「はぁ……」
「どうしたんすか、蓮の兄貴」
「兄貴って言うな……というか……うん、周りからの視線が痛い」
やぁ、皆さん風山蓮です。今絶賛、クラスメイトからの視線に耐えています。
なぜこうなったのかというと、昼休みになって食堂に行ったら、昨日の不良こと不動島亮(最初に名前を聞いたときは笑いそうになった)が着いてきていて、彼いわく『兄貴の飯ぐらい奢ります』ということで、あいつに豚カツ定食を奢ってもらい一緒に食べてる。ここまでは別にいい。というか俺には全く非がない。
だが、問題は目の前にいる亮だ。というのもやはりというか学校でも一匹狼の不良と認知されていたらしく、その彼が俺にペコペコしてるのを周りが驚いているという感じだった。しかもそのせいで俺にまで奇異の目を向けられてる。食べづらいとしか言いようがない。
「……隣いいかな?」
と、いきなり女子の声が聞こえたと思い振り替えると、そこにはボーイッシュというのがよく似合う黒のウルフカット美少女がそこにいた。
「ん?あぁ別に構わないよ」
「ありがとう」
そう言って少女は俺のとなりに座り、手に持っていたホルモン定食に箸をつける。
「…………」
「……?どうかした?」
「あ、いや……女の子が学食でホルモン食べるなんて思わなくて……」
それに同意するように亮も頷く。確かにホルモン女子というのは聞いたことがあるが、まさか高校生でそんな娘がいるとはおもってもなかった。
「別に、ただ食べたいから食べるだけ。他の娘みたいに外見を取り繕うのが嫌いなの」
「手厳しいことで、ていうか周りの視線とか気にしないの?」
「他人なんてどうでもいい。人は人、私は私、自分がやりたいことを他人にどう思われようが私の自由だし」
そう言いのける少女に若干納得するものの、亮とは別の意味で一匹狼だな、と思う。
「……それより、早く食べないと授業に遅れるよ?」
「ん?やっべ!!」
俺は急いで残ったカツとご飯を口にかっこむ。亮も同じようで自分のカレーを吸い込むように平らげる。そんな俺らのことを彼女は微笑ましく見ていた。
「兄貴!!デッキの調整手伝ってくれっす!!」
放課後、特にやることもなくぶらぶらしようと思った矢先に亮に声をかけられる。
「調整って、お前の『暗黒界』ってどう調整したらいいかわかんねぇよ……」
「う……そりゃ兄貴のデッキから見たらそうなんでしょうけど……」
実際、俺が持ってるデッキは基本的にバトスピ時代のカードと、それに対応するかのように入っている汎用カードだけ……はっきりいって調整のしようがない。
「あー、ならショップでも行くか?」
「良いっすね!!確かそろそろ『古代の機械』のストラクチャが発売する頃合いでしたし」
ということで、亮いきつけのカードショップに来たわけだが……。
「なぁ亮、ここって本当にカードショップ?」
「そうですよ?」
「…………」
まぁ確かに色々とカードがあるからそうなんだろうけどさ、いる人たち全員怖いんですけど!!なにグラサンとかスキンヘッドとかタトゥーとか、ここはヤクザが経営してるのか!?
「あ、い゛ら゛っしゃませ~」
しかも店員まで同じだし、いやだもう帰りたい。
「うっす店長!!いつものテーブル開いてる?」
「おぉ亮じゃねぇか!!……いや、今は別の奴が使ってるな……」
てか、普通に会話してるし……。
「ん?そっちのは見かけねぇ顔だが?」
と、ここで俺がロックオンされたし!!なに、なんなの!?
