バカとテストと召喚獣~響き渡るバカ達の絆~   作:shin-Ex-

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第98話!

今回は100話突破記念で募集した中から選んだお話をやります!

そしてとうとう響さんが例の話を聞くことに・・・・

「正直かなり驚いたな」

「まあ内容が内容だからね」

それでは本編にいきましょう。

「本編どうぞ」


閑話~告げられた未来の選択肢~
第98話


 

 

ピンポ~ン♪

 

「と、客か」

 

ある日、一人で家で過ごしている響の耳にインターフォンの音が聞こえてきた。

 

玄関に向かい扉を開けるとそこには・・・・

 

「こんにちは響♪」

 

上機嫌そうに笑顔を浮かべる紫がいた。

 

「紫さん?ここに訪ねてくるなんて珍しいですね。どうしたんですか?」

 

「ええ、ちょっと響に話したいことがあってね。上がってもいいかしら?」

 

「もちろんです。どうぞ」

 

「お邪魔するわ」

 

響に招き入れられ、紫は中へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうぞ。流石に咲夜に比べると劣りますけど」

 

紫をリビングに通し、響はそっとお茶を差し出した。

 

「そんなことないわ。いい香り出してるもの。ところでその咲夜は今日はどうしたの?」

 

「今日はアリス達と買い物に行ってあすよ」

 

「へえ・・・・あなたが咲夜と行動を共にしないなんて意外ね」

 

「いくら主従関係といっても常に行動を共にしているわけではありませんよ。今日は女子だけで買い物してるみたいなんで流石に俺はついていけませんよ」

 

「いわゆる女子会というやつね。羨ましいわ。私はもう『女子』という年齢でもないし」

 

「そんなことありませんよ。紫さんはまだまだ若々しいですよ」

 

「ふふっ、お世辞でも嬉しいわ。ありがとう」

 

響の言葉に、紫は口に手を当てて笑顔を浮かべる。その姿に気品が漂うあたり流石である。

 

「それで?俺に話したいことって一体何ですか?わざわざうちに来るぐらいなんですからよほどの事なんですよね?」

 

「・・・・・ええ。そうよ」

 

響が切り出すと、紫の表情は普段の胡散臭いものから真剣なものへと変わった。その紫の表情から話の内容は本当によほどのものなのだと響はさとる。

 

「ねえ響、あなた・・・・・・・うちの養子にならない?」

 

「・・・・・え?」

 

紫口から出たその言葉はあまりにも予想外のものであったようで、響の思考は一瞬停止してしまった。

 

「あの・・・・養子ってどういうことですか?」

 

しばらくしてようやく思考が戻った響は紫に詳しいことを尋ねる。

 

「この際だからはっきりと言わせてもらうわ。あなたは今の仲渡家にいるべきではない。今の仲渡家であなたの価値を、あなたの能力を把握でいているのはもう引退したあなたのお祖父様だけ。このままでは・・・・いえ、もうすでにあなたの居場所は仲渡家から無くなってしまっている」

 

「・・・・・・」

 

紫が語るその内容は響にとっては酷いものであった。しかし紫の言っていることには何一つ間違いはないので響は表情を暗くさせながらも反論することはなかった。

 

「あなたが仲渡家に留まり続けても未来はない。せいぜい政略結婚の道具として利用されるのがおちよ」

 

「・・・・・そうですね。その為にあの人たちは俺にパーティーに出席させてますし。最近じゃ見合いの話まで勝手に進められてるとお祖父様に聞きました」

 

「私にはね・・・・・・それが我慢ならないのよ。本当に・・・・今の仲渡家は不快でしかないわ」

 

紫知っている。仲渡響という人物の有能さ、人柄の良さ、そして絆を紡ぐという類まれなる才能を持つことを。それ故に紫はそれを知らず、知ろうともせずに響を蔑む仲渡家に響が居ることが許せずにいるのだ。

 

「だから・・・・・俺を養子にしたいと?」

 

