バカとテストと召喚獣~響き渡るバカ達の絆~ 作:shin-Ex-
今回は響さんが変わるきっかけとなった日のお話です!
「正直少し恥ずかしいな・・・・」
「僕としてはかなり気になるね」
それではいってみましょう!
「本編どうぞ」
響と咲夜の間に絆が生まれて数ヶ月がたったある日。
この日、響が変わる決意を固めたきっかけとなる出会いがあった。
「はあ・・・・・」
自室で大きな溜息を吐く響。その理由は・・・・・兄である信に何の役にも立たない落ちこぼれと蔑まれたからだ。
「大丈夫ですか響様?」
「僕は大丈夫だよ咲夜。こんなのいつものことだからね」
心配そうに尋ねる咲夜に響は笑顔で応える。しかしその笑顔は明らかに無理しているとわかるようなものであった。
「ですが・・・・・」
「本当に大丈夫だから。心配しなくてもいいよ」
「響様・・・・・はい。わかりました」
そう返事を返す咲夜であったが実際、心内では響への心配は絶えなかった。
咲夜が本当の意味で響の従者となった日から・・・・響は家族に蔑まされても泣くことが無くなった。それは咲夜に無用な心配をして欲しくないからと響が思ったからだ。本当は泣きたいと・・・・泣いてしまいそうになった時があるにも関わらずに。
そして咲夜は・・・・・そんな響の思いを理解していた。それ故にその思いを尊重しようとする気持ちと、心配する気持ちが複雑に入り混じってしまっていたのだ。
(私は・・・・・響様の為に一体どうすれば?)
響の為に自分はどうすれば良いのかと思い悩む咲夜。
そんな時・・・・・・響の携帯電話が鳴る。
「誰だろう・・・・・お祖父様?」
響の携帯のディスプレイには響の祖父、創の名前が映し出されていた。響の実家の屋敷は非常に大きいことから、このように携帯で連絡があることが希にある。
「もしもし?なにか御用ですかお祖父様?」
『おう響、お前は今どこにいる?』
「自室にいますが・・・・・」
『すまんが今から応接室にきてくれ。少し用があってな』
「はあ・・・・・わかりました。直ぐに伺います。それでは失礼します」
了承した響は、携帯の通話を終了させた。
「創様はなんと?」
「用があるから咲夜を連れて応接室に来るようにって言ってたよ」
「そうですか」
「それじゃあ行こうか咲夜」
「はい」
咲夜を連れ、響は応接室へと向かった。
応接室に到着して、響は部屋の扉をノックして語りかける。
「お祖父様、響です。入ってもよろしいでしょうか?」
「おう、入れ」
「それでは失礼します」
創の許可を得て、部屋に入る響と咲夜。部屋には創と・・・・・二人の女性がいた。
二人共美女とっても差支えがないほど美しく、さらに艶やかなブロンドヘアを輝かせている。
((この人達・・・・・一体誰だろう?))
「あなたが響君・・・・それと咲夜ちゃんね?」
「え?あ、はい」
「そうですけど・・・・・・」
二人の女性を見つめていた響と咲夜に、女性の一人・・・・・どこか胡散臭そうな笑顔をした女性が尋ねた。
「はじめまして。私は八雲紫。創とはちょっとした知り合いよ。それでこっちは私の妹の・・・・・」
「八雲藍だ。二人共こんにちは」
「あ、はい。こんにちは」
藍に挨拶され、響は礼儀正しくお辞儀する。それに倣って咲夜も頭を下げた。
「ふふっ、二人共礼儀正しいのね。ちょっと失礼」
紫は響に近づき、屈んで顔をじっと見つめた。
「え!?あ、あの・・・・・な、なんですか?僕の顔に何かついてます?」
「・・・・・」
紫のような美人に顔を近づけられたからか、響は顔を真っ赤にして戸惑っている。そしてその様子を横目に見た咲夜はどこかムッとした表情を浮かべている。
「別に何もついてないわよ響君。ただ少し・・・・・気になってね?」
「気に・・・・なる?」
「・・・・・・初対面でこんなことを言うのは失礼かと思いますがあまり響様に迷惑をかけないでもらえますか?」
「あら?どうやらご機嫌を損ねてしまったようね」
睨みながら言う咲夜に対して、紫あまり悪びれた様子はなく笑みを浮かべている。
「姉さん・・・・・それでは余計に怒らせてしまいますよ?」
「そうね。ごめんなさいね咲夜ちゃん」
「・・・・・」
謝罪の言葉を口にする紫であったが、咲夜の機嫌は直らなかった。
「咲夜、僕は別に迷惑だなんて思ってないから怒らないで・・・・・・」
「・・・・・響様がそう仰るのなら」
主である響にお願いされたからには聞かない訳にはいかないのであろう。咲夜は紫を睨むのをやめた。