「この人は蓮さんっていって、俺にライフ完全無傷で勝った人なんすよ!!」
「ほぅ、そいつはすげぇな!!まぁ、確かにおっかない顔のやつばかりだが、根は良い奴ばかりだから、贔屓にしてくれや」
「は、はい……考えときます」
俺がそう言うと店長はガハハと、豪快に笑う。確かに根は良い人たちなんだろうな……外見がなければ。
とその時、フリースペースで歓声があがる。何事かと見に行く。話を聞いてみると、なんと二対一の変則マッチで一の方のプレイヤーが完全勝利をしたというのだ。少し驚きながらそのプレイヤーの顔を見ようと体を入れると、そこにいたのは、
「……え?」
なんと昼休みに一緒にいた少女の姿がそこにあった。
「……あ」
彼女も気づいたみたいで此方に軽く会釈する。
「ん?坊主この嬢ちゃんの知り合いか?」
「え、ええ。同じ学校の……」
観客に事情を話すと、観客たちはへぇという風に話している。
「……ん」
と、突然彼女が俺の袖を掴んでくる。
「…………君、結構強いよね?」
「へ?」
そう言われて少しだけ首を傾げる。まぁ確かに昔何度か遊戯王はやってたし、バトスピに乗り換えてからもアニメは見ていた。
「……勝負しよ?」
「直球ですね、ホント」
「私は回りくどいの嫌いって昼休みに言ったでしょ?やるなら直球で潰す」
淡々と言ってるが、その目にはたぎるような炎が燃えている。
「……良いぜ、こっちも直球には燃える質なんでな」
俺が言い返すと観客たちがヒューと口笛やらの歓声を鳴らす。俺達はデュエルディスクを展開し、互いのデッキを嵌める。
「あ、そういや名前聞いてなかったな、俺は」
「風山蓮……私の名前は朱志那蘭」
「蘭……か、まぁ良いや、それじゃ」
「「デュエル!!」」
蓮 LIFE8000
蘭 LIFE8000
「先行は私……私は『レッド・リゾネーター』を召喚!!」
『レッド・リゾネーター』 ☆2 炎 A 600
「『レッド・リゾネーター』が召喚に成功したとき、手札のレベル4『超電磁タートル』を特殊召喚!!」
「『レッド』……それに『リゾネーター』……なるほど、パワーデッキか」
俺がそう言うと、蘭は微妙な表情を浮かべる。
「確かにそう、私のデッキは、とにかくパワーで勝つデッキだから……」
「ち、やりづらいデッキだなおい」
というか俺のデッキに対してはほぼメタだ。何せ俺のデッキの火力は、シシグイが居なければ基本的に皆無といって良いほどに不足してる。
「私はレベル4『超電磁タートル』にレベル2『レッド・リゾネーター』をチューニング……シンクロ召喚、来て、『レッド・ライジング・ドラゴン』!!」
『レッド・ライジング・ドラゴン』 ☆6 闇 A 2100
「『レッド・ライジング・ドラゴン』の効果発動!!このカードがシンクロ召喚に成功したとき、墓地の『リゾネーター』を特殊召喚する」
「なるほど、今墓地にいるのは『レッド・リゾネーター』のみ、よってそいつを特殊召喚するわけか」
「それだけじゃない、特殊召喚された『レッド・リゾネーター』の効果で、『レッド・ライジング・ドラゴン』を指定して、その攻撃力分ライフを回復するつまり私のライフは」
蘭 LIFE 8000→10100
「1ターン目でライフ一万オーバーかよ……」
「続く、私はレベル6『レッド・ライジング・ドラゴン』にレベル2『レッド・リゾネーター』をチューニング、紅の炎に身を焦がす悪魔の龍よ、今その咆哮で天地を滅せよ……シンクロ召喚!!現れなさい『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』!!」
『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』 ☆8 闇 A 3000
「……私はカードを二枚伏せて、ターンエンド」
蘭 LIFE 10100 手札一枚
フィールド
『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』 ☆8 A 3000
伏せカード二枚
「俺のターン、ドロー!!……!!」
俺は引いたカードを確認すると少しだけ驚く。というのも、まさかこのカードを引くとは思ってもなかったからだ。
「……俺はモンスターを裏守備表示でセット、カードを三枚伏せ、永続魔法『神樹の切り株都市』を発動!!俺はこれでエンドフェイズに入り、『切り株都市』の効果を発揮する。デッキの上のカードを一枚めくり、そのカードが風属性モンスターならば特殊召喚する……」
「……ギャンブルカードね」
「にべもなく言えばな……めくったカードは風属性モンスター『ジョーニン・トンビ』、よって守備表示で特殊召喚!!」
『ジョーニン・トンビ』 ☆4 風 D 2000
