スピリットが遊戯王モンスターになってた件   作:ドロイデン

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コラボ編 vs遊輔

「……次は私がデュエルさせてもらう……」

 

 四人がフィールドから退出すると、軽く屈伸をしながら蘭が立ち上がる。

 

「……そっちからは誰が出るの?」

 

「ふむ、では俺が相手を承ろう。アクションデュエルとスタンディング……どちらを選択するかな?」

 

 現れたのは、臨時講師である遊輔さんだった。

 

「……当然アクションデュエル、ついでに勝って連の出番を失わす」

 

「おいこら蘭!!」

 

 流石のこれには突っ込まずにはいられない。確かに一応現在2:1で此方がリーチなわけだけどさ!!流石にここまで来てデュエルお預けなんて洒落にならないから!!

 

「ふむ……そこまで言い切るとはね……とんだ実力者とお見受けした。朱志那蘭……か、聞き覚えはないが……もしやどこか俺の知らない場所……外国でのプロデュエリスト……とかかな?」

 

 と、遊輔さんがまるで確信してるように聞いてくる。

 

「……!!……そうね、なら改めて名乗らせて貰うわ、私の名前は朱志那蘭、海外リーグのタイトルが一つ、『デーモン』の最年少カテゴリータイトルホルダー!!そして私のことをこう呼ぶ……『紅蓮の魔龍』と!!」

 

 その瞬間フィールドがアクションフィールドへと変貌する。そこはマグマと火山が特徴的な、薄暗いフィールドに……

 

「おや、やはりか……そして。こちらはしがないデュエル塾臨時講師の身。胸を借りるつもりで挑ませてもらうかな……!」

 

 そしてフィールドが変わると同時に、遊輔さんの眼差しも鋭く強いものへと変貌する。

 

「冗談、臨時とはいえ講師デュエリストがしがないわけがない……。全力で来ないなら……()()()()()()()

 

 流石はプロの迫力というか、雰囲気というか、一瞬にして控え室ですらピリピリ感じるほどの雰囲気がフィールドを襲う。というか二人の背後に龍と虎のオーラが見えるような……

 

「ご安心を……その燃え盛る炎が貴女に災いを呼び込まないことをお祈りしますよ…………」

 

「「デュエル!!」」

 

蘭 LIFE4000

遊輔 LIFE4000

 

 

 蘭視点

 

「私も一端のプロ、先行は貴方に譲るわ、挑戦者(チャレンジャー)?」

 

「では、お言葉に甘えて……俺のターン! とりあえず、これから行くか。手札を1枚捨てて……『炎帝家臣ベルリネス』を特殊召喚! 更に今墓地に送った『代償の宝札』の効果によりデッキから2枚ドロー!」

 

『炎帝家臣ベルリネス』 ☆4 D1000

 

 そのカードを見た瞬間、私は内心最悪な気分になった。とてもじゃないが相性が良くなさすぎる。

 

「……『帝』ね、それで、どんな帝王を呼び出すのかしら?」

 

「まぁ、そう言いながらも大体の目星は付けているのでしょう?」

 

「……さぁ、なんのことかしらね?」

 

 そう惚けるように言って私はアクション魔法を探しに走り出す。

 

「手始めはコイツから。炎帝家臣ベルリネスをリリースし……『炎帝テスタロス』をアドバンス召喚! テスタロス召喚時効果に何かチェーンは挟みます?」

 

「……チェーンは組まない……けど、アクション魔法は手に入れさせて貰ったわ。さぁ手札をシャッフル……」

 

「おや、そちらが何もないならこちらの処理が残っている。ベルリネスの効果をテスタロスにチェーンし……さらに速攻魔法『サモンチェーン』をチェーンして発動だ。これで処理するが……構わないかね?」

 

「……構わない、チェーン処理どうぞ」

 

 『帝』に召喚権を増やさせるのは悪手だが、生憎とこの場面で使えるカードはない。

 

「では、サモンチェーンの処理によりこのターン、自分の通常召喚権は3つとなり……『ベルリネス』の効果処理。相手の手札を確認し、1枚をエンドフェイズまで除外。どのような手札をお持ちかな……?」

 

「……ならこの中からどれを選ぶ?」

 

『奇跡』 アクション魔法

『バイス・ドラゴン』

『コール・リゾネーター』

『デモンズ・チェーン』

『代償の宝札』

『超電磁タートル』

 

