モンスターハンター Re:ストーリーズ【完結】   作:皇我リキ

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光る粘菌と爆撃の砕竜

 苔のような色合いの、不定形でドロドロとした粘菌。

 

 

「近くに居るね……」

 ブラキディオスと共存するこの粘菌は、爆発して胞子をばら撒いて増えていく。

 

 あらゆる地域に適応出来るブラキディオスと共存する事により、粘菌は繁殖を手助けして貰ってるんだ。

 一方で、ブラキディオスは爆発性の粘菌を攻撃に使う。それによって生息域を増やす粘菌。素敵な共存関係。

 

 

 正直、羨ましいなんて思ったり。

 

 

 

「居たニャ」

 小さく呟くムツキが指差す先に視線を送る。

 その先には、警戒して周りを見渡す一匹の獣竜種の姿があった。

 

 

「ブラキディオス……」

 群青色の綺麗な甲殻。獣竜種にしては珍しい発達した前脚には、私達の目の前にいる粘菌と同じ粘菌が付着している。

 この粘菌が爆発性で、危険なんだ。ブラキディオスも粘菌も、その性質を利用して共存している。

 

 粘菌が爆発さえしなければ、ブラキディオスを助ける事が出来たかもしれないのに……。

 でも、考えても仕方がない。今は沼地の生態系を守る為に、あのブラキディオスを倒す事を考えなきゃ。

 

 

 そういえば、私達の目の前にある粘菌はなんで爆発しないんだろう……?

 爆発する条件とかあるのかな?

 

 

「せーの、で飛び込むね。私がブラキディオスの正面に出るから、ムツキは援護お願い」

「ガッテンニャ。無理だけはするにゃ!」

「分かってますよー」

 正直に言うと、怖い。

 

 

 私の何倍もある身体と、危険な粘菌。

 さっきの戦いで分かったけど、動きも早いし力も強い。

 

 心臓が跳ね上がって、自分でも緊張してるのが分かった。

 

 

 でも、やらなきゃ。

 アランと会って二年。無駄な時間を過ごして来た訳じゃない。

 

 狩りの基礎だって教わったし、戦い方も習ってる。

 

 

 戦える筈。私だけでも何か出来る筈。

 足手まといにはなりたくない。アランの為に出来る事をしたい。

 

 私はそう決意を固めて、自分に言い聞かせた。

 

 

「……っ、行くよ!!」

 声と同時に足を前に出す。直ぐにブラキディオスが振り向いて、目が合って、引き返す事が出来なくなる。

 正直、怖いかな。殺すのだって、本当は嫌だ。助けられるなら助けたかった。

 

 

 でも、私は進むんだ。自分が選んだ道を、真っ直ぐに、迷わずに進むんだ。

 

 

「ギィォォォオオオオンッ!!」

「やぁぁ……っ!」

 咆哮を上げるブラキディオスの懐に飛び込む。片手剣を抜いて、硬い甲殻に叩き付けた。

 予め塗っておいた心眼の刃薬が、刃が弾かれるのを防いでくれる。

 

 甲殻を傷付けるだけで肉を切る事は出来ないけれど、ダメージは通っている筈だ。

 

 

 続いて振り上げ、同じ所に剣を叩きつける。

 私が次の攻撃の為にバックステップで距離を取ると同時に、ブラキディオスは前脚で地面を踏んでそこを軸に身体をズラした。

 

「っ?!」

 真横を取られる。振り上げられる前脚。反射的に私は横に転がった。

 瞬間、泥濘んだ地面が抉られる。まだ終わらない。逆の前脚が振り上げられ向かって来た。

 

「連撃……っ?!」

 攻撃が重いのにフットワークが軽い。一撃貰ったら倒れてしまうだろう攻撃に唾を飲む。

 それでも、逃げてはいられない。私は前に進んむんだ。

 

 身体が恐怖で動かなくなる前に、私は地面を蹴って振り下ろされる前脚を掻い潜る。

 潜り込んだブラキディオスの懐で、私はその脚を蹴って跳躍(・・)した。

 

 

「やぁっ!」

 同時にブラキディオスの横腹に剣を叩き付ける。勢いで跳ね上がった身体は、連撃で前に進んだブラキディオスの尻尾の上を取った。

 

「……そこだ!」

 尻尾の付け根に、上からクラブホーンの剣を突き付ける。跳躍してから落下する勢いを乗せた斬撃が、尻尾の付け根の甲殻を叩き割った。

 

 

 

 エリアルスタイル。

 

 モンスター等を踏み付けて跳躍し、空中での攻撃を得意とする。アランが教えてくれた戦い方だ。

 モンスターの上から攻撃してその背中に乗ったり、普通にやったら届かない所に攻撃が出来るのが特徴である。

 

 