「俺はこれでターンエンド」
蓮 LIFE 8000 手札一枚
フィールド
『ジョーニン・トンビ』 風 D 2000
セットモンスター
『神樹の切り株都市』 永続魔法
伏せカード三枚
「私のターン、ドロー。……『スカーライト』の効果発動、相手フィールドのこのモンスターより攻撃力の低い特殊召喚されたモンスターをすべて破壊し、その数×500のダメージを与える」
「俺のフィールドには特殊召喚された『ジョーニン・トンビ』がいる……」
「よってそのモンスターは文字通り焼き鳥になってもらう……アブソリュート・パワー・フレイム!!」
スカーライトの口より放たれた熱戦によって、空を飛んでいた俺の『ジョーニン・トンビ』は破壊され、その炎が俺を襲う……かと思いきや
蓮 LIFE 8500
「!!ライフが寧ろ回復してる!?」
「俺は罠カード『絶甲氷盾』を発動させてもらった!!自分がダメージを受けたとき、ライフを1000回復し、このターン相手の攻撃を封じる!!」
そう、バトスピでお約束のバーストカードだ。その強さはライフを削らればすぐに発動するという優れもの、例えどんな劣性だろうと、ライフを尽かさずに逆転できる程のカードだ。
「さらに破壊された『ジョーニン・トンビ』の効果発動!!フィールドに分身トークンを特殊召喚する!!」
『分身トークン』 ☆4 A 1000
「……私はカードを一枚伏せる。これでターンエンド」
蘭 LIFE 10100 手札一枚
フィールド
『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』 ☆8 A 3000
伏せカード三枚
「俺のターン、ドロー!!……よし、俺は守備表示のチューナーモンスター、『チューニン・ツバメ』を反転召喚!!」
『チューニン・ツバメ』 ☆3 風 A 1500
「俺はレベル4の『分身トークン』に、レベル3の『チューニン・ツバメ』をチューニング!!翠の羽纏いし不死鳥よ、今我が願いを翼に込めよ!!シンクロ召喚!!現れろ、レベル7!!『ゲイル・フェニックス・ピーコック』!!」
『ゲイル・フェニックス・ピーコック』 ☆7 風 A 2800
現れたのは、緑と白の羽を持った巨大な怪鳥、俺の
「……シンクロ召喚……」
「まだだ!!俺は伏せカードオープン!!永続罠『リビングデッドの呼び声』!!これにより俺は墓地の『ジョーニン・トンビ』を特殊召喚!!」
『ジョーニン・トンビ』 ☆4 風 A 1800
「さらに俺は手札の『トランスターン』を発動し、『ジョーニン・トンビ』をリリース!!疾風を纏いし武神よ、天高らかに翼を広げ、その爪で敵を裂け!!現れろ、『鳥武神シシグイ』!!」
『鳥武神シシグイ』 ☆5 A 500
「さらに俺は魔法カード『マジックプランター』を発動し、『リビングデッドの呼び声』をリリースして二枚ドロー!!……バトルだ!!『ゲイル・フェニックス』で、『スカーライト』を攻撃!!」
「態々攻撃力の低いモンスターで?」
「『シシグイ』の効果で、フィールドに存在する鳥獣族モンスターは、このカードを含めた風属性モンスター1体につき攻撃力が200アップする!!」
『シシグイ』 A 500→900
『ゲイル・フェニックス』 A 2800→3200
「さらに『ゲイル・フェニックス』の効果!!このモンスターが攻撃するとき、手札を一枚裏向きでターンのエンドフェイズまで除外することで、このターンこのモンスターは二回まで攻撃できる!!」
「させない、罠カードオープン『デモンズ・チェーン』!!『ゲイル・フェニックス』の効果を無効にして、攻撃を封じる!!」
「まだだ!!手札のカードが裏向きで除外されたとき、フィールドにセットされたこのモンスターは特殊召喚できる!!現れろ『古の神皇 神鳥のガルダーラ』!!」
『古の神皇 神鳥のガルダーラ』 ☆8 風 A 3000
現れたのは、正しく伝説とでも称えられそうなほど強大な姿をした怪鳥で、使ってる此方さえも萎縮しそうな程だった。
「『ガルダーラ』も風属性・鳥獣族モンスター、よって『シシグイ』の効果を受ける!!」
『シシグイ』 A 900→1100
『ゲイル・フェニックス』 A 3200→3400
『ガルダーラ』 A 3000→3600
「『ガルダーラ』で、『スカーライト』に攻撃!!」
「罠カード『キング・スカーレット』を発動!!戦闘破壊を無効にし、このカードを守備表示で特殊召喚する」
『キング・スカーレット』 ☆1 闇 D 0
「だがダメージは受ける!!」
蘭 LIFE 10100→9500
