インフィニット・ストラトス ただあの空を自由に飛びたくて   作:如月ユウ

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今日からアーキタイプのPC版が配信されますね
β版のプレイ動画を拝見してFGOやまどマギレコードみたいだなと思ってます
あと鈴のいとこである乱音ですがリボンを解けば鈴に似てるな
どうでもいいがプロフィールに鈴より胸が大きいと書かれてそこ重要か?って思ってます


69話 困惑する椿と雫

放課後のアリーナでは専用機持ち以外に貸し出し用のISを申請した人が訓練をしている。

 

「くっ、中心から左にずれた」

 

高速で移動しながらターゲットである的を雪片弐型で斬り付ける。

ここから一番遠い的には射撃モードにした雪羅を撃ち、命中する。

再充電されるまで近くの的を斬りながら狙った的から近い的まで移動し、射撃可能になった雪羅をまた撃つ。

 

「これで最後!」

 

残りひとつ的を斬って終了するとレコードが白式のハイパーセンサーに表示される。

 

「こんな成績じゃ、悠人に追い付け……対等に戦うことなんて」

 

もう一度、挑戦して──

 

「そろそろアリーナが閉まる時間だぞ一夏」

「お疲れのようですから今日はここまでにしましょう」

「箒、セシリア……そうだな。白式、待機モード」

 

まだ足りないが閉館するなら仕方ない。待機状態にして白式を外した。

 

「その……前にお弁当を持ってきたときに美味しそうにいなり寿司を食べていたな。また作ろうと思うがもし良かったら」

「わたくし、取って置きのハーブティーがありまして。よろしければご一緒に」

「悪い、ちょっとやることがあるから」

 

二人の誘いを断って更衣室に行く。

 

「夏休みよりも強くなってたなんて」

 

男子更衣室でISスーツを脱いで独り呟く。

学園祭の襲撃で俺は白式を奪われかけて、少しでも遅かったら死んでいた。

楯無さんとラウラと一緒に外に出て、オータムを囲んでいた悠人達だったが外部からの攻撃で離れてしまう。

しかし、悠人はその場から離れず盾で防ぎながら応戦していた。

上空から爆弾が落ちて全部、破壊してIS学園に被害がなかったことに俺は安堵した。

 

「だけど悠人だけは違った」

 

あいつは爆弾を破壊したあと追いかけに行って、そのとき俺と悠人に大きな差があるのに気付いた。

俺は今の現状に満足しているのに対して悠人はもっと高めようとして、まるで空を見上げた俺を悠人は下から見てその先を飛んでいくように感じた。

 

「雪羅の出力が高いうえに反動が大きい。あとで整備室で調整をしておかないと」

 

制服に着替え終わるとアリーナを出て、整備室に移動した俺は参考書を片手に白式の調整をしている。

 

「近距離には拡散して撃つほうが当てやすいのか。それに威力を低くすれば連射も出来て無駄な浪費がされず……」

 

ISは自己進化や最適化を自動でしているが細かい作業になると整備室の機材を自分で操作しないといけない。

 

「通常は低威力の連射モードにして近距離で撃てるタイミングだったら高火力拡散モードにしよう」

 

それからも時間が過ぎるのを忘れるほど作業に没頭していく。

 

 

 

 

昨日から白式を調整したおかげなのか雪羅が使いやすくなり撃ったあとの隙を最小限に抑えることが出来て、仮に外れてもエネルギー消費が少ない。

 

「ラスト!」

 

的を斬り、ここから一番遠い場所にある的を狙い撃ちして終了した。

 

「はあ……」

 

調整した雪羅の射撃には二つの種類があって、拡散と連射の切り替えをするときに動きを止めてしまう。

 

「シャルロットのようにラピット・スイッチの技術があれば」

 

どうやったら出来るか聞いたが高度な技術らしく、あらかじめ登録した装備の形や特性をしっかり覚えていないといけないらしい。

 

「悠人はまだストライクだったときストライカーパックを言いながら切り替えしてたよな」

 

