バカとテストと召喚獣~響き渡るバカ達の絆~   作:shin-Ex-

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第107話!

今回は清水さんから脅迫状について語られます。

「犯人誰なのかな?」

「そもそもわかるのかって話だがな」

それでは本編にいきましょう。

「本編どうぞ」


第107話

美春は神妙な面持ちで語り始めた。

 

「実は脅迫状に同封された写真は・・・・・脅されて提供したのです」

 

「脅されて?どういうこと?」

 

「あの日、あなた達を盗撮した時にその光景を目撃していた人がいたのですわ。それで・・・・・そのことを誰にも話されたくなかったら協力しろと脅されたのです」

 

美春は悲しそうに顔を伏せる。

 

「なるほど、そういうことか・・・・・・その脅した相手っていうのは誰なんだ?」

 

「それは・・・・・すみません。わからないんです」

 

「え?わからないってどういうこと?」

 

「あの写真を盗撮された次の日に、この手紙が美春の下駄箱の中に入っていました」

 

そう言いながら美春は手紙を取り出して響に渡し、響はその手紙を読み上げる。

 

「『あなたが昨日Fクラスを盗撮したのを目撃しました。公表されたくなかったら放課後校舎裏まで来いてください』・・・・・か。典型的な脅迫文だな」

 

「それで清水さんはどうしたの?」

 

「・・・・・行きましたわ。恥ずかしながら我が身可愛さに誰にも知られたくないと思いましたので」

 

「まあそれは仕方がないさ。でもそこには脅した奴が居たんだろ?それなのになんで誰なのかわからないんだ?」

 

響の疑問はもっともであった。呼び出されたというのなら普通はその呼び出した者と会っているはずなのだから。

 

「確かに脅迫状の差出人はいましたわ。ですがその人物とは直接顔を合わせていません。どこかに隠れていたようで声だけが私に聞こえてきましたわ。その声もボイスチェンジャーで変えられていました」

 

「随分と徹底してるね・・・・・・よっぽど正体を知られたくなかったのかな?」

 

「当然だろ。顔を出せば清水が誰かに言う可能性が高いんだからな。それで?その脅迫犯は清水にあの写真を渡すように言ったのか?」

 

「そうですわ。ですが・・・・渡したのは写真だけではありませんわ」

 

「写真だけじゃない?それってどういうこと?」

 

「その・・・・・小型のカメラも渡すように言われまして、それで・・・・」

 

「小型のカメラ・・・・・まさか」

 

響はその小型のカメラに関して何か心当たりがあるようではっとする。

 

「まさかって、響は何かわかったの?」

 

「ああ。多分その小型カメラはもう使われている。いや、使われたという方が正しいだろうな」

 

「・・・・仲渡響の言うとおりだと思いますわ。お二人にも関係しているでしょう」

 

「僕達にも関係してるって・・・・・あっ!もしかして・・・・」

 

「そうだ。その小型カメラっていのは間違いなく俺達に覗き容疑がかけられた時のものだ」

 

「やっぱり・・・・・でもどうしてそんなことを・・・・?」

 

明久はなぜ小型カメラがそのような使い方をされたのか分からずに首を傾げた。

 

「まあ推測ぐらいはいくらでもできるさ」

 

「推測って・・・・例えば?」

 

「一番ありえそうなのは俺とアキを貶めるためだ。あんなカメラがあれば観察処分者である俺とアキが疑われるのは自明の理。俺達は一部の人間に半端なく嫌われてるからな」

 

「確かに・・・・・何人も押し寄せてきたもんね。つまり脅迫犯の思惑通りってことか。僕達よほど恨まれてるんだね」

 

「そのようだな」

 

「・・・・・そうとは限らないと思いますわ」

 

どれだけ恨まれているのだろうとゲンナリとしている響と明久であったが、美春は二人の考えを否定した。

 

「どういうことだ??清水は脅迫犯の思惑は別にあると思ってるのか?」

 

「はい。100%確実というわけではありませんが・・・・美春は脅迫犯の思惑は恨むとはまったく逆だと思います」

 

「っていうと?」

 

「おそらく脅迫犯は・・・・・仲渡響に好意を抱いているのだと思います」

 

「「・・・・・は?」」

 

美春の考えは響と明久にとってあまりにも予想外であったようで、二人は素っ頓狂な声を上げた。

 

「響に好意を抱いてるって・・・・・どうして清水さんはそう思うの?普通こんなことするのって恨んでる相手に対してだよね?」

 

「確かにそう考えるが普通だと思いますわ。ですが・・・・・送られた脅迫文、見ようによっては好意を寄せているからこそ他の人に近づいて欲しくないとも取れませんか?」

 

「それはまあ確かに・・・・・」

 

