「おい、一体何があったんだ!?」
「ついてきてください!」
――……星の綺麗な夜だった。
夫である国王が息子主催の賭博場に足を運んでしまったため、手持ち無沙汰になった王妃の無聊を癒すための小さな宴。
その場にいた俺を、いつになく荒々しい態度で連れ出したのはアシュヴァッターマンであった。
「もう、本当にどうしてこうなったのか……! とにかく、急いで下さい。事情は道中説明しますから……!!」
「あ、嗚呼。わかった」
王妃への無礼を詫びる言葉もそこそこに、アシュヴァッターマンは足早に俺を急かす。
焦っているとしか思えない彼の態度に急かされ、隣を進む俺の足もまた速度を増した。
「今宵が殿下主催の賭博大会であったのはご存じでしょう?」
「そりゃあ、まあ」
宮中の良識ある人々が眉間の皺を深めながらも、息子に甘い国王の一声によって敢行された、ドゥリーヨダナによるパーンダヴァの兄弟への仕返しも兼ねた賭博大会。
この日のために、各地から博打好きで知られる王族たちや当代随一の賭け事師としても有名なドゥリーヨダナの叔父であるシャクニが、王城の一角に新設された大会場に続々と入場していった夕方の光景を思い起こす。
「――途中まで、宴も兼ねた賭博大会はつつがなく進んでおりました。ですが……」
冷や汗を流し、血の気の引いた顔で小走りに進むアシュヴァッターマンの尋常ではない姿に、王宮を行き交う人々が驚いた顔で道を開けてくれる。
常であれば、そうした人々の気遣いに謝意の言葉を述べるアシュヴァッターマンなのだが、今回ばかりはそんな余裕もないのか、いよいよ焦燥の色を濃ゆくしていく。
――途中までは上手くいっていたのです、と彼は言った。
程よくお酒が回った頃合いを見計らって、主催者である殿下の号令で骰子賭博が始まりました。
王たちが己の財産を掛け合って遊戯を楽しみ合う中、殿下はユディシュティラ陛下に対して賭け事勝負を挑まれました。
ここまでは兼ねてからの殿下の予想通りでした……、と人気のなくなった廊下を走りながら、アシュヴァッターマンが言葉を濁らせる。
彼の話をまとめるのであれば、このようになる。
ドゥリーヨダナに勝負を挑まれたユディシュティラは、クシャトリヤとして立てた「勝負を挑まれたら決して逃げない」誓いを理由に、周囲の反対を振り切って賭博勝負を行う羽目になった。
――流石は悪知恵の働くドゥリーヨダナと言うべきか。
ユディシュティラが承知すると、ドゥリーヨダナは凄腕の賭博師として知られている叔父のシャクニを代理に立て、己は観客として引っ込んだ。
ドゥリーヨダナが相手だと思っていたユディシュティラは、自分が嵌められたことに気づきはしたものの、一度勝負を受けるといった手前引くことができず、両者はそれぞれ王国の誇る宝物――黄金飾りの美しい踊り子や万里を駆ける神馬、大粒の宝石が象眼された宝飾品、神秘を宿した武具――を出し合ったのだと言う。
とはいえ、ドゥリーヨダナの叔父であるシャクニはいかさま名人としても有名である。
たちまちのうちに鴨ネギこと、ユディシュティラの差し出した品々は巻き上げられてしまった。
忍び笑いする王族たちの手前、敗戦続きのユディシュティラは、それまでの負けを取り戻そうとしてますます躍起になったと言う。
賭け金として巻き上げられた品々を取り戻すために、ユディシュティラは自身の有する広大な領土――すなわち彼が国王として支配する土地にある鉱山や街、果てには土地そのものまでを抵当に差し出し、そして――――
「……負けたのか……」