初心者は武装の名前を言いながら出すらしく、セシリアも近接ブレードを出すときは名前を言って出して千冬姉に指摘されていた。

 

「拡散はショットで良いとして連射はなんて呼べばいいんだ?」

 

あとで調べてみないとな。

 

 

 

 

「ちふ……織斑先生、話とはいったい」

「今はプライベートだから先生と呼ばなくていい」

 

箒とセシリアは千冬の住んでいる寮長室に呼ばれていた。

 

「最近の一夏を見てどう感じる」

「射撃を中心に訓練しているようで模擬戦のときも雪片ではなく、雪羅を使っていることが多いです」

「実弾がミサイルのみと近接が苦手なのが敗因でして恥ずかしいながら一度だけ負けておりまして」

 

クラス代表決定戦のような負け方のではなく、正々堂々の勝負で負けたことを話した。

 

「何となくだがあいつは焦っているようにみえる」

「「焦っている?」」

 

雪羅を使った射撃を訓練している一夏がなぜ焦っているのか。

白式が第二形態移行(セカンド・シフト)してから雪羅が追加されたことにより近接格闘だけではなく射撃の訓練も必要になった。

最初から射撃武器を持っている悠人に比べれば遅い時期から射撃をしているので焦るのも無理はない。

 

「学園祭の襲撃で大量の爆弾を落とされたとき、どう思った?」

「あの量の爆弾を破壊するのに精一杯でしたので動けずにいました」

「わたくしも同じ意見です。砲撃や爆撃に対する訓練は受けていましたが空を覆い尽くすほどの爆撃は初めてです」

「避難シェルターは頑丈に出来ているが爆撃機が落とす量となると、どうなるか私もわからなかった……まあ、終わったことだからどうでも良い。私が言いたいのはそのあとの行動だ」

「行動ですとは?」

 

亡国機業による爆撃よりもその後を問題にしていた。

 

「悠人だけ追いかけて行ったのが原因だろう。あれを見て格差を思い知らせただろう」

「追いかけたことが格差……ですか?」

「ナタルやイーリ、クラリッサも後から追いかけたが最初に行動したのは悠人だった」

「それが一夏が焦る理由と」

「負けず嫌いで意地を張って、ちょっとした挑発にも乗ってしまう。負けず嫌いと意地を張るのは構わないが挑発されると簡単に吹っ掛けて、そういったときはほとんど悠人がカバーしていた」

 

ラウラと刀奈、学園祭で襲撃したオータムの挑発に堪えることが出来ずにカッとなり、悠人がいなかったら大惨事になったかもしれない。

 

「自分から積極的に訓練する姿勢はいいがオーバーワークしそうだったら、あいつを止めてくれ。根詰めてやっても意味はないからな」

 

 

 

 

「それで今回もオーバーワークをしていたか」

「はい……ときどき動きを止めていることもありまして」

「ティータイムを誘おうとしてもやることがあると言って断られて」

 

雪羅の射撃の種類が増えてより訓練にめり込む一夏に心配をしていた。

 

「日曜日は外に出て空気を吸わせてやれ、学園に籠りきりは身体に毒だ」

 

悩みに悩んだ結果、日曜日は訓練をしないで外出してリフレッシュしろと言うと。

 

「そ、そそそれって」

「で、でででデートしろと言うのですか!」

「そう捉えて良い。せっかくの休みだ、普通の学生らしいことを」

「わたくし、一夏さんをお誘いに行きます!」

「待て!私が先に──」

 

乙女思考な二人にはもう聞こえてないらしく、寮長室を出ると千冬はやれやれと思いながら肩をすくめる。

 

 

 

 

寮長室を出て真っ先に向かったのは一夏の部屋。

千冬からの許可?を貰っているので遠慮せず堂々とデートに誘うことが出来る。

 

「箒さん、わたくしが先に約束するので」

「抜け駆けは許さんぞ。私が最初に」

「なにしてんのあんた達?」

 

肩を押し合ってはや歩きしていると廊下をぷらぷら歩いている鈴がいて、夜の時間なのかいつも付けているリボンは解いてストレート髪になっている。

 