「では、代償の宝札を一時的に除外してもらいましょう。そしてテスタロスの効果で手札を1枚墓地に……」

 

 彼は、私が手札をシャッフルしたのをしっかり確認してから、

 

「貴女から見て左から2番目を墓地に送ってもらいましょうか。モンスターカードなら、そのレベル×200のダメージを与えますが……」

 

「カードはアクション魔法『奇跡』……よって効果は不発……」

 

「では2回目の通常召喚権を使用して……テスタロスをリリース。現れよ、レベル8……『爆炎帝テスタロス』!」

 

『爆炎帝テスタロス』 ☆8 A2800

 

「爆炎帝の召喚時効果。貴女の手札のバイス・ドラゴンを墓地に送り、そのモンスターカードのレベル×200……1000ダメージを与え、炎属性をリリースして召喚したため追加で1000ダメージを与えます!」

 

 蘭 LIFE4000→2000

 

「……この程度かしら?」

 

 平然としながら、私はさらに近くのアクション魔法を手にかける。

 

「アクション魔法『フレイムウォール』!!このターン、このカードが発動するまでに受けた効果ダメージの数値以下の効果ダメージを受けない……」

 

「まぁ、最初ですからね。軽いジャブですよ……さて、手札も少々心許ない事だ。そろそろ補充させてもらうかな……まぁ、その前に……3回目の通常召喚権を行使。『爆炎帝テスタロス』をリリース……現れよ、『冥帝エレボス』!」

 

『冥帝エレボス』 ☆8 A2800

 

「『エレボス』の召喚時効果。デッキより帝王カード…………『真源の帝王』2枚を墓地に送り、貴女の真ん中の手札をデッキへバウンス! 更に魔法カード『命削りの宝札』を発動し、手札が5枚になるようにドロー。カードを2枚セットし、ターン終了。『代償の宝札』は貴女の手札に戻り……貴女のターンですよ」

 

遊輔LP4000

手札3(内1枚アクションマジック)

冥帝エレボスATK2800

伏せカード二枚

 

(送られたのは『デモンズ・チェーン』……まぁあのデッキにたいして意味は殆ど無いから別に良いんだけど)

 

「私のターン、ドロー!!……私は今引いた魔法カード『壷の中の魔術書』を発動、互いにカードを三枚ドローする」

 

「ふむ、ではそのドローはありがたく頂戴しましょうかね」

 

 これで互いの手札は六枚ずつ、さて、ここはどう攻めるべきか……

 

「……魔法カード『ツイン・ツイスター』を発動、手札の『代償の宝札』を墓地へ送って、その伏せカードを二枚破壊……」

 

 まずは邪魔なカードを退かす。ついでにドローしてアドを稼ぐ事にしよう。

 

「……仕方あるまい。速攻魔法『帝王の烈旋』を発動する。もう片方は『黄金の邪神像』だ。黄金の邪神像の効果で俺のフィールドに『邪神トークン』を特殊召喚」

 

『邪神トークン』 D1000

 

「『代償の宝札』の効果で二枚ドロー……さらに今引いた永続魔法『共鳴破』を発動、これにより私が『リゾネーター』モンスターを使ったシンクロ召喚を行ったとき、相手のフィールドのカードを一枚破壊する。」

 

「ふむ、シンクロ軸のデッキか……」

 

 さぁ、早速帝を一人喰らいに行くとする……そのためにもまずは

 

「私は手札から魔法カード『死者転生』を発動、手札の『ダーク・リゾネーター』を墓地へ送って、墓地の『バイス・ドラゴン』を手札に加え、『バイス・ドラゴン』自身の効果で特殊召喚!!」

 

『バイス・ドラゴン』 ☆5 A 1000

 

「そして魔法カード『コール・リゾネーター』を発動、デッキから『レッド・リゾネーター』を手札に加える。さらに手札から『暗黒界の取引』を発動、互いに一枚ドローして、互いに手札を一枚捨てる。私は『超電磁タートル』を手札から墓地へ送る」

 

「では、俺は今引いた『光帝クライス』を墓地に送らせてもらおうか」

 

「私は『ゴブリンドバーグ』を通常召喚、その効果で、手札の『レッド・リゾネーター』を特殊召喚!!そしてアクション魔法『紅蓮の誘い』!!墓地のモンスターを選択し、アドバンス及びエクシーズ素材にできない条件に特殊召喚する!!墓地の『ダーク・リゾネーター』を特殊召喚!!」

