もしも、カルナさんが家族に恵まれていたら   作:半月

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この小ネタには、二つのルートがあり、前半はほぼ一緒ですが、後半が全く別のルートを辿ります(ただし、結末は一緒です)


FGOネタ 第五特異点 in インド ② 残留ルート

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北米神話大戦をインドで置き換えてみたFGOネタ①。

正直、カルナ・オルタの倒し方が分からないという点で難易度はEX。

真面目に小説として書くのはきついので、台詞メインのダイジェスト版でやってみた。

 

1、

カルデアのマスターが神話の時代のインドにレイシフトするも、人々の平和な暮らしを目の当たりにし、異常が見当たらない異常という事態に。

ロマニの発言でクルクシェートラの戦いが行われているというのに、街中の人々がそれについて口にしないということに気づき、急いでクルクシェートラの平野へと足を進めるカルデア一行。

すると、それまでの平穏な光景を覆すような惨憺たる有様を目撃する。

その道中に通りかかった兵士崩れの襲撃に遭い、この時に「太陽が地上に降ってきた」という情報を入手し、カウラヴァ・パーンダヴァの双方の王たちが撤退したことを聞く。

 

2、

これが今回の特異点におけるカギであると直感したカルデア一行は、カウラヴァの都・ハースティナプラか、パーンダヴァの都・インドラプラスタのどちらかを選んで情報収集及びその協力を求める必要があると考える。

ここで選択肢はどちらかしか選べず、インドラプラスタを選ぶと強制バッドエンド(都に着いた途端、豹変したユディシュティラと錯乱した都人たちに殺害されるルートが解禁)。

 

ハースティナプラを選べば、ドゥリーヨダナに面会するために王宮へと忍び込み、そこで軟禁状態にあるドゥリーヨダナを発見、彼を解放する代わりに協力を得ることに成功する。

 

「――やぁ、見ない顔だな。わたしをこの窮屈な檻から解放してくれるというのであれば大歓迎なのだが」

「カルデア? ああ、()()()の言っていたあの星見の塔の連中か」

「まあ、なんでもよかろう。――ほれ、とっとと脱出するぞ!」

 

3、

解放されたドゥリーヨダナと共に王都脱出を図るカルデア一行。

その前にアディティナンダに召喚されたサーヴァント(サーヴァント・アーチャーで召喚されたシータ姫)が立ち塞がるも、アシュヴァッターマンの援護により無事に逃げ切ることに成功。

ひとまず安全な場所に落ち着いて、ドゥリーヨダナの口から一体何が起こったのかについて聞き出す流れに。

 

「詳しくはわたしもよくは知らん。ただ、我が友・カルナとアルジュナが戦い、その勝負にカルナが敗北したのは明らかだ。その瞬間、その瞬間だ。一条の黄金の光がわたしの目を焼いたかと思うと、太陽が地上に激突し、気がつけば大軍勢が瞬く間に消失してしまっていたのだ」

「とりあえず、あの場に居続けることだけはまずいと感じ、すぐさま生き残りをまとめて都に帰還したのだが……」

 

――そこで口を閉ざすドゥリーヨダナ。

話の続きを促すも、近くで誰かが戦闘している音を聞きつけ、一行は様子を確かめに出向くことになる。

 

「――静かに! 息を潜めていろ、この様子はただ事ではない」

「先輩、この匂いはひょっとして……!」

 

恐る恐る様子を伺えば、濃厚な血の匂いが鼻につく。

どうやら二人組同士が戦闘を行なっているらしい、しかも戦っている片方は血だらけであった。

 

「あれはビーマとアルジュナ!? 生きて居たのか……! いや、それよりも奴らと戦っているのは一体……!?」

 

