エリート警察が行くもう一つの幕末   作:ただの名のないジャンプファン

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更新です。

るろうに剣心堂々再開!!再開早々にあんなド迫力ある技のオンパレードに立ち読みしながら涙流しかけました。これからもるろ剣が楽しみで仕方ないです!!


第51幕 奥義

 

 

 

 

 

比古と剣心が奥義の修行に入ってから信女は2人に食事を作り、彼らの下に届けるだけの日々を送り、極力剣心の修行の邪魔にはならない様に過ごしていた。

ただその過程において‥‥

比古に未だに一撃入れられずにバテて大の字で倒れている剣心に対して比古が彼の黒歴史を暴露していた。

 

「例えばお前が最後に寝小便を垂れたのが8歳の秋だったとか‥‥」

 

「ああ、そう言えばあったわね、そんな事が‥‥緋村ったら、あれを私のせいにしようと必死だったわね。その姿はまさにお笑いだったわ」

 

「飢えのあまり笑い茸を食って死にかけたとか‥‥」

 

「あの時、私が止めるのを無視して美味しそうに笑い茸を食べていたものね‥‥あの時の緋村を見て、私の方も思わず笑い死にしそうになったわ」

 

比古が剣心の黒歴史を語り、信女と共に笑い合っていると剣心はガバッと起きる。

そして、また修行が再開され、ようやく剣心が比古にかすり傷程度だが、一撃入れた事により奥義を伝授して貰える事になった日が来た。

 

「いいか、絶対に微動だにするなよ。ヘタに動けば死んでそれまでだからな まずは御浚い。剣術に於ける斬撃の種類‥‥"唐竹(切落)" "袈裟斬り"に"逆袈裟" "右薙(胴)"に"左薙(逆胴)" "右切上げ"に"左切上げ" そして"逆風(切上げ)" 最後に最短距離の一点わ貫く"刺突" どの流派のいかなる技であれ斬撃そのものはこの9つ以外に無く、自然 防御の型もこの9つに対応して展開される。だが‥‥」

 

次の瞬間、比古の放つ技に微動だにするなと言われるまでもなく剣心は指一本動かす事が出来ずに呆然と立ち尽くす。

 

「飛天御剣流の神速を最大に発動しこの9つの斬撃を同時に打ち込めば防ぎ切る事は絶対不可能。これが飛天御剣流"九頭龍閃"」

 

(こ、これは観柳邸で信女が放った技‥‥)

 

(微動だに出来なかった‥‥)

 

「同じ乱撃術でも"龍巣閃"と違い9つの斬撃 全てが一撃必殺の威力を有すると同時に突進術でもある故回避し切る事も絶対不可能。俺が最も得意とする技だ」

 

「これが奥義‥‥」

 

「おい、おい、ボケッとしてねぇでとっととやってみろ」

 

「い、いきなりやれったって‥‥」

 

「寝ぼけてんのか?お前は?」

 

「だって師匠」

 

「手取り足取りで教えた技は身につかない。一度くらってそこから学び取った技こそ、いざって時こそ役に立つ。いつもそうして修行してきただろうが」

 

「「っ!?」」

 

比古にそう言われこれまでの修行の日々の事を思い出す剣心と信女。

 

「そう思うとよく生きていたわね、私達‥‥」

 

「全くでござる」

 

「まっ、一重に俺の巧みな力加減の賜物だな。ハハハハハ‥‥」

 

一度見た技をすぐに打てと言う比古に反抗したもののこれまでの過去で、そうやって修行した事を言われてしまえば打つしか手はなく剣心は実際に信女の不完全な九頭龍閃を含めて二度くらった訳であり、確かに微動だに出来なかったものの、見切れなかった訳ではないと剣心は九頭龍閃を撃ったが、比古の放つ九頭龍閃に敗れ倒れてしまう。

 

(打ちこんだ筈なのに‥‥同じ九頭龍閃なのに‥‥全て完全にせり負けた‥‥今の九頭龍閃は完璧じゃなかったのか?)

