アニメ アイドルマスターシンデレラガールズ 3rd SEASON (完結) 作:栗ノ原草介@杏P
暗がりの廊下を、少女が忍び足で歩く。
その肩には、歩兵よろしくバズーカが乗っている。
彼女は、歓声のあがる楽屋に近づいて――
そして室内へ突撃する――
「レイナサマ特性バズーカよ!」
炸裂音と共にバズーカが爆発した。
バズーカをかついでいた麗奈に紙ふぶきが襲い掛かり、楽屋に笑い声がはじけた。
舞台を終えたばかりの演者はテンションが高く、打ち上げ会場である楽屋に、思わず耳を塞ぎたくなる程の歓声が飛び交っていた。
「みなさん、いい演技でした! この調子でいけば追加公演もありそうです!」
演出家の言葉に歓声が強くなる。
杏以外の全員が、〝追加公演〟という名誉を喜んだ。
「こんなはずじゃなかったのに……」
仕事が増えてしまった悲劇を嘆いた杏を、笑顔のきらりが抱き上げる。
「アンズチャーン! いっぱいお芝居がんばろうにぃ!」
「えー。もう杏は充電切れだよー。後半からは死体の役にジョブチェンジで……」
「もうっ。またそんなこと言って!」
打ち上げの様子を戸口から眺めていたプロデューサーに、ヒールの音が近づいてきた。
プロデューサーは反射的に振り向いて、姿勢を正した。
「美城常務、お疲れ様です」
暗闇の廊下から現れた美城常務は、軽くうなずいてから――
「公演、見せてもらった。悪くなかった」
「ありがとうございます」
「それと、例の件だが、上層部に話を通した。美城の伝統を重んじて反対するものもいたが、成功時の報酬は魅力的だと、賛成意見が多数を占めた。君の裁量で企画を進めてもらって構わない」
一瞬、打ち上げの喧騒が遠のいた。
ドクンと、心臓が強い脈を打つのがわかった。
「あっ、ありがとうございます!」
プロデューサーは、勢いよく頭を下げた。
興奮のあまり、右手を強く握っていた。
「美城グループは、相変わらず厳しい状況だ。窮状にあって着実に成果を出しているアイドル部門に、上層部は期待をしている。無論、私も期待している。何かあったら、遠慮なく言ってくれ」
美城常務は、表情を一切変えずに言って、その場で
プロデューサーは、ヒールの音が聞こえなくなるまで頭を下げていた。
そして楽屋から離れ、携帯を取り出した。
『はい、346プロダクションでございます』
「千川さん、ですか?」
『あぁ、プロデューサーさん。お疲れ様です』
「お疲れ様です。あの、例の企画の件なのですが、美城常務から許可をいただきましたので、準備を始めてもらえますか?」
『わっ、おめでとうございます! じゃあ、早速準備にとりかかりますね』
「よろしくお願いします」
『えっと、確認しておきたいのですが、ユニット名は……』
「はい。リトル・マーチングバンド・ガールズです」
オーディオコメンタリー(あとがき)
プロデューサーの皆様、やみのまでございます!
このたびは、拙作にお付き合いいただき、まことにありがとうございますっ!
今回は、あんキラなお話を書かせていただきました。
私事で恐縮なのですが、私は〝双葉杏担当〟のプロデューサーでございまして、何というか、書いてて最高にハピハピでございました!
〝本気モードの杏ちゃんが見たい!〟という私利私欲を成就できて、もはや思い残すことはありません……。
いやっ、まだ成仏しませんけど!w
あと、恐れ多くもレイナサマに脇を固めてもらいました。
セリフの端々から漂う小物臭がたまりませんね!
それとオデコ! 愛らしいオデコ! デコ出しは正義!w
2017年が始まる頃、次話を投稿する予定です。
次回は、莉嘉ちゃんがL.M.B.Gに凸撃するする話を予定しております。
またお付き合いいただけると、最高にハピハピでごぜーます!
――さて、話を現実にシフトしますが、
モバゲー版アイドルマスターシンデレラガールズ、5周年おめでとうございますっ!
5周年記念のアイプロ、最高に楽しかったです!
おかげさまで担当が増えました!
この調子で、どんどん歳を重ねていってもらいたいですね!