「ところでお祖父様。僕に用とはなんでしょうか?」
「ああ。実はこの二人にお前のことを話したら是非会いたいと言ってきてな。それで呼んだ」
「僕に・・・・・お二人がですか?」
「ええ、そうよ。創から響君のことを聞いて興味を持ったの。それであなたと色々とお話したいんだけど・・・・・私よりもまずは藍と話をしたほうが良さそうね」
「え?」
藍の方に目配せしながら紫は言い、響は訳がわからずに首を傾げた。
「というわけで私は一端席を外させて貰うわ。藍、じっくり話をしなさい」
「はい。わかっています姉さん」
「え?あ・・・・・え?」
自分を置いて話が進み、困惑する響。
「それじゃあ儂も席を外すとするか。咲夜、お前も来なさい」
「ま、待ってください創様。私は響様の従者です。響様から離れるわけには・・・・」
「ダメよ咲夜ちゃん。あなたがいたら話せないこともあるんだから」
創に抗議する咲夜に紫が言う。表情は笑顔であるがどこか重い迫力を感じさせた。
「で、ですが・・・・・」
「咲夜ちゃん、私は決して響君に迷惑をかけるようなことはしない。だから・・・・・・お願いだ」
なおも講義しようとする咲夜に今度は藍が諭すように言う。その表情は穏やかでありながら真剣そのものだ。
「咲夜・・・・・・大丈夫だよ。初対面だけど藍さんは信用できる人だと思う」
響もまた咲夜を諭す。なお、紫については・・・・・信用できるかどうか微妙と思っていたりしていた。
「響様・・・・・わかりました。何かありましたら直ぐにお呼びくださいね?」
そう言って咲夜は響に小さなベルを渡して部屋から退出した。
このベルは十六夜家の人間が主から離れる時に、主に渡すものであった。このベルが鳴れば咲夜は屋敷のどこにいてもすぐさま響の下へと駆けつけることとなっている。
「私達も失礼するわね。それじゃあまた後で」
紫と創もまた、咲夜に続いて部屋から出て行った。
「さて、それじゃあ話をしようか響君」
「は、はい・・・・・・よろしくお願いします」
響は緊張でガチガチに固まってしまっている体で強引にお辞儀した。
「ふふっ、そんなに緊張しなくてもいい。もう少しリラックスしたらどうだ?」
「す、すみません・・・・・」
「謝ることではないのだが・・・・・君は少々気が弱いようだな」
「は、はい。きっとこんなだから僕・・・・・ダメなんですよね」
響は自嘲気味に乾いた笑みを浮かべる。
そんな響に・・・・・藍はニコリと微笑みを浮かべながら言う。
「そんなことはないさ。君は・・・・ダメなんかじゃない」
「でも僕は皆から落ちこぼれだって言われて・・・・実際その通りで・・・・・僕は・・・・なにも・・・・・」
表情を暗くさせる響。おそらく家族に落ちこぼれだと蔑まれた時のことを思い出しているのであろう。
「・・・・・響君。君は姉さんがどうして私に君と話をさせようとしたと思う?」
「え?えっと・・・・・わかりません。どうしてですか?」
「私はね・・・・・・私の境遇はある意味では君と似ているんだよ」
「僕と・・・・境遇が似ている?」
「ああ。姉さんはあれで非常に優秀な人でね。昔から何をやらせても一流以上の成果を上げていた。そんな姉さんに私は・・・・・・コンプレックスを抱いていたんだ。今の君のようにね」
「藍さんが・・・・・コンプレックスを?」
それは響にとって信じがたいものであった。無理もないであろう。目の前にいる藍からはそんなコンプレックスを抱いているとは到底思えないのだから。
「あの人と比べてどうして自分はダメなんだろうと?どうして自分はあの人のようになれないのだろう・・・・・昔はよくそう思っていた。そして塞ぎ込んでしまった時期もあったよ。それほどまでに姉さんは・・・・・眩しい存在だったから」
「藍さん・・・・・」
それは響にもよくわかる気持ちであった。響自身・・・・・・いつも思っていることだからだ。
「でも・・・・・そんな風に苦しんでいた私に姉さんが言ってくれたある言葉で私は変わろうと決意した」
「ある言葉?それって・・・・・」
「・・・・・"Nobody Perfect"。誰しも完璧ではない、完璧では有りないという意味で・・・・姉さんが戒めにしている言葉だ」
「"Nobody Perfect"・・・・・・誰しも完璧ではない・・・・」
「その言葉を聞いて私は気がついた・・・・・優秀な姉さんでさえ完璧ではないのだと。姉さんでもできないことはあるんだって。だから私は・・・・・決めた。姉さんのできないことを私がやろうって。姉さんの為に・・・・そして自分の為に」