「いや、その……実は日曜日に──」

「わたくし、日曜日に一夏さんとデートに行く予定ですの!」

「なっ!おい、セシリア!なにを勝手に!違うぞ鈴、私が一夏とデートに行くんだ!」

「良いわね~アタシ、日曜日にパッケージが届くから遊びに行けないし、シャルロットは悠人とデートするって言ってるから一緒に訓練出来ないのよ」

 

興味ないのか適当に相づちを打ち、日曜日は訓練浸けなのか少し憂鬱そうな感じだ。

 

「誘うのはいいけどプランは考えてあるの?」

「あ、いや……」

「それはその……」

 

これから誘うと言っていたので計画は全く考えていないだろう。

 

「今日は簪の日だからシャルロットとラウラの部屋でガンダム観ようかなって。必要なら相談に乗ってあげるわ」

「そうか。頼む」

「悠人さんとお付き合いしてますからぜひ御指南お願いします」

 

鈴を先頭にシャルロットとラウラの部屋の扉をノックするとシャルロットが出て来た。

シャルロットも夜の時間帯なのかリボンを解いてストレート髪にしている。

 

「箒とセシリア?」

「少し相談があって」

「厚かましいと思いますがシャルロットさん達しか話せないことで」

「いいよ。入って」

 

三人を招き入れて部屋に入ると同居人のラウラ以外に刀奈もいた。

 

「楯無さんもいたんですか」

「シャルロットちゃんとラウラちゃんの部屋は居心地が良くてね」

「今の私達の部屋はたまり場みたいな感じだ」

 

自分の日以外はここで話をしたりアニメを観たりゲームをしたりして過ごして寝るときには自分の部屋に戻って行く。

 

「ガンダムを観ると言いましたがどの作品ですの?」

「ビルドファイターズだけど最初からにする?」

「昨日はちょうど世界大会開始の話だったからそのままで大丈夫じゃない?予備知識必要ないし」

 

箒とセシリアは特に言うことはなく、鈴の意見で一話からではなく途中から観ることになった。

 

「ガンダムはいっぱいあるのだな」

「私達が産まれるずっと前から、はいってるからね。ガンダムだけで百機は越えているんじゃない?」

 

世界大会の種目である『バトル・ロワイアル』は宇宙や市街地、砂漠に森林といった様々な場所がひとつのフィールドになっていて箒とセシリアは学園祭に展示していたガンプラが戦っているようにも思えた。

 

「あ、デュナメス」

 

市街地を移動していた機体がビームに狙い撃ちされて破壊されると廃ビルから狙撃していたデュナメスがブレードアンテナを上にスライドさせてガンカメラを閉じると隠れていた素顔を見せていた。

同じ射撃タイプであるセシリアはデュナメスの機体に親近感を得ている。

 

「侍のようなガンダムもいるのか」

「戦国アストレイ頑駄無ね。元の機体も侍みたいな機体だったから」

「リベルテの装備にも日本刀をモチーフにした剣があるの」

「そうか、キャノンボール・ファウストが楽しみだな」

 

日本刀を元にフランスが新たな装備を開発したと聞いて嬉しそうにしている。

 

「ドイツの代表……」

「ガウ戦闘空母を作って参加した理由が」

「ガールフレンドを奪われたからで」

「仲間を集めて」

「復讐するという」

「な、なぜ私をそんな目で見る」

 

哀れみの目でラウラに視線が集まり『解せぬ』と感じた。

どうやらドイツ系人物はネタキャラとして一体化していた。

 

「そういえば、二人は一夏にデートを誘うとか言ってたけど」

「この頃の一夏さんは訓練し過ぎに思えて」

「気分転換に外に出ろと千冬さんに言われた」

「じゃあ、あんた達は自分から誘うんじゃなくて千冬さんに言われて誘うの?」

 

無言のまま頷くと手を頭に置いて溜息をする。

 

