インフィニット・ストラトス ただあの空を自由に飛びたくて   作:如月ユウ

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ここまで伸びるとは思っても見ませんでした
読者様には感謝の言葉しかありません
本当にありがとうございます!


60話 織斑一夏争奪戦

「それでは生徒会長から説明させていただきます」

 

 SHRと授業の一限目の半分を利用して全校集会が行われていた。

 話を終えると刀奈さんが虚さんと入れ替わるように壇上に上がった。

 

「やあみんな、おはよう。一学期は何かとあって色々、出来なかったから改めて自己紹介するわ。私は更識楯無。君たち生徒の長よ。以後よろしくね」

 

 にこやかに挨拶している刀奈さんの表情を見た一部の生徒は熱を帯びた、ため息が漏れた。

 

「話をする前に今日から生徒会に新しい人が入ったから紹介するわ」

 

 刀奈さんの合図で鈴と簪が壇上にあがった。

 

「じゃあ、紹介するわね。1年2組の凰鈴音ちゃんと1年4組で私の妹の更識簪ちゃんよ」

「凰鈴音です。職務は庶務を任されています」

「更識簪です。同じく庶務を任命されました」

 

 自己紹介をして頭をさげるとパチパチと拍手がホールに響き渡る。

 

「この2人以外にも新たに生徒会に入った人がいるのよ。出て来て」

 

 呼ばれたか、緊張するな~。

 深呼吸をしてゆっくりと出て、壇上まで歩く。

 

「あれって山田君?」

「嘘、ホントだ」

「えっ、なんで山田君が会長の隣にいるの?」

 

 話をして騒いでいた生徒が僕のことに気付いて静まりかえった。

 

「ふふっ、みんな驚いているわね。ほら、自己紹介」

「知ってる方もいますと思いますが1年4組に所属しています山田悠人です。1年1組の副担任である山田真耶先生の弟で4組のクラス代表を務めています」

「彼は生徒会副会長として私の補佐をすることになったの。みんな、覚えておいてね?」

「えっ……」

「「「ええええええ~~~~っ!?」」」

 

 ビリビリと空気が振動して肌に伝わってくる。これはすごい揺れだ。

 

「ちょ、えっ、なんで山田君が生徒会に!?」

「い、いきなりすぎて頭の中の整理が追い付かない……」

「会長! 山田君を独り占めなんて卑怯ですよ!」

「そうだそうだ!」

 

 すごい動揺している人もいれば生徒会に入れたことに抗議をする人もいた。

 

「はいはい、みんながどう思っているかお姉さんもよくわかるわ。だから今月の一大イベント学園祭では今回に限り特別ルールを採用します!」

 

 空中投影ディスプレイが浮かび、書かれていた内容が表示される。

 

「名付けて、『各部対抗織斑一夏争奪戦』!」

 

 刀奈さんの声と共に次に一夏の写真が写し出される。

 

「えっ……」

「「「ええええええ~~~~!?」」」

 

 またホール全体が揺れて今度は一夏のほうに視線が集まる。

 指名された本人は言うまでもなく言葉が出なく、周りの視線に身を縮こめる。

 

「驚く気持ちはわかるけど静粛に。学園祭では毎年各部活ごとに催し物を出して、それに対して投票を行い上位の部活には部費に特別助成金を出しましたがそれでは面白くないので優勝した部活には一夏君を入部する事にしました!」

「ちょっと待ってくれ! 俺の意見は!? それに悠人は強制入部されないのかよ!?」

「ごめん一夏、僕は生徒会に入ってるから免除されてる」

「悠人君が言ったように彼は生徒会に加入しているので救済処置として優勝した部活には織斑一夏君を強制入部させます」

 

 じゃあ、刀奈さんは僕が好きじゃなかったら一夏と同じようにされていたのか。

 なんて言えばいいかな。んーと……一夏、ドンマイ。

 

