ダンボール戦機 禁忌の箱を守りし幻影 作:砂岩改(やや復活)
ソロモンよ、私は帰ってきたぁ!
ということでかなり久しぶりの投稿となりました。本当に申し訳ありません、ちょっとしたスランプと書きたいものが重なってしまいこんなに間が…次はもっと早く投稿します。
これからも暖かい目で見ていただけると幸いです。では本編をどうぞ。
「正義と平和のためにですか…」
「ふふっ、おかしいかね」
イノベイター研究所。そこにて問答を交わしていた海道と八神、しばらくの問答の後。八神がその部屋から立ち去るとその影から和装の少女が姿を表す。
「まぁ、私は海道先生の正義と平和のために戦うだけですが」
「それはありがたいな。そろそろ八神も使いにくくなってきたものだ」
「正義感はとても強い人物です。動き回る前に手早く済ませてしまうのもアリではないですか?」
年のわりにそう言った類いのことに慣れすぎている少女は表情を一切変えることなく言葉を放つ。
「使えるものは使っておこう。まだ使えるよ彼は…君のように任せられる程ではないがね。スズカくん」
「そのご信頼に答えられるように精進いたします」
「うむ」
白髪を一つに纏めた髪型を持つ少女、
ーーーー
「まさかこんなことに巻き込まれていたとはな」
「そうね、私たちも私たちに出来ることをしないとね」
喫茶店《ブルー・キャッツ》の外に待機していたカイトとアミは店内に忍ばせてあったクノイチから送られてくる店内の声に耳を傾けていた。
「良かったのか、本当のことを言わなくて」
「では、さらに彼らを危険な目に?」
「そりゃ、そうだが」
五年前に亡くなったはずのバンのお父さんが生きているという事実を突きつけられお開きとなった総理暗殺事件。一歩間違えれば殺されるような状況からの事実はバンに大きく突き刺さっていただろう。
「あらかた、調べはついた」
「これは、天使の星か」
「やはり神谷が絡んでいるのか」
「あぁ、そのようだ」
神谷、その単語にカイトが静かに反応する。神谷、最近聞いた気がするが…なんだったかな。
「やっぱり、隠し事をしてたのね。カイト、行きましょ…カイト?」
「かみや、神谷。そうか神谷重工だったのか!」
「え、どうしたの?」
突然、大声で叫び。立ち上がったカイトに目をパチクリさせるアミ。
「俺がおかしくなったLBXの開発メーカーも神谷重工だと言っていた。この神谷重工にはイノベイターと関わりがあるはずだ」
「あのエジプトの件ね」
「あの出来事も関係していたのか。やっぱりアキレスを破壊するために俺を使って…」
全ては偶然ではなかったのだとしたら。元々、関係ないと言うつもりはないがこっちとしても返しておかねばならないものがあったということだ。
「たっぷりお礼をしてあげなくちゃね」
「そうだな」
拳をコツンとぶつける二人は笑みを浮かべながら立ち上がり、帰路につく。
ーー
「……」
「どうしたの、カイト?」
意気揚々と帰路につくアミはやけに静かな彼に気づいて歩くスピードを緩める。辺りは暗く、ハッキリと表情は見えないがほんの少しだけ悲しそうな彼の顔があったのだ。
「いや、羨ましいなって思ってさ」
「……」
死んでいたはずの親が実は生きていたなんて物語のような事が現実に起きているが彼の、カイトの両親は決して戻らない。改めて両親の存在について感じてしまった彼は現在、複雑な思いだった。
「カイト…」
「分かってる。今はバンのお父さんを助けてあげよう、せっかく生きてたんだ。会わせてあげないと可哀想だしな」
「そうよね」
下手な慰めは余計に彼を追い詰めるだけだ。彼がそう割りきれるなら黙っていよう。でも自分でもよく分からなくなってしまったような時には私が傍に着いていてあげよう。そう誓うアミであった。
ーーーー
翌日、再び顔を会わせた四人は教室にて話を行っていた。
「そう言った経緯で俺を操った神谷重工の件も含めて調べてみたら。神谷重工のエンジェル・スターが怪しいと思われる。エンジェル・スターについてはリュウが詳しいから」