 

「ほう、中々の展開だな……」

 

「私はレベル5『バイス・ドラゴン』にレベル3『ダーク・リゾネーター』をチューニング!!悪魔の炎、闇を纏いて龍となれ!!シンクロ召喚!!現れろ『レッド・デーモンズ・ドラゴン』!!」

 

『レッド・デーモンズ・ドラゴン』 ☆8 A 3000

 

「『共鳴波』の効果により、『冥帝エレボス』を破壊!!」

 

「ふむ、ところで……なぜ俺がさっき()()()()()()()()()()()()と思われるかな?」

 

「何を…………そう、既に手の中にあったわけね……」

 

 私は少し苦虫を噛み締めるが、まぁドローのために相手に引かせたのだから仕方ないと割りきる。

 

「そう、私は『烈旋』の効果とコイツの効果で墓地から『真源の帝王』を除外し……俺の場の『冥帝エレボス』と貴女の場にいる『レッド・デーモンズ・ドラゴン』をリリース。闇ある場所に光が射し込む。こい、レベル8、『天帝アイテール』」

 

『天帝アイテール』 ☆8 A2800

 

 

 蓮視点

 

「あれ?なんで相手ターンにアドバンス召喚してんだ?」

 

「天帝アイテールは、相手ターンのメインフェイズにアドバンス召喚出来る効果が内蔵されています。それで烈旋の効果も相まって相手のエースを処理しつつサクリファイス・エスケープを行った……と言うことでしょう」

 

 一応まだ初心者に毛が生えた程度の俺に、火無菊が丁寧に説明してくれる。

 

「なるほどな……流石は講師デュエリスト、知識は豊富というわけか。けど、エースかどうかは別なんだけど……」

 

 

 蘭視点

 

「更に、『アイテール』の効果も発動。デッキから『帝王の凍気』と『真帝王領域』を墓地に送る事で、デッキより……『光帝クライス』を特殊召喚するが……どうする?」

 

「……特にチェーンはしない。それで、『クライス』の効果でどれを破壊するの?貴方のフィールドには『クライス』と『アイテール』、そして『邪神トークン』、私のフィールドには『共鳴波』、『レッド・リゾネーター』、『ゴブリンドバーグ』が存在してるけど?」

 

「では、『クライス』を特殊召喚し…………どうせエンドフェイズにはバウンスされてしまうからね……ここは『クライス』自身と『共鳴波』を破壊。そして互いに1枚ずつ破壊されたことでお互いに1枚ドローだ」

 

 私はドローカードを確認すると、少しだけ頬を緩ませるが、相手には気づかせないようにする。

 

「結構……でも、アレを私の決め札だと思ってるなら早々に諦めた方がいい。というより、『アイテール』を引いてるのは何となく分かっていたから」

 

「ふむ、流石にバレてたか」

 

「見せてあげる、私のエースの一角を。私は残ったレベル4『ゴブリンドバーグ』にレベル2『レッド・リゾネーター』をチューニング!!シンクロ召喚!!現れろ!!『レッド・ライジング・ドラゴン』!!」

 

『レッド・ライジング・ドラゴン』 ☆6 A 2100

 

「レベル6……攻撃力は劣っているが……なにか突破できる効果でも備わっているのかな?」

 

「『レッド・ライジング』がシンクロ召喚に成功したとき、墓地から『リゾネーター』を特殊召喚する。私は『レッド・リゾネーター』を特殊召喚!!『レッド・リゾネーター』の効果、特殊召喚されたとき、このカード以外の自分フィールドのモンスターの攻撃力……つまり『レッド・ライジング』の攻撃力2100分、ライフを回復」

 

蘭 LIFE2000→4100

 

「私はレベル6『レッド・ライジング』にレベル2『レッド・リゾネーター』をチューニング!!魔界を統べる決闘竜、今ここに姿を現せ!!シンクロ召喚!!『えん魔竜 レッド・デーモン』!!」

 

『えん魔竜レッド・デーモン』 ☆8 A 3000

 

「ほう、さっきのと似ている竜か。先程のは効果も見ずにリリースさせて貰ったが……今度は効果を見せてもらえるのかな?」

 