 

「いや、完璧だったぜ。だが、同じ飛天御剣流の同じ技でも使い手が違えば威力も当然異なる。乱撃術では腕の力、突進術では重量がものを言う。だが、そのどちらもお前は俺より圧倒的に劣る、つまり俺の九頭龍閃の前ではお前の九頭龍閃は通用しない」

 

「俺では‥‥奥義を使いこなせない‥‥」

 

折角習得した奥義も宝の持ち腐れとなる結果にショックを受ける剣心。

そこへ、

 

「‥‥緋村、貴方何か勘違いしていない?」

 

ショックを受けている剣心に対して信女が声をかける。

 

「えっ?」

 

剣心は九頭龍閃を飛天御剣流の奥義だと思っていた。

剣術において防御も回避も不可能。

一度に9つの技をほぼ同時に打ち込める技。

強力な技である事には変わらない。

しかし、

 

「よく思い出してみなさい。比古は九頭龍閃が『奥義』だなんて一言も言っていないわよ‥‥九頭龍閃は貴方がまだ覚えていない技なだけよ」

 

「っ!?」

 

「信女の言う通りだ。もし俺の九頭龍閃を破る技があるとすればその技はただ1つ‥‥それこそが飛天御剣流奥義"天翔龍閃"」

 

「なっ!?」

 

「図られたわね、緋村」

 

絶句する剣心に苦笑する信女。

確かにこれまでの会話の中で比古は九頭龍閃を一言も奥義とは言っていない。

比古の屁理屈に剣心はガックリと項垂れたが、それを超える技があるのならば‥と剣心は気持ちを早々に切り替えて比古を見据える。

比古の放つ九頭龍閃を回避する為にどうするか、九頭龍閃の性質を見極めろと言われた剣心はハッとして刀を鞘に納めると抜刀術の構えをとった。

 

「御名答、神速を超える超神速の抜刀術、それが奥義"天翔龍閃"の正体だ。だが 問題は抜刀術に不利なその逆刃刀で果たして神速を超える事が出来るかの話だがな‥‥」

 

以前、黒笠‥鵜堂刃衛と戦った際も刃衛は逆刃刀が抜刀術で不利な刀であると見抜いていた。

超一流の剣客である比古がその点を見逃す筈がない。

逆刃刀の弱点を指摘された剣心は構えを解いて改めて比古と対峙する。

 

「納刀したままでの無形の位‥‥それがお前の出した答えか?‥‥無謀だな」

 

「承知しています。しかし‥それでも‥‥命を捨ててでも俺は ここで奥義を会得しなくてはならない。その為ならば死など恐れてはいません」

 

剣心の目は幕末の人斬り抜刀斎の目つきに似ていた。

 

(緋村‥‥それは違うわよ‥‥貴方は間違っている‥‥)

 

剣心の覚悟を聞いた信女は目を伏せ俯く。

剣心はまだ飛天御剣流奥義の本質を分かっていない。

比古も冬月を鞘に納め踵を返す。

 

「師匠!!」

 

「今のお前には天翔龍閃は会得出来ん‥‥やはり お前はバカ弟子だ」

 

「えっ?」

 

「結局のところ何もわかっちゃいねェと来た」

 

「師匠‥‥」

 

「一晩時間をやる、朝までに己の心の中を探って"自分に欠けているもの"を見つけだせ。それが出来ねば奥義の会得はおろか、お前は本当にここで命を捨てる事になる」

 

そう捨て台詞を吐いて比古は小屋の中へと入ってしまう。

そんな比古の後姿を剣心は呆然と見送った。

奥義習得は自分との戦いである。

信女が答えを教えては何の意味もない。

 

「緋村、比古の言っている事は間違っていないわ‥‥時間がないのも分かっている。でも、剣の修行は一朝一夕で出来るものではない筈よ。貴方は明らかに焦っている。それでは志々雄と戦う前に比古に殺されるわよ」

 

「信女‥‥」

 

「緋村‥もう一度、自分と向きあって‥‥貴方が何のために剣を振るうのかを‥‥」

 

「‥‥」

 

そう言って信女も比古の居る小屋へと戻っていった。

 

夜、剣心は井戸の淵に腰掛け夜空を見ながら考え込んだ。

今の自分に一体何が足りないのか?