喫茶店で耳にしたことを元に説明を行ったカイトはそう言ってリュウを呼んで説明させる。
「なんだかよく分からないけどエンジェル・スターについて話せば良いんだな」
「あぁ、頼むよリュウ。詳しいのはお前ぐらいだからな」
「リュウ、お願い」
「いいぜ、神谷重工っていうのは国内最王手の重工メーカーでエンジェル・スターはそこのアームロボット専門のブランドなんだ。」
カイト、さらにはアミにも頼られたリュウは得意気に話し始める。
「エンジェル・スターマックスっていう名前は聞いたことあるだろ」
「ない」
「ないの?仕方ねぇな。エンジェル・スターマックスは最新のアームロボットでエンジンは最新の神谷DDを搭載。ダイレクトHDS、駆動部の出力は従来型の2.8倍はあるんだぜ」
恐らく、すごいのだろうが。元々がどんな感じなのか分からないこっちにとっては理解できない領域に入りつつある。どうしてくれるのかとアミにジト目で睨み付けられるカイトも苦笑いを浮かべるしかなかった。
「港湾用アームロードを流用していてブルドーザー積み上げの定格基準はなんと55トン。どうだ凄いだろう、アミちゃん聞いてる?」
「聞いてる、聞いてる」
もう完全に聞いていないアミの代わりにバンはしっかりと頷いて聞いていた。
「それを扱ってる。工場兼格納庫がブランドマークの天使の羽をイメージして作られているんだ。そらがまたすっげぇ格好いいんだ、きっと地下に何百台もマックスが並んでるんだろうな。見たいなぁ」
「見たことないの、そんなに詳しいのに?」
「それが去年、うちの学校が工場見学の申し込みをしたんだけど。あっさり断られちゃったんだってさ。一時期は兵器密造の疑いもあっけど…」
リュウの言葉を聞いて全員が顔を付き合わせて話し合う。
「セキュリティの厚い工場」
「兵器密造の疑い」
「そして俺の記憶」
「行ってみる価値はあるわね」
そうと決まれば話しは早い。善は急げというだろうし早速向かってしまおう。夢中に話しているリュウには申し訳ないが今回はこっちの用事を優先させてもらう。
「すまんな、リュウ。用事ができた、その話しはまた今度な」
「え、あぁ」
素早く行動に移して去っていったカイトたちを見送ったリュウ。彼はポカンとしたまま四人は去っていったのだった。
ーー
「ここがエンジェル・スター」
「でっけぇ…」
「どうする、正門は閉まっちゃってるけど」
「元々、正門から入れないだろ。俺たちは」
学校から電車で向かいたどり着いた頃には日が落ち、美しい工場夜景が見えていた。正面が無理なら当然、裏門にまわるのが常識だろう。うまく、LBXを使ってエンジェル・スター内部に潜入したカイトたちは内部の扉のロックもLBXを使って解除していく。
「なるほど、考えたな」
「いつまでも簡単にいくとは限らないぞ」
ここが本当にイノベイターの基地なら迎撃部隊がそろそろ出てくるはずだ。
「また扉だ。行け、アキレス!」
「クノイチ!」
「ハンター!」
「パワードジム!」
カイトが取り出したのは最近、開発した新型バックパックを搭載したジム。バックパックの試験をかねた機体なのでずいぶんと上半身がずんぐりしている。
「お、また機体が変わってるし」
「これも試験機さ」
バズーカとシールドを装備したパワードジムはスラスターを噴かしながら進む。でかい体のわりにアキレス並みの速度で動いている。
「良い機体だな」
「そうだろ、まだ進化するから期待しろよ」
バンの言葉に対し得意気にしているカイトたちに銃弾が殺到する。
「なに!?」
アキレスを狙った銃弾を弾いたカイトは狙ったLBXに向けてバズーカを撃ち放つ。バズーカ弾が直撃したデグー監視型は大破するがその周りには無数のデグー監視型がこちらを見ていた。
「やはり、一筋縄ではいかないか」
こちらを睨み付けるデグーたちを見てカイトはそう呟くのだった。