「……残念だけど、この子の効果は使わない。今引いた私は手札から『命削りの宝札』を発動し、デッキからカードを五枚になるようにドロー」

 

 引いたカードを確認すると、私は少しだけにやりとする。

 

「私は手札を一枚墓地へ送り、『ライトニング・ボルテックス』を発動、相手フィールドの表側表示のモンスターを破壊する」

 

「アクションマジック、『ミラー・バリア』を発動……俺が破壊から守るのは邪神トークンだ」

 

「フィールドにSモンスターが存在するとき、手札の『シンクローン・リゾネーター』を特殊召喚!!そしてレベル8『レッド・デーモン』にレベル1『シンクローン・リゾネーター』をチューニング!!深淵より来たれり、その憤怒は天をも焦土とかす!!シンクロ召喚!!現れなさい!!『えん魔竜 レッド・デーモン・アビス』!!」

 

『えん魔竜 レッド・デーモン・アビス』 ☆9 A3200

 

「『シンクローン・リゾネーター』の効果で、墓地の『レッド・リゾネーター』を手札に戻す」

 

「ほう、進化形態か。となれば……その効果も強化されていると見るが……あっているかな?」

 

「それはこれから確かめると良い、バトル!!『アビス』で邪心トークンを攻撃!!」

 

 そしてそのうちにアクションカードを探しに走る。『レッド・デーモン』の全体破壊効果のお陰か、まわりにあった邪魔なオブジェクトが消え去り、難なくアクション魔法を手に入れる。

 

「アクションマジック『回避』。これで戦闘を無効にさせてもらう」

 

「『レッド・デーモン・アビス』の効果!!1ターンに1度、フィールド上の表側表示のカードの効果を一枚、ターンの終了時まで無効にする。これにより『回避』を無効!!……そしてアクション魔法『フレイム・オーラ』攻撃力を200下げる代わりに、モンスターに貫通効果を与える!!」

 

「っ……!」

 

遊輔 LIFE4000→2000

 

「さらにこの瞬間、『レッド・デーモン・アビス』の更なる効果発動!!このカードが戦闘によって相手にダメージを与えたとき、墓地のチューナー一体を守備表示で復活させる。私は『ダーク・リゾネーター』を復活」

 

『ダーク・リゾネーター』 ☆3 D400

 

「……私はこれでターンエンド、そしてこの瞬間、『レッド・デーモン・アビス』の攻撃力は元に戻る」

 

蘭 手札一枚(レッド・リゾネーター) LIFE4100

フィールド

『レッド・デーモン・アビス』 A3200

『ダーク・リゾネーター』 D400

 

 

 

蓮視点

 

「すごい……」

 

「さっきまで遊輔さんが有利だったのに……あの蘭って奴がたった1ターンで返しやがった……」

 

 蘭と遊輔さんの攻防に、遊勝塾メンバーが感嘆の言葉を呟く。

 

「……蘭のやつ、少し手を抜いてるな……」

 

「え、手を抜いてるって……アレでですか!?」

 

「『共鳴波』の効果……あいつ自身あの『アイテール』というのが分かっていたなら、除去効果の対象を『エレボス』じゃなくて、『レッド・デーモン』の効果の対象外の『邪心トークン』を狙えば、少なくとももう1200のダメージを与えることはできたはずだ」

 

「いや、あの場面は寧ろアレこそが最善の策だ。例え『邪心トークン』を狙ったとして、それをリリースして『アイテール』をアドバンスするとは限らない……ならば『エレボス』の破壊で無理矢理にでも出させて、そこを先のプレイで堅実に削る……最善かつ最大の攻撃をする、それが彼女だと、君も分かっている筈だろ?」

 

 剱菜先輩が諭すように言うが、俺は内心微妙な心持ちだ。

 

「けどあの『クライス』の場面で『シンクローン・リゾネーター』を引くとは限らない、別のカードの確率だってあった、そうなれば一気にフィールドはがら空き、2ターン後には敗北だった」

 

「それを引き込めるからこそ、最年少タイトルホルダーなのさ。さぁ、デュエルが動くぞ……」

 

 

 蘭視点

 

「さぁ、貴方のターンよ……貴方は見事、魔竜退治ができるかしら?」

 

 私がそういうと、彼は面白そうに笑みを浮かべる。

 

「魔竜退治、か。面白い……それに、うまく回りゃ……このターンで倒そうと思えば行ける……かな」

 

