フラっぴーです!
二人の過去シリーズで帝人と七海の二人の出会いが明らかになります
それでは本編どうぞ!
八年前……
夏休み。
俺は自分が嫌いだ。そう思ったのは今回が初めてじゃない。俺は生まれてからいいことなんて一度もない、こんな力のせいで不幸な目にばかり会う。けど、ある少女との出会いがそんな毎日に少し区切りがつけることができた。
「嬢ちゃん凄え!」
「手が早すぎて全然見えねえ!」
「ノーダメージだぜ!」
そんな声が小さなゲームセンターから聞こえてきた。気になって中を覗いて見ると、俺と同い年くらいの女の子と小学校上級生くらいの男の子が格ゲーの対戦をしていた。画面を見れば女の子が圧倒的に勝っていた。俺はその対戦に目を奪われていった。
「凄え!ノーダメージで勝ちやがった!!」
他の観客は歓声を上げた。その後ぞろぞろと帰っていった。けど、負けた男の子は納得がいかない顔をしていた。
「お前チートか何か使っただろ!!そうじゃなきゃこの俺がお前なんかに負けるはずがない!」
「ゲームで負けたのはあなたが弱いからです。それをチートを使ったとか言っていちゃもんをつけないでください」
「テメェ!!絶対に許さねえ!!」
はあ…。醜いな。だからと言ってこのまま放っておくわけにはいかないな。俺は女の子の前にでて男の子の拳を受け止めた。
「やめろよ。男が女の子に手を出すんじゃねえよ」
「何だテメェ!ならお前から始末してやる!」
「ぐっ!」
俺は女の子を守るために男の子からずっと殴られ続けた。相手は疲れたのか殴るのをやめ、帰っていった。
「ねぇ、大丈夫?」
「ん……ああ…ん?何だこの感触は?」
「わたしの膝だよ。今は動かないで。お店の人に救急箱を借りて傷の手当てをするから」
「いや、大丈夫だよ。俺自分で治せるし、体は頑丈だから」
「それでもダメ!今は安静にして。それに私のせいであなたをこんな目に合わせてしまったから」
「君は凄く優しいね」
「え?」
「俺は今まで家族以外優しい人とは出会ったことがないんだ。みんなひどい奴ばかりだった。そんな奴と比べると君は凄く優しい。君みたいに傷の手当てをしてくれる人と出会ったのは初めてだ」
「そうなんだ」
俺はずっと女の子に手当てをしてもらった。体の痛みが引いてきたから俺は立ち上がった。女の子は俺の手当てが終わり救急箱を店員さんに返すと店を出ようとした。俺は帰ろうとした女の子に声をかけた。
「ねえ。君の名前は何ていうの?」
「……ふふ。私は七海千秋。あなたは?」
「俺は紫藤帝人。七海さん、明日もここに来るの?」
「うん」
「じゃあ明日一緒にゲームしない?」
「うん。約束だよ。また明日ね」
おれは七海さんと別れ、家に帰っていった。彼女のような優しい人と出会ったのは初めてだ。彼女は何でこんな自分に優しくしてくれるのか。俺はそんな彼女のことに興味を持っていった。
次の日。俺は昼ごはんを食べ終えるとすぐに昨日のゲームセンターにいった。そしたら彼女はもう来ていた。
「早いね」
「私もついさっき来たばかりだよ」
「千秋ちゃんいつも来てくれてありがとね。今日は何するんだい」
「今日は彼と一緒にシューティングゲームをやるつもりです」
「君は昨日の子じゃないか。怪我は大丈夫かい」
「はい。もう治りました」
「昨日は千秋ちゃんを助けてくれてありがとね。そうだ!お礼に何でもゲームを一回だけ無料でやらせるよ」
「え!?そんないいですよ!」
「いいんじゃ。ワシがそうしたいんじゃ。千秋ちゃんは毎日来てくれてね、来る度にワシに言うんじゃ、「ここのゲームは面白いものばかりです」ってね。それから千秋ちゃんが来ると客も増えていってね。ゲームはしてくれなくても千秋ちゃんがやってるのを見て楽しんでるだけでもワシは嬉しかった。だからこそ、ワシは昨日のような奴は許せないんじゃ。負けて文句を言って、殴ろうとした。けど、君が庇ってくれた。だからワシからのお礼と思って受け取ってくれ」
七海さんはいろいろな人に愛されてるんだな。それにこんなに優しい人がいる。
「分かりました。ありがたく受け取らせていただきます」
「紫藤君!これやろ」
七海さんが一緒にやろうと言ってきたのはギャラオメガのアーケード版だった。
「うん、いいよ」
二人で協力プレイでゲームをした。ゲームをしてる時間は本当に楽しかった。2人でゲームをしたり、店長と3人で色んな話をしているうちに外が暗くなっていった。
「「今日はありがとうございました」」
「いつでもおいで」
俺と七海さんは帰り道が一緒だったから途中まで一緒に帰っていった。
「じゃあ私はこっちだから。またね紫藤君」
「本当に送らなくていいのか」
「大丈夫だよ。本当にこの近くだから」
「それならいいけど。後、俺の事は帝人でいいよ」
「わかった。じゃあ私のことも千秋でいいよ」
「わかった。じゃあ千秋また明日」
「うん。また明日」
家に着き自分の部屋のベッドに寝転んだ。店長と2人で話している時のことを思い出した。やっぱり彼女は何か人を引き寄せる力があるんじゃないのか。もっと彼女のことが知りたい。俺はそう思っていき、だんだん彼女に会うのが楽しみになっていった。
はい!
七海は八年前から色んな人に好かれていたんですね。
次回第10話お楽しみに!