インフィニット・ストラトス ただあの空を自由に飛びたくて   作:如月ユウ

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タイトルは『こうげき』ではなく『ストライク』と読んでください


9話 攻撃(ストライク)出撃!

「ストライク……ガンダム」

 

僕が今、装着しているISはガンダムだった。

なぜ、ラファール・リヴァイヴが外されてガンダムに乗っているか僕には分からない。

謎のISは僕に向けてビームを撃つ。

 

「くっ!」

 

足裏に搭載されているスラスターを使って飛び、その場から離れた。

 

「装備は!?」

 

ストライクの装備を確認すると搭載させている装備とその状態が画面に映る。

 

頭部75mm対空自動砲搭バルカンシステム(イーゲルシュテルン)……オフライン。

対装甲コンバットナイフ(アーマーシュナイダー)……オンライン。

 

「アーマーシュナイダーだけ、くそっ!」

 

まさか原作通りの装備かよ。

ストライカーパックを使えるようにしておけとは言わないがせめてストライクの基本武装ぐらいは使えるようにしとけよ。

 

「だが、やるしかない!」

 

腰部のサイドアーマーから折り畳み式のアーマーシュナイダーを手に取る。

 

「悠人!」

 

一夏が僕の近くにきた。良かったまだ無事らしい。

 

「悠人、そのISって」

「見ての通りガンダムだよ。僕が装着していたラファール・リヴァイヴはそっちに転がってる」

 

アーマーシュナイダーを構えたまま一夏を見ず、謎のISを睨み付ける。

 

「これ以上時間は掛けれない。あのISを破壊するつもりでいて」

「破壊って人が乗ってるんだぞ!」

「無許可でIS学園に侵入、そして生徒に向かって砲撃。これだけして情けをかれられる状態?」

「それは……」

「それとあいつ、なんか動きが妙なんだ。人とはかけ離れた戦い方をしてる」

 

仮に身体が柔軟な人が乗っていても人の身体は限界がある。けど、あのISは人とはかけ離れたような動きをしている。

 

「ねぇ一夏、もしあのISが人が乗っていないと仮定しよう」

「けど、ISは人が乗らないと動かないんだろ?」

「車とかが無人で操作出来る技術があるでしょ? それのIS版だと考えればいい」

「そうか、それでどうする」

「もし、人が乗ってないならその機体を手加減しないで思いっきり壊すことが出来るんじゃない?」

 

悪巧みをするような顔でニヤリと笑う。

 

「これ以上、やられっぱなしは男として情けないだろ?」

「そうだな」

 

雪片弐型を肩に担ぐように構えた。

 

「じゃあ悠人、あのISは無人機として戦うやり方でいくぞ」

「わかった」

「いくぞ!」

 

左右に分かれて無人機ISに接近する。

無人機ISはビームを撃ってくるがストライクの機体はラファール・リヴァイヴよりもなめらかに移動出来て出力もストライクのほうが上で無人機ISにすぐに接近出来た。

 

「まずは間接部分を攻める!」

 

アーマーシュナイダーの刃が高速で振動し、間接部分に突き付けて火花を散らす。

生き物や機械で共通して言えることは間接部分がとても脆く、そこを攻められれば深いダメージを受けることになる。

ISにはシールドエネルギーがあるが同じ場所を連続でダメージを受ければエネルギーを大幅に削られる。

 

「一夏!」

「喰らえぇぇぇぇ!」

 

雪片弐型の刀身からビームサーベルような光が帯びて無人機ISを斬りつけると何度が身体を震えたあと急に動かなくなった。

多分、エネルギーがなくなって動かなくなったんだろう。

 

「念のため、距離をとっておこう」

「そうだね」

 

動かなくなったISから離れる。

 

『織斑、山田。アリーナの遮断シールドを解除した。すぐ部隊がやってくる』

『悠人、あとでお説教だからね』

 

姉ちゃんが怒った声で言うと通信を切られる。

 

「なんとかなるもんだな」

「そう……だね……」

 

なんか頭が重い……身体全体に重りをつけたようにフラフラする。

 

「おい、大丈夫か悠人。もしかして怪我したか」

「怪我はないよ。けど、けっこう疲れたかな」

「肩貸そうか?」

「大丈夫……」

 

少しづつ視界が見えなくなる……先生達が来るから少しくらい休んでもいいよね?

