インフィニット・ストラトス ただあの空を自由に飛びたくて 作:如月ユウ
私は時前登録をしました
学園祭当日。
今回の行事は何処にでもある普通の行事なので学生のテンションは高くなる。
「山田君のクラスは模型を展示しているらしいよ」
「コスプレして模型の説明もしてくれるって」
「写真撮影もしてくれるらしいよ」
「ホント!? これは行かないと!」
4組のクラスの催しである模型展示『アークエンジェル』は大型のジオラマを設置してガンプラを置いている。
ジオラマは市街地、砂漠、森林、軍事施設、宇宙と5つに分類している。
クラスメイトはコスプレとして地球連合軍の格好してガンプラについて説明をしている。
シャルロット、ラウラ、簪は代表候補生で専用機持ちなので士官である白の軍服を着ているが……。
「なんで僕はこっちなの?」
「だって悠人はフリーダムのパイロットなんだよ?」
「連合にいた頃のキラはその軍服だったのだろ?」
「士官の服よりも下士官の服のほうが似合っている」
僕も専用機持ちなのに下士官の軍服を着せられた。
なぜ下士官の服なのか聞くと『士官だと男女混合だし、山田君はキラの格好じゃないと』……というらしい。
「なかなか似合ってるじゃないか」
「僕よりも武士さんと真莉愛さんのほうがむちゃくちゃ似合ってますよ」
武士さんと真莉愛さんも地球連合軍の士官の格好をしているがご本人と言っても違和感がない。
本来なら学園祭の一般人の入場はチケットがないといけないが4組のスポンサーとして必要な物を取り揃えてくれたので特別にIS学園の内部をチケット無しで入場することが出来た。
「あ、あの。写真撮っていいですか?」
「おう、いいぜ」
「ムウさんとマリュー艦長のコスプレした人と写真とかホントついてる」
クラスメイトも武士さんと真莉愛さんのコスプレにとても興奮した様子で一緒に写真を撮ったりしている。
写真を撮られている二人も乗りが良く、要望に応えている。
「これって君が作ったの?」
「可愛い格好をしてるね」
「ねぇねぇ、一緒に写真を撮ろうよ」
下士官の格好をしている春斗だがジオラマを見に来た生徒達に囲まれて大人気である。
「大きいわね。これがジオラマなの?」
「鈴なんて格好してるんだよ!?」
中華喫茶をしている鈴が教室に来るが着ているチャイナドレスに驚く。
チャイナドレスは一枚布のスカートで背中とか丸見えでお尻も少し見えていて、わざと狙っているのか大胆にスリットが入っていて太ももを見せている。
髪型もツインテールではなく丸いぼんぼんのような物を着けている。
「あ、アタシのチャイナドレス似合わなかった?」
「似合ってるけど、その格好は色々、見えて……」
「もしかしてこういうのが好きなの?」
「す、好きというか……」
思わず視線を反らしてしまう。
傷ひとつ無い綺麗な背中で触っても良いのかと思ってしまう。
お世辞とか関係なくエロいとしか言えない。
「ゆ、悠人が気になるならチャイナドレスで」
「服で攻めるか。馬鹿娘としてはやるわね」
「娘も恋する年越しか」
白のチャイナ柄シャツとジーパンというIS学園では場違いの服装をしているのは星彩さんだった。
劉禅さんも同じようにチャイナ柄のシャツを着ている。
「お、お父さんこれはね、お店の格好で仕方なく着ていて」
「女の子だけの学園だから羽目を外す気持ちはわからなくもないが目に余る格好だな」
「無い部分を補うために背中を見せ付ける……考えることをしない頭でよく考えたわね」
あ、鈴がキレそうになってる。
星彩さんは無駄のない体つきで胸が大きいから誰々もが羨むスタイルだから。
「ロボットの戦闘を模倣したジオラマね。興味深いわ」
「こういう作品には目が無いなロゼンタ」
「お父さん、ロゼンタさん!」
「シャルロット、その格好は?」
「地球連合軍の士官の軍服だよ。クラスのみんなも着てるんだ」
「シャルロットが作ったのはどれなの?」
「こっちだよ」
アルベールさんとロゼンタさんを連れて自分が作ったガンプラが置いてあるジオラマに行く。
「山田君の専用機であるストライクの別カラーか」
「ストライクルージュと言ってストライクの予備パーツで開発された機体で大型バッテリーを搭載したことで活動時間を大幅に増加させたんだって」
