バカとテストと召喚獣~響き渡るバカ達の絆~   作:shin-Ex-

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第120話!

今回は響さんと要さん中心のお話です。

「途中まではシリアスなのに・・・・」

「なんか後半が・・・・」

・・・・言わんでください。

それでは本編に参りましょう。

「本編どうぞ」


第120話

宮下要・・・・・他者を見下し、尊大な態度を取り続ける彼であるが、その本質は全く違っていた

 

本来の宮下要は誰よりも努力家でありと同時に誰よりも他者の努力を尊び・・・・・誰よりも心優しい少年であった

 

にも関わらず、なぜ普段はそれとかけ離れた自分を演じているのか?

 

それは・・・・・自身が落ちこぼれであることを隠すためだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「答えろよ響・・・・・僕とお前で何が違うんだ?」

 

要は弱々しい声で響に・・・・縋るように尋ねる。

 

「何が違う・・・・・か。それは聞くまでもなくお前自身わかってるんじゃないか?」

 

「え?」

 

「誰にも勝る努力をしていながら、それを誰にも悟らせないように隠す・・・・そんなお前を俺は尊敬さえしているよ。だけど・・・・・・それでも俺はお前が気に食わなくて仕方がない。お前は・・・・・誰にも助けを求めず、一人であろうとするから」

 

本当は響とて認めていた・・・・それどころか尊敬さえしていたのだ。たとえどんなに虐げられていようとも、響は要が努力し続けていることを知っていた。誰にも知られずとも・・・・・それでも影で努力し続ける要のことを尊敬していた。

 

だが同時に・・・・・誰にも頼らない要を気に食わないと思っていた。

 

「俺とお前の違いは・・・・・心を許し、頼れる理解者がいるかどうかだ。いや、正確にはお前にだっている。トーマも眞姫ちゃんも・・・・普段はああだけどお前の従者なんだ。お前の理解者になり得る。特にトーマは・・・・・本当のお前を知っているしな」

 

「・・・・・」

 

「だがお前は・・・・・そんな二人に心を開かなかった。お前は・・・・・誰かに頼ることを弱さだと思って切り捨てたんだ。誰にも頼らないで生きていくために・・・・・自分と同じ『落ちこぼれ』がどんな扱いを受けるのか、俺を見て知ってしまったが故に。だから誰からも『落ちこぼれ』などとは思われないようにするためにお前は・・・・頼ることをしなかった」

 

「・・・・・」

 

要は沈黙してしまった。それは響の言うことが正しくその通りだからだ。

 

要は本当は自分のことを落ちこぼれだと理解していた。しかしそれを誰かに悟られてしまっては・・・・響とおんじように家族に、周りの者達に蔑まれてしまうのではないかと考えていた。

 

誰からも『落ちこぼれ』だと思われないように、自分はエリートだと多少強引にもアピールした。そしてその裏で、誰よりも必死に隠れて努力していた。

 

そうやって要は・・・・・・一人で抗っていたのだ。

 

ただ・・・・・その実、要は落ちこぼれ扱いされている響さんが色々な人に慕われ、思われていることに対して羨望を抱いていた、自分もああなりたいと思っていた。

 

しかし、その為には他者に心を開かなければならない・・・・・まさしくジレンマと言えるだろう。

 

「響様・・・・・」

 

「宮下・・・・くん」

 

話を聞いていた咲夜は響を、涼香は要を見つめていた。

 

咲夜はまさか自分に言い寄ってくる鬱陶しい男がそのようなものを抱えているとは・・・・そしてそれを響が理解していたなど知らなかったが故に。

 

涼香はかつて自身を助けてくれた少年がそれほどまでにもがき苦しんでいたなどと信じられなかったが故に。

 

「要・・・・お前はそれでいいと思っているのか?お前は・・・・・このままでいいと思っているのか?」

 

「・・・・・どう言う意味だよそれは?今更生き方を変えろっていうのか?」

 

「・・・・・それはお前にとって望むことではないのか?」

 

「ふざけるな!今更変えられるわけがない!どれだけ・・・・どれだけ僕が他者を虐げたと思っている!自分が落ちこぼれに見られないようにって・・・・・そんな自分勝手な理由でどれだけの人に迷惑をかけたと思っている!響や咲夜・・・・融麻や眞姫・・・・・お前の友人やクラスの皆!それだけの人間を僕は虐げ、迷惑をかけてきた!それなのに今更・・・・・今更変えられるはずがない!後に退けるはずがない!そんなの・・・・・無責任だ!」

 

まさに悲痛な叫びであった。周囲の人達を虐げてまで己の尊厳を守っていた・・・・・それなのに今更生き方を変えるなど虫が良すぎる話だと要は思っているのだ。

 

「・・・・・ふざけるなはこっちのセリフだ!」

 

響は怒鳴りながら要の胸ぐらを掴んだ。

 

「俺は!お前の今の生き方が気に入らない!誰よりも努力家で本当は優しいくせにそれを隠して自分から苦しむ道を選ぶお前のことが気に入らなくてたまらない!そんな風に生きるお前を見て誰が得するってんだよ!」

 

「誰が得するとかそういう話じゃないだろ!第一自分から苦しみ道を選ぶって・・・・・お前にだけは言われたくないんだよ!絶対に人のこと言えないだろ!」

 

「俺のことは今いいんだよ!とにかくお前は俺を頼れ!トーマを頼れ!他の奴等にも頼りまくれ!」

 

「それもお前にも言われたくない!結果的に助けられてるけど誰にも頼ろうとしないことに関してお前以上の奴なんてそうそういないだろ!」

 

「なんだと!」

 

「なんだよ!」

 

互いに胸ぐらを掴みながら怒鳴り合う響と要。本人達は真剣なのだろうがなぜだろうか・・・・・先程までのシリアスさが若干薄らいでしまっているように思われた。

 

「・・・・あれ?あの咲夜さん・・・・・なんだかまるで子供の喧嘩みたいになってるんですが・・・・」

 

「奇遇ね涼香。私にもそう見えるわ。というより・・・・あんな響様初めてみるわ」

 

小さな子供のように言い争う姿を目の当たりにした咲夜と涼香はもはや呆れるしかなかった。

 

「ああ・・・・もういいっ!ちょっと来い要!」

 

このまま言い争っていても埒があかない・・・・・そう思った響は要の腕を掴んで歩き始めた。

 

「なっ!?何をするんだ!おい離せ響!」

 

抵抗しようとする要であったが、そういった荒事関係で響に敵うはずもなく、ズルズルを引きづられていった。

 

「・・・・私達もついて行ってもいいのでしょうか?」

 

「多分大丈夫だと思うわ。響様はこちらに目配せをしていたから。行きましょう」

 

自分達もついて行ってもいいのか迷っていた涼香に咲夜はそう言って、二人のあとをついていった。




申し訳ありませんが今回も座談会はおやすみです

少々スランプ気味でして・・・・・

それでは次回もまたきてくださいね

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