 

 

 

 

背中部分が柔らかいものに乗っているような感覚を感じる。

目が覚めると白い天井が見えて布のようなものが周りを隔離していた。

どうやら僕はベットに寝かされていたようだ。

 

「起きたか」

 

声と共に布がめくられると声の主は千冬さんだった。

 

「千冬さ……」

「悠人!」

「ぬぉ!」

 

千冬さんだけだと思っていたが鈴がいきなりが出てきて僕に抱き付いてきた。しかも勢いが強すぎてベットに倒れこむ。

 

「よかった……悠人が倒れたって聞いたから居ても立ってもいられなくて……」

 

腹回りに腕を回して抱き付いている。心配させたのは申し訳ないけど、この体勢はけっこう恥ずかしい。

 

「鈴……心配してくれたのは嬉しいけどこの体勢はちょっと……それに……」

「えっ、あ、あのアタシはその……」

 

無意識でやっていたことに気付くと急に恥ずかしくなって僕から離れる。

 

「そろそろ話をしてもいいか?」

「あの千冬さん」

「えっとですね千冬さんこれは……」

 

バシッ!バシッ!と二回音が響くと頭に痛みが走る。

 

「織斑先生だ。このバカップルが」

 

手にはバインダーを持っていた。バインダーの角部分は痛いけど面のような場所ってこんなに痛かったっけ?

 

「お前と織斑が倒したISだがあれから動かなくなり、先生達の部隊が回収した。それとお前が動かした機体」

「ストライクですよね? 僕自身も分からないんです……なんでラファール・リヴァイヴが外されてストライクに乗っていたのか」

「そのことだがモニターから確認した結果、お前を包む光が現れて、光がなるなくとラファール・リヴァイヴが隣に置かれ、ストライクを装着したお前がいた。ストライクの待機状態だが」

 

右手首を見ると一夏と戦うときにはなかったのにスカイブルーの色をして手首を包むようにつくられた翼のブレスレットを付けていた。

 

「もしかしたらこのブレスレットがストライクの待機状態かもしれません」

「それを解析してもいいか?」

「どうぞ」

待機状態のストライクを外して千冬さんに渡した。

 

「クラス対抗戦のことだが中止になった。侵入してきたISについて調べなければならないので仕事に戻る」

「わざわざすいません。仕事中なのに」

「お前のISについて調べないといけないからな。2日後には返却する。少し休んだら寮に戻れ」

「はい、ありがとうございます」

「それと山田」

 

待機状態のストライクを持って部屋を出ようとしたらなにか思い出したかのように僕を見る。

 

「お前と織斑がやったISの撃破だが、見事だった」

 

そう言うと部屋を出た。

 

「…………」

 

千冬さんがいなくなると僕と鈴はお互い口を開かず黙っている。

 

「「あの」」

 

なんとか口を開こうとしたらハモってしまう。

 

「あ……」

「えっと……先いいよ……」

「いや、悠人からでいいよ……」

「じゃあ、僕から」

 

ここで譲り合っても埒があかないので鈴の好意をもらって先に話すことにした。

 

「僕ってどれくらい寝てたの?それと今は何時?」

「8時過ぎよ。侵入してきたISを倒したあと先生達が来たとき突然倒れたの。一夏が悠人を運んでくれたのよ」

 

食堂でご飯が食べれないじゃないか。

どうするか、一日くらいご飯抜いても大丈夫だよね?けど、耐えれるかな……。

 

 

 

 

 

「ISの解析結果が出ました。あれは無人機でした」

「そうか」

「どのような方法で動いていたのかは不明です。織斑君の攻撃で機能中枢が焼き切れてました。修復も不可能かと」

「コアはどうだった?」

「それが……未登録のコアなんです」

 