「おっしゃあああ! やる気が出て来あぁぁぁぁ!」

「今日の放課後は学園祭の内容を決めるわよ! 異論反論は認めない!」

「秋季大会の練習なんてやってる場合じゃないわよ!? 学園祭のほうが大事なんだから!」

「あぁ、それと部活を疎かにしたら退部にするからね~」

「それは卑怯ですよ生徒会長!」

「自分だけ男の子を奪っておいて汚いですよ~!」

「これは学園長から通達されているから、逆らったらどうなるか分かるわよね?」

 

 ニッコリと笑いながら脅して反論した生徒達を黙らせると一夏争奪戦による学園祭の準備が始まった。

 

 

 

 

 学園祭の催し物は部活以外にも学年別で参加が可能で僕のクラスである4組も参加することになった。

 一限目はエドワース先生が担当する数学の授業だったのでそれを利用して決めているが──

 

「それで出たものが……」

 

『山田悠人と王様ゲーム』、『山田悠人とパルクール』、『山田悠人と社交ダンス』、『山田悠人とお菓子食べさせ合い』、『山田悠人と尻相撲』……言うまでもないこれらは──

 

「はい、全部没」

 

 えええええー! と大音量で抗議の声が響いた。

 

「みんな、学園祭は外部から人が来るんだよ!? こんなのを採用出来る訳ないでしょう!」

「山田悠人は共有財産なんだよ!」

「みんなを楽しませる義務があるんだよ!」

「私達も山田君とやりたいの!」

「けっきょく、そっちかよ! あのね、王様ゲームはおかし過ぎるでしょう! パルクールってなに? 誰がいれたの?」

「あ、私がいれたの」

 

 手を上げて席を立ったのはシャルロットだった。

 

「パルクールはフランス発祥の運動方法で、走る・跳ぶ・登るなどの移動動作で体を鍛える方法。周囲の環境を利用した身体動作でどんな地形でも自由に動ける肉体と困難を乗り越えられる強い精神を得る運動法なの」

「それってアサシンクリードの元になった移動法だよね?」

「そうだよ。簪がやってるゲームの移動法の原点なんだ」

「オーケー、それは教室じゃ出来ないから却下。それと社交ダンスはなんなの? 僕は踊れないから。あと、尻相撲は誰が入れた?」

「私だ」

 

 今度はラウラが立ち上がった。

 

「日本の国技である相撲は場所を取ると考えて尻相撲なら教室の広さでもやれると思って立候補させた」

「それも却下。日本の国技を見せる案は良かったけどそれは他の部活でも見れるから」

「じゃあ、残った案は山田悠人と食べさせ合いだから──」

「んな訳あるか! 食べさせ合いとか死ぬほど恥ずかしいわ!」

「そうだよ! 悠人とあーんするのは彼女である私達の特権なんだから!」

「お願いだからシャルロット、君は黙っていてくれ。常識人が減るとこっちの身が持たない」

 

 常識人であるシャルロットまでボケ担当に行ってしまったらツッコミが追い付かない。

 それからどんどん混沌(カオス)な意見が出されては却下してを繰り返していると──

 

「あ、あの……悠人君に関係するならガンダムとかどうかな?」

 

 小さく手を上げた簪に周りが注目した。

 

「悠人君の専用機はフリーダムだからガンダムに関係するものはどうかなって」

「ガンダムといえばMS?」

「でも、それならパイロットとかもあるんじゃない?」

「ガンプラはどうかな?」

 

 ガンプラという言葉に今度は僕に視線を集中させた。

 

「ほら、プラモデルなら場所も取らないし、店番の人以外は学園祭を回れるんじゃない?」

「いいね、それ! ガンプラを見せるのってアリかも!」

「自分達が作ったガンプラを展示とかして、色んなシーン再現してみようよ!」

「私、スターダストでザクが滑りながら移動するのやってみたい!」

「08小隊の震える鉱山都市やってみようよ! あれ見てグフカス好きになったの!」

「でもガンプラはどうするの? 個人で注文する?」

「注文するなら僕が知ってるお店で出来るよ。欲しいのがあれば大抵なんでも取り揃えている」

「ホント!? さすがクラス代表! 準備が整ってる」

「名前はどうする? やっぱり戦艦の名前とかが良いよね?」

「アークエンジェルはどうかな?」

「更識さんナイス、アイディア! 4組の出し物はガンプラ展示『アークエンジェル』に決定!」

 