「は、はい……。もうその頃には呆れていたシャクニ様もいかさましてなかったとは思うのですが……はい、連敗でした……」
思わず半眼になる俺に対し、流した汗を手巾で拭いながらアシュヴァッターマンが返事する。
王宮の離れに建てられたせいで王妃の部屋から距離はあったものの、大分会場にまで近づいた。
とはいえ、客人がいる手前、主催者の下僕であるアシュヴァッターマンと揃って長距離を走ってきましたと連想されるような身なりで乱入するわけにもいかず、お互いに身なりを整える。
「普段は運の良い方なんです……! それなのに、どうしてなのか、賭博ではそれが発揮されないと言うか……ああ、どうしてこうなったんだ……!!」
「あー、なんかすごい昔に誰かが同じ内容を嘆いていたような気がしたけど、誰だったかなぁ……?」
すごく既視感のある言葉に脳のどこかが刺激されるが、あまり思い出せない。
乱れた足元の裾や履物の汚れを落として襟元を正した後、お互いの服装を確認し、大丈夫だと頷きあった。
「それで? 国王陛下が素寒貧になった程度のことで俺まで呼び出したのか?」
「――いいえ、それだけでは済まなかったんです」
苦渋に満ちた表情を浮かべるアシュヴァッターマンには同情しかない。
しかし、この良識人がここまで血相を変えてやってくるだなんて、一体どんな惨劇があったのやら。
――――アシュヴァッターマンの話は続く。
遂には自身の王冠まで賭け金として差し出したユディシュティラ。
最初は笑っていたドゥリーヨダナであったが、その時点で従兄弟の尋常ではない様子に顔を強張らせていたと言う。
賭け事大会に反パーンダヴァ派の王族たちを招待していたことも仇となった。
酒の入った彼らは負け続けるユディシュティラ王を囃し立て、野次を飛ばした。
引くに引けなくなった挙句に王国中の宝物と領土までをも失ったユディシュティラ。そんな彼はこれまでの敗北を覆すための一発逆転の手段として、ある物を賭け金として差し出した。それこそが――――
「お、弟ぉ!?」
「そ、そうなんだよ、アディティナンダ……! 最初はナクラ様、次に双子であるサハディーヴァ様、それからアルジュナ様に、ビーマセーナ様まで、賭け金として巻き上げられちゃったんだ……!」
思わず足を止めて叫んでしまった俺に、アシュヴァッターマンが無念極まりないと言わんばかりに歯を食いしばる。
……いやいや、待て待て待て! 放心状態に陥りそうな自分を叱咤して、必死に反論を紡ぐ。
「お、可笑しいだろう!? 賭け事に対して他者の人格を掛けることは法で禁止されている筈だ! そ、それに、あのご老人たちはどうした? 常にドゥリーヨダナと張り合っている親パーンダヴァの一派がその場にいながら、どうしてそこまで可笑しなことになってるんだ!?」
「今夜の出来事で確信した……! 賭け事は人をダメにする、それが神の子であってもだ!! 僕は一生賭け事なんかに手を出さないぞ……! ――じゃなくて!」
同じような放心状態に陥っていたアシュヴァッターマンが説明してくれたのは、さらに絶望的な展開であった。
――クル王族の長老であるドローナや王弟ヴィドラは、当然のことながら乱心したユディシュティラを救うべく言葉を尽くした。
しかしながら、彼らの言葉は却って周囲の顰蹙を買い、他ならぬユディシュティラ自身が賭けを続けるように促したのだと言う。
いや、確かにユディシュティラ王の弟たちは、肉親であると同時に彼の国王の家臣であり、家臣=王の持ち物として扱われることも多いんだけどさぁ……!