 アランはボウガンの反動を使って空中で動いたりするけれど、私はそこまで出来ない。

 だけど、真似してる間にこの狩猟スタイルが戦いやすいと思えてきてアランにしっかり教えて貰ったのです。

 

 ちゃんと弟子らしく、覚える事は覚えました。難しい勉強とかはなかったから、良かった。

 

 

「ギォゥッ?!」

 よし、怯んだ。位置が悪くて背中には乗れなかったけど、もう一度隙を見せてくれれば乗り(・・)も狙えるかも。

 

 

「───ぅぁ?! ちょ、待って!!」

 そう思いながら地面に着地。と、同時に私は左手の盾を正面に構えた。

 

 

 目の前のブラキディオスが盾に隠れて視界から消える。

 

 そんな行動が危険なのは分かっていたけど、どうしても反射的に構えてしまったのだ。

 

 

 何故か?

 

 足下にへばり付く、緑色の不定形なネバネバ。

 跳躍してから、私はブラキディオスの粘菌が着いている地面の目の前に着地してしまう。

 コレが爆発すると分かっている私は、反射的に盾を構えた。しかし、来る筈の衝撃は怯んだブラキディオスが立て直して鳴き声を上げても来ない。

 

 

「あれ……? なんで?」

 恐る恐る構えを解いても、目の前の粘菌は健在だった。

 爆発しないの……? 疑問が募る中、ブラキディオスが私を睨み付けて姿勢を低くする。

 

 

「何してるニャ、ミズキ。来るニャ!」

 ムツキの声で我に戻って、私はブラキディオスを良く観察した。あの構えは突進か、それとも───

 

 

「ギィォァァッ!」

 ───ぇ、跳んだ。ブラキディオスが跳んだ。

 

 

「嘘ぉ?!」

「ぎにゃぁぁぁ?!」

 冗談でも、比喩表現でもなく、ブラキディオスがその巨体よりも高く跳ぶ。

 その全長の倍近くまで浮いた身体は、重力に吸い寄せられて地面に。私を踏みつぶそうとその身体を落とす。

 

「……ひぃっ?!」

 私はなんとか反応して、地面を何回も転がって降って来るブラキディオスを避けた。

 直前まで私が立っていた地面を踏み抜くブラキディオス。前脚に着いていた粘菌が少し地面に着くけれど、やっぱり爆発はしない。

 

 

「なんで……?」

「何してるニャ、せっかくの隙に」

 隣に並んだムツキが小タル爆弾を持ち上げながら、私を叱責する。

 そうだね、今は考えても仕方がない。私もムツキが小タル爆弾を勢い良く投げる先に、視線を送った。

 

 

「グォゥゥ……ギォァァ」

 小タル爆弾の直撃も気にせずに、ブラキディオスは自分の前脚を口に咥える。

 左右どちらも、まるで舐めるように口内を滑らせた前脚からは唾液が地面に垂れた。

 

 

「何をし───そういえば……」

 そんなブラキディオスの行動を見て、私は少し前のアランの言葉を思い出す。

 

 ──ブラキディオスが前脚を舐めたら粘菌に気を付けろ──

 そういえばあの時も───そう思った次の瞬間、ブラキディオスは腕を振り上げた。

 

 

「……っ!」

 考えを放棄してブラキディオスの懐に飛び込む。背後に叩き付けられた前脚が地面を揺らして、粘菌が地面に広まった。

 

「ここだ……っ!」

 さっきから見ている限り、ブラキディオスの大振りな攻撃は隙が大きいように思える。

 だから、仕掛けるなら今だ。両手の剣(・・・・)を構えて踏み込む。右脚を軸にして、前進しながら身体を回転させ双剣(・・)でブラキディオスの足を斬り裂いた。

 

 

「グォァッ?!」

 小さく悲鳴をあげるブラキディオス。よし、効いてるみたい。

 

 私の武器であるクラブホーンは、元々双剣として設計されている。

 右手の剣。左手にはどこからどうみても盾を持ったこの武器だけど、この盾の先端に着いた小さな爪で斬撃を繰り出す事が出来た。

 

 

 普段は片手剣として使ってるんだけど、こうやって双剣として使う事も出来る。

 ダイミョウザザミさんに貰った力。ちゃんと使えてるかな……。

 

 

「よし、まだまだ!」

 怯んだブラキディオスにさらに連撃を加える。

 その脚に左右の剣を交互に叩き付けた。

 

「ミズキ、離れるニャ!!」

 ここで一気にダメージを稼ごう。そう意気込んでいた私の背後から、ムツキのそんな必死な声が響く。

 せっかくのチャンスなのに、なんでだろう。そう思っていたら、ふと足元に光るオレンジ色の粘菌が視界に入った。

 

 

「ぇ───」

 声を出す暇も無く、次の瞬間眼前に炎が燃え上がる。

 爆発の衝撃で身体が浮いて、私はぬかるんだ地面を何回も転がった。

 