ブリュンヒルデとシグルド VS ビーマとアルジュナ

彼らの助太刀を提案するも、肝心のドゥリーヨダナが逡巡する。ここでドゥリーヨダナの説得イベントが発生。

この時代の特異点はカルナの死によって発生していることを指摘し、その直前までカルナと戦っていたアルジュナの話を聞く必要があると宣言、それでも渋るドゥリーヨダナにビーマに恩を売れますよとそそのかせば、率先してドゥリーヨダナが助けに行く。

 

「はははは! いいざまだな、この狼腹(ヴリコーダラ)! 普段の五割り増しで美男ではないか!」

「――ッゲ! ドゥリーヨダナ! 何をしに来た!?」

「無論、お前とその弟の無様な姿を嗤いに来てやったのよ! ついでに命を助けてやるから、地にひれ伏して感謝するといい!」

 

カルデアのマスターの指示のもと、ブリュンヒルデらと激突。その撃退に成功する。

 

4、

改めて自己紹介をしあうカルデア一行。

ビーマがドゥリーヨダナと一緒にいることで信用ならないと騒ぐが、比較的冷静だったアルジュナがそれを制する。

 

「そういえば、三男坊。お前たちだけなのか? ユディシュティラの阿保とあの腹黒い親友殿はどうした?」

「……ユディシュティラ兄上はインドラプラスタの都におります。クリシュナは……――」

 

ここで初めてパーンダヴァ側の状況がどうなっていたのかを聞くことができる。

アルジュナ曰く、クリシュナと双子の弟たちは逃走の最中に追撃に会い死亡、ユディシュティラは無事だが正気を失ってしまった。

 

「――待て。一体何がどうなっている!? わたしの兵士たちが束になってかかっても殺せなかったあの双子と死んでも死なないようなあの化け物が殺されただと?」

「おかしいです、先輩。確かに叙事詩においてクリシュナさんの死は記載されておりますが、それはクルクシェートラの戦いよりもずっと先のこと。この時点で彼らが亡くなっているのは異常事態です!」

「おや。変ですね、てっきり我々はこの異常な事態を引き起こしたのは貴方だと思っていたのですが……心当たりがないのですか?」

 

ビーマのドゥリーヨダナに対する過剰な敵意、アルジュナの警戒を解かない姿勢にようやく合点が行くカルデア一行。

そこに第三者としてビーマとドゥリーヨダナの師匠であるバララーマが登場する。

 

5、

お約束のように戦闘になるカルデア一行。バララーマも本気ではなかったので、すぐさま武器を下ろす。

そこでバララーマの口から、バーラタの大地に存在するあらゆる魔性や精霊、神霊の類が何者かの手によって抹殺されている途中であることが判明する。

 

『一体、何がどうなっているんだ? この時代はまだ神々と人が共に暮らしている時代だ。今よりもずっと神秘の濃い世界だと言ってもいい。それなのに、精霊はおろか……神々の眷属までもが抹殺されているだって!?』

「ドクターの言う通りです。幾ら何でもおかしすぎます!」

 

悲鳴をあげるロマニとマシュ。

表情を曇らせるアルジュナに目敏く気付いたドゥリーヨダナが、クルクシェートラで一体何が起こったのかを詰問する。

 

「……私は、私は確かにあの男を殺しました。この手で、この弓で、私の放った矢によって、確かに。それは間違いありません」

「あの男の兄である彼の悲痛な叫びが、未だに耳から離れません。そう、確かにあの男は――カルナは死んだはずなのです……!」

「しかし……次の瞬間には一条の黄金の光が私とクリシュナの視界を焼きつくしました。これは、あの場にいた全員が目にした光景でしょう」

「――けれども、私は見ました。死んだ筈のあの男が生き返っていたのを……!」

 

目の前で殺した筈の男が復活していたこと、その男の手によって地上に太陽が激突し、気づけば辺り一面が大惨事になっていたことを口にするアルジュナ。

茫然自失状態に陥っていたアルジュナだったが、いち早く正気に戻ったクリシュナの先導で兄たちと共に生き残りの軍勢をまとめて、急いでその場から撤兵したことを話す。

 