美春に言われて脅迫状を見返す響。

 

「だがそれだけじゃ断定はできないだろ?他にもなにか根拠はあるのか?」

 

「ありますわ。まず・・・・・この脅迫犯は十中八九女性です」

 

「え?女性って・・・・なんでそんなことわかるの?清水さんは脅迫犯に直接あってないし声も変えられてたんでしょ?」

 

「まさか・・・・・その声っていうのは女口調だったのか?」

 

「いいえ。口調は男性のものでしたわ。ただし・・・・・・あまりにもたどたどしく、明らかに不自然でしたわ。何度も自分のことを『私』と言おうとして『俺』と言い直していましたし」

 

「・・・・・わかりやすいな」

 

「・・・・・そうだね」

 

美春の説明を聞き、響も明久もどこか呆れたように苦笑いを浮かべた。

 

「まあそう錯覚させるためにワザとやっていたという可能性も拭えいないがそこまで考えるとキリないし・・・・・カメラについてはどう考えている?」

 

「仲渡響の評判を落とすことによって失望させ、言いよる女子を減らそうとしたからだと思いますわ」

 

「確かに可能性としてはあり得るか・・・・・本当に犯人は女子かもしれないな。でもなんで好意を寄せているのが俺にだと思ったんだ?」

 

「それはもっとわかりやすいですわ。脅迫犯が『これで響様を・・・・』と嬉しそうに笑い声を上げながら呟いていましたので。わざわざ様付けするなんて好意を寄せている意外の理由が思い当たりませんわ。私もそうでしたし」

 

「なるほどね。でもそれなら僕に脅迫状が出されたのは一体・・・・?」

 

「・・・・・おそらく動機を悟らせないためだろう」

 

「どういうこと?」

 

「吉井明久にも脅迫状を出すことによって動機を二人への恨みだと思わせることができるということですわね。本人からしたら好意を寄せているから脅迫状を出したなど到底知られたくはないでしょうから。写真には吉井明久も写っていましたし」

 

どうやら響の考えを察したらしい美春が明久に言う。

 

「・・・・・すまないなアキ」

 

「え?どうしたの響?」

 

「清水の推理が正しいとしたら・・・・・無関係なお前を俺のせいで巻き込むことになってしまった。本当にすまない」

 

響は深々と明久に頭を下げて謝罪した。

 

「響・・・・・まったく、何を言ってるの?響が謝ることなんて何もないよ」

 

「・・・・は?」

 

「だって?君はなんにも悪いことをしてないんだから謝るなんておかしいよ。それにこれまで僕が響を厄介事に巻き込んだことだってあるでしょ?でも響はその度にいつも気にしてないって言ってくれてる。だから僕も気にしないさ」

 

明久はニッと笑顔を浮かべながら響に対して言う。その表情から本当に気にしていないということがよくわかる。

 

「アキ・・・・・サンキュ」

 

「お礼を言うことでもないって。それよりも・・・・・どうするの響?」

 

明久は神妙な面持ちに表情を戻し響に尋ねる。

 

「そうだな・・・・・清水のおかげで脅迫犯の目的はおおよそわかったが・・・・犯人の手がかりがわかったわけじゃあないからな」

 

「・・・・・すみません」

 

「と、悪い清水。お前のこと責めるつもりはない。お前が俺達のために告白してくれたことには感謝してるから」

 

「仲渡響・・・・・ありがとうございます。ですが本当にこれからどうするおつもりですか?」

 

「いくつか手は考えているが・・・・・・正直あまりいいものはない。今できる最善手は地道に調べることだけだろう」

 

美春から話を聞いたとは言え、犯人につながる明白な手がかりが出たわけではない。響達にできることは限られていた。

 

「そうだね・・・・・・あっ!」

 

明久は何かを思いついたようで声を上げた。

 

「どうしたアキ?」

 

「さっきの覗き騒動!あんなカメラを仕掛けたんだから覗き騒動も糸を引いてるんじゃないかな?僕達を覗きを斡旋した犯人に仕立て上げるために」

 

「確かに・・・・・ありえなくはないな」

 

「だとしたら覗き騒動について調査を進めればなにかわかるかもしれませんわね」

 

明久の話は確かに可能性としてはあり得るものであったため、響と美春は納得する。

 

「とりあえずそれに関しても調べてみるか。コウの情報収集能力があればなにか掴めるかもしれない」

 

「美春の方でも調べてみますわ」

 

「いいの清水さん?そんなことしたら犯人の反感を買っちゃうかもしれないのに・・・・・」

 

「そんなの百の承知です。元々は私が蒔いた種・・・・・・もう覚悟は固めていますわ。それに犯人が私が盗撮したことを公表すればそこから足がつくかもしれません」

 

「・・・・・わかった。頼む清水」

 