「……このターンで?やれるものならやってみなさい」

 

「まぁ、手札と要相談ってところだが……ドロー!」

 

 彼はデッキからドローすると同時にアクションカードを獲得する。そして私もアクション魔法を手に入れる。

 

「おっと、このカードか。アクションマジック『フレイム・ボルテックス』。相手の場のモンスターを1体選択しそのモンスターを破壊、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える! 当然レッド・デーモン・アビスを選択する!」

 

「エースの一角は消させない、アクション魔法『ノーアクション』!!アクション魔法の効果を無効にする!!」

 

「じゃあ、手札を1枚コストに『ライトニング・ボルテックス』を発動!」

 

「『レッド・デーモン・アビス』の効果発動!!フィールドのカード一枚の効果を、ターン終了まで無効にする!!『ライトニング・ボルテックス』は無意味!!」

 

「ふむ、相手ターンにも使えたか。まぁ、構わない。魔法カード『死者蘇生』。甦れ……『天帝アイテール』!」

 

「『アイテール』……いや、狙いは『邪帝』ね?既に引き込んでるのかしら?けど、そんなことはさせない」

 

 私は急いでアクション魔法を探しにいく。しかし探しても、近くにアクション魔法の影は一つもない。

 

「……だったらこうする、『レッド・デーモン・アビス』!!」

 

 私が『レッド・デーモン・アビス』に叫ぶと、私のドラゴンは分かったように地面に降り立ち、そしてその拳を地面へと突き刺す。

 

「一体何を…………っ!?」

 

「ここは火山のフィールド、なら闇とはいえ炎を操る『レッド・デーモン・アビス』の炎を大地が受ければ……」

 

 ドッガ~ン、まさしくその言葉が似合うほど、地面が一気に揺れ始め、地面は盛り上がったり崩れたりと大慌てを始める。

 

「フィールドを一変させられる……言うでしょ?太古の昔から伝説で龍は自然を壊して人々に恐れを抱かせる……私の『レッド・デーモンズ』はその中でも炎やマグマを象徴する、この程度は朝飯前よ……」

 

 そして私は『レッド・デーモン・アビス』の掌に乗り込み、再びアクション魔法を探し始める。

 

「邪帝……残念ながら俺の狙いは除外じゃない……バトルだ!」

 

「……?」

 

 私は攻撃力の劣るモンスターしかいない状況で攻撃宣言してきたことに不思議がりながらも、とりあえずアクション魔法を手に入れる。

 

「『アイテール』で『レッド・デーモン・アビス』へ攻撃っ!! そしてこの瞬間……手札の速攻魔法『大ギャンブル』を発動! このカードは攻撃力の劣るモンスターで攻撃をしたときのみ自らのライフを100にすることで『アイテール』を対象に発動できる。そして、ダイスを2つ振りその出目を掛け合った数に対象となったモンスターの攻撃力をかけた数値が対象となったモンスターの攻撃力となる。ただし、この効果を得るためにはゾロ目でなくてはならないが……な」

 

遊輔 LIFE2000→100

 

 

 蓮視点

 

「はぁぁぁ!?」

 

「ゾロ目の倍数って、ギャンブル効果も大概にしろっす!!」

 

「遊輔先生はあぁ見えてギャンブルカードはよく使うんだぜ。しかも、ほしい数値の的中率もたけぇんだ!」

 

「でも確率的には約1/36だし、蘭の墓地には……」

 

 

 蘭視点

 

「えっと…………『超電磁タートル』を除外するわ」

 

「アクションマジック『溶岩濁流』! 相手の墓地で発動するカードを無効にし、互いの墓地全てを除外する!」

 

「!!ならばアクション魔法『フレイム・ボール』!!相手に200のダメージを与える!!」

 

 彼はまだ走り続けていたが、その目前に二つのアクションカードがあった。遊輔は咄嗟の判断で()()()()()を手に取り、カードも見ずにそのカードを発動した。

 

「アクションマジック『加速』!『 フレイム・ボール』での効果ダメージを0に!」

 

「く、ならアクション魔法発動!!『粉塵爆発』!!自分フィールドのモンスターを1体リリースすることで、デッキから魔法カードが出るまでカードをオープンする。そして出た魔法カードの発動条件が満たされていた場合、発動する!!私は『レッド・デーモン・アビス』をリリース!!」

 