6、

アルジュナの話の途中で、何かから逃げるようにして突撃してきた魔獣の群れが一行の話の邪魔をする。

話を中断して全員で協力して魔獣を倒すも、そこにサーヴァント・ラーマ(セイバー)が登場する。

 

「ふむ。余は逃走していた魔獣どもを駆逐せんと追ってきたのだが、これはこれは……」

 

魔性殺しの特性を持つラーマが身構える一行を眺め、そこにドゥリーヨダナが混ざっていることに気づき、顔を蒼白にする。

妻であるシータ王女がドゥリーヨダナを見張る役目であったのに、何故ドゥリーヨダナがここにいるのか、シータをどうしたのだと激昂するラーマとの戦闘が開始。

 

一度は迎撃に成功するものの、途中で行方を眩ませたドゥリーヨダナを追ってきたシータ王女と合流。

ラマシタ夫婦と二回戦が勃発し、ラーマ王子が生前を共に戦った大猿の軍団を召喚したことで、逃げ場を失ってしまう。

万事休すと思われたその瞬間、いい感じにドリフトを効かせて走ってきた戦車が大猿の軍勢を蹴散らし、一行を掬い上げる。

 

7、

カルデア一行を救ったのは、死んだ筈のクリシュナだった。

再会を喜ぶビーマ・バララーマ。

嬉しい半面クリシュナが生きていることを不思議に思うアルジュナ、そんでもって吐き気がするような表情を浮かべるドゥリーヨダナ。

 

「皆様の反応を伺う限り、あなたがクリシュナさんであることは間違いありません。ですが、クリシュナさんは死んだと伺いました」

「――そうだね。確かにこの時代に生きているべきクリシュナは死んでいる。今ここにいるのはサーヴァントとして召喚されたクリシュナなんだ」

 

猛スピードで走る戦車に乗り、逃走を続けるカルデア一行。

道中で錯乱した魔獣の群れや狂った精霊たちとのバトルを繰り広げながらも、御者であるクリシュナから話を聞き出し、お互いの情報をまとめることによってこの特異点で何が起こっているのかを整理する。

 

「何がどうなっているのか、当事者である彼らよりも未来からの客人であるカルデアのマスターの方が把握している筈だ」

「……死んだ筈の英雄カルナが復活し、クルクシェートラの戦いをその手で終結させた」

『そして、逃走した二人の王を片方は錯乱、片方は軟禁という形で無力化し、ラーマを始めとする配下たちを使って、この世界の神秘を欠片も残さず抹殺しようとしてる……わからない、今回の聖杯の持ち主は一体何をしたいんだ!?』

 

そこにバララーマがさらに絶望的な情報を公開する。

世界の異常を感じて、急遽戻ってきた彼が神々の指示を伺うために天界に上ると、インドラの壮麗な宮殿は焼けただれていたこと。

慌ててヴィシュヌを始めとする三大神の座すべき神域に向かうも、そこには何の影も形も見当たらなかったこと。

 

「莫迦な! 一体誰が、神々をもそのような目に遭わすことが可能だというのですか!?」

「……アルジュナ。聡明な(キミ)であればすでに気付いているだろう?」

 

ここでようやくカルナ・オルタの情報が公開される。

インドラ神によって奪われた筈の黄金の鎧と神をも滅ぼす神殺しの槍を装備したカルナ以外に、そのような真似をしでかすことのできる猛者はいない、と口にしたクリシュナに一行が絶望モードに陥る。

 

『さ、最悪だ……! 単体での三界制覇が可能なインド神話最強の英雄が相手だって……! そんなのどうやって倒せばいいんだ!?』

「――幸い、と言っていいのか、聖杯の持ち主はカルナではない。我々が倒すべき相手は、その兄であるアディティナンダだ」

 

