石に神童と呼ばれていただけあって頭の回転がいいわ」

 

紫さんが褒めてくれているがそれに喜ぶほどの余裕は今はない!如月グループ・・・・なんてことしようとしやがる!

 

「そういえば響って咲夜から招待チケットで一緒に行くことになってたっけ。でも雄二はなんでそんなに慌ててるの?」

 

「・・・・絶対にあいつは参加して優勝を狙ってくる・・・・・もしあいつが優勝したら・・・・約束したから行かなければ・・・・」

 

うん。どうやらユウは翔子となんかあったらしいな。詳しいことは聞かんがなんか大変らしい。

 

「だ、だが二人なら問題ないんじゃあないのか?二人共相手のことは好きなんだろう?」

 

「冗談じゃない!俺と咲夜の問題をそんな企業の陰謀に利用されてたまるか!」

 

「全くだ!俺はまだ何のけじめをつけてねえんだ!そんな状態で翔子との結婚なんてできるか!」

 

(((二人共、相当頭に血が上ってるな)))

 

「二人の言うことはもっともね。でもそっちのことは大丈夫よ」

 

「大丈夫?どういうことですか?」

 

「・・・・・・私は文月学園の創設に関わったスポンサー。文月学園の生徒(一部を除く)は私にとって大切な子供のようなものよ。そんな子達を利用しようとするのを私が黙って見ていると思う?」

 

紫さんは笑みを浮かべて言った。・・・・・その笑みは清々しいほどの黒いものだった。

 

「そのジンクスについては私が対処するわ。どんな手を使ってでも・・・・・握りつぶしてやるわ」

 

(((・・・・ご愁傷様。如月グループ)))

 

俺、ユーセー、にとりは紫さんがどんな人なのか、八雲グループがどれほどの力を持っているのかを知っているので如月グループの今後が大変になることを察した。まあ同情は一切しないが。

 

「あれ?でもそれなら賞品の問題は解決してるんじゃないですか?」

 

そういえばアキの言うとおりだな。招待チケットの件は紫さんが解決してくれるから問題ないはず。それに俺達を呼んだ理由も今ひとつ掴めないし。まだ何かあるのか?

 

「・・・・・問題はもうひとつの賞品の方さね」

 

「もうひとつの賞品?そんなのあるのか?」

 

ユウがカオル婆さんに聞いた。というかいつの間にか敬語がなくなってるぞ?さっきの件で疲れて敬語使うの面倒になったのか?

 

「知らなくても無理ないわね。もうひとつの賞品の存在は今日発表されたのよ。・・・・私と学園長に黙って竹原が勝手にね」

 

紫は苦々しく言った。竹原さんが勝手にか。それだけで嫌な予感がするな。

 

「それで?もうひとつの賞品って?」

 

「もうひとつの賞品は・・・・・『白金の腕輪』と『赤金の腕輪』さ」

 

「「なんだと(なんだって~)!!」」

 

カオル婆さんからもうひとつの賞品のことを聞いてユーセーとにとりが驚いた声を上げた。

 

「二人共知ってるの?」

 

「俺の『黒金の腕輪』と何か関係があるのか?」

 

「う、うん。『白金の腕輪』と『赤金の腕輪』は『黒金の腕輪』と同時期に私達研究メンバーが開発した召喚者が装備するタイプの腕輪で・・・・」

 

「『白金の腕輪』は点数を二分して二体の召喚獣を同時に呼び出せる同時召喚型の腕輪で『赤金の腕輪』は200点を消費することによって自分の対戦科目だけを召喚フィールドに関わらず好きな科目に変えることができる教科独立型の腕輪なのだが・・・・」

 

それはまた強力な腕輪だな。戦争で使えればかなり有用できる。だが説明した二人の様子が少しおかしい。

 

「その腕輪になにか問題があるのか?」

 

「ああ。その腕輪はまだ完成していないんだ」

 

「完成していない?」

 

「うん。機能はするんだけど欠陥がある。点数が400点を下回る科目で使用すると暴走する恐れがあるんだ」

 

400点を下回ると暴走・・・・・それじゃあほとんどの生徒が使えない。なるほど、竹原さんの企みがわかった。

 

「あれはまだ修理途中なのに・・・・なんで竹原先生は賞品に・・・・」

 

「・・・・・おそらくカオル婆さんを学園長の座から失脚させるためだろうな」

 

「「「なっ!」」」

 

「響の言うとおりだろうな。学園長は研究者でもあるから腕輪が暴走すれば間違いなく責任問題になる。どうして暴走する腕輪を賞品として出したんだってな」

 

「正しくそのとおりさね。そうなれば私は学園長の座から引きずり落とされる」

 

「そんな!それは竹原先生が勝手にやったことなんでしょ!学園長は関係ないじゃないですか!」

 

「確かにそうね。でも竹原は確実に学園長に責任を押し付ける。そのための算段もたっているんでしょうね。何人かの教師が竹原側についているみたいだし」

 

・・・・っとに竹原さんの野郎。救いがないほどのクズだな。

 

「だったら今からでも発表を撤回すれば・・・」

 

「それはダメだ。一度発表したことを撤回したら今度は信用問題に関わる。文月学園は世間からの注目度が高すぎるから少しでも信用を欠くことをすればトップであるカオル婆さんが責任をとることになる。竹原さんにとってそれこそ好都合だ」

 

「だったらどうすれば・・・・」

 