 

「ニャ! ミズキぃ!!」

 上と下が何回も入れ替わって、頭の中がグルグル回って、胃の中の回復薬を吐き出す。

 

 爆発の寸前で反射的に盾を構えて大きなダメージにはならなかったけど、立ち上がるのがやっとだ。

 視界の奥で満足気に私を見下ろすブラキディオス。その動きに注意しながら私は回復薬を一本飲み干す。

 

 

 狩りって難しいね。私はもう少し出来ると思っていたのに、結局ダメだったみたい。

 

 ムツキが閃光玉を投げたのを確認してから、私は盾で視界を塞いだ。

 次の瞬間、ブラキディオスが小さな悲鳴を上げる。

 

 

「ミズキ、分かってるニャ?」

「……っ。…………う、うん」

 ムツキが無理だと思ったら、閃光玉投げて狩りはおしまい。

 約束だったし、実際に私は直ぐには戦える状態じゃない。

 

 急いで手を引いてくるムツキにされるがままに、私は近くにあった洞窟へ連れて行かれた。

 

 

 

「……ギィォォオオオンッ!」

 視界が戻り、咆哮を上げるブラキディオスを尻目に。

 

 

 

 なんでさっきまで爆発しなかったのに、今になって……?

 

 ふと、さっきも思い出したアランの言葉を思い出す。

 

 

 ──ブラキディオスが前脚を舐めたら粘菌に気を付けろ──

 

 

 ───もしかして。

 

 

 

   ◇ ◇ ◇

 

「大丈夫かニャ?」

「う、うん。何とか……」

 衝撃に強いウルク装備のおかげで、大きな怪我はしていなかった。

 けれど、回復薬を二本飲んでやっと満足に身体が動く程。

 

 

「危なかったニャ、本当に。……ったく、これに懲りたらこんな危険な真似は二度とするにゃ」

 あの粘菌の爆発はとても強力で、一歩間違えば大怪我だったと思う。

 でも───

 

「ムツキ、あと一回だけ」

「何言ってるニャ! 今さっき大怪我するかも知らなかったのに!」

 で、ですよねぇ……。───でも、分かった気がするんだ。

 

 

「もしかしたら、ブラキディオスを助けられるかもしれないの!」

「…………ミズキのそういう所嫌いじゃないけど、毎日心臓が止まる思いで見てるこっちの身にもなって欲しいニャ」

 うぅ……ごめんなさい。

 

「で、どうやって助けるニャ。大前提として一番の問題は粘菌で、これをどうにかしない限りアランの言う通り火山に帰すのは無理ニャ」

 ブラキディオスの爆発性の粘菌。もう何度か間近で見て思い知ったけど、あの粘菌は本当に危険だ。

 放っておけば沼地のあらゆる場所で粘菌が爆発して、生態系に影響を及ぼす可能性もある。無理に沼地を追い出そうとすれば、それこそ被害を広めるだけ。

 

 

 なら、どうするか?

 粘菌の爆発を止めるしかない。

 

 

「もしかしたら、あの粘菌って爆発する為に必要な物があるんじゃないかと思って。それを止めれば……もしかしたら?」

「爆発するために必要な物……? 何ニャ、それ」

「あの粘菌、爆発する奴と爆発しない奴があったよね?」

 半目で首を傾げるムツキの問いに、私はそう答える。

 

 

「んニャ。まぁ、確かに」

「それで、どうしてかなって考えてたの。そうしたらね、アランの言葉を思い出して」

「アランの言葉……?」

 私達がブラキディオスと戦う前に見つけた粘菌や、私が着地した所にあった粘菌は少なくて爆発もしなかった。

 だけど、アランと戦った時や私と戦ってる最中にブラキディオスがある行動(・・・・)をした後から粘菌は爆発するようになる。

 

 その行動と、アランの言葉が頭の中で一致した。

 

 

「ブラキディオスが前脚を舐めたら粘菌に気を付けろ……。アランはそう言ってたよね?」

「確かに、そんな事言ってた気がするニャ」

「それで思い返してみたら、あの粘菌が爆発するようになったのは前脚を舐めてからだなって思って」

 アランと戦ってた時も、私と戦った時も。ムツキが集めたげどく草を燃やした時も、ブラキディオスはその前に自分の前脚を口に咥えていた。

 

 

 もし、粘菌が爆発する引き金がその行動だとしたら?