その途端、急ブレーキがかかり、戦車が急停止する。

彼らの前にはカルナ・オルタ及び、今回の特異点の元凶であるアディティナンダが立ち塞がっていた。

 

8、

突如現れたアディティナンダの姿に、警戒を隠せないカルデア一行。

そんな彼らに対して、敵対している筈のアディティナンダはあくまで友好的に声をかけてくる。

 

「――やあ、そこにいる異邦人の方々は、遥かな未来よりやってきたカルデアのマスターさんだよね?」

「よかった。カルナに頼んでわざわざ連れてきてもらった甲斐があったよ。貴方に会いにきたんだ」

 

ニコニコと微笑みを浮かべ、嬉しさを隠せない様子のアディティナンダに、困惑を隠せないカルデアのマスター。

 

「話というのは他でもない。君たちに人理崩壊を防ぐために、この特異点の完成を手伝って欲しいんだ」

「人理崩壊を防ぐため……? 何を言っているのですか!? 貴方の行動は矛盾しております!」

 

マシュの指摘に素直に肯定するアディティナンダ。

これまでの特異点の元凶となったものたちとは違い、魔術王の暴虐に絶望してそれを手伝っている訳でも、この時代だけを生き延びさせることに必死になっている訳でもないその姿にますます困惑するカルデア一行。

 

「そうだね。確かに、人理の崩壊した未来からやってきた貴方にはそう見えるかもしれない。だけど、長い目で見た場合だと話は違う」

 

アディティナンダ曰く、この特異点を完成させることで、また新しく人類の歴史を紡ぎ直すことが目的である。

この特異点を正史とすれば、人理の崩壊する2017年までの歴史を再び続けることが確定されるとのこと。

 

「未来からやってきた貴方たちには一度は人理が崩壊したという記憶を残しておく、そうすればこの世界が再び2017年を迎えた時、今回の事例よりももっと早くに、人理崩壊という未曾有の危機に対応できる筈だよ」

 

いくら聖杯でも、そんな奇跡が叶うはずがない! と叫ぶドクターに、アディティナンダは慈愛に満ちた微笑みを浮かべる。

 

唐突に冬木で行われていた聖杯戦争の話をするアディティナンダ。

勝者に齎される聖杯の器は召喚されたサーヴァントの魂を満たすことで完成されるが、アディティナンダはそれと同じことを自分の所持している完成した聖杯で行なったと嘯く。

 

「カルナに頼んで、天界で下界の様子を野次馬よろしく観戦していた神々の御霊を使ったんだ。英霊よりも格の高い神霊の魂で聖杯の外殻をコーティングして強度を高め、その中身をこの世界に存在する全ての神秘で満たしたら、それこそまさに全能の願望機としてふさわしいと思わない?」

 

9、

――人間を翻弄する神々を滅ぼし、その魂を使って全能の聖杯を完成させ、その聖杯を礎に再び人類史を紡ぎ直す。

これまでの特異点とは違い、人を慈しむが故の行為であると告げるアディティナンダに衝撃を隠せないカルデア一行。

そこに、ドゥリーヨダナが待ったをかける。

 

「なるほど、そういうことだったのか。――ところで、アディティナンダ」

「なんだい、ドゥリーヨダナ」

「そこのカルナは一体どうした。我が友は確かに無口だが、ただ突っ立ているだけの案山子ではなかったはずだ」

 

確かに一度も口を開かず、ただ黙っているだけのカルナ・オルタ。

その質問に対して、アディティナンダはさっと表情を曇らせる。

 

「当然、言えるわけはないよ。カルナはアルジュナに殺されることを受け入れた。それなのに、(キミ)は弟の命惜しさに反魂を試み、そうしてかつての彼とは似つかぬ傀儡を弟と呼んで愛おしんでいるだなんて」

 

淡々とクリシュナがカルナ・オルタの現状を口にする。それにそれまでの余裕をかなぐり捨てて、反発するアディティナンダ。

 