「ルージュ……フランス語で赤という意味か。リベルテと言い、フランスの言葉を使ってくれるとは嬉しく感じるな」
「後ろのバックパックは固定装備なの?」
「I.W.S.Pはレールガンと単装砲を二門付けて両腰に実体剣を入れた複合兵装で着脱可能な装備だよ」
「盾にガトリングガンを埋め込めている辺りは大胆な発想ね。リベルテの新装備のひとつにしようかしら?」
「けど、
「パイルバンカーを気に入ってくれたか! あれは男のロマンだ」
最初に会ったときとは思えないほど親子との仲が回復して楽しそうに話している。
「ジオラマか……若い頃は作って部屋に飾ったな」
「戦闘シーンを立体的に模造して作られているようですね」
「カウフマン将軍、IS学園までご足労いただき感謝します」
二人に気付いたラウラは敬礼するとクラリッサさんとカウフマン将軍も同じように敬礼した。
「隊長、その格好は」
「アニメの中にある軍隊の格好だ。他の者達は?」
「私の独断で学園祭が終了するまで自由行動にしました。呼び戻しましょうか?」
「呼ばなくて大丈夫だ。基地内にこもりきりでは何かと息苦しいだろう。他人に迷惑をかけない程度に好きにさせてやれ。クラリッサも学園祭を楽しめ」
「わかりました。あの、そこのお二人方、写真を撮っても大丈夫でしょうか?」
「あぁ、構わないぜ」
武士さんと真莉愛さんの写真を撮り終わるとガンプラのジオラマを次々と撮っていく。
「簪の教室はここか」
「お父さん、お母さん。来てくれたんだ」
景元さんの格好は外出着なのかゆったりとした和服を着ている。
「確かIS学園の制服は好きカスタマイズしても良いと聞いたがその服も自分で選んだのか?」
「ううん、これはガンダムSEEDの地球連合軍の士官の服装なの」
「いつも見ているアニメの軍服か」
「こんにちは悠人君。娘は迷惑をかけていないかしら?」
「どうも
挨拶をした女性は
景元さんの奥さんで簪と刀奈さんのお母さんでもある。
僕に挨拶を終えると鈴達の両親に挨拶しに回る。
「はじめまして、更識恵子と申します。娘共々お世話になっております」
「凰星彩です。うちの馬鹿娘も迷惑ばかりかけてますから」
「ロゼンタ・デュノアと申します。シャルロットとは姪との関係です」
「クラリッサ・ハルフォーフと申します。ドイツ軍に所属しておりまして階級は大尉です。お二人が着ているのは日本の正装に見えますが撮らせてもらっていいですか?」
「はい、写真映りが悪い私で良ければどうぞお好きなだけ」
「とてもお綺麗ですよ。日本では大和撫子と言うのですよね?」
「古き良き日本の象徴とも言える夫婦ね。落ち着きがない鈴じゃ無理だわ」
「明るくて活発的な娘ではありませんか。簪も見習ってほしいものです」
「見習うところなんてひとつもありませんよ。落ち着いている簪ちゃんと愛想が良いシャルロットちゃん、鈴には絶対縁がないクールビューティなラウラちゃんが羨ましいわ」
「シャルロットは空気を読みすぎるところがあって建前もなく話しかける鈴ちゃんも素晴らしいですよ」
「同感です。鈴殿みたいなムードメーカーがいれば部隊が明るくなり、士気の向上にもなります」
自分の娘を褒められて嬉しそうにしているがクラリッサさんの場合は年齢的に姉ちゃんと同じくらいだから母というよりも姉と言ったほうが良いかもしれない。
「はい、どうも~新聞部でーす! 今日は4組クラス代表の山田悠人君の取材に来ました」
新聞部副部長である黛先輩が教室に来た。
休みの日や放課後でたまに会う事があって撮られることもしばしば。今となっては顔馴染みでもある。
「山田君が作ったのはどれなの?」
「僕が作ったのはあれです」
「あれ……って、デカッ!」
黛先輩が見て驚いたガンプラは他のガンプラよりも一番目立って大迫力があるネオ・ジオング。
見てわかるように他のガンプラよりも存在感が大きく近くにあるユニコーンとバンシィ・ノルンが小さく見える。
HG1/144のガンプラの中では最大の大きさで作るのに六時間ほどかかった。
「プラモデルってあんな大きいのがあるの?」
「HGの中では一番大きいガンプラですね」
「はいぐれーど?」
「えっと、ガンプラは種類がありまして大まかに分けて七種類あります」
軽くで良いから簡単に説明しておこう。