「・・・・その為に俺達が呼ばれたんだ」

 

「えっ?」

 

「ふふ、流石響。察しがいいわね」

 

紫さんが俺に笑みを向けながら言った。どうやら俺の考え通りのようだ。

 

「どういうこと?」

 

「単刀直入に言う。あんた達に協力して欲しいんだ」

 

「協力?」

 

「ええ。まずは遊星とにとりには清涼祭までに腕輪の修理をして欲しいの。腕輪さえ直れば堂々と賞品として出せるから」

 

「ですが清涼祭までにはあまり時間がありません。正直直すのは厳しいと思います」

 

「元々時間をかけて直すつもりだったし・・・・どこに問題が生じてるのかもわからなかったからな~」

 

「わかってるさ。だから保険を打っておくんさね」

 

「保険?」

 

「明久と響を召喚大会に参加させるってことだろ?」

 

「ええ。そうよ」

 

やはりか。そうだろうと思った。流石にユウも察しがいいな。

 

「僕と響が?」

 

「ああ。お前達二人は学園でもトップクラスの操作技術の持ち主だ。参加すれば優勝できる可能性は高い。その上400点を超える科目も持っているし事情も知っている。つまりお前達が優勝すれば問題ないということだ」

 

「そっか!なるほど!」

 

「本当にあんたは頭が回るね。紫の言うとおりあんたも呼んで良かったよ」

 

「ええ私の読み通りだわ」

 

なるほど、ユウの役割は俺たちのバックアップといったところか。確かにユウは俺の知る限り頭の回転の速さは随一だから適任だな。

 

「でもそれだったらもっと協力者を増やしたほうがいいんじゃないですか?そうすればより問題が解決する可能性が上がるんじゃ・・・・」

 

「いえ、あまり大人数に知られるわけにはいかないわ。このことは世間に知られたらアウトだから」

 

「だから今回の件は信頼できて最も問題を解決できる確率が高いあんた達に頼むだよ。頼む。アタシに協力してくれ」

 

カオル婆さんは頭を下げて俺達に頼み込んできた。

 

「・・・頭を上げてくれ、カオル婆さん。あんたは俺にとって本当のお婆さんのような人なんだ。協力するに決まってるだろ」

 

「僕も協力するよ。学園の一大事だしね」

 

「俺もだ。竹原は気に食わねえからな。あいつの企みをぶっ潰してやる」

 

「俺達が開発した腕輪がそんな陰謀に利用されるのを黙って見ているつもりはない」

 

「全力で協力するぞ~!」

 

「お前達・・・・ありがとう」

 

こうして俺達はカオル婆さんに協力することにした。竹原さんの陰謀を打ち砕き、この学園を守る為に。

 

 




あとがき座談会のコーナー!INバカテス!

今回のゲストは文月学園の筆頭スポンサー、八雲紫さんです!

「よろしく」

はいよろしくお願いします!

「とうとう紫さんの登場ですね」

「ええ。随分と待ったわ」

ええ。私としてももっと早く出したかったんですが・・・・中々出すタイミングがなくて、今回ようやくとなりました。どうもすみませんでした。

「いいわよ。出させてもらったんだから文句は言わないわ」

ご慈悲をありがとうございます。

「でも本当に結構かかったよな。紫さんの存在を仄めかす場面はあったのに」

そうですね。一番初めに紫さんの存在を仄めかしたのはAクラスとの戦争が終わって響さんが学園長と話す場面でしたからね・・・・あれが22話での話でしたからもう10話以上も前のことになるんですよね・・・・

「・・・・・本当に結構かかってたわね」

「確かに。その次は輝夜が文月学園に転入する時だな。永琳さんは紫さんに連絡を取って輝夜が即転入したんだよな・・・・本当に仕事が早いですよね」

確かに。原作の東方ではあんまり仕事をしないのに・・・・・

「・・・・なにか主の言い方がムカつくわね。ピチュられたいのかしら?(スペカを構える)」

やめてくださいよ!何度も言いますけどこっちの東方キャラのみなさんはスペカとか使えないはずなんですから!第一私東方の方の小説のあとがきでピチュられて残機を4つも減らしたばかりなんですよ!

「残機4つ減らすって・・・・何したんだよ」

・・・・・まあ色々です。

「ふう、仕方ないわね。今回は勘弁してあげるわ」

アザーッス!さて!それではそろそろ締めましょう!

「少し早くないか?」

いえ、締めた後に紫さんのちょっとした設定を載せる予定なので。あまり長くなりすぎないようにと思いまして。

「なるほど。そういうことね」

はい。ということで・・・・・


「「「次回もまたきてください(きてくれ)(きなさい)!!」」」










八雲紫の設定

文月学園の筆頭スポンサー兼世界有数のグループ企業八雲グループの総帥

八雲グループにはアリス、輝夜、霖之助の家も属しており妹紅の家とも関わりがある。

響のお爺さんと知り合いでその関係で響に出会う。一目見て響のことを気に入り響を色々なところに連れ出し様々な人と引き合わせた。

仲渡家は何とかして紫に取り入ろうといているが響のことを落ちこぼれ扱いしていることから全く相手にしていない。

八雲藍、橙は妹という設定。藍は紫の秘書のような立場で色々とサポートしている。橙は現在中学3年で来年文月学園に入学予定(橙の容姿は変わっていない。また設定上名前は八雲橙となっている)

相変わらずの安定の胡散臭さも兼ね備える。

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