 

 

「だから、ブラキディオスに前脚を舐めさせないようにすれば粘菌は爆発しなくなるんじゃないかな!」

「…………それが出来たらアランも同じ事をやってるんじゃないかニャ?」

「…………ぁ」

 当たり前の事。

 

 

 そもそもブラキディオスを助けられるなら、アランがその方法を教えてくれた筈だ。

 アランが知らない事を私が出来る訳ない。アランが知らなくて、私が知ってる事なんて殆どないんだし。

 

 

「ったく、もう少し考えてから物を言うニャ」

 言いながらムツキは、ポーチから取り出した松明に火を付ける。

 洞窟の中だから確かに暗いけど、松明を付ける程かな? そう思って周りを見渡すと、白くて小さな生き物が目に入った。

 

「あ、プニプニ」

 身体と小さな前脚と、大きな口だけのモンスター。ギギネブラの幼体であるギィギが何匹か洞窟の奥から出て来ている。

 この洞窟はあなた達の住処だったんだね。ごめんなさい、少しだけ場所を貸して欲しいです。

 

 

「もっと周りと現実を見るニャ。頑張るのを悪い事とは言わないけど、出来ない事までしようとするのは努力じゃなくて無謀ニャ。……シッシッ」

 松明を振って、ギィギを遠去けるムツキ。プニプニは火が嫌いなのかな?

 

 ムツキは私が知らない事も知ってるね。私だけ、なんだか役立たずだなぁ……。

 

 

「むぅ……」

 それがちょっと悔しくて、私は口を尖らせて指を咥えた。完全に不貞腐れてる悪い子である。

 

 

 でも、どうしてもブラキディオスを助けたい。

 そうでなくても、このギィギ達や沼地の他のモンスターだけでも救えないのかな……。

 

 それにはブラキディオスを倒す必要があるんだけどね。

 

 

「指咥えて見てても何も始まらないニャ。ブラキディオスじゃないんだから」

「むぅ」

 言われて、私は咥えた指を引き抜く。指に付いた唾液が地面に落ちて弾けた。

 

 

 ブラキディオスが前脚に付いた粘菌を舐めると、粘菌は爆発するようになる。

 特別、口から火を吐いたりはしてなかった。なら何が粘菌を爆発させていたのか。

 

 

 ───これなの?

 

「……唾液を粘菌に付けてた?」

 水分か、それとも唾液に含まれる何か。それと反応して爆発するのだとしたら?

 ダメ。やっぱりどちらにせよ、ブラキディオスが前脚を咥えるのを防ぐ手段がない。

 

 

 だからと言って、唾液そのものを止める事なんて出来な───

 

「ニャ、毒吐いて来たニャこのギィギ。シッシッ」

 毒……?

 

 

 ふと、頭にベースキャンプでの出来事が思い浮かぶ。

 

 

 ギギネブラの毒を解毒するために私が飲んだアイテムを思い出した。

 

 

「───待って、出来る。……出来るよムツキ!!」

「ニャ……? 何が出来るって? あ、毒吸っちゃったニャ」

 ムツキはポーチから瓶を一本取り出して、苦そうな顔で中の液体を少し飲む。

 

 

「ぺっ、ぺっ、あー……やっぱり副作用キツいニャ。我ながら上手く調合したとは思ってたけど、やっぱり解毒薬で良いニャ」

 瓶に入った濁った水のような液体は、漢方薬というアイテムを私が飲み込めるように水で薄めた物だ。

 にが虫と落陽草の根を調合して作られたそのアイテムは、解毒効果があるのだけど───副作用が一つだけある。

 

 

 ──漢方薬の副作用ニャ。喉の渇きと唾液の分泌を抑えてしまうニャ──

 

 その副作用が、唾液の分泌を抑える事だった。

 実際に飲んだから分かるけど、本当に唾液が出なくなるし喉も乾く。

 

 

 

 もしこの副作用をブラキディオスに発症させる事が出来れば、唾液の分泌を止めて───ブラキディオスの粘菌の爆発を抑える事が出来るかもしれない。

 

 

 

「ムツキ、それだよ! それ!」

「ニャ? それ? ……これ?」

「うん、それ! 漢方薬だよ! その副作用で唾液が出なくなれば、もしかしたら粘菌が爆発しなくなるかもしれない!」

 ムツキが半分程飲んだ瓶の中身を指差して、私は声を上げる。

 

「ブラキディオスが腕を舐めてたのは、唾液を粘菌に付けてたと仮定する訳かニャ。その唾液が出なくなれば、粘菌も爆発しない」

 私の言葉を聞いて、ムツキは松明を片手で振りながら、顎に手を当ててそう言う言った。

 続いて手持ちの漢方薬とギィギを見比べてから、ムツキはこう口を開く。

 

 

「で、どうやって漢方薬をブラキディオスに飲ませるニャ」

「刃に刃薬みたいに塗って、攻撃してたら毒みたいに身体に回らないかな……? なんて……」

「この量でブラキディオスに聞くと思ってるのかニャ?」

「う、そ、それは……」

 やっぱりダメかな……。

 

 

 そう思って諦めかけた瞬間、ムツキが私に松明を渡してくる。え、どうしたの?

