インフィニット・ストラトス ただあの空を自由に飛びたくて 作:如月ユウ
一位になるのは果たして
オニールとファニール、観客のカウントで一年生専用機組のレースがスタート。
スタートダッシュを制した者が有利になると思っていたが。
「いっけぇ! 山嵐!」
レース開始直前、打鉄弐式から合計48発のミサイルが発射された。
「開始していきなりミサイルですと!?」
「それだけじゃないんだよね」
ミサイルは専用機に向かっていくと思いきやビームと実弾が当たって爆発した。
その誘爆が機体に被弾してシールドエネルギーが削れていく。
「ふふふ……一夏、聞こえていたら、おのれの不幸を呪うがいい」
「何? 不幸だと!?」
「そう、不幸だ」
「悠人、お前は!」
「君はいい友人であったが、簡単に信じたのがいけないのだよ……フフフフ……ハハハハハハ!」
スタートは一気に加速して行くのが肝心と聞かされた一夏は雪羅の荷電粒子砲を封印して、エネルギーを大型ウイングスラスターに全ふりしたため、ビームシールドが使えなく、誘爆に包まれて叫び声と共にシールドエネルギーがゼロになる。
「悠人! 謀ったな! 悠人ぉぉぉぉ!」
織斑一夏、脱落。
「なんとなくだけど簪がミサイル撃ってきたからまさかと思ってコースから外れて良かった」
「とっさにAICを発動して正解だった」
鈴は直感でコースラインから離れて、ラウラはAICを発動したおかげで損傷軽微で済んだ。
「シールドがなかったら脱落してたよ」
誘爆に巻き込まれたシャルロットは対ビームシールドで防ぐが被弾が大きく、3割ほど削れたがレースは続行出来るそうだ。
「スタート直前に仕掛けるとは……」
「ライフルを盾にしたおかげで事なきを得ましたが……」
紅椿は第4世代なのか誘爆に耐えて、大型レーザーライフル『ブルー・ピアス』を盾にしたセシリアは誘爆を防いだが使い物にならなくなり、ビットもスラスターとして使われているため射撃武器がない。
「ここからは敵同士だね」
「負けないから」
タッグマッチをしたときに使用した
先頭はこの二人が制して一列となってコースを飛んで行く。
「当たったら痛いじゃあ、すまないから避けなさい」
双天牙月を投げてきて回転しながら前にいる悠人は避けてると横から通り過ぎていく。
「剣を投げるってやることが大胆だね、鈴!」
「最初にぶっぱなした、あんたに言われたくないわよ!」
コーナーに差し掛かり、身体を傾けて減速を防いでいく。
直線コースになると瞬時加速した鈴が悠人と簪を追い抜いて一位になっていた。
「おらっしゃあ!」
「なっ、速い!」
鈴が持っている
(そうか!あのとき双天牙月を投げる前に言ったのはわざとか!)
地面に突き刺さった双天牙月を鎖に絡ませて遠心力と瞬時加速によって爆発的な速度を出した。
「やるねぇ、鈴」
「あんた達がやった武器の応用をしただけよ」
一周目は鈴がトップとなり、二周目が開始される。
射撃武器による妨害と残った武装が近接ブレードしかないブルー・ティアーズはなすすべはなく、シールドエネルギーがゼロとなった。
「くっ、ここまでのようですわね」
セシリア・オルコット、脱落。
「ふふん、お先に!」
「あぁ、また抜かれた!」
コーナーに差し掛かるたびに双天牙月と
「コーナーはアタシのダッシュちて……きゃあ!」
双天牙月を投擲して地面に突き刺し、鎖を使って遠心力による加速上げをしようと絡ませたら、すぽっ……と抜けて、緩衝壁に転がるようにコースアウトして吹き飛ばされる。
「ごめんね、鈴。これも運が悪かったって事で」
高出力スラスターが4基あるウィングフォームから可動式ビーム砲を二問備えたシューターフォームに切り替えたシャルロットによる容赦ないビーム兵器の射撃に甲龍のシールドエネルギーがゼロになってしまう。
「壁に激突した相手に追い討ちとか酷くない!?」
鳳鈴音、脱落。
「このまま
現在のトップは悠人。その後ろはラウラ、シャルロット、簪、箒という順番で二周目が終わり最終ラップが始まる。
「春雷も弾切れ……あとは夢儚だけ。そしてシールドエネルギーも残り僅か」