 彼はすぐさま体勢を変えると()()()()()()()()()1()()()()()()()()()()()()()()()()()2()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「なんのぉ! アクションマジック『ノーアクション』! 相手のアクションマジックを無効! 更にアクションマジック『マグマ・ソード』! 俺の場に表側表示モンスターが1体のみ存在する場合のみに発動出来る! 俺の場のモンスターを選択し、選択したモンスターは2回攻撃が出来、更に貫通効果を得る!」

 

 私はそれを確認すると、すぐさま別のアクション魔法を手に取る。

 

「だったら……これで正真正銘、全身全霊の最後だ!!アクション魔法『アクション・チェーン・マイン』!!このターン発動されたアクション魔法一枚につき、互いに1000のダメージを受ける!!死なばもろとも……よ!!このターン発動されたアクション魔法はこのカードを除いても5枚!!よって互いに5000のダメージを受ける!!」

 

「引き分けにさせ……ないっ! 最終戦へ希望(のぞみ)を繋ぐ!」

 

 遊輔はそう叫び近くに爆風で巻き起こった砂埃に埋もれていたAカードへと手を伸ばす。そして……それに手が届いた。

 

「アクションマジック『リ・アクション』! このターン中に発動されたアクションマジックの効果を1つ選択し、得ることが出来る! その代わりに俺は300のダメージをエンドフェイズに受ける! 俺はノーアクションの効果を選択! アクション・チェーン・マインを無効にっ!」

 

 

 蓮視点

 

「……ここまでAマジックの応酬が続いたの、いつ以来だ……?」

 

「……少なくとも、私の知る限りでは一度も存在しませんね……」

 

 控え室の二人のその言葉に、俺はただでさえプレッシャーが掛かるのが更に増した。

 

「いや~、流石にこのあとの試合は、凄いプレッシャーが掛かるだろうねー、蓮?」

 

「……お願いですからやめてください、胃に穴が空きそうです……」

 

 本当に、誰か胃薬ください……。

 

 

 蘭視点

 

「……流石に、これ以上の回避手段は無さそうね」

 

 私は流石に体力が限界に達し、フィールドに立ち尽くす……

 

「……けど、最後に私のエースだけは見せてあげる!!アクション魔法『熔岩再臨』!!墓地に存在するエクストラデッキのモンスターを1体除外して、除外したモンスターこレベルが一つ下で同種族同属性、同召喚方のモンスターを、フィールドのモンスターを1体リリースして、エクストラデッキから特殊召喚する!!私は『ダーク・リゾネーター』をリリース!!現れなさい!!我が化身の竜!!『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』!!」

 

『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』 ☆8 A3000

 

「さぁ、バトルは続行、運命のダイスを降りなさい!!」

 

「当然。ダイスロールっ!!」

 

 彼が手元に現れた2個のダイスを天高く投げ、それはソリッドヴィジョンの大きいものとなり降りてくる。地面にあたり、跳ね、互いにぶつかったりと様々な面が交錯し……2つはそれぞれ止まった。そして、一番上を向いていた面は……

 

「ビンゴ! 出目は6と6! よって、アイテールの攻撃力は6×6の36倍となり……」

 

天帝アイテールATK2800→100800

 

 

 蓮視点

 

「……なぁ、俺は夢でも見てるのかな?攻撃力10万オーバーって」

 

「……大丈夫だ。俺も……今それ思ったところ……」

 

 

 蘭視点

 

「天帝掌波撃!」

 

 その天帝の一撃は、一瞬にしてフィールドを拡散していき、辺りを白い光に飲み込んでいく。つまり何が言いたいかというと、

 

「「「ぬぁぁぁぁぁぁ!?」」」

 

 控え室すら飲み込む大爆発に、私含めその場にいた全員が呑み込まれたのだった。

 

蘭 LIFE4100→0

 

 

「……帝には勝てなかったよ……!?」

 

 ふらふらと立ち上がった私が見たのは、ボロボロに皹が入ったアクションフィールド、バリバリに割られたガラス、そして死屍累々にぶっ倒れる遊輔さん以外のメンバー全員だった。

 

「あ~…………流石に……やり過ぎたか……」

 

「「「当たり前だ……!!」」」ガクッ

 

 その後、暫く遊輔さんは石抱きの刑にさせられ、大ギャンブル使用禁止令が出たのは、まぁ割愛する。


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