「――違う! この子はカルナだ、俺の弟だ!」

「じゃあ、なんで(キミ)の弟は兄である(キミ)にただ唯々諾々と従っているんだい? おかしいじゃないか、あのカルナが主人であるドゥリーヨダナになんの反応も示さず、神々に対して叛逆した兄になんの苦言も制止も行わないだなんて」

「……それについては、わたしも気になっていた。――アディティナンダ、頼む。答えてくれ」

 

ドゥリーヨダナの懇願に、アディティナンダは渋々口を割る。

曰く、このカルナは確かにカルナだが、一時的にトランス状態に陥らせることでその意思を封印しているということ。

この特異点が新たな正史として確定した場合、その封印を外してカルナを正気に戻すつもりであること。

 

「お前、何を言っているんだ! それこそ、お前とわたしが疎んでいた神々のやり口そのものではないのか!」

「――だけど、これ以外に方法はないんだ! カルデアのマスター、今回は見逃してあげるから俺の言ったことをよく考えて! それからドゥリーヨダナ、貴方だけはこの場で回収させてもらう!!」

 

ここでカルナ・オルタとの戦闘発生。アディティナンダに操られた周囲の魔獣も共に襲ってくる。

クリシュナの機転でその場から脱出する目処が立つも、殿に名乗りを上げたバララーマを犠牲にしなければ、一同はカルナ・オルタとの戦闘から離脱することが叶わなかった。

 

10、

判明した衝撃の真実に、意気消沈するカルデア一行。

そんな彼らに自分たちは逃げ切ったのではなく、見逃された状態であると指摘するクリシュナ。

 

「しかし、いよいよ解せんな……? わたしの知るアディティナンダは何よりもカルナの意思を尊重していた兄だった。それがなぜ、弟の意思を強制的に奪うような真似をする? カルナが敗北を受けて入れて死んだというのであればなおさらだ」

「あの……ドゥリーヨダナ王。貴方はひょっとしたら、カルナさんがどうやって死んだのかをご存じないのですか?」

「ああ。わたしはそこのアルジュナとカルナが戦っている様子を見ていたが、あらかじめに被害に巻き込まれないように離れたところにいたからな。詳しい内容は知らん。ビーマ、お前もそうだろう?」

「ああそうだ。――アルジュナ、一体どうしたんだ?」

 

ここで、アルジュナが戦車の車輪が外れたことで身動きの取れなくなったカルナをその矢で射抜いた事実が判明。

クシャトリヤの作法で戦車から降りた相手に対し、そのような手段で敵を殺すことはご法度とされていたのに、それを実行したアルジュナ及び唆したクリシュナにドゥリーヨダナが大激怒。

 

「お前ら……! 普段、カルナのことを身分やなんだで散々バカにしていたくせに、肝心のクシャトリヤであるお前らがそれを遵守しないとはどういうことだ! インドラ神との鎧の一件といい、今回の件といい、あの温厚なアディティナンダとて流石に怒り狂うだろうよ!!」

 

ここでパーティ内で仲間割れが勃発。カルデアのマスターは再度選択を迫られることになる。

 

→ドゥリーヨダナに味方しますか?

→アルジュナ及びクリシュナたちに味方しますか?(最後の戦いにドゥリーヨダナが参加しないルートに)

 

パーンダヴァに味方した場合、ドゥリーヨダナがパーティを離脱するイベントが発生。

その結果、カルナ・オルタ戦の難易度が超ハードモードになる。――とはいえ、これ以降の出来事はほぼ同じ。

 

11、 (ドゥリーヨダナ残留ルート)

双方に言い分があり、双方に同情すべき余地と責任があることを再確認して、パーティは再結成。

正しい歴史の勝者であり神々の眷属であるパーンダヴァ側はそれでいいとして、何故ドゥリーヨダナもアディティナンダたちと敵対する道を選ぶのかを尋ねる。

 

