春アニメが一通り終わり、夏アニメが始まりだしましたが皆さんは何を見ているのでしょうか?
アスタリスク放送から1年かと思うと、時間が過ぎるのが早いような遅いような気がしてなりません。
わたしが失踪するのも皆さんからすればすぐの事かも知れませんね(殴
それでは、どぉぞ
《鳳凰星武祭》準決勝第一試合
会場の熱が雅也達の控え室まで届いてきている。あれだけの激闘を繰り広げた二人の相手は、アルルカントのアルディ・リムシィペアだ。
「綺凛ちゃんと沙々宮先輩は大丈夫ですかね?」
「何かあっても二人なら大丈夫、とは言えないかなぁ。敵が敵だし、試合以上に何が起こるかわからないかなぁ」
雅也とウェンディも試合ということで綺凛と紗夜を見送って控え室に来ていた。
「直接的ではなく間接的に...証拠が残りにくい手段で邪魔をしてくるのはさすが《悪辣の王》だよ」
「フローラちゃんを誘拐して、天霧先輩の《黒炉の魔剣》の使用を禁止。ということは天霧先輩が優勝されると不都合があるという事ですね」
「綾斗の願いは確かお姉さんの捜索だったね。でもなんでディルクがそれを妨害するんだろうねぇ」
雅也は空間ウィンドウを操作し、とあるページを開く。そこにはレヴォルフの生徒の情報や表向きには公表できない情報が並べられていた。
以前、ディルクと接触した際に情報交換用に連絡先を受け取っていた雅也は、そこから逆に潜り込み様々な情報を得ていた。
しかしそこに今回の誘拐の件は無く、ディルクも慎重に扱っており秘匿性の高い事件なのだろうという事を確認していた。
「ダメだァ、それに関する情報が全く無いね。せめて現場に行ければいいんだけど」
「それはユリス先輩達も同じですよ。それに私達は生徒会長から情報を探す役割を頼まれたんですから現場には行けませんよ」
二人を見送った後、クローディアから雅也の携帯端末に『再開発エリア付近の情報収集』のメッセージが届いていた。捜索に行くメンバーと情報を集めるメンバーに分けて効率よく探す作戦だ。
「...試合が早く終わればもっと集められる...か」
「でも相手はあのアルルカントの二人です。あの障壁は私の付加をかけた雅也さんでも攻略できるかどうか...」
「そうだねぇ。普通にやれば大苦戦するだろうねぇ」
「普通にやれば...ってまさか何か秘策があるんですか!?」
「あぁ。昔、教えて貰った物なんだけどね──」
『さぁさぁお待たせいたしました!鳳凰星武祭準決勝第一試合は星導館学園の一色雅也・ウェンディ・マーベルペア対アルルカントのアルディ・リムシィペアです!』
『ここまで圧倒的な差を見せつけて勝ち上がってきたアルルカントのペアと準々決勝で死闘を繰り広げたペアの戦い。これも目が離せないですね』
『一色選手達は果たして、あの絶対障壁を破れるのでしょうか!?そこが見所の一つとなりそうですね!さぁいよいよ試合開始です!』
「《鳳凰星武祭》準決勝第一試合、試合開始!」
試合開始の宣言がされたが、アルディとリムシィは動く気配を見せない。
「随分と余裕だね、アルディにリムシィ」
「我輩は既に貴君の魔法や星辰力のデータをマスターにより研究されている。その結果から貴君の星辰力では我輩の障壁を破る確率はゼロに等しい。故に今回も一分間の猶予を与えよう」
「そりゃまたえらい自信だねぇ。
まぁ一分あれば準備は整うけどね」
ボソッと意味深な事を呟く雅也は、目を瞑り星辰力を高め始める。更にはウェンディが付加魔法をかける。
それを見たリムシィはアルディに注意を促す。
「気を付けなさい。何かあると見た方がいいです」
「むぅ、だがデータでは彼の星辰力の量は凄まじいが魔法の威力は我々の相手ではないのだぞ」
「彼は何かを隠している。今までの試合もそうでした。如何なる事が起きても対処できるようにしておきなさい」