 

 

「ったく、世話の焼ける妹ニャ」

 そう言うと目を光らせて手頃なギィギに一瞬で肉薄するムツキ。

 メラルーならではの素早さで背後を取ったムツキは、少し大きめのギィギを掴んで持ち上げた。

 

 

「ちょっと、エキス寄越せニャ」

 目を光らせたまま、ギィギを雑巾みたいに捻るムツキ。小さな悲鳴が上がって、他のギィギは恐怖を覚えたのか一目散に逃げていく。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 怖い。ムツキが普通に怖い。

 

 

「な、な、な、な、な、何してるの?!」

「ちょっと体液を貰っただけニャ」

 笑顔でそう言うと、地面に放り投げられたギィギは逃げた仲間を追うように一生懸命洞窟の奥へ向かっていった。

 そんなギィギを捻っていたムツキの手には、何やら透明な液体の入った瓶が握られている。

 

 

「ちょっと薄いけど、これでも多分十分ニャ」

 そしてそれを、漢方薬の入った瓶に少しずつ小分けにして入れるムツキ。調合、してるのかな?

 漢方薬に入れてるあの液体は……ギィギを捻って出てきた体液?

 

 

「アルビノエキスっていう、フルフルやギギネブラから取れる体液には薬の効き目を強くする作用があるニャ。まだ幼いギィギから取れた体液だから、大した効果はないかもしれないけど……気休めにはなるニャ」

「よく分からないけど……。ムツキ、もしかして……」

 戦っても良いのかな?

 

 

 もう一度だけ、チャンスをくれるのかな?

 

 

「……一回だけニャ。またダメだと思ったら、ボクが止めるニャ」

「ムツキ…………ありがとう……っ!」

「ぎにゃん……っ!」

 思わず頼りになるお兄さんに抱き着く。本当にいつもありがとう。心配ばかりかけてごめんなさい。

 

「は、離すニャぁ! こんな所で抱き着くにぁ!!」

 なんか、顔赤い? 大丈夫かな?

 

 

「ふふ、ありがとうムツキ」

「やれるのかニャ? ブラキディオスは強敵ニャ」

 うん、そうだね。物凄く強い。やっぱり怖いよ。

 

 

 でも、だからこそこの沼地にあのブラキディオスは居てはいけないと思う。

 

 

「漢方薬の副作用が本当に効くか分からないニャ。効かなかったら倒すか、逃げるしかない」

 そして何より、私はそんなブラキディオスさんの事も私は助けたい。

 

 

 

 もし、助けられるのなら私が───

 

 

「───私が、ブラキディオスを助ける!」

「もう一度だけ、お兄ちゃんが面倒見てやるニャ」

 頼りになります。ありがとう。

 

 

 

 それじゃぁ、リベンジと行きますか!

 

 

   ◇ ◇ ◇

 

 漢方薬にアルビノエキスを調合した液体は、心眼の刃薬のようにドロっとしていて程良く滑る。

 ブラキディオスの硬い甲殻に弾かれずに刃を滑らす事が出来て、更に柔らかい脚や前脚に漢方薬を毒のように送りつける事が出来た。

 

 

 

「ギィォォォオオオオンッ!!」

 何度目かの咆哮。自分の前脚を一度舐めたブラキディオスが、その前脚を地面に叩き付ける。

 

「……っ。まだ……っ!」

 粘菌は広がりながら色を黄色、オレンジへと変えて爆発した。

 ブラキディオスと再戦し始めてから少し経つけど、未だに漢方薬の副作用が発症している様子はない。

 

 

「ギィォゥゥッ!」

 頭を地面に突き刺すブラキディオス。怒り状態に入ってから行うこの攻撃が厄介で、前方の地面に粘菌を送り付けて遠くまで爆発を起こす技だ。

 近付けば身軽なフットワークと力の強い前脚、そして爆発する粘菌。離れても飛び込みやこの前方を爆発させる技がある。

 

 本当に強い。危険なモンスターだって思い知らされた。

 

 

 だけど───いや、だから。

 

 

「私はあなたを助けるよ……。あなたも、沼地の皆も助ける……っ!」

 何もかもを救おうなんて、そんな事は出来ないって分かってる。

 でも、もし私が助ける事が出来る命があるのなら。私が、私の進みたい道に進む為に───止まらない為に進むんだ。

 

 

 

「この隙に……っ!」

 爆発を横に転がって交わしてから、ブラキディオスの懐に飛び込む。

 振り払われた前脚を交わして背後を取り、その脚を斬り裂いた。

 

 振り下ろし、振り上げ、両手の剣を構えて持ち上げる。

 

 

「うぉぁぁ……っ!」

 声を上げながら、私はブラキディオスの脚を踏んで跳躍した。

 それと同時に身体を捻り、空中で私は何度も回る。両手の剣が回転の度に群青色の甲殻を削り、肉を斬った。

 

 

「グォァッ?!」

 怯んだ……っ、ここだ!