 全員一致で1年4組の出し物はガンプラ展示に決まった。

 

 

 

 

「そっちもそっちで大変だね」

「あぁ……まともな案がないから全然決まらない」

 

 昼休みになって食堂に行き、テーブル席では一年専用機メンバー+αで食事を摂っている。

 因みに+αは刀奈さんと本音さんである。

 

「鈴のクラスは何にしたの?」

「アタシのクラスは中華喫茶よ。喫茶店といってもお菓子とお茶しか出ないけど」

「というか鈴、あれは何だよ! あんな盾があるなんて聞いてないぞ」

「夏休みに受理した装備だからね。でも速盾(スゥードゥン)を展開しているときは手が使えない弱点があるのよ」

「手が使えないとしても龍砲がありますから弱点をカバーしていますわよね?」

「というより一夏、雪羅の使い方がまだ上手く出来てないじゃない。射撃とシールドの複合兵装だけど全然撃ってこないし、零落白夜も燃費も馬鹿にならないでしょう?」

 

 臨海学校に現れたガンダムとの戦いで白式が第二次移行(セカンド・シフト)して出力が上がったがエネルギーを積める量が変わらず、MSで例えるならザクⅡからザクⅡ改に進化したようなもの。

 

「エネルギーの問題なら絢欄舞踏があるから解決だな」

「一夏と別行動のときはどうするのよ」

「それは……その……」

 

 鈴の的確な指摘に箒は口もごる。

 

「アドバイスするなら物理盾を装備にして戦うしかないわね。それなら射撃だけに使えるし」

「白式は後付け装備出来ないんだが」

「普通に手で持てば良いでしょう。それが嫌なら腕に装着するタイプもあるんだから」

「それもそうか。拡張領域に入れられなくても手で持てるんだった」

「あんたねぇ……別に限られた装備だけで戦えとか言われてないでしょう?少しは自分で考えなさいよ」

 

 雪片弐型と雪羅だけで戦う一夏に呆れていた。これは僕も同意見かな。

 アムロだってア・バオア・クーではビームライフル以外にハイパーバズーカを二挺担いで戦場に行って戦果を上げた。

 白式について話をしているとラウラが考え方をしている様子だった。

 

「どうしたのラウラ?」

「んっ? あぁ、一夏達のクラスの催し物を考えていてな。メイド喫茶はどうかと思って」

「メイド喫茶?」

「日本の首都東京にある秋葉原ではメイド服を着て接客すると嫁から教わった」

「悠人……お前……」

「ばっ、違う! 秋葉原にはそういったお店があるって教えただけだよ」

 

クラリッサさんが偏った日本知識を教えていたので正しい知識を教えるために教鞭をとった。

 

「我が部隊でもメイド喫茶のような事をしてな」

「ちょっと待ってラウラ、それは言わないで。あれは普段は絶対やらない事で恋人同士でやるような事だから」

「そうか。嫁は喜んでいたが私も恥ずかしいと感じた」

「ラウラちゃん、あとでお姉さんにこっそり教えてくれる?」

「楯無さんでしたら問題ありませんが」

 

 もしかして『アレ』をやらせるつもりなのか?でも、刀奈さんのメイド服姿も気になるからいいか。

 

「ありがとね。一夏君、放課後になったら生徒会室に来てくれないかしら?」

「おりむーにすご~い大事な話があるんだって」

「放課後ですか? わかりました」

「生徒会で思ったけど抜け駆けはズルいよ鈴。私とラウラには一言も言わないで簪と一緒に入っていたなんて」

 

 知らない内に生徒会に入っていたことにシャルロットはご立腹のようだ。

 