「まず、ここに展示してあるのはほとんどが
プラモデルを触れた人がほとんど居なかったのでここに展示しているガンプラはHGが多い。
「次に
プラモデルを触れていたり、組み立てが得意な人はMGを選んでいてHGよりも存在感がある。
簪も自腹でガンダム試作二号機を購入して組み立てて展示している。
「MGみたいに繊細なガンプラが欲しい。でも、場所をとるからHGの大きさで飾りたい。そのふたつの願いを叶えたガンプラが
これを選んだ人はいなく、僕と春斗が持ってきたエクシア、エクシアリペアⅡ、ダブルオーライザー、ダブルオークアンタ、ダブルオークアンタフルセイバーのガンプラが置いてある。
刹那ファンである人にはまさに聖域のような場所だろう。
「大きさを気にせず精密で最高のガンプラを組み立てたい人には
LEDユニットを埋め込めたユニコーン、バンシィ・ノルン、フェネクスが置かれていてサイコフレームの発光を再現、もちろん全てNT-Dモードだ。
「かなり大きいガンプラを作りたい人にはメガサイズモデルのガンプラがあります。1/48の大きさでパーツが大きいので組み立てが容易で初心者でも簡単に出来ます」
ファーストガンダムとシャア専用ザクⅡが置かれていてネオ・ジオングを除けばMGやPGよりも大きいのがわかる。
「あとHGよりも小さいガンプラがありまして
実はHGネオ・ジオングの下にSDネオ・ジオングが置いているが存在を忘れてしまうほど小さい。
「ひとつ忘れてました。MGと同じ大きさの
僕が持っているのはバウとリバウだけだったので他のガンプラよりも少ない。
「プラモデルって奥深いのね。整備部エースとして勉強する事が増えたわ」
「そんな大層な考えはしなくて良いですよ。けっきょくは趣味のひとつですし、楽しむことが第一ですよ」
「そうだ、学園祭の記念にツーショットしてあげるから──」
「ツーショットをすると聞いて即、参上!」
『見参!』と書かれた扇子を開いた刀奈さんがいて、なぜかメイド服である。
「先輩、そのメイド服ってどこから持ってきました?」
「一夏君のクラスから拝借したの」
「許可はとったのですか?」
「うん、少しお手伝いするのを条件にね」
無断拝借じゃなければいいか。
刀奈さんが着ているメイド服は似合っているが主に仕えているというよりも情報を得るために潜り込んだ工作員みたいな感じにみえる。
「ほらほら薫子ちゃん。ツーショットお願い」
「はいは~い。カメラを見てピース」
「ピース♪」
腕に抱き付いてブイサインをしてシャッター音が鳴る。
「薫子ちゃん、他の子のツーショットもお願いね?」
「言われなくともやってあげますよ、たっちゃん!」
刀奈さん以外にもツーショットをするらしく一人目は鈴とすることになった。
「写真を撮る前にアタシを後ろから抱き締めなさい」
「後ろから?」
「身長差があるからね」
「いいけど……」
後ろから抱き締めるが鈴の綺麗な背中が目元まで近付いてお尻も見えてる。
脇も開いていて小さいながらも胸の膨らみがある。
「アタシの背中を間近に見てどう思った?」
「その……綺麗だった」
「ホント、スケベね」
顔を赤くして正直に答えると嬉しそう笑いながら茶化される。
二人目はシャルロット。
「悠人、腰に手を回してくれる?」
「こ、腰?」
「そっちのほうが密着できるからね。ダメかな?」
「うん、わかった。腰だね?」
「もっと強く抱いていいからね?」
腰を抱くがシャルロットと密着しているので胸があたってしまう。
三人目はラウラ。
「腕と腰では楯無さんとシャルロットと被ってしまう」
「何でもいいよ?」
「何でも……本当に何でもいいのだな?」
「僕が出来ることなら」
「よし、お姫様抱っこをしろ」
まさかお姫様抱っこを要望するとは。まあ、言い出しっぺの法則なのでやることにした。
「重くないか?」
「全然、軽いよ。このまま走っても余裕なくらい」
「では、休憩中はお姫様抱っこの状態で学園祭を回ろうか」
「お、お姫様抱っこはさすがに……」
「ふっ、冗談だ」
くっ、手玉を取られてちょっと悔しい。
四人目は簪。
「私がやろうとした全部、盗られちゃったし……」
「べつに同じでもいいと思うけど」
「他の子よりも見栄え悪いから同じだと」
口には言わないけど、どうでも良くない?