「・・・・・・強いんですね藍さん。僕にはとてもそんな風には思えないですよ。僕は・・・・・弱いから」
響は藍の思いを理解することはできていた。だがしかし・・・・同時に自分では到底そんな風にはなれないと思っていた。
「・・・・違う。君は弱くなんてない」
「・・・・え?」
「会って直ぐにわかったよ。君はとても心根の優しい子だ。他人に気を遣い、他人を思いやる・・・・・初対面なのにわかるほどだから相当だ。そんな優しさをもった君は弱くなんてない。ただ君は・・・・・自分に自身を持てないだけだ」
「僕が・・・・・自分に自信を?」
「そうだ。自分に自信を持てないから自分が弱いと思ってしまう。自分に自信を持てないから何をやってもダメだと思い込んでしまう。そうして君は自分を・・・・・・落ちこぼれにしてしまった」
「・・・・・・」
なにも言い返すことができない響。藍の言っている事は・・・・事実であるから。
「もっと自分に自信を持つんだ。そうすればきっと・・・・・君は落ちこぼれではなくなる。創さんだって言っていたよ。君には十分すぎるほどの素質があるってね。自信さえ持てば君は・・・・・誰よりも優しく優秀で立派な人になれる。私が保証しよう」
「藍さん・・・・・でも・・・・」
「自分にとって最大の味方は自分なんだ。誰かが君を信じる前・・・・・君が自分を信じなければ何も変わらない。君はそれでいいのか?」
(何も・・・・変わらない?・・・・・良くない。そんなの・・・・良くない)
「僕・・・・僕は・・・・」
響は震えながらも何かを言おうと口を開く。
「僕は・・・・・なんだ?」
「僕は・・・・・変わりたい。変わりたい!このまま落ちこぼれのままでいるなんて嫌だ!落ちこぼれのままでいて・・・・・咲夜を心配かけさせたくなんてない!僕・・・・僕は・・・・・変わりたいです!」
これまでの響からは考えられないような強い声色ではっきりと言い放った。
「だったら・・・・・どうすればいいかわかるね?」
「・・・・はい」
藍に返事を返した響は、咲夜から渡されたベルを鳴らした。
すると一分もしないうちに咲夜が現れる。
「どうなされましたか響様!?この方に何かされたのですか!?」
「いいや・・・・・どうしても咲夜に聞いて欲しいことがあって呼んだんだ」
「私に・・・・聞いて欲しいこと?」
「うん。僕・・・・・いや、
「響・・・・様?」
今までとは違う強い口調で言う響。そんな響を見た咲夜は戸惑いつつも・・・・どこか頼もしさを感じていた。
「だから咲夜・・・・・そんな俺を見守っていてくれないか?俺・・・・・変わってみせるから。立派になってみせるから。だから・・・・・お願いだ咲夜」
響はまっすぐと咲夜を見据える。
「響様・・・・・言われるまでもありません。私は響様の従者なのですから」
咲夜は響の手を取りながら言う。
「咲夜・・・・・ありがとう。これからも・・・・よろしくな」
「はい」
この日を境に、自分を信じるようになった響。
その変化こそがまさに・・・・・今の響を形作る変化にほかならないのであった。
あとがき座談会のコーナー!INバカテス!!
今回は響さんと二人で進めて行きます!
さて、今回は響さんにとっての転機の話でしたが。
「・・・・・恥ずかしくて顔から火が出そうだ」
まあそうでしょうね。ですが・・・・あの出来事があったからこそ今の響さんがいるんですよ?
「わかっているさ。だからこそ・・・・・藍さんには本当に感謝している。あの人がいるから俺は・・・・」
・・・・そういう出会いがあるのは幸運ですよね。
「そうだな。俺は・・・・恵まれてるよ。祖父さん以外の家族には認められていないけど・・・・・咲夜もいるしな」
・・・・確かに響さんは恵まれているかもしれませんね。
さて、それはそうとして・・・・・オリキャラ部門の人気投票1位になったことに関して感想は?
「それはまあ・・・・・素直に嬉しいな。だがなんで俺がそんなに人気なんだ?」
おそらく一番親近感が沸くからでしょうね。響さんは比較的他のオリキャラと比べてまともですから。
「まともって・・・・・まあ確かにミコトとかルミナと比べるとな」
まああの二人は結構異常ですからね・・・・・親近感はわかないかもです。
「でもまあ・・・・俺に投票してくれた皆。ありがとうな」
さて、それでは今回はこれにて失礼します。
それでは・・・・・
「「次回もまたきてくれ(きてください)!!」」