「ええ。このことは藍も橙も了承している。むしろぜひ響を家族として迎え入れたいと言っているわ」

 

「藍さんと橙が・・・・・」

 

「それにね・・・・・貴方を養子にしたいと言っているのは私だけじゃないのよ」

 

「え?」

 

「貴方をよく知る者はこぞって貴方を養子に迎えたいと言っているわ。蓬莱山家、マーガトロイド家、それに霧島家もね」

 

「凄く聞いたことのある名前だな・・・・・」

 

響はアリスや輝夜、翔子といった親しい人物の事を思い浮かべる。

 

「他にもまだまだ居る。選択肢は多いわよ。やったね響」

 

「止めてください。というかここでネタに走るんですか?」

 

「シリアス過ぎても疲れるでしょ?」

 

「まあそうですけど。それにしても俺の知らないところでそんな話が進んでいたなんて・・・・・」

 

「ちなみに近々誰が響を養子にするかについての会合が開かれることになってるわ」

 

「どんどん進んでいくんですね・・・・・・」

 

響は当事者である自分を差し置いて事態がどんどん進んでいていることに頭を痛めた。

 

「というよりそこに当事者の俺の意思は介入されないんですか?」

 

「もちろんあなたの言い分は聞くわよ。でもまあ・・・・・皆あなたが断るとは思っていないのよ。あなたは仲渡家でああいう扱いを受けているから」

 

「それは・・・・・」

 

響は言葉を詰まらせた。

 

家族に蔑まれている響にとって養子の話は確かに喜ばしいものであった。しかしそれでも響は仲渡家で生まれ育ったのだ。簡単には割り切れないのであろう。

 

そしてなにより・・・・・響には気がかりなことがあった。

 

「紫さん。もしも俺がどこかの養子になるとしたら・・・・・・咲夜はどうなるんですか?」

 

響の気がかり・・・・・それは咲夜のことであった。

 

「俺の従者である前に咲夜は十六夜家の人間。そして十六夜家は仲渡家に使える一族です。もしも俺が養子になれば・・・・・咲夜は俺の従者ではなくなり、咲夜と離れ離れになるのは明白です。俺は・・・・・それに耐えられない。咲夜と別れてまで養子になりたいとは俺は思えません」

 

咲夜は響にとって最愛の人物であり、響の心の支えだ。そんな咲夜と離れるのは響にとっては死活問題と言っても過言ではない。

 

養子になることで咲夜と離れ離れになるというのなら響が養子になることはまずありえないであろう。

 

「そのことなら心配しなくてもいいわ。あなたが養子になったとしても、咲夜はあなたについていくと言っていたわ。養子にすると言っている人も咲夜込みでと考えているし」

 

「咲夜が言っていた?咲夜は養子の件を知っているんですか?」

 

「ええ。清涼祭のときに話したわ」

 

「そうなんですか・・・・・」

 

「一応いっておくけど咲夜の事を悪く思わないでね。咲夜があなたに話さなかったのは・・・・」

 

「俺を変に混乱させたくなかったからでしょうね。それくらいわかっていますよ」

 

響は咲夜の事をよく理解している。咲夜が話さなかった理由もしっかりと察していた。

 

「話を戻しますけど咲夜が俺についてきてくれるとして十六夜家の事はどうなるんですか?」

 

「咲夜は絶縁も辞さないと言っていたわ。あの子にとっては十六夜家よりも響の方がずっと大切なようね」

 

「十六夜家と絶縁・・・・・咲夜はそこまで俺を?」

 

「本当にあなたは幸せ者ね。そこまでしてくれる従者はそうはいないわよ?」

 

「・・・・・・そうですね」

 

(咲夜・・・・・ありがとう)

 

響は心の中で自分についてきてくれると言ってくれた咲夜に感謝の言葉を述べた。

 

「それで?さっきの答えを聞かせてくれないかしら?」

 

紫はじっと響を正面から見据える。

 