「自分からならまだしも千冬さんに言われたから誘うのね」

「訓練しているのに水を差すのはあまり良くないと」

「それに誘うにもタイミングが合わないんだ」

「最近の一夏は何か追いかけているような気もしてたし良いんじゃない? あと、一夏には言わないほうがいいわよ。千冬さんに言われて誘ったと聞いたら余計無茶するわ」

 

現状の一夏は悠人の背中を追いかけていて千冬にも迷惑がかかっていると聞いたら訓練の量を増やしていく。

幼馴染に追い付く事と姉の負担をかけている事に負荷がかかって身体を壊してしまう。

 

「私からデートしようと言うのは恥ずかしくて」

「駄目よ、最近の男の子は自分からいくことが少ないの。それに女の子から誘われると嬉しいものなのよ?」

 

女性から何処かに行こうと誘われると男性は嬉しくなり張り切ろうと髪のセットや服装を入念にして待ち時間よりの前の時間で待つ。

 

「シャルロットは日曜日は悠人とデートに行くんだろ?何処に行くんだ?」

「私は駅前のレゾナンスでぶらつくかな……ってどうしたの?」

「思ったより普通だなと」

「こう……念入りに計画しているかと思いまして」

「計画なんてしてないよ。雑貨とか服を見て、お昼になったら近くの喫茶店かレストランで食べて、またふらふら歩いて時間になったら帰る感じかな」

 

参考にしようとしたが女子だけで行っているお出掛けようなものだったのでデートの参考にはならなかった。

 

「ん~でも、悠人だからかな。やっぱり好きな人と行くから楽しいんだよ」

「ゲーセンに行ったときはガンダムを実際に動かせて感動した」

「戦場の絆ね。ラウラかなり興奮してたわよね」

「あぁ、あれから週に一度通っている。今の階級は中尉で地球連邦軍のパイロットだ」

 

データを保存するパイロットカードを取り出して自分の階級と所属の軍を言う。

 

「名前だけど本名じゃないわよね?」

「無論だ。本名は危険だと嫁に言われて変えている」

「パイロットの名前はどう言う名前ですの?」

「『ラウ・エーベルバッハ』。私の名前を一文字減らして、ドイツが舞台であるアニメを簪から借りて主人公のファミリーネームを使った」

 

マブラヴオルタネイティブの本編から過去の話であるシュヴァルツェスマーケンのDVDを借りたラウラは簪の解説を聞きながら観ていた。

部屋にはデスティニーガンダムのガンプラ以外にマブラヴの世界ではMSと同じ立ち位置の戦術機という人型兵器を使用していてラウラが借りたファミリーネームでシュヴァルツェスマーケンの主人公であるテオドール・エーベルバッハの使用戦術機『バラライカ』のプラモデルが置かれている。

 

「話がずれたな。一夏とのデートだが結論から言えば好きな場所に行け」

「それだけなのか?」

 

良く言えばシンプルで悪く言えば大雑把な結論で本当にそれで良いのかと思ってしまう。

 

「念入りに計画しても人が多くて行けないかもしれないし、急な休みになっているかもしれない」

「デートで大事なのは計画じゃなくて彼氏と楽しむこと」

「念入りでも大雑把でも一夏は特に気にしないわよ。相手に合わせて行くから問題ないわ」

 

自分のペースに乗ってくれるとアドバイスを受けて箒とセシリアは一夏が行きたい場所ではなく、自分達が行きたい場所をデートに計画することにした。




私が思うに原作に足りないのは一夏が目標、またはライバル関係である人物がいないことです
この作品の一夏が焦る理由は紛れもなく悠人の存在

専用機持ちになる時期が遅かった分、夏休みを利用して訓練浸けをして候補生ではないがクラス代表の策略を見抜いて圧倒しました

臨海学校では一夏が戦闘不能になり箒が戦意喪失したときも焦ったりせず冷静な判断と専用機持ちの武装で一夏と箒を連れて脱出する人を選別し、打鉄弐式の山嵐を使って戦線離脱
簪がいなかった場合は悠人が殿をつとめて墜落。悠人の台詞通り『簪がいたから脱出が出来た』のです

とあるゲームのキャッチコピーを例えるなら
『最高のライバルが、最高のパートナー』

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