「別に大した問題じゃない。カルナにアディティナンダ……あいつらはわたしの家臣だ。それが魔術王とかいう、よくわからないやつの手先になっているのだぞ? わたしのものであるあいつらを見知らぬ他人に好き勝手させるものか」

「それに、あの状態のアディティナンダをあのままにはしておけん。見かけは普通に見えても、さっきの様子では……」

「しかし、何故アディティナンダはわたしの身柄にああも執着するのだろうか。――おい、そこのいっぺん死んだ腹黒! お前、その理由を知っているか?」

 

そんな彼らの前に、トリスタン(アーチャー)とイゾルデ(キャスター)の二人組が現れる。

パーンダヴァの連中――特にクリシュナの命をもらいにきたと告げる彼らとの戦闘に突入する。

バトルに敗れ、金の粒子となって消滅してく彼らだったが、完全に消える直前に、アディティナンダたちがクルクシェートラの平野で大儀式を行おうとしていることを教えてくれる。

 

「どちらの言い分が正しいことなのか、私たちには分からない。――ただ、彼らはあなたたちを待っている気がするのです」

 

12、

有力な情報を手掛かりに、クルクシェートラを目指すカルデア一行。

その前にブリュンヒルデ・シグルド組、ラーマ・シータ夫婦が立ちはだかり、お約束のように戦闘が開始される。

 

彼らを撃破すると、普通の聖杯戦争では相見えることのできない最愛の相手との再会への感謝としてアディティナンダに従っていたこと、彼の取ろうとしている手段もまた人理を救うための最適な方法であるという事実を告げ、それでもなお、アディティナンダは止めるべきであると宣言して、もう一人の秩序の維持者(ラーマ王子)は消滅する。

 

召喚されたサーヴァントを全員倒し、アディティナンダの元へとたどり着いた一行。

通常の聖杯よりも莫大な魔力を蓄えた<大聖杯>を手にしたアディティナンダが、静かにカルデアのマスターに問いかける。

 

「偉大なるヴィシュヌの化身も申した通り、この<大聖杯>を用いれば、ここから人類の歴史を改めて紡ぎ直すことが可能です。――それでもなお、貴方は(ワタシ)と敵対する道を選ぶのですか?」

「――ラーマさんが消滅する前に言っていました。貴方のしようとしていることは間違っていない、それでも私たちは貴方を止めるべきである、と。これは一体どういう意味なのでしょう?」

 

先の出会いの時に告げた通りに、神霊の魂を溜め込んだこの<大聖杯>であるならば、歴史の再編が可能となる。

しかし、一度は崩壊した人理を再出発させるためのその代償として、術者であるアディティナンダの魂は良くても消滅という道を選ぶことになると。

 

「また、人の子が当初の歴史よりも早くに神を失うことで、発生する問題もあると思います」

「――それでも、ドゥリーヨダナ。神の手助けを必要とせず、人の力だけで歩むことを自らに課した貴方とこのカルナがいれば、たいていの問題はつつがなく解決することが可能なはずです」

「たとえ、貴方という指導者が没したとしても、その後を歩くだけの力を持つ人の子はきっと現れてくれるはずです。(ワタシ)は、いえ、ワタシはあなた方を信じていますから」

 

ある種の狂信、盲信具合に、一見したところまともに見えたアディティナンダが確かに狂気に陥っていたことを再確認する一行。

人の精神性がまだまだ未熟な段階で神々というくびきから解放された場合、人類が己を律して生き続けることが可能であるとは思えないと指摘するクリシュナ。

それでもただ人間を翻弄し続ける傲慢な神の支配下にあり続けることよりも、遥かにマシだと言い捨てるアディティナンダ。

 

「その為には、あなた方が邪魔です。とても、とても邪魔です。このバーラタの大地にしぶとくしがみつく神々の残滓。せめてもの慈悲として、あなた方を心から人形(ヒト)として愛していた神々の手によって、消滅させて差し上げます」

 