「別にいいじゃない。アタシはクラス代表だし、他のクラスに編入出来ないから、せめて悠人と同じ活動に入りたいわよ……」

 

 クラス代表である鈴はみんなをまとめないといけないし、専用機持ちだから試合等の行事の参加をして実績を積まないといけないから交代することは簡単に出来ない。

 

「鈴は僕とは違うクラスで合同授業も別だから鈴の気持ちもわかってあげて」

「悠人がそう言うなら……」

 

 同じ立場なら鈴のような気持ちになると理解してくれたようでしぶしぶと引き下がってくれた。

 

 

 

 

「……ということでラウラの助言で1組はご奉仕喫茶店にしました」

「ふっ……はははっ! ボーデヴィッヒが考えたのがまさかコスプレして喫茶店をやるとはな」

 

 ラウラの提案に大爆笑している。

 放課後になって一夏が出し物を報告するのでついでに僕も一緒に職員室にむかった。

 

「それで? 姉ちゃんに何か言うことはないんですか織斑先生(・・)?」

 

 盛大に笑ったあと、黙ってしまう。

 最初のほうは残っていたがあまりにも時間がかかったそうで姉ちゃんに任せて職員室に行ったと一夏から聞いた。

 

「駄目じゃないですか。姉ちゃんとは先輩後輩の関係なのは知っていますけど姉ちゃんだけに押し付けるのは先輩として良いと思っていますか?」

「それは……良くないとは思っている」

 

 生徒が教師に説教されるのも異様な光景なのに千冬さんが説教されているということで周りの先生達も自分の仕事を手に着けずに眺めている。

 

「だったら姉ちゃんに謝ったりとかありがとうとか言えば良いと思いますよ? お父さんがいたら──」

 

 自分が言った言葉にハッとなる。

 

「お父さんが……いたら……」

 

 なんでお父さんがいたときの話をするんだ。もう割りきっているのに……。

 

「とにかく、お前達にはこの申請書に必要な機材と使用する物などを書いて提出しろ」

 

 僕と一夏に申請書の用紙をわたした。これに必要な物を書かないといけないのか。

 

「学園祭には各国軍事関係者や関連企業などが多く来場する」

「軍事関係者ってことはドイツの高官も来るんですよね?」

「そうだ。ドイツの代表は言えないが護衛する部隊はラウラの部隊であるシュヴァルツェ・ハーゼ隊がするらしい」

「シュヴァルツェ・ハーゼ?」

「ドイツ軍のIS配備特殊部隊だよ。ドイツの中でISを一番多く持ってる部隊なんだ」

「一般人は基本的には不可能だが生徒には入場チケットが配布されるから渡す相手は考えておけよ」

 

 あとは用がないので一礼して職員室を出る。

 

「用事は終わった?」

 

 職員室を出ると刀奈さんが待っていた。

 

「はい、あとは生徒会室で──」

 

 生徒会室に行こうとしたら前方に竹刀を持った生徒が刀奈さんを狙って襲いかかってくる

 

「覚悟ぉぉぉぉ!」

「悠人君、一夏君をお願い」

「了解です」

 

 一夏が前に出そうだったので手で遮る。襲撃した人は刀奈さんに任せて周りを警戒する。

 

「悠人、楯無さんを助けなくて」

「ふせて!」

 

 頭を掴んで床に伏せるとワンテンポ遅れて窓が割れて矢が壁に突きささった。

 

「先輩、隣校舎から弓道部からの襲撃! 数不明!」

「ちょっと借りるわよ」

 

 撃退した生徒の竹刀を持って投擲すると隣校舎にいる弓道部の生徒に命中して倒れた。

 だが、それだけでは終わらず、ロッカーからボクシンググローブを着けた生徒が飛び出してジャブを繰り出すが刀奈さんの掌底のカウンターが決まり、出て来たロッカーに吹き飛ばされる。

 

「こんな感じかしらね」

 

 パンパンと手を払って襲撃した生徒達を無力化した。

 

「大丈夫、一夏?」

「俺は大丈夫だか……」

 