山嵐をわざと誘爆させて、悠人以外を脱落者にするつもりが一夏しか脱落せず、春雷で応戦するにもエネルギーを切らしてしまう。
「かくなる上は」
「お、おい簪。なぜ私に近付く」
「近くにいたから。それと個人的な恨みも込めて」
「私はお前になにかしたのか」
箒は簪に対して何もしていないので恨まれる理由はない。
しかし。
「悠人君の好みのタイプは織斑先生と篠ノ之博士。そして貴女は篠ノ之博士の妹」
殺意を込めて見ているのはISスーツから突き出た大きなスイカで自分にあるのは小ぶりの
「なんで私の周りには胸の大きい人ばかり集まるの? それに最近、シャルロットの胸も大きくなったようにも見えて、お姉ちゃんも髪を伸ばして悠人君の好みのタイプに合わせようと」
「待て待て待て待て。寄るな、寄るな!」
ブツブツと死んだ目で紅椿に寄り始める。
「箒、高速機動中に接触事故を起こして壁に激突したらどうなるか知ってる?」
「まさか。待て、それ以上寄ったら──」
「死ぬほど痛いよ」
ゴツン、と当たると打鉄弐式は制御不能になり箒を道連れに仲良く、壁に衝突。シールドエネルギーがゼロになる。
「こ、こんな負け方は認めん……」
篠ノ之箒、脱落。
「巨乳なんて……滅んでしまえ」
更識簪、脱落。
「残ったのは私達だけか。しかし」
「これで一年生専用機組の入賞は確実だね。だけど」
「ここまで来たのなら」
「「「一位は僕(私)がとる!」」」
ビームと実弾が飛び交う中、誰か一位になるかゴール直前までわからない。
「背後からだと迎撃は難しいだろう!」
シュヴァルツェア・レーゲンにあるミサイルをフリーダムに向けて発射するが悠人は右腕を後ろに曲げてルプス・ビームライフルの銃口からビームが放たれてミサイルを破壊していく。
「背面撃ち!? 高度なテクニックを覚えたな嫁!」
驚きながらも感心して、実弾式ライフルで銃弾をばらまいていくがPS装甲の前では無力で弾かれていく。
最終コーナーを通りすぎ、現在の一位は悠人。二位はラウラ。三位はシャルロット。
「レースは最後までわからないよ!」
直線コースを進んでゴールまであと少しのところで瞬時加速をしたシャルロットは悠人とラウラの前に出て、三位から一位になる。
「一瞬だけ速度を上げてもフリーダムなら追い越せる!」
「火事場の馬鹿力のつもりか!」
「それだけじゃないよ」
シューターフォームからウィングフォームに換装したラファール・リベルテは装着されているウィングフォームを機体から外した。
装着者がいないバックパックは速力を落として目の前に迫って、撃ち落とすにも間に合わず、横に移動して避けた。
「しまった、バックパックは囮」
気付いたときには遅く、シャルロットはスラスターにエネルギーを溜めてまた瞬時加速をして、換装装備を外したことで機体が軽くなり、その分、加速力が上がって突き進みゴールラインを越えた。
「一位はフランス代表候補生シャルロット・デュノア。二位は山田悠人。三位はドイツ代表候補生ラウラ・ボーデヴィッヒ」
司会者が順位を報告すると観客は拍手と歓声、指笛を吹いて、レースに参加した選手達の健闘を称えた。
「一位はシャルロットか。おめでとう」
「ありがとう。ラウラも中々だったよ」
「悔しい。このままいけば一位だったのに」
「前に学年別トーナメントで悠人がやった事を真似しただけだよ」
ラウラを助けるために使った技術を盗んで自分の物にして、最後の最後で優勝を掴んだ。
「シャルロットさん、優勝おめでとうございます」
「惜しかったけどお兄ちゃんもすごい格好良かった!」
ステージにいるファニールとオニールは手を振っていて、悠人とシャルロットも手を振り返した。
「それでは表彰式を始めます。まずは二年生訓練機組から」
白熱したキャノンボール・ファストは盛り上がりが最高潮のまま幕を閉じた。
キャノンボール・ファストがちゃんと開催されたのは私の小説だけかもしれません
もし、自分の小説でも中止されずにやったと言う作者様がいたらコメントお願いしますね