「・・・・・今は少し考えさせてください。整理する時間が欲しいので」

 

「そう・・・・・わかったわ。ゆっくり考えて頂戴」

 

「はい」

 

「それじゃあ私はこれで失礼するわね。今日は突然押しかけてしまってごめんなさい」

 

「いえ、またいつでもいらしてください」

 

「ありがとう。またね」

 

「ええ、また」

 

部屋をあとにする紫を響は見送る。

 

「・・・・・俺を養子にか」

 

紫が去ったあと、響はリビングのソファに寝転んで養子のことについて考え込んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま帰りました響様」

 

「お帰り咲夜」

 

紫から話を聞いてしばらくして帰ってきた咲夜を響は出迎える。

 

「買い物は楽しめた?」

 

「はい。とても楽しかったです。ですが・・・・・」

 

「ん?」

 

「少々・・・・響様が今どうしているのかと気になって少し落ち着かなかったです」

 

そう言って苦笑いを浮かべる咲夜。

 

「ははは、そっか・・・・・・なあ咲夜ちょっと近くに来てくれないか?」

 

「?ええ・・・・わかりました」

 

「・・・・・」

 

フワッ

 

「え?」

 

近づいてきた咲夜をそっと抱きしめる響。突然の響の行動に咲夜は戸惑う。

 

「あの・・・・・響様?」

 

「今日・・・・紫さんがうちに来た」

 

「紫さんが?」

 

「うん、それで・・・・紫さんから養子の話を聞いた」

 

「!?そうなんですか・・・・・」

 

咲夜は驚きを顕にした。

 

「咲夜は・・・・・養子のこと知ってたんだよな?」

 

「申し訳ありません。本来ならば話しておくべきだったのですが・・・・・」

 

「いや、謝らなくてもいいよ。咲夜がどうして話さなかったのかはわかっているから」

 

「響様・・・・・ご理解していただきありがとうございます」

 

「それで・・・・・紫さんが言っていたけど俺が養子にいくとしたら咲夜は・・・・・本当に十六夜家と絶縁するのか?」

 

「はい。そのつもりです」

 

響の問いかけに咲夜は一切迷うことなく答えた。

 

「・・・・・それでいいのか?」

 

「もちろんです。私にとって何よりも大切なことは響様のお力になること。その為になるというのなら・・・・十六夜家から離れることに未練などありません」

 

「そうか・・・・ありがとう咲夜」

 

響は咲夜を抱きしめる力を強める。それに答えるように咲夜は響の背に手を回した。

 

「まだ養子になるかどうかは考えてる途中だけどさ・・・・・もしもそうなったら俺について来てくれ」

 

「はい。どこまでも・・・・・どこまでも響様について行きます」

 

 




あとがき座談会のコーナー!INバカテス!

今回は紫さんと二人で進めて行きます。

「どうして私だけなのかしら?」

それはまあ・・・・・養子の件についてですので。あとがきとは言えまだ本人に聴かせるのはあれですので。

「なるほどね」

それでは座談会を進めましょう。

「ええ。今回は私が響に養子にならないかって誘ったけれど実際響が養子になるかどうかは決まっているのかしら?」

決まっていますよ。ぶっちゃけて言いますと響さんは養子になります。そしてどこの養子になるかも決まっています。

「どこなのかしら?うちだったら嬉しいのだけれど」

それはまだ秘密ですよ。まあ勘のいい読者なら気がついているでしょうけどね。

「そう。ところで養子が決定したということは・・・・・仲渡家に求愛処置はないということかしら?」

ないですね。たあ今のところはですのでもしかしたら気が変わって救済措置を考えるかもしれませんけど。

「まあ私としては必要ないとは思うけどね。正直あの一家には腹が立って仕方がないもの」

辛辣ですね・・・・・まあ気持ちはよくわかりますけど。

さて、少し早いですけど今回はここまでにしましょう。



それでは・・・・・









「「次回もまたきなさい(きてください)!!」」

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