「――完っ全に、賭け事中毒じゃないか……!」
似たような奴らは王都にゴロゴロいるわ、主に賭博場に。
そう言う奴らに限って一発逆転を狙うあまりにとんでもないことをしでかして、そして敗北して一文無しになっちゃうんだよなぁ……。
「ドローナ様たちもドゥリーヨダナ殿下を諌めるのではなく、ユディシュティラ様を殴ってでもお止めすべきだったんだよ……! そうすれば殿下がなあなあで言いくるめて下さったのに……!」
「あー、そー言うの、あいつ得意だもんなぁ」
歯ぎしりするアシュヴァッターマンに心から同意する。
だんだん会場に近づいてきたのか、人々が騒いでいる声が聞こえてくる。音だけではなく宴特有の人々の汗と酒の臭気、踊り子たちの残り香もここにまで漂ってきている。
「ビーマ様がユディシュティラ様を止めようとしてアルジュナ様に制止された頃ぐらいに、僕は殿下に頼まれて君を呼びにきたんだ。
多分、あの調子ならユディシュティラ様は自分自身をも抵当に入れかねない。伝言だよ。 “アディティナンダの仕業とは分からぬように、とにかく無茶苦茶に場を引っ掻き回してくれ” だって」
国王のお気に入りである楽師・アディティナンダの仕業とは分からぬように、か。
随分とまあ、とんでもない難題をあっさりと頼み込んできたものだ。
――けど、ドゥリーヨダナに頼まれることなんて滅多にないからなぁ……。
長らく腕に嵌めたままの黄金の腕輪を目にして、そっと息をつく。
それにしても場を引っ掻き回すったって、どうすりゃあいいんだ? 適当な王族の命を狙ってやってきた暗殺者の振りでもすればいいのか?
悩む俺の脳内で、悪い顔をしたドゥリーヨダナが親指を立てながら「問題ない、あなたが常日頃発揮している非常識ぶりを見せつけてやればいいのだ!」と言って高速で通り過ぎた。
――よし、ドゥリーヨダナの命を狙いに来た暗殺者の振りをしよう、そうしよう。
「――しっ!! ちょっと待って、アディティナンダ! なんだか、すごいことになっているみたいだ……!」
酒の入った男たちの耳障りな声に紛れて、甲高い声が響いている。
甲高い、
女性の立ち入りが禁じられ、宴の席の踊り子たちも退場した今、
奇妙に思ってアシュヴァッターマンと顔を合わせ、ぴったりと寄り添うようにして会場の隙間から中の様子を伺う。
「――おやめなさい、
――ああ、ドローナ様、ヴィドゥラ様! どうして正義の人と名高い皆様はこの非道をお見逃しになるの!?」
この、最高級の楽器を思わせる艶やかな響きの声は……!
アシュヴァッターマンを押しのけるようにして、会場内を覗き込む。すり鉢場になった会場の底、賭博の中心に当たる場所に、引きずられるようにして連れて行かれる一人の﨟たけた夫人の姿がある。
「あの声、あの顔、間違いない……! ドラウパティー王妃だ! それにあの格好! ――ああ、なんてことだ……!」
「おいおい、まさか、あの王様……」
震える声でアシュヴァッターマンが最悪の事態を想起して、頭をかかえる。
俺の方も正直、意識を失ってしまいそうだ。確かに、妻は夫の財産として、言い方は悪いが、所有物扱いされるとはいえ、あの賭け事狂いの王様は、まさか………!
「――まずい、まずいぞ、アディティナンダ。
今は抑えられているとはいえ、パーンダヴァの次男であるビーマ様は人一倍情のお強いお方だ。
そんな彼が最愛の妻がこんな衆人環視の場所に連れてこられて、何もしないわけがない……!
下手すれば、この場が頭に血が上ったビーマ様の手で血の海に染まるぞ……!」
ヒソヒソと囁いてくるアシュヴァッターマンの言葉に、頷く。
確かに、ドゥリーヨダナ曰く、頭の足りない筋肉だけが取り柄の第二王子だが、彼は肉親への情が強く、兄弟の中でも美しい妻へと注ぐ愛情が細やかなことでも有名だった。
――ましてや、ドラウパティーは王家の姫である。
高貴な身分の女性とは基本的に屋敷の奥に隠されているものであり、姫であった彼女は公務を除けば婿選の時以外に男性に
王妃として国民の前に立つことはあっても、酒のせいで獣性を強くした見も知らぬ男たち――それも王の妻である彼女に獣欲を抱いた眼差しを向けてくる――に見られたことなんて、これまでに一度だってなかったはずだ。
「済まぬ、ドラウパティー。我々もこの非道を止めたいのは山々なのじゃが……」
「他ならぬユディシュティラ自身の手によってお主の身が賭け金として提示され、褒賞として受け取られてしまった以上、こちらとしてもなす術がない……」
「ああ、そんな……!」
王妃が絶句しているのが空気の振動で伝わってくる。
嗚呼もう、それにしても役に立たん長老たちだなぁ……! なまじ法と正義の代理人を司っているだけに、いや、それに反していないからこそ、合法的にドラウパティーが賞品として差し出されただけに、何もできない訳かい!