なんでツーショットで悩む必要があるの?
「そうだ! 悠人君、右手でわっかを作って」
「こう?」
「その状態で親指だけを外側にむけて」
「わかった」
「黛先輩、撮ってオッケーです」
簪が合図をしてシャッター音が切られる前に左手で僕と同じようにしてくっ付けた。
「ほうほう、ハートを作ってツーショット。考えたわね」
黛先輩はニヤニヤしている。どうやら僕と簪の手でハートを作って写真を撮ったらしい。
「簪ちゃん、そのまま悠人君の腕に抱き付いて」
「抱き付く?こう?」
「薫子ちゃん、今よ!」
「オッケー!」
簪が右腕に抱き付くと刀奈さんが左腕に抱き付いてシャッター音が切られた。
「ありがとうね、薫子ちゃん」
「いえいえ、たっちゃんと簪ちゃんの姉妹サンドを取れて眼福ですよ」
デジカメを撫でてホクホクとした顔をしている。
「楯無さんと簪が二回も撮るなんてズルいですよ!ラウラ、私達も」
「了解した。先輩、お願いします」
「ほいほ~い」
今度はシャルロットとラウラが僕の腕に抱き付いて撮られる。
「あんた達ねぇ……!悠人、アタシともう一度、撮るわよ」
鈴も同じように腕に抱き付いてまたシャッター音が切られる。
「鈴、またツーショットするなんて! 悠人、もう一回私と」
「次は片腕でお姫様抱っこだ。私は軽いから出来るだろ?」
「今度は手を逆にしてハートを作ってツーショットしよ」
「悠人君も一緒にピースして写真撮りましょう」
「ちょ、ちょっと待って! 騒ぐと迷惑かかるから!」
僕とツーショットをしたいらしいがこのままでは周りにも迷惑をかけてしまう。
てか、黛先輩は止める気配が全く見えないし、保護者組も遠くから暖かい目で見ているだけだ。
「あぁ、もう全員で! 全員で撮りましょう! それなら文句ありませんよね! それで最後にするから!」
全員で写真を撮って終わることにして簪を包むように抱くと鈴とラウラが左右の腕、シャルロットと刀奈さんが後ろから抱き付いた。
「最後は全員で集合写真で……っと。山田君も織斑君と同じようにフラグメイカーだね」
あんな
「じゃあ、後で焼き増して送るからね」
「お願いね~」
ひらひらと手を振って黛先輩は教室から去った。
なんで写真を撮るだけでこんなに疲れるんだ。
「山田君、お疲れ~」
学園祭をまわっていたクラスメイトが戻ってきたようだ。
「私達は店番してるから休憩してきていいよ」
「ありがとう、行ってくるね」
年に一度だけの学園祭だから──
「ほら、アタシの教室に行くわよ」
教室を出ようとしたら鈴が腕を掴んできた。
「私、行ってみたい場所があるから悠人も一緒に行こう?」
反対側の腕に手を添えるようにシャルロットも掴んでいる。
「さあ、嫁よ。出掛けるとしよう」
ラウラも一緒に行く気満々である。
「悠人君、学園祭一緒にまわろう?」
大胆な行動はしていないが言いたいことははっきり言った簪。
「お姉さんも悠人君と一緒に学園祭を回りたいな~?」
『デート』と書かれた扇子を開いて刀奈さんも参戦する。
「……順番で一緒に学園祭をまわりましょう」
どうやら休息はないようだ。
二次小説をいくつか読みましたが保護者同士の話はなかなかないですよね?
あと簪と刀奈のお母さんを登場させました
R18版で初対面をしていますので学園祭では顔見知りになってます
HGのネオ・ジオングの製作は私の体験談を元にしてます
あれはガチでヤバいし、大きさも圧倒的
RGはエクシアで作ったこともありまして複雑すぎて6時間かけて完成させました
初めて作ったガンプラは08小隊に魅了されてEZ8とグフカスタムです
ノリス大佐はカッコイイ