 姿勢を崩したブラキディオスの上を取った私は、その背中に着地して武器を背負ってから剥ぎ取りナイフを取り出す。

 

 

「ちょっと、痛く……するからね!」

「グォァゥォァッル?!」

 突然背中に乗られて驚いたブラキディオスは、左右に身体を揺らして私を振り下ろそうとした。

 この高さ、ダイミョウザザミさんの背中に乗せてもらった時の事を思い出すな。あの時とは違って、ブラキディオスは嫌がってるけれど。

 

 

 振り落とされないように、私は甲殻の隙間を確りと握る。

 少し暴れまわって、疲労からか動きを止めたブラキディオス。

 

 その背中に、私は剥ぎ取りナイフを突き立てた。

 弾かれても気にせずに何度もナイフを当てて、しまいに硬い甲殻が割れて一部だけ肉が丸出しになる。

 

 

「ここだ……っ!」

 そこで私は剣を構え、ブラキディオスの背に立ってからその剣を背中に突き立てた。

 クラブホーンの先端が甲殻に守られていない肉を抉る。吹き出る鮮血。

 

 ブラキディオスは声にならない悲鳴を上げながら、痛みに耐え切れずに身体を横転させた。

 身を投げてでも痛みとその元凶を振り払いたかったのだと思う。ごめんね、酷い事して。

 

 

 でも、これで終らせる。

 

 

「ムツキもお願い!」

「即席調合。素材玉と漢方薬で、漢方玉ニャ! ニャッハッハッ! 喰らえニャオラぁ!」

 ムツキが何か投げてる横で、私は何本目かの漢方薬を刃に漬す。

 水で薄めた漢方薬。濁った液体を刃に均して、横倒しになったブラキディオスに肉薄した。

 

 

「グォァ……ッ、グォァ……ッ!」

 痛みに暴れまわるブラキディオス。その立派な前脚をクラブホーンで切り裂く。

 

 踏み込んだ二本の刃で切り開き、左右の剣を交互に振る。

 噛み付こうと開かれた顎を盾で防ぎながら、右脚を軸にその場で大きく回転斬り。斬撃で砕けた甲殻と鮮血が、水平に飛び散った。

 

 

 

「ギォァァ……ッ」

「……っ」

 回転斬りの直後にブラキディオスが起き上がる。膝から崩れ落ちそうになったけど、休んでは居られない。

 

「ミズキ、一旦離れるニャ!」

「う、うん!」

 漢方薬の効果は効いているだろうか?

 

 

 そもそも効果が出るか分からない作戦だし、唾液を封じても粘菌が爆発しなくなるとも限らない。

 それでも可能性を信じて戦うならば、私は倒れたらいけないんだ。

 

 

 ムツキが小タル爆弾を投げると同時に私はブラキディオスから距離を取る。

 爆発で怯みもしないブラキディオスは、鬱陶しそうに前脚を払って私達を睨み付けた。

 

 

「ギォァァ……ッ!」

 狙いを定めたその前脚を振り下ろす。横に飛んで躱した私達の真横に粘菌が小さく付いた。

 

 

 ブラキディオスから視線は外さずに、地面に付いた粘菌を横目で確認する。

 少しずつ色が変わる粘菌は、小さな爆発を起こした。

 

 

 

「……っ。……まだダメ?」

「諦めるなら直ぐにでも閃光玉投げるニャ?」

 試すような声でそう言ってくるムツキ。分かってて言ってるんだろうね、きっと。

 

「諦めない……っ!」

「ガッテンニャ。しょうがないからお兄ちゃんが付き合ってやるニャ!」

 ハンター用のブーメランを構えながらそう言ってくれるムツキ。ありがとう、心強いです。

 

 

 

 正直、もう身体は限界だ。呼吸は荒いし頭はガンガンと頭痛がする。

 膝はガタガタ揺れるし、武器を握る手は震えていた。

 

 

 それでも、諦めない。

 

 やっと自分で見付けた道なんだ。

 

 初めて進む道なんだ。

 

 

 これまでアランの背中を追って来ただけの私が、初めて一人で見付けて進む道なんだ。

 

 

 

 この先に何があるか知りたい。

 

 

 この先に何があるか見たい。

 

 

 だから私は───

 

「───だから私は、諦めない……っ!」

「ギィォォォオオオオンッ!」

 咆哮を上げるブラキディオス。前脚を咥えるその姿はもう何回目か。

 

 

 もうブラキディオスと戦い始めて、どれだけの時間が経ったか分からない。

 頭の瘤を地面に突き刺し、粘菌を地面に送り付ける攻撃。もう限界の身体でなんとか地面を蹴る。

 

 爆発が来たらまた近付いて攻撃しなきゃ。

 頭の中で次の行動を思い描いた。来る筈の衝撃に身構えて、走る準備をする。

 