もうここまできたら、一周回って自分が知らない間に抵当に出されていた奥さんが、哀れでしかない。
――あ、ドゥリーヨダナが項垂れている。
玉座の上に座っているドゥリーヨダナは鉄面皮を浮かべているが、あれは内心の動揺を隠すための表情である。特に練りに練った計画が上手くいかなかった時ほど、ああいう顔をしている。
――あ、ついでにカルナも困っている。
玉座の隣で武人らしく眼下の悲劇を端倪しているが、その内心はさぞかし大荒れであろう。
それにしても、パーンダヴァの兄弟たちはどうしているのやら。
喧々囂々と人々がざわめき合う会場をぐるりと見渡して、それらしき人々を発見する。
反対側向いているから顔は確認できないが、シャクニと向かい合って座り込んでいるのがユディシュティラ王か。褐色の肌に灰色の象牙を思わせる光沢のある長い髪、間違い無いだろう。
その両隣に座り込んで、必死に声をかけ続けているそっくりの姿形の二人、朝日と夕日の色の頭髪に蜂蜜色の肌、顔はよくわからんが、あれらがパーンダヴァの末の双子、と言ったところか。
今にも長兄に殴りかかろうとしている色白の大男が次男のビーマで、であれば、それを制止している褐色肌の人物が三男坊。
……見事にパーンダヴァの五兄弟の揃い踏みだ。
それにしても、あいつら……嫁さんのピンチだと言うのに……。
思わずジト目になって内紛の危機を迎えている兄弟たちから目を逸らして、ようやく目に届く範囲まで近づいてきたパーンダヴァの王妃――ドラウパティー姫へと目を移して、そして絶句した。
――おい、おい、おい……!
口だけははくはくと動いているが、肝心の言葉が出てこない。
俺よりも目が良くて視界の広いアシュヴァッターマンが、嘆きの声をあげたのも宜なるかな。
――姫君は、
いや、正確には肉付きのよい肢体には半透明の薄衣を身につけてはいる。
だが、それは寝所における夫人の夜着の一種に過ぎず、夜着一枚だけ姿であると言うことは、常識的には裸であるのとほぼ一緒である。
しかも、高貴な身分の夫人であれば尚のこと、この状況は不味い。
寝所で夜着を見せ合う仲だなんて、閨を共にする夫婦だけなのが常識である。
――それなのに、そんな格好の姫君がこんな酔漢ばかりの場所に連れてこられるだなんて……ああ、とんでもなく不味い!!
しかも、しかも、だ! 夜の宴とはいえ、そこまで夜が更けているわけでも無い。
それなのに、夫によく従う貞節な夫人として高名なドラウパティー姫が、そんな格好をして
「――かなりやばいぞ、アシュヴァッターマン! あの姫、ひょっとしたら寝所で眠っていたんじゃなくて、篭っていたんじゃ無いか……!?」
「そ、そんな! 夫でさえその期間中は遠ざけられると言うのに、そんな状態の姫君が連れてこられたのか!? ああ、早くユディシュティラ様、正気に戻って!!」
そうこうしている間にも会場での問答が続く。
姫君が必死に長老たちに訴えかけ、酔漢たちは厭らしくせせら嗤い、ドゥリーヨダナは仮面のような無表情でその光景を見下ろしている。
一見すると冷静そのものだが、その指先が神経質に玉座の肘置きを叩いていることから、なんとかしてこの事態を収束させるための一手を探し求めているのだろう。
「ユディシュティラ様と会場にいたご兄弟たちは正直自業自得だけど、あの姫君までをも巻き込むのは本当に申し訳ない。
こうなったら姫君が解放される手段は一つだけだ、ユディシュティラ様がご自身と奥方、どちらを先に賭け金として提示したのか、その順番にかかっている……!」
「嗚呼、そうか! だからドゥリーヨダナは姫を連れてくることに反対しなかったのか!