覚悟なら出来ている筈だ。

命を懸けてでも奥義を習得してみせる‥‥

それの何処が間違っているのだろうか?

これまでの修行だって命がけだったじゃないか‥‥

剣心は一晩苦悩する事になった。

 

 

「あれから19年‥そして奥義の伝授が成ろうが成るまいが明日が今生の別れか‥‥」

 

「そう‥なるわね‥‥」

 

「‥信女、お前も飛天御剣流奥義を会得はしているが、あの時は異例中の異例だ‥‥あのバカ弟子の時もお前の様な事が起きるとは限らないぞ」

 

「分かっているわ‥‥」

 

「それにしても全く、あんな朴念仁の何処がいいんだか‥‥」

 

比古は呆れながらグイッと杯に注がれた酒を一気に煽る。

 

「そうね、確かに比古の言う通り、緋村は朴念仁かもしれないわ。でも、緋村が今の自分に何が足りないのかを理解出来れば、少しはマシになるわ。元々は実直で馬鹿正直な男だし‥‥」

 

そう言って空になった比古の杯に酒を注ぐ信女。

 

「その実直で馬鹿正直な所にお前は惹かれたのか?」

 

比古がクックっと笑みを浮かべながら再び杯の中の酒を煽る。

 

「っ!?」

 

比古の指摘に思わず信女の顔が赤くなる。

 

「弟子をからかうその癖は一生直りそうもないわね‥‥」

 

そう言ってお盆に乗せた握り飯を持ち、外へと向かう。

 

「あのバカ弟子にはホント、勿体ない女だよ、お前はな‥‥」

 

信女の後姿を見ながら比古は杯に酒を注ぎグイッと煽った。

 

 

「緋村」

 

「信女‥‥」

 

「夕食‥‥少しでもいいから食べなさい」

 

「し、しかし信女、拙者は‥‥」

 

「いいから‥場合によってはこれが最後の晩餐になるかもしれないのよ」

 

「‥‥」

 

信女に促され、剣心は彼女が持って来た握り飯を食べ始める。

 

「ねぇ、緋村」

 

信女が剣心の隣に腰掛けながら声をかける。

 

「おろ?なんでござるか?」

 

「貴方に今欠けているもの‥それは人として大事なモノよ‥‥貴方と会うずっと前の私はそれを手放して生きてきた‥‥でも、比古に‥‥飛天御剣流の奥義を伝授してもらった時、それを忘れた‥‥ううん、忘れる事が出来た‥‥」

 

「信女は既に奥義を‥‥」

 

「ええ‥でも、貴方に答えを教える訳にはいかない‥‥これは貴方自身の問題なのよ」

 

「あ、ああ‥‥」

 

今の剣心に足りないモノ‥‥

それを見つけるのは剣心自身だ。

それでも彼にアドバイスぐらいならしてもいいではないかと思い信女は遠回しであるが、剣心に彼が今自分に足りないモノ、欠けているモノを伝える。

 

「緋村‥貴方の自己犠牲の精神は確かに人として立派なのかもしれない‥でも、それだけじゃ、飛天御剣流の奥義は会得出来ない‥だから、私から言えるのはこれだけよ‥‥緋村‥生き残りなさい」

 

「信女‥お主は何を‥‥」

 

色々と気になる事を言いつつも信女はその場から去って行った。

 

(生き残る‥‥)

 

信女の最後の言葉が妙に印象に残った剣心だった。

 

その頃、京都の警察署では斎藤がようやく京都に到着した。

 

「長旅ご苦労。予定より随分と遅れたな」

 

「ちょっと、道中で一事件ありましてね‥‥」

 

そして斎藤は早速、先日捕らえられた十本刀の張がいる牢屋へと向かった。

 

「それで署長、先日捕らえた志々雄一派の張と言う男は?」

 

「ああ、あの奥だ」

 

署長は張の居る牢屋へと斎藤を案内する。

 

「ところで署長、佐々木の奴は今何処に?」

 