 生徒から襲撃されるとは思っていなく、呆気を取られていた。突然のことだから無理もないか。

 

「一応、警戒しておきます?」

「大丈夫よ、これ以上の襲撃は他の部活にも影響出ると考えているでしょうし」

 

 無力化した生徒は先生に任せると決めて何事もなかったかのように生徒会室にむかった。

 

 

 

 

「やっと来たわね」

 

 生徒会室の扉を開けると鈴と簪が自分の仕事をしていた。

 本音さんは眠いのかテーブルに顔を押し付けてだらけていて、虚さんが頭を鷲掴みして無理やり起こそうとしている。

 

「一夏君が来たから少し休憩しましょう」

「わ~い。お菓子出すね~」

 

 休憩すると聞いた本音さんは自分から起き上がり、冷蔵庫からケーキを取り出して虚さんは紅茶の準備をする。

 

「来るのが遅かったけど長かったの?」

「ちょっと襲撃にあってね。お姉さんがコテンパンにして追い返したわ」

「やっぱりね~遅かった原因は一夏だろうしね」

「お、俺!?」

「だって、あんたが部活に入らないから苦情が殺到してるのよ」

「それにお姉ちゃんを倒せば事実上、学園最強だから一夏を自分の部活に入れさせることも出来るの」

「だから楯無さんが狙われていたのか」

 

 僕達が生徒会に入って最初の仕事が一夏をどの部活に入れるかで骨が折れる作業だった。

 

「それで学園祭の投票で強制入部にすることで収まって、その間は私が一夏君のコーチをすることにしたの」

「コーチはけっこうですよ。箒とセシリアがいるんで」

「一夏、入学したばかりのとき先輩に教えてもらったからでしょう? 実力もあるんだからコーチしてもらったほうが良いよ」

「あのときはISについて全然知らなかったから教えてもらったけど今の俺は入学したときより俺は強くなってる」

 

 確かに入学したときよりは格段に強くなっている。

 僕もそれなりに強くなってるとは思っているが刀奈さんや姉ちゃんに比べればまだ弱い部類だ。

 

「一応、聞くけど一夏君は夏休み中にISを動かした?」

「それは……」

「動かしてないと言っても怒ったりしないわ。長い休みは学生だけの特権だもの」

「……特にこれといったことはしてません」

「悠人君は夏休みはなにしてた?」

「フランスでは専門的知識を学んで、ドイツは観光出来なかったのでラウラの部隊に加わって訓練に参加しました。日本に戻ってからは簪と先輩に対人格闘技を習って、鈴のときは……言っても良いかな?」

「別に問題ないわよ」

「実は喫茶店で強盗がありまして、鈴と一緒に制圧しました」

「あれやったの悠人と鈴だったのか! なんか執事とメイド服を着た男女が強盗を倒したって聞いたけど」

 

 @クルーズに起きた事件だが新聞に載っていて僕と鈴のことは書いてなく従業員が解決したと書かれていた。

 こちらとしてはそのように載られて良かった。

 

「一夏君と違って悠人君は夏休みだからと言ってISの操縦や自身を鍛えることを疎かにしなかった。きつい言い方をするけど一夏君は専用機持ちの中では一番弱いわよ」

「なっ!俺は強いとは言いませんが弱いつもりはないです」

 

 弱いと言われて癪に触ったらしく反論をする。

 

「専用機を持った時期は一夏君がはやいけど悠人君はその遅れた分を補うために夏休みを使ってISの操縦だけではなく、対人格闘や実弾射撃、武装した相手の制圧方法も学んだの」

 

 フランスと刀奈さんの家では僕からお願いしたので専門的知識を学んだが乱射事件や強盗事件がなければ普通に過ごしてたけどね。

 

「実力は一夏君が上なのは認めるわ。でも悠人君は能力が低い分、武器を応用したり、戦術を練ったりしてラウラちゃんや襲撃した相手を倒したわ。このままだと悠人君に追い越されて巻き返しが出来なくなる場所まで行くわよ」