「『ガルダーラ』の第二の効果発動!!モンスター効果で裏向きで除外されているカードが存在する時、このモンスターのバトル終了後、相手フィールドの表側表示の魔法・罠ゾーンのカードを一枚破壊し、このカードはもう一度だけ攻撃できる!!俺は『デモーンズ・チェーン』を選択し破壊!!バーディア・ハウリング!!」
『ガルダーラ』の鳴き声によって『デモンズ・チェーン』が錆び始め、『ゲイル・フェニックス』を押さえきれず壊れてしまった。
「いけ、『ガルダーラ』!!『スカーライト』にもう一度攻撃!!グローショック!!」
「ラスト罠カード『バスター・モード』を発動!!『レッド・デーモンズ・ドラゴン』扱いの『スカーライト』をリリースして、デッキから『レッド・デーモンズドラゴン/バスター』を特殊召喚!!」
『レッド・デーモンズ・ドラゴン/バスター』 ☆10 闇 A 3500
「ぐ……『ガルダーラ』で『/バスター』を攻撃!!」
蘭 LIFE 9500→9400
「『/バスター』が破壊されたとき、墓地の『スカーライト』を復活させます」
「なら俺は『デモンズ・チェーン』が破壊されたことにより、攻撃可能になった『ゲイル・フェニックス』で『スカーライト』を攻撃!!」
蘭 LIFE 9400→9000
「続けて『シシグイ』で『キング・スカーレット』を攻撃。俺はカードを一枚伏せてエンドフェイズに入る。『切り株都市』の効果でデッキトップをオープン……カードは魔法カード『貪欲な瓶』、風属性モンスターではないためデッキトップへ戻し、『ゲイル・フェニックス』の効果で除外していたカードを手札に戻す」
蓮 LIFE 8500 手札一枚
フィールド
『鳥武神シシグイ』 ☆5 A 1100
『ゲイル・フェニックス・ピーコック』 ☆7 A 3400
『古の神皇 神鳥のガルダーラ』 ☆8 A 3600
『神樹の切り株都市』 永続魔法
伏せカード一枚
「私のターン、ドロー……私は魔法カード『死者蘇生』を発動、『スカーライト』を墓地から復活」
『スカーライト』 ☆8 闇 A 3000
「『スカーライト』の効果、特殊召喚された攻撃力3000以下のモンスターを破壊する。私は『シシグイ』を破壊し、相手に500のダメージを与える」
「ぐ……すまない、『シシグイ』」
墓地へ送られた俺のエースモンスターに謝罪しながら、モンスターを墓地へと送る。
蓮 LIFE 8500→8000
「『シシグイ』が消えたことによって、あなたのフィールドのモンスターの攻撃力は下がる。バトル、『スカーライト』で『ゲイル・フェニックス・ピーコック』を攻撃!!」
蓮 LIFE 8000→7800
「……私はカードを一枚伏せてターンエンド」
蘭 LIFE9000 手札0枚
フィールド
『スカーライト』 ☆8 A 3000
伏せカード一枚
「俺のターン、ドロー!!……俺はカードを一枚伏せ、『ガルダーラ』を守備表示に変更、カードを二枚伏せてターンエンド。この瞬間、『切り株都市』の効果でオープン……風属性モンスター、『ジョーニン・トンビ』、よって俺は守備表示で特殊召喚。これでターンエンド」
蓮 LIFE 7800 手札0枚
フィールド
『古の神皇 神鳥のガルダーラ』 ☆8 D 2800
『ジョーニン・トンビ』 ☆4 D 2000
『神樹の切り株都市』 永続魔法
伏せカード二枚
「私のターン、ドロー」
「俺は罠カード『ゴッドバード・アタック』を発動!!『ジョーニン・トンビ』をリリースして『スカーライト』と伏せカードを破壊!!」
「……なら私は魔法カード『一時休戦』を発動、お互いに一枚ドローして、相手ターンのエンドフェイズまで一切のダメージを無効にする」
蓮 手札1→2
蘭 手札0→1
「……私はカードを一枚伏せてターンエンド」
蘭 LIFE9000 手札0枚
フィールド
伏せカード一枚
「俺のターン、ドロー!!……『ガルダーラ』を攻撃表示へ変更、俺はカードを一枚伏せる。そして伏せカード『貪欲な瓶』を発動し、墓地の『トランスターン』、『リビングデッドの呼び声』、『マジック・プランター』、『ゲイル・フェニックス・ピーコック』、『絶甲氷盾』をデッキに戻して一枚ドロー!!……エンドフェイズ時に『切り株都市』の効果でオープン……風属性モンスター『ゲニン・スズメ』のため、俺は守備表示で特殊召喚!!」
『ゲニン・スズメ』 ☆1 風 D 500
「俺はこれで、ターンエンド」
蓮 LIFE 7800 手札一枚
フィールド
『古の神皇 神鳥のガルダーラ』 A 3000
『ゲニン・スズメ』 D 500
伏せカード一枚
「私のターン、ドロー……私は永続罠『リビングデッドの呼び声』を発動、三度復活、『スカーライト』!!」
『スカーライト』 ☆8 闇 A 3000
「『スカーライト』の効果発動、『ガルダーラ』と『ゲニン・スズメ』を破壊し、合計1000のダメージを与える」
