ダンボール戦機 禁忌の箱を守りし幻影   作:砂岩改(やや復活)

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 申し訳ありません、遅くなりました。
 中々モチベが上がらなくてこんなに経ってしまいました。
 時間の流れは早すぎる…





第21幻 脱出、そしてアルテミスへ

「父さん!」

 

「あれがバンの親父…」

 

 自衛手段であるLBXは沈黙し、海道の手下に身柄を拘束されると目の前に現れたのはバンが探していた実の父親。

 

「よかったな。生きてて…」

 

「カイト…」

 

 目の前に現れた父親の名を叫ぶバンを横目にカイトは静かに呟く。

 それをアミは少し悲しそうに見つめる。

 

 それから話は早かった。

 リナの裏切りとか色々とあったものの、エターナルサイクラーのデータの解除キーが世界大会《アルテミス》の優勝商品にあると言うこと。

 潜入メンバーの全員が捕まって危機だったがバンの父親のおかげでなんとか脱出することができた。

 

ーー

 

「実に有意義な見物だったな」

 

「お前は相変わらずだな…鈴鹿」

 

 海道邸における大騒動の後処理に他の者が追われている中、鈴鹿は青いゲルググを眺めながら満足そうにしている。

 

「山茶花のことが気に入ったようだな」

 

「あぁ、あいつは興味深い。あの機体、戦い方…あいつはまだ隠している。それを暴きたくてしょうがない」

 

 バトルジャンキーその言葉が相応しい人間は鈴鹿以外に居ないだろう。

 

ーー

 

 自宅にたどり着いたカイトは紅茶を入れて一息つく。

 話し的には色々とあったがそっちは大人サイドの問題。

 それは深く考えないことにして…

 

「アルテミスか…」

 

 オメガダイン主催のLBXの世界大会。《LBX世界大会アルテミス》世界各地で行われる大会で優勝した、選りすぐりのプレイヤーが集められその技術を競い合う世界大会。

 

 目下の目的はアルテミスでの優勝。

 そこにあるメタナスGXの獲得が目的である。

 

「ゼフィランサスの完成を急がなきゃ…」

 

 自宅の作業台た乗せられたゼフィランサスはほぼ完成しているがカイトにはある考えがあった。

 

「最強のガンダムにはまだだ…」

 

 カイトが見たLBXの新たな可能性。

 アキレスが使っていた《Vモード》と呼ばれる機体性能を大幅に向上させるシステムをこの機体に乗せるわけにはいかない。

 失敗が許されないアルテミスに実験すら行っていないシステムを搭載すれば何が起きるかわからない。

 不確定要素は出来るだけ排除すべきだ。

 

「……」

 

 しかし捨てるにも惜しい。

 不利な戦局を打開するかもしれない性能向上システム。

 アルテミスはトッププレイヤーが集まる最高の実験場、これを逃したくはない。

 

「よし、作るか」

 

 その瞬間、カイトは明日の学校を諦めた。

 

ーー

 

「カイト、また休みか?」

 

「うん、部屋にこもったまま出てこなくて」

 

 学校に登校したバンたちは休校したカイトの席を見つめる。

 朝、アミもカイトの部屋に行ったのだが返事がない上に鍵がかかっており何もできなかった。

 

「ごはん、食べてないだろうなぁ…」

 

 突き進み始めると止まらないカイトの性分を知っているからこそアミは心配になる。

 最近、カイトはなにかを隠して進めようとしている。

 

(もう少し私を頼って欲しいのに…)

 

 複雑な心境を胸にアミは学校を過ごすのだった。

 

ーー

 

「で、出来た…」

 

「カイト!!」

 

 それからカイトが外に出てきたのはなんと二日後ことであった。

 憔悴したカイトに駆け寄るアミ、食事は部屋の前に運んでいたものを食べていたから栄養不足と言うのはないだろうが。

 二日間、いや海道邸に潜入してからだから三徹したらボロボロになるのは当然だ。

 

「なにをそんなに無茶して!」

 

「アミ、やっと立てたんだよ。スタート地点にこれから…」

 

 気絶するように眠るカイト。

 次に起きたとき、アミからぶん殴られまた気絶したということを付け加えておこう。

 

ーー

 

 学校終わりのスラム。

 いつもミカが通っている場所にカイトが待っていた。

 

「ミカ…少し時間いいか?」

 

「なに?」

 

 アミから何かをしていて死にかけていたと聞いていたが元気そうなカイト。

 

「これを…」

 

 渡されたのは青いLBX。

 

「…私には郷田さんがいるから」

 

「そういうのじゃねぇよ!」

 

 ミカの言葉に思わず突っ込みを入れるカイト。

 

「冗談、なに?」

 

「俺とアルテミスに出て欲しい」

 

 カイトのその言葉にミカは静かに目を見開くのだった。

 

 


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