斎藤は信女の行方を尋ねる。

 

「緋村剣心‥あの人斬り抜刀斎がなんでも剣の修行に入るとかでその世話をするので、しばらく彼と行動を共にすると言ってから音信不通となっている」

 

「そうですか‥抜刀斎が修行を‥‥」

 

「ああ、彼の修行が終われば、志々雄など簡単に討伐できるはずだ」

 

「‥‥」

 

(ならばいいのだがな‥‥)

 

志々雄の討伐がそう簡単に出来るのかと不安視する斎藤だった。

その最中、斎藤はある牢屋の前で立ち止まる。

 

「ん?どうかしたのかね?」

 

「‥‥貴様か?」

 

斎藤は牢屋の中に居る留置人に目をやる。

其処には、

 

「おう、相良左之助、堂々の京都到着だ」

 

不敵な笑みを浮かべた左之助が居た。

 

 

朝日が登る頃‥‥

小屋の前で対峙した師弟の2人は目の下にくっきりと隈を作り凄い顔をしていた。

 

「夕べは一睡もしなかった様だな」

 

「師匠こそ‥‥」

 

そんな2人を見て信女は苦笑しながら、

 

「とりあえず2人とも、まずは顔を洗ったら?」

 

信女がそう提案すると、2人は並んで顔を洗う。

その姿は師弟と言うよりも親子の様に見える。

しかし、それを言えば十中八九、2人は否定するだろう。

だが、互いに否定する姿もますます、親子に見える。

 

「で?欠けているものは見出せたか?」

 

「‥‥いいえ」

 

結局剣心は信女のアドバイスの意味が分からず、一晩考え続けた。

その結果が貫徹だった。

 

「所詮 お前はここが限界の男だったか…己に欠けているものが見出せぬ中途半端なままでは奥義の会得は勿論、志々雄一派に勝つこともまず無理だろう。百歩譲って仮に勝てたとしても、心に住みついた人斬りにも絶対勝てん。お前は生涯苦しみ孤独に苛まれ、人を斬り続ける」

 

少々苛立った様子で比古は身に纏っていた白い外套をはずし投げ捨てるとそれは重い音を立てて地面に伏した。

その重い音に剣心も驚いていたが、外套をはずした比古の刀一振りに更に驚く事となった。

 

「ならばいっそ奥義の代わりに引導をくれてやるのがお前の師匠としての最後の務め‥‥覚悟はいいな?剣心」

 

ビュッと風切り音を響かせた一振りは剣心の足元を割る。

剣心も初めて見る外套を取り払った初めて見る真の比古清十郎の姿に剣心は自分の手が震えている事に気付く。

身体が恐怖を感じているのだ‥‥。

それも無意識に‥‥。

 

(この感覚はやっぱり慣れないわね‥‥)

 

比古清十郎の背後に映る己自身の絶対の"死"‥‥。

見廻組に引き抜かれる前のそれはまでの人生は、天照院奈落にて暗殺者として生きてきた信女。

死を恐れず、生への執着を捨て、ただ機械の様に人斬りをしてきた。

吉田松陽の牢屋番をしていた時、松陽の語る「人」の姿に感銘を受け、同時に密かな憧れを抱くようになる。

しかし、それでも死に対する恐怖や自分の命など気にする事はなかった。

そんな信女が飛天御剣流奥義の伝授を受ける際にその認識を変える事になった。

いや、強制的に変えさせられ、認識させられたと言った方が正しい。

あの信女でさえ、死に対する恐怖、生き残りたいと言う生存本能を開花させる程の比古清十郎の真の姿‥‥。

そんな比古を前にしても剣心は命を捨ててでも今こそ奥義を…と言う思いのまま剣心は比古と対峙する。

 

「‥いくぞ」

 

比古が一歩前に踏み出した時、剣心は思わず後退る。

 

(恐れているのか?比古清十郎を‥その後ろにある絶対の“死”を‥‥)

 

(幕末の動乱で“死”の恐怖、“生”の執着など等に捨てた筈‥恐れる“死”を!!)