「させない!!永続罠『安全地帯』を『ガルダーラ』を対象にして発動!!これにより『ガルダーラ』は戦闘及び効果で破壊されない!!」
「けど『ゲニン・スズメ』は破壊される」
蓮 LIFE 7800→7300
「『ゲニン・スズメ』が破壊されたとき、相手フィールドのモンスター二体まで守備表示に変更できる。俺は『スカーライト』を選択!!」
「なら私は手札から『チェーン・リゾネーター』を通常召喚」
『チェーン・リゾネーター』 ☆1 光 A 100
「自分フィールドにシンクロモンスターが存在する時、召喚時にデッキから『リゾネーター』モンスターを特殊召喚する。私は『ミラー・リゾネーター』を特殊召喚する」
『ミラー・リゾネーター』 ☆1 光 A 0
「私はレベル8の『スカーライト』に、レベル1『ミラー・リゾネーター』とレベル1『チェーン・リゾネーター』をダブルチューニング。赤き悪魔の龍王よ、我が言霊によって、世界を破する闇を砕け、シンクロ召喚。現れて『レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント』」
『レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント』 ☆10 闇 A 3500
「『タイラント』の効果発動、このカード以外のフィールドに存在するカードを全て破壊する。」
「全てだと!!てことは」
「そう、安全地帯も破壊される。これが王者の絶対の力、アブソリュート・パワー・インフェルノ!!」
『タイラント』の巻き起こした炎によって、俺のモンスターを守護していた結界が崩壊し、それに伴って『ガルダーラ』も文字通り焼き鳥になって消えてしまった。
「く……(切り株都市までも焼かれちまった)」
「バトル、『タイラント』でダイレクトアタック」
「ぐぁぁぁぁぁ!!」
蓮 LIFE 7300→2800
「私はこれでターンエンド……」
蘭 LIFE 9000 手札0枚
フィールド
『タイラント』 ☆10 A 3500
「ぐ……俺のターン、ドロー!!俺は魔法カード『貪欲な壺』を発動!!『ゲニン・スズメ』、『ガルダーラ』、『チューニン・ツバメ』、『ジョーニン・トンビ』2体をデッキに戻し、二枚ドロー!!……(よし、これならなんとか)」
「……ねぇ、もしかして墓地の『シシグイ』を特殊召喚すれば何とかなる……そんな風に思ってない?」
「な!!」
俺は驚いた。確かに俺の手札には今『死者蘇生』と『地獄の暴走召喚』、さらに攻撃力1500の『ケンゴーキジ』がある。それを全て使えば、『ケンゴーキジ』の攻撃力は3900まで跳ね上がり、そのまま『シシグイ』で止めを刺すこともできる。
「……私が一番最初に特殊召喚したモンスターの効果を、私はまだ使ってない」
「あ……」
彼女に言われてようやく気づいた。彼女が最初に特殊召喚したモンスター……レベル4の『超電磁タートル』の効果を。
「『超電磁タートル』は1ゲームに一回だけ、墓地のこのカードを除外することでバトルを強制終了させる事ができる。つまり、君が幾ら攻撃力を上げても、その攻撃は私には届かない」
「ッ!!」
悔しいが彼女の言う通りだ。それが今起こってる全てで、なおかつ自分の負けが決まった瞬間だった。
「……俺はモンスターを伏せて……ターンエンド」
蓮 LIFE 2800 手札二枚
フィールド
セットモンスター
「私のターン、ドロー。確かに君は強かった、戦略もデッキのコンセプト運用も、けど、それでも、全然、私を倒すには程遠過ぎる。行って、『タイラント』の効果を発動しフィールドを一掃、そしてダイレクトアタック。極炎のクリムゾンヘルダイト」
「ウァァァァァァ!!」
蓮 LIFE 2800→0
俺はデュエルが終わるとペタりとその場に座り込んでしまった。強いとかそういう次元じゃない、言うなれば圧倒的、正しく強者という言葉が似合うと思った。
「れ、蓮の兄貴が、殆ど何も出来ずに負けた?」
亮も驚いてるのか、彼女を見て震えていた。
「あー!!思い出した!!」
と、観客の一人が驚くように声をあげた。
「朱志那蘭……か、彼女は『朱の悪魔』の異名を持ってる、今現在最年少のプ、プロデュエリストだぁ!!」
その言葉にその場にいた全員が、まるで氷河期がきたかのように一斉に固まる。当人も冷や汗ながらに目を剃らすところを見ると、つまり……
「……な」
「……なな」
『ナニィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!?????』
……多分、叫んでしまったのは仕方ないと思うのはしょうがないんだと思う。