 

 だけど───

 

「……あれ?」

 ───粘菌は爆発しなかった。

 

 

「ニャ?!」

「まさか……」

 真横で広がる粘菌。しかし、その粘菌は色も変わる事なく爆発もしない。

 ブラキディオスはそれがどうしてなのか理解出来ずに、また前脚を口に咥える。

 

 そしてブラキディオスは前脚を交互に振り下ろしながら突進。

 大きく軌道から離れて突進を避けて、振り向くと小さくこびり付くだけの粘菌が見えた。

 

 

 やっぱり、爆発しない。

 

 

「グェォァ……? ギェァ……ギェァ……」

 ブラキディオスは何度も何度も前脚を咥える。だけど、その前脚に唾液が付く事はなかった。

 

 

「き、効いてるのかニャ?! 本当に唾液で爆発させてたって事かニャ!」

「漢方薬の副作用が効いた……。……っ、ムツキ! 火山どっち?!」

「あニャ、ぇ、と、ぁ、こ、こっちニャ!」

「逃げるよぉ……っ!!」

 ムツキの手を引いて全速力で駈け出す。さっきまで重かった足が、嘘みたいに軽い。

 副作用が効いたんだ。当分の間、ブラキディオスは粘菌の爆発が使えない。

 

 

「ギィォォォオオオオンッ!」

 いきなり逃亡する私達を、ブラキディオスは追いかけて来る。

 途中で飛び込みや、前脚を叩き付ける攻撃をしてきたけれど粘菌はやっぱり爆発しなかった。

 

 

 足は軽い。大丈夫、走れる。

 

 

 この先に答えがある。

 

 

 私が進みたかった道の先にある答えがある……っ!

 

 

 

「ミズキ、もうこの先からは隠れる場所もないニャ。やるなら此処!」

「……分かった!」

 走りながら閃光玉を投げるムツキ。光蟲が放たれると同時に今日何度目かの強い光が沼地の端を覆った。

 

 

「隠れるニャ」

「……っ、はっ……はぁ…………ぅ、うん!」

 小さな悲鳴をあげるブラキディオスの横を通って木陰に隠れる。

 

 直ぐにブラキディオスは視界を回復させて、見失った私達を探す為に周りを見渡した。

 閃光玉も何度か使えば効果時間が短くなってしまう。多分、次はない。

 

 

 

「貴方の居場所は此処じゃないよ……」

 そんなブラキディオスを見詰めながら、私はアランに貰った御守りを握ってそう口にした。

 届くとは思っていない。それでも、溢れるように言葉が漏れる。

 

「本当は怖かったんだよね……? 知らない場所に来ちゃって、周りは皆敵だらけで。自分の居場所が欲しかったんだよね?」

「グァォゥゥ……」

 目が合った気がした。

 

 

 きっとそんな訳ないし、そうだとしても私の気持ちは伝わってない。

 

 

 

 ただ、それでも自然と。ブラキディオスの気持ちが分かった気がした。

 気の所為だとは思うけどね。

 

 

「火山は……あっちだよ」

「……ギェゥ…………ギィォォオオオンッ!」

 少し大きな声を上げてから、真っ直ぐと火山の方に身体を向けるブラキディオス。

 その瞳が一瞬だけ私達を見た気がして、ちょっと怖かったけど。ブラキディオスはそのまま真っ直ぐに歩いて火山に向かって行った。

 

 

 

 

「な、なんとかやったニャ……?」

 少しの間、粘菌は爆発しない。

 

 そして、きっとブラキディオスは真っ直ぐに火山に向かってくれるって。なんだか不思議だけどそんな気がするんだ。

 ブラキディオスの事が少し分かったような、気持ちが繋がったような。心が通い合ったような、そんな気がするんだ。

 

 

「これが……アランが見てた光景なんだね」

 とっても素敵な光景。貴重な体験。

 

 ずっと探していた、道の先の答え。

 

 

 

「良かったニャ───って、泣いてるのかニャ?!」

「ぇ……あ、あれ? なんで私……ぁ、あはは、嬉しくて、つい?」

 気が付いたら瞳に水が溜まっていたみたい。うん、確かに嬉しいよ。

 でも、泣く程とは自分でも思わなかったなぁ。

 

 

 

「……何も良くないぞ」

 ふと、ムツキの代わりに返事をする見知った声。

 

 振り向くとそこには、ちょっと怖い顔で腕を組んで立っているアランが居た。

 ……見つかった。え、どうしよう、物凄く怒ってる。凄く目が怖い。ぇ、怖い!