<大聖杯>によって、ヴィシュヌ・シヴァ・ブラフマーの三大神を依代に魔神柱が同時に出現。

こんなことがあり得るはずがない、と叫ぶクリシュナに、婉然と微笑むアディティナンダ。

神々は人の信仰あっての存在であり、人亡くして神の存在などあり得ない、と。

 

「――ですから、忘れさせてしまいました。今、この大地に住まう人々の脳裏には神という概念はありません。人から忘れ去られた神が行き着く先は……お分かりですね?」

 

三代神と雖も、存在が忘却されてしまえば弱体化は免れない。

VS三体の魔神柱との戦闘が開始――これに辛勝すれば、最大の敵であるアディティナンダ+カルナ・オルタ戦が開始する。

 

13、

ここでドゥリーヨダナをパーティインした場合の利点が生きてくる。

ドゥリーヨダナがパーティに加わっていれば、カルナ・オルタに対する特別コマンド「主人兼親友の怒声」を使用することで、トランス状態に陥っているカルナの意識を揺さぶることが可能になる。

ただしその場合、アディティナンダの方も呪いのスキル「絶佳の魔声」で打ち消そうとするため、タイミングを見計らう必要あり。

 

「神々から与えられるだけの玉座なんて、不要だ! わたしはわたしの欲しいものを自分と頼りになる家臣との力で獲得してきた! この先に何が待ち受けようと、これからだってそうしてやる! お前のしようとしていることなど、余計なお世話だ、アディティナンダ!!」

「お願いです、ドゥリーヨダナ。ワタシの話を聞いてください。ワタシはこの聖杯とつながることで本来の歴史を読み解きました」

 

カルナ・オルタが槍を引く形で、一戦目は終了。

あのままカルナが死ねば、そう遠くない未来にカウラヴァはパーンダヴァによって敗北し、軍団は散り散りになってしまうこと。

それから起こるドゥリーヨダナの非業の死、腹心であるアシュヴァッターマンを始めとするカウラヴァの家臣たちはそれぞれの誇りを踏みにじられる形で死を迎える羽目になること。

 

「もっと早くにアディティナンダという人間の人格を捨てるべきでした。そうすれば、もっと他の道が……」

「五月蝿い! いいか、わたしは物心ついて以来、神という存在が大っ嫌いだ! あいつらは訳知り顔で、完全なる善意でわたしたち人間に己の都合ばかり押し付けてくる! そこにわたしたちの都合など御構い無しだ! ――だがな!」

「お前は違った! お前とカルナだけは違った! お前が人の心を持ち、時に自制を失いかけつつも、人のようにありたいと思って行動してきたからこそ、わたしは大嫌いな神々の中で、唯一お前を共に未来を歩むものとして認めたんだ! それを悔いることなど、他の誰が肯定しても、このドゥリーヨダナが許さん!!」

「ありのままの人の姿を尊び、慈しみ続けたお前たちだからこそ、わたしはわたしの友として認めたのだ! それなのにどうだ、今のお前の体たらくは! 独善的で押し付けがましいその態度、わたしの嫌いな神そのものではないか!」

 

すごく滅茶苦茶なドゥリーョダナ理論に押され、たじろぐアディティナンダ。

そこを突いて攻撃するも、カルナ・オルタによって防がれる。二戦目、ここで一旦終了する。

 

そして、とうとうラストバトル。

それまでカルナ・オルタだけが相手だったのに、アディティナンダがキャスターとして参戦。

最強の矛と盾を手にしたカルナをサポートし、回避や攻撃力アップ、回復効果などといった支援や、強化解除や宝具威力ダウンなどの妨害をしてくる。

 

いいところまで追い詰めるものの、とうとう大聖杯の術式が稼働する。

ついに特異点が完成してしまうのか……と思いきや、カルナ・オルタがアディティナンダを槍で突き刺す形で大儀式が中断される。

 

――――そして……。


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