美春は既に自らが泥をかぶる覚悟は出来ているようで、その覚悟をかった響は美春に協力をお願いした

 

「誠心誠意協力させていただきますわ仲渡響、吉井明久」

 

「・・・・・響でいい」

 

「え?」

 

「一々フルネームで呼ぶなんて面倒だろ?だから響でいいよ」

 

「僕も明久でいいよ」

 

響と明久はふっと微笑みを浮かべながら美春に対して言う。

 

「・・・・・わかりましたわ響、明久。それでは美春はもう行きますわね」

 

「部屋まで送ろうか?犯人がお前に何かしてくる可能性もある」

 

「そうだね・・・・・ここで話をしたのに気がついてるかもしれないしね」

 

「お二人のお心遣いは嬉しいですが大丈夫です。そこまでしてもらう訳には行きませんので」

 

響と明久の申し出を断る美春。美春としてもそこまでしてもらうのは気が引けるのであろう。

 

「そうか・・・・わかった。でも本当に気をつけろよ?」

 

「わかりましたわ。それでは失礼します」

 

美春は部屋から出て行った。

 

「さて、それじゃあ雄二達呼ぼうか」

 

「そうだな。色々と話をしなきゃならないし」

 

そう言いながら雄二に電話をかけようと携帯を手にする響。

 

だが・・・・・・響が電話をかける前に、逆に響の携帯に着信が入った。携帯のディスプレイには雄二の名前が表示されている。

 

「ユウからだ」

 

「雄二から?どうしたんだろ?」

 

「さあな。まあちょうどいいタイミングだが」

 

響は通話ボタンを押して携帯を耳に当てる。

 

『響、そっちの話は終わったか?』

 

「ああ。ちょうど今終わったところだ」

 

『そうか・・・・・それなら良かった』

 

「良かった?どういうことだ?」

 

『あ、ああ。実はな・・・・・』

 

雄二が響の疑問に答えようとしたまさにその時・・・・・・

 

「響様!」

 

「明久!」

 

咲夜と妹紅が部屋に突入してきた。それもかなりの勢いでだ。

 

「・・・・・雄二。今尋常じゃない様子で咲夜と妹紅が部屋に入ってきたんだがどういうことだ?」

 

電話越しに二人が突入してきたのはなぜかと雄二に説明を求める響。

 

だが・・・・・内心ではその理由はおおよそ予想できていた。

 

『端的に言うとだな・・・・・・脅迫状のことを話していたらその二人に聞かれた」

 

「やっぱりか!!」

 

雄二の答えはまさに響の予想していた通りのものであったようだ。

 

「明久!脅迫状ってどういうことだ?一体誰に脅迫されてるんだ?というか大丈夫なのか!?」

 

「響様!どうしてそのような大事なことを話してくださらなかったのですか!待っていてください!その脅迫犯を見つけて直ちに生きていたことを後悔させてみせますから!」

 

妹紅は明久に、咲夜は響に詰め寄る。二人共心底心配しているようであるが・・・・・咲夜に関してはかなり危なっかしい。

 

「落ち着いて妹紅!説明するから!ね?」

 

「咲夜・・・・・ちゃんと話すからあまり物騒なことを言うな」

 

かくして脅迫されていたことがバレてしまった響と明久は、事の経緯を説明することになったのであった。

 




あとがき座談会のコーナー!INバカテス!!

今回も清水さんをゲストに迎えております!

「よろしくお願いしますわ」

はいお願いします!それでは進めていきましょう!

「まさか脅迫犯が女子だとはな・・・・・予想外だ」

「しかも響に好意を寄せてるなんて」

「まだ可能性の話で確定ではありませんが・・・・」

そしてその肝心な犯人が誰かなのですが・・・・実はかなり意外な展開を迎えて分かることになります。

「意外だと?どういうことだ?」

それは今は言えませんね。そのうちわかりますから待っていてください。

「わかったよ。ところで・・・・・・妹紅と咲夜にバレちゃったみたいなんだけど?」

「案の定咲夜かなり物騒なこと言っていたな」

「正直・・・・美春でも少々怖かったですわ」

咲夜さん・・・・・響さんに仇なすなら鬼さえ殺しますからねマジで(汗)

「というかさ、バレたのってその二人にだけなのかな?」

いえいえ、まあぶっちゃけますとこれきっかけで響さん達のグループの全員に知れ渡りますよ?

「だよな・・・・・まあ前向きに考えればこれ以上隠さずに済むってことだが」

「一部すごいさっきだってそう・・・・・」

「ですわね」

それはまあ・・・・・仕方ないということで。

さて、少し早いですが今回はここで締めにしましょう。

それでは・・・・・・







「「「「次回もまたきてくれ(きてください)!!」」」」

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