 

 

「ミズキ……」

「ぇ、ちょ、ま、待って、ぇと、なんで、アランがここにぃぃ痛いっ!」

 当然ながら、拳骨を貰いました。普段はチョップなのに……。

 

 当然かな……。凄く怒ってるし。

 

 

 

「なんで俺が居ない時に無茶をした。……死んでいたかもしれないんだぞ!」

「そ、それは……」

 真剣な声。大きな声にビックリして、私は言葉が出なかった。

 

 言い訳も出来ない。

 ただ私は、誰かの助けになりたかった。それだけなのに……。

 

 

「人間はな……簡単に死ぬんだ。本当に、簡単に死ぬんだ」

 強く手を握りながらそう言うアラン。震えているその手がもう一度上げられる。

 また殴られたってしょうがない。それだけ心配を掛けたし、私は多分間違った事をしていた。

 

 

「───ふぇ……?」

 ただ、目を瞑って身構える私を襲う筈の衝撃は来なくて。

 優しく引き寄せられる感覚に目を開けると、大きな手が私の頭を撫でていた。

 

 ……あれ?

 

 

「ただ、良くやったな。粘菌の爆発を止めて、ブラキディオスを救ったのは誰にでも出来る事じゃない……」

「わ、私は……。アランの助けもしたくて……ブラキディオスも、沼地のモンスターも助けたくて……」

「……分かってる」

 優しく頭を叩くアラン。ふと顔を上げると、彼は優しい表情をしてるんだけど。

 

 

 なんだか、寂しそうだった。

 

 

 

「だから、もう二度と俺の居ない所で無茶はしないでくれ。……それだけだ」

「うん……。ごめんなさい」

 アランは本当に優しいね。

 

 それでいて、物事をちゃんと考えてる。アランと同じ景色が見れたと思っていたけど、まだまだ全然だね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな事が分かった、少しだけ素敵な体験が出来たクエストのお話。

 

 

 

「ところでクエストは時間切れで、サブターゲットもクリア出来にゃいから。今日のご飯はキノコニャ」

「ぁ」

 軽快なクエスト終了を知らせる笛の音と、お腹の虫の音が重なる。

 

 

 

 まぁ、良いかな? なんて。




読了ありがとうございました(`・ω・´)


さてさて、今回のお話ですが実は『モンハン商人の日常』の作者さんにネタを貰ったお話になります。

ブラキディオスが唾液によって粘菌を活性化させているという生態は、それなりに有名な話なのでそこは割愛。

漢方薬の──唾液の分泌を抑える──という副作用ですが、何も完全な独自設定ではありません。

現実の世界にも唾液の分泌を抑える作用のある──硫酸アトロピン──という薬品があるのですが、自然界ではヒヨスチアミンという物質として存在しています。ナス科の植物に多く含まれている物質です。
ちなみにこの硫酸アトロピンというのは現実世界では──解毒薬──として知られています。これらは知っている方も居るのではないでしょうか?

して、このヒヨスチアミンを含んでいる可能性のある植物がモンハンのゲームで出て来るアイテムに存在している訳です。

現実世界の植物の話に戻りますが。
チョウセンアサガオの近縁種で──ヨルガオ──という、夜に花を咲かせる花があります。ヒヨスチアミン、つまりは解毒作用を持った植物です。

モンハン世界にも夜に花を咲かせ、解毒成分を持ち合わせた植物があるのをご存知でしょうか?
それが今回使用した解毒効果のある漢方薬の調合素材──落葉草──でした。正式には、その根っこですが。

この落葉草とヨルガオの似通った性質から、両者の解毒成分が同じ物質──ヒヨスチアミン──だとしたら?
もしかしたら漢方薬には、唾液の分泌を抑えてしまう副作用があるかもしれない。


なんていう、素敵な解釈を頂いた訳です。
結構割愛したので上手く説明出来ているか自信がありませんが「なるほどねぇ」くらいに思って頂いたなら幸いですね。
こんな素敵なネタを貰った以上、上手くお話を作らねばと頑張って見た訳ですが。上手に書けたかは自信がない所です。しかし、素晴らしいネタをありがとうございました。


さてさて、お話としては成長したミズキの想いだとか戦闘スタイルを書いたつもりです。
双剣or片手剣。またズルしてるよこの人と思われそうですけど、私はここまでしないと秀でた戦闘シーンは書けないのかもしれませんね……。このお話の戦闘シーンが良いものになっているかはさて置き。


さてさて、なんとまたファンアートを頂いてしまいました。しかも、今回は二件も。それでは紹介致します!

【挿絵表示】


【挿絵表示】


しっかり髪の伸びたミズキちゃんが可愛いです(´,,・ω・,,`)
2枚目は素敵なメッセージの付いたタマゴから産まれるミカヅキです。殻を頭に乗っけた純粋無垢な表情がとても可愛い。語彙力喪失、とても嬉しいです。ありがとうございました!!!


長文になってしまいましたが、読了ありがとうございます。

感想、評価の程もお待ちしております(`・ω・´)
ではでは、またお会い出来ると嬉しいです。

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