ドラウパティー姫もその可能性に気づいていたのだろう。
必死に夫であるユディシュティラに答えてくれるように嘆願しているが、はてさて……。
「な、なんか、不味いぞ……! 僕、少し殿下のところに行ってくる!」
何度妻から尋ね掛けられても一度も応じようとしない王の姿に、厭な汗をかいたアシュヴァッターマンが会場へと飛び込んでいく。
そのまま群衆をかき分けるようにして進んでいく彼の後ろ姿を見つめながら、俺も冷や汗を拭って平静になろうと努めたが、一向にその努力は報われなかった。
「お答えくださいまし、ユディシュティラ様! 貴方様はこの私と貴方様ご自身をどちらを先に賭けに出したのですか……!! 私ですか!?」
「…………」
「そ、それとも、王である貴方様でしょうか!?」
「…………」
「――どうやら、王はご正気を失われておられるようですね」
おいいいいいい!! しっかりしろよ、長男!?
何度問いかけても生返事も返してくれない夫の姿にドラウパティーが糸の切れた人形のようにその場に崩れ落ちる。
玉座の上のドゥリーヨダナが死んだ魚の眼で天を仰いだ。あ、アシュヴァッターマンが必死にドゥリーヨダナを慰めている。
せ、せめて、会場で一部始終を見守っていた観客の誰か、パーンダヴァの誰かが弁護すればいいものを、一体何をしているんだ……! だめだ、どいつもこいつもあてにならん。
ハラハラしながら様子を伺っていたら、玉座の隣のカルナが決心したように唇を噛むのが見えた。
あ、不味い、ひょっとしてあいつ、あの口数の少なさで弁護するつもりか……!
――す、とカルナが息を吸い込み、凛とした声音が会場内に響き渡った。
「……これ以上の発言は無意味だ。
先に奴隷になったのだから、そのような権利を有するはずがない。――従って、その言い分には従うべきだ」
カルナの発言を耳にして、長老方が忿怒と嘆きの表情を浮かべ、パーンダヴァの兄弟たちがいきり立ち、観客たちは一部を除いてやんややんやの大喝采である。ドゥリーヨダナが頭痛がすると言わんばかりに顳顬を抑えた。
奇しくも、俺とドゥリーヨダナは同じことを思ったはずだ。
――――嗚呼、これは確実に誤解されてしまった、のだと。
さあ、皆さんご一緒に!
アディティナンダ「ジナコさーん! お願い早く来てー!」(カルナ語検定準一級)
ドゥリーヨダナ「ジナコーー! 頼むから来てくれー!」(同上)
ジナコさんと出会う前なので、致命的に言葉の足りないカルナさん。
皆んなもカルナ語検定に挑戦してみよう!
<感想という名の考察>
現代人の常識からしてみれば「奥さんまで賭けるなよ、ユディシュティラ!」なのですが、ある意味ではドラウパティーはパーンダヴァ兄弟の持つ最大の宝なんですよね(女性に権利がなかった時代なので)
奥さんを賭けるまでに王国中の富・強大な力を持つ弟たちを賭け金として、全て失ったユディシュティラ。王国と弟たちに匹敵するだけの価値を有するもの、すなわち失ったものを取り戻す一発逆転の手法こそが奥さんを賭ける、ということだったとは分かるのですけど……それにしてもねぇ、と思わずにはいられない。
ぶっちゃけ、この賭博で云々は止められなかったユディシュティラ、止めなかったアルジュナ・ビーマら兄弟全員の自業自得っちゃ自業自得。