千冬はどこか確信じみた顔で破壊されたISを見る。

 

「それと悠人が装着していたISなんですが……篠ノ乃博士の技術よりも進歩しているんです。これを見てください」

 

真耶がモニターを操作する。

 

「PS装甲? なんだこれは」

Phase Shift Armor(フェイズシフト装甲)。一定の電流を流すと相転移する特殊な金属なんです。この装甲は実弾や実体剣であればどんな兵器でも無効化し、ビーム兵器ならある程度耐えることが出来ます。ただし、ビーム兵器を使いますとストライクに内臓されているバッテリーを消費しますのでエネルギーが切れるとフェイズシフトダウンを起こし、相転移の維持が出来なくなります」

「つまりISとは別のエネルギーがあると考えても良いんだな?」

「そう捉えても問題ありません」

 

それにと付け加えると真耶は怪訝そうな顔をする。

 

「なんでガンダムの機体が現れたんでしょう……あれは架空の兵器なのに」

「それ以前にIS自体が架空の兵器と言っても過言ではないだろう。シールドエネルギーというのがあるからな。その部分を見るとこのストライクもある意味、ISとも言える」

 

解明されない謎まま、2人はストライクを眺める。

 

 

 

「はい、酢豚」

 

鈴のお手製酢豚がテーブルに置かれる。最悪、朝まで耐えるつもりでいたが鈴が部屋のキッチンを使って酢豚を作ってくれた。 さっそく一口食べる。

 

「うまい。腕上げたんじゃない?」

「当たり前じゃない。中国に戻っても料理だけはかかさないんだから」

「この腕ならおじさんのお店を引き継ぐことも出来るかもしれないね」

「悠人……そのことなんだけど、実はもうお店はやらないの」

 

お店をやらない?それってどういう……。

 

「まさかおじさんが病気かなにか」

「違うの。実は……両親が離婚したの。それが原因で中国に帰ることになったの」

 

なんで離婚なんか……おじさん達仲良さそうな雰囲気だったのに。

 

「それでアタシの親権はお母さんでお父さんとは1年は会ってないかな」

 

そう話すと下に俯いてしまう。

 

「鈴……」

 

こういうときは抱き締めたほうがいいかもしれないけど、僕は鈴の告白を保留させた。ここで抱き締めたら余計、変な関係になってしまう。

 

「悠人…?」

 

だから今は鈴の頭を撫でる。

 

「別に会えないわけじゃないんでしょ? おじさん達も多分誤解したまま離婚したかもしれないし、もしかしたら誤解が解けて再婚するかもしれない」

「あ、そっか……あんたの場合は」

「それ以上言わないで」

 

口を開こうとしたが僕がその言葉を遮断させる。

 

「僕の家族は姉ちゃんだけ。今はそれで割りきっている」

「ごめん……」

 

この世界には両親はいない。いるのは姉ちゃんただ一人、僕はそう割りきって生きている。

 

「ねぇ、鈴」

「なに?」

「鈴が言った告白のことだけど毎日酢豚はちょっと飽きるかな」

「あ、あんた……アタシが一世一代の告白をそんな風にとらえてたの」

「冷静に考えてみなよ。白米とかパン、麺類は穀物類だから毎日食べてもいいけど。酢豚は主菜だから毎日食べたら飽きるって」

 

酢豚好きが毎日酢豚食べたら飽きるでしょう。

 

「毎日みそ汁を作ってほしいのアレンジは良いと思うけどもう少し考えてほしかったかな」

「あんたって変なとこでこだわるよね」

「いや、だって……」

「なら……」

 

こほんと咳払いをして僕を見る。

 

「悠人、もしアタシが料理の腕を上げたら毎日アタシの中華食べてくれる?」

 

改めて鈴に告白される。

 

「僕が強くなったら鈴の告白を受けるよ」

 

今の僕にはまだ告白を受ける資格はない。

だから僕は強くなってから告白を受けよう。


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