 

 刀奈さんの言葉に一夏は黙ってしまう。

 専用機を持つ人は必然的に強くなければならない。

 それはISの操縦だけではなく、ISを使わず武装した相手を制圧しないといけないときもある。

 

「ここまで言ったけど悠人君も一夏君と同じように専用機持ちの中では弱いわ」

「悠人は弱くありません! 悠人は俺と千冬姉を助けてくれた。少なくとも俺よりは」

「だけど戦歴を見れば悠人君も一夏君と同じくらい敗戦を重ねているわ」

「悠人、弱いって言われて悔しくないのかよ!」

「悔しいもなにも実際そうなんだから」

 

 否定しても弱いことには変わりない。なら、それを認めて強くなれば良いと思っている。

 

「じゃあ、こうしましょう。私と勝負して、勝ったら今まで通りに過ごして、負けたら私のコーチを受ける」

「いいでしょう。その提案乗ります」

「それじゃあ、道場に行きましょうか」

 

 上手くいったという表情をした刀奈さんと一夏と一緒に生徒会室を出た。

 

「悠人は行かなくて良かったの?」

「刀奈さんなら大丈夫だし、何かしたら生身でハイフルの刑にするから」

「生身はやめときなさいよ」

高機動一斉射撃(ハイマット・フルバースト)は止めさせないんだ」

「射撃の回避行動は役に立つし、一夏にとって必要なことだよ」

「回避しながら接近戦までいく訓練になるってことね」

 

 連射力ならシャルロットのラファール・リヴァイヴカスタムⅡに軍配は上がるが面による制圧ならフリーダムが優秀だ。

 

「でも、お姉ちゃんはどうして一夏のコーチするって決めたんだろう」

「あいつも悠人と同じように世界中から狙われているからでしょうね」

 

 一夏も狙われているのはもちろんだが多分、僕を狙う人のほうが多いと思っている。

 男性操縦者だからという理由もあるけど僕は一夏と違って後ろ盾がない。

 シュヴァルツェ・ハーゼ隊や鈴達が守ってくれるが千冬さんや束さんに比べれば毛が生えた程度の抑止力にしかならない。

 

「刀奈さんからだ」

 

 スマホが鳴ると道場にいる刀奈さんから電話がきた。

 

「終わったんですか?」

『悠人君、怒らないで聞いてほしいの?』

「怒らない?」

『実は……一夏君に脱がされて』

「脱が……されて?」

 

 ふつふつと怒りが込み上げて頭の中が沸騰したかのように感じる。

 

『未遂だから! 胴着を掴んだ拍子に下着が見えて』

「先輩、一夏は寝てます?」

『気絶しているけど……』

「そのまま起こさないでください。もし、目が覚めたらそこから一歩も動くなと言っておいてください」

『わ、わかったわ』

 

 通話を切ると熱のようなものが消え去り、頭の中が冷えたような感覚が襲う。

 

「一夏……姉ちゃんだけじゃ満足せず、人の彼女まで手を出すとは……」

「ゆ、悠人……」

「ごめん鈴、僕と刀奈さんの仕事を任せる。一夏をシめしないと」

「え、えぇ……簪と一緒にやっておくから」

 

 生徒会室を出て一夏と刀奈さんがいる道場に向かうことにした。

 

「いい加減、一夏の悪い手癖を直さないとな……」




活動報告にも書きましたが悠人のクラスはガンプラ展示、ラウラの助言で一夏のクラスはご奉仕喫茶になるはの最初から決まっていましたので鈴編の夏休みで@クルーズのバイトは無くても問題はありませんでした

ここでようやくセシリアの台詞を出せた
セシリアは嫌いじゃないんですよ。むしろヒロインにしたかったけど悠人は4組だから他のキャラより影が薄いんですよ
でも、彼女には重要な役割を任せていますので安心してください
ある意味キーパーソンのような立ち位置にいます
ヒントとしてはガンダムの曲のタイトルですかね

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