アルディは仁王立ちながらもその警告通りにいつでも対応可能な準備を整える。
しかし雅也は星辰力を高め続け、動く気配を見せない。
『何でしょうか、両者睨み合いのような状態が続いてますね?試合開始から既に三十秒が経過していますが…』
この動かない試合に観客も次第に痺れを切らし始め、ヤジやブーイングが飛び出す。
それでも尚、雅也は星辰力を高める。
(うーん、周りが煩くなってきたなぁ...そろそろ準備完了だし静かにしてくれないかなぁ)
準決勝第一試合前
控え室にて──
「教えて貰った魔法?それがあの二人を、いや二体に対しての策なんですか?」
「まぁウェンディの言う通りまともに押してたら勝てないねぇ。でもその魔法はちょいと範囲がデカすぎてね。普通に使用すれば試合会場一帯吹き飛ばす規模なんだよねぇ」
「えぇ!?そんな魔法使えたんですか!?というかか一帯を吹き飛ばすって...」
とんでもない事をいつも通りいう雅也にウェンディは驚きと呆れで反応する。確かにそんな魔法ならば二体には有効かもしれないが、会場を壊すような魔法はまず使えないだろう。
「そこで、だよ。恐らく奴らは一分間の猶予を与えるだろう。そこで俺はその魔法の範囲の調整をしたいんだ」
「調整、ですか。ということは会場内サイズに小さくするのですか?」
「威力はそのままに、範囲は小さく。それをするには結構時間と集中力がいるからねぇ。今まで使えなかったけどこの試合なら、ね」
『残り十五秒!一色選手は何を考えているのか!?』
実況の煽りが会場をヒートアップさせる。
そしてウェンディは雅也に声をかけた。
「雅也さん、そろそろですよ」
「...うん。OKだよ」
目を開いた雅也がアルディとリムシィを見てニヤリと笑う。
「待たせたねぇお二人さん。決着、付けようじゃないか」
「ふむ。何やら星辰力を高めていたようだが、貴君の魔法では我々を倒すことはできんぞ」
「そりゃあ俺も分かってるさ。だから俺のとっておきを二人に受けてもらう。それが防がれたら俺らの負けだよ」
「なるほど。一発勝負という訳だな。実に面白いではないか!受けて立とう!」
「このポンコツはまた勝手に...」
リムシィは呆れながらもそれを承諾したのだろう。戦闘の構えをとった。
よし、乗ってきた...
あの二体を倒すには綾斗のような絶対的な何かが必要だろう。だけど俺の普段使っている魔法にはそんな絶対的なものは無い。
だから少し卑怯かもしれないけど、この条件に乗ると踏み、有利なこの状況で倒す!
あの二人が教えてくれた魔法なら...
俺の最強だったあの二人の魔法なら──
「七つの星に裁かれよ!」
会場に黒雲がかかり始める。観客も何が起きるのか、不安と期待でザワつきだす。同時に雅也の星辰力が一気に上昇する。
力を貸してくれ...
コウ──チヒロ──
「《七星剣》!!」
黒雲から七つのレーザーがアルディとリムシィに降り注ぎ、展開していた障壁は紙切れのように貫通し二体に直撃する。
まるで隕石のような破壊力で降り注いだ魔法は、二体を次第に壊していく。
そして──
「エルネスタ・キューネ、カミラ・パレート、意識消失」
「試合終了!勝者、一色雅也&ウェンディ・マーベル!」
勝者を告げるコールが宣言され、会場は喝采の嵐に包まれた。
その中心には、魔法によって壊れたステージの地面と、右腕を天へ突き上げている雅也とウェンディが立っていた。
今更ですが誤字とかありましたらどうぞスルーしてください。本人が気づいてないってのは幸せなんです(泣)
所謂夏休みが近づいてきましたが、皆さんはどう過ごすんでしょうかね。宿題やイベントやいろんな事があるでしょうが、私は週一投稿を目標に頑張って逝きます。
それではここまで読んでくれた方、ありがとうございました!