 

「この愚か者がぁぁぁぁぁー!!」

 

剣心の態度を見て、まだ彼が己の命への執着をしていない事に激怒する比古。

 

飛天御剣流‥九頭龍閃

 

剣心に迫りくる比古が繰り出す絶対の死を運ぶ九頭の龍達。

 

「ぬわぁぁぁぁぁー!!」

 

無駄だと分かりつつもそれを迎え撃つ剣心。

その瞬間、剣心の脳裏にこれまでの出来事が脳裏を過ぎる。

これが走馬燈と言う奴なのだろうか?

 

 

「流浪人の貴方にいて欲し‥‥」

 

「ちくしょう、強くなりてぇ」

 

「つぅ訳だからよぉ、俺の許しなしで勝手に流浪に出るんじゃねェぞ、剣心!」

 

「お前がいつまで流浪人などと言ってられるか地獄の淵で見ててやるよ」

 

「お前の全てを否定してやる」

 

「取り引きの材料にされて剣さんの枷になるくらいなら私は死刑台の方を選ばせて頂くわ!」

 

「この国の人々のため、今一度京都へ行ってくれ」

 

「一番 想っている人を忘れる事の一体 どこが幸せなのよ!!」

 

「動乱が終わったのなら俺がもう一度起こしてやる!」

 

 

「緋村‥生き残りなさい」

 

 

「っ!?」

 

死ねない‥‥

 

俺はまだ死ぬわけにはいかない!

 

ドガッ‥‥

 

凄まじい音を立ててぶつかり合った剣心と比古がすれ違う。

 

「そうだ‥‥それでいい‥許多の命を奪ったお前はその悔恨と罪悪感のあまり自分の命をすぐ軽く考えようとする。自分の命もまた1人の人間の命だという事実に目を伏せ、それがお前自身の真の強さを押さえる結果となり時として心に巣喰った人斬りの自由を許してしまう‥それを克服する為にはお前が今、生と死の間で見出した生きようとする強い意志が不可欠なんだ‥‥」

 

振り向き対峙した比古は気付いた剣心に僅かに笑みを見せる。

 

「生きようとする意志は何よりも強い‥‥剣心‥‥それを決して忘れるな‥生きろ‥剣心」

 

「師匠?」

 

「気にするな、"天翔龍閃"の伝授の結果は御剣流の師弟の運命だ。俺も先代の師匠の命と引き換えに"天翔龍閃"の伝授を受けた‥‥お前の"不殺"の誓いの外の事と思え‥‥」

 

そう言って比古はその場に倒れる。

 

「師匠!!」

 

「比古!!」

 

剣心と信女は慌てて倒れた比古に駈け寄る。

 

「師匠‥‥冗談でしょう‥‥?出鱈目に強い師匠が 奥義とは言え 逆刃刀の一撃で‥‥」

 

「緋村、ボサッとしていないで、手伝って!!」

 

「あ、ああ‥‥」

 

剣心と信女は2人がかりで比古を小屋の中へと運ぶ。

すると、剣心は小屋の中を引っ掻き回す。

 

「‥‥あった」

 

「何が?」

 

「俺が笑い茸の食い過ぎで死にかけた時、師匠が調合してくれた薬‥‥」

 

「‥‥もうちょっとマシな薬はないの?」

 

「無い。後は師匠の強さに掛けるしか‥‥」

 

「身体が丈夫すぎるのもある意味問題ね‥いざって時に薬がなくて大変だから‥‥」

 

急いで比古の作った薬を飲ませ、経過を見守る剣心と信女。

剣心は比古の強さに掛けるしかないと言うが、信女は信じていた。

自分の時の奥義の伝授の際にも死ななかった比古が逆刃刀の一撃で死ぬわけがないと‥‥

一方の剣心は気が完全に動転していたので、信女が飛天御剣流の奥義を会得しているにもかかわらず、比古が生きている事に関して疑問を持っていなかった。

結果はどうあれ、剣心は無事に飛天御剣流奥義"天翔龍閃"を会得する事が出来た。

後は比古が目覚めるのを待つだけとなった。

 

 

・・・・続く




ではまた次回

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