インフィニット・ストラトス ただあの空を自由に飛びたくて   作:如月ユウ

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何日もかけて執筆した鈴の家族話よりも30分も満たない時間で執筆した悠人と鈴の乳繰り合いのほうが好きなのか読者よ
そんなにエロ話が好きなのか!(私は大好きです)



58話 夏の終わりに

八月某日。

とあるお店ではIS学園の教員による飲み会が行われていた。

海外から来ている教員もいるのでワインやウォッカ、ラム酒にテキーラ等の海外酒も豊富に並んでいる。

 

「あぁぁぁ……仕事終わりの一杯は身体に染みるわ」

「リア、親父くさいわよ」

「うっせぇ」

 

大ジョッキビールを一気に呑んで少し残して口から離す。

 

「国の新型機体を持って来るのはまだしも今年の入学は今までにない異例だからやっと休めるわ……」

 

体験したことない疲労にエドワースはテーブルに突っ伏している。

 

「すいません悠人が迷惑をかけて」

「そういう風に言いたかった訳じゃないわよ。彼は本当に真面目な子よ。デュノアさんが男装したから部屋の組み替えをしているときお菓子もって来たのよ」

「お菓子をですか?」

「デュノアさんの正体を隠していて先生に迷惑をかけたのでそのお詫びって。持ってきたお菓子は美味しかったわ。アップルパイをスティック状にしたお菓子だけど考えた人は天才ね。アップルパイはフォークに刺して食べるし、場所取るから本当に助かったわ」

 

謝罪する真耶に特に気にしていないと言って悠人が持ってきたお菓子について話し出す。

 

「それと前に授業をしたとき面白い事を言ったのよ」

「面白い事?」

「相手が撃ちながら近付いたときの対処法だけどなんて答えたと思う?」

「いえ……わかりませんね」

「バク転して反撃するって答えたのよ。あれ、おかしくて大笑いしちゃったわ」

 

手を叩いてあのときの授業を思い出して笑いだす。

 

「なにか面白い話をしているのか?」

 

エドワースの笑い声に千冬が反応して近付いた。

 

「真耶の弟君について話してるの」

「悠人がなにかしたのか?」

「エドワース先生のクラスの授業中のことについて聞いてまして」

「授業の回答にバク転って言葉を言ったのよ。真面目な生徒だと思ったから余計に笑っちゃって。普段の生活でもあんな面白いことは言う?」

「いえ、あの子は先生が想像した通り真面目な子です。小学生、中学生の頃もそう言ったことは言いませんでした」

「へぇ~」

 

笑ったおかげで疲れが吹き飛んだのか。酒の酔いに任せて色々聞いてくる。

 

「そういえばそっちは入学早々、派手にやったのよね?」

「あぁ、一夏とオルコットのクラス代表決定戦だな。悠人もいたらあいつも巻き込まれてた」

「悠人がいれば場は収められたかもしれませんが先輩のことですから悠人も参加させますよね?」

「うっ……」

 

お見通しというよりも自然とその流れになるだろう。

一夏と悠人が代表として推薦させるとセシリアは黙っていなく、決闘という形で勝負をしていただろう。

 

「一夏君は専用機の初期化(フォーマット)最適化(フィッティング)をしないといけないので悠人が先に戦ってますね。専用機も用意されてないので使う機体は訓練機でしょう」

「……そうだな。真耶の弟を犠牲にして白式の一次移行(ファースト・シフト)をしていた」

「悠人も納得していると思います。専用機は準備に時間がかかりますからその時間を稼ぐと言って行きますね」

 

代表候補生に勝てないとわかっているがそれでも悠人は諦めはしないだろう。

一夏にバトンを渡すためにやれることをやっても負けていた。

 

「悠人と一夏を同じクラスにすればと良いと学園側は思っているが別のクラスで良かったと私は思っている。あいつは元々、喧嘩や争いといった物は苦手だからな」

「あの子は優しいですから。前に専用機が貰えるならどんな機体に乗りたいか聞いたら、いらないと答えたんです」

「珍しいわね。山田君ってクラスの友達とロボット系のアニメやゲームの話をしているし、男の子ってそういった物に憧れるものでしょ?」

「そうですね。ガンダムに乗ってみたいとは言ってましたが数少ないISを自分の欲望のために使うのは良くないと言いました」

 

代表になりたいという人達が努力をしているのに子供の小さな欲望のために数少ないコアを使うのはあまり良い顔をしないだろう。

 

「何処の誰かわからないけど山田君に専用機が与えられたと聞いたら人気者になってね。機体を使った授業だと山田君のほうを見てたわ」

「専用機がガンダムですから悠人ははしゃいでいましたよね」

「はしゃいでいたのはクラスの女子ばかりだったわ。山田君もそうしたかったけど周りが騒がしいから出来なかったでしょうね」

 

ガンダムに乗ってみたいと言った悠人にとってまさに夢みたいな出来事だろう。

嬉しくなるのは無理もない。

 

「みんなは山田君のことをリーダーとして認めてるわ。最初は男なのにISが使えるからクラス代表にしたけど月日が経つにつれて彼が持つ人望に惹かれて自分達のリーダーに相応しいって無意識に理解していると思う。私も山田君のことは頼れる生徒だって認めてるわ」

「そう言っていただけるなら悠人は喜びますね」

 

知らない内に悠人は周りから認められて、そのことに真耶は喜びを隠せなかった。

 

 

 

飲み会を終えて二次会に行く人もいればそのまま帰る人もいた。

千冬と真耶は二次会には参加せず、そのままIS学園の職員寮へと帰る。

寮に帰り、部屋に戻ると缶ビールとおつまみを開けて二人だけで二次会をした。

 

「未だに悠人に専用機を与えた人は不明だが何を考えて渡したのだろうな」

「そうですね……私が思うに専用機を与えた人はあの子の小さな欲望を叶えるために渡したと思います」

「小さな欲望のため……か」

 

悠人の両親に拾われてから彼のことを見ていた我が儘を言ったことはない。

もしかしたら考えていたかもしれないがそれを言葉にしたり、出来なくて癇癪起こしたりしなかった。

 

「そういえば、同意とはいえ、あいつは五股しているが姉としてどう思っている?」

「私から言うことはありません。みんな、悠人が好きですから姉離れして遠くに行っても悔いはありません」

「寂しくなるか?」

「正直にいえば寂しいですがそれを口にしたら悠人は私から離れることが出来なくなります。悠人にとって家族が……私が一番大事ですから」

 

たった一人の家族。

それを失えばずっと独りで人生を歩まなければいけない。

そうなったら悠人じゃなくても耐えきれないだろう。

 

「先輩のほうはどうです? 箒ちゃんとオルコットさんは一夏君に好意を抱いてるようですが?」

「臨海学校のときに二人を呼んであいつの何処が良いか聞いた。容姿や家事に関しては上なのは分かるが中身は悠人のほうがマシだな」

「鈍いところがありますから一夏君。それに比べて悠人は相手の反応には敏感でしたし」

「欲しいのかと言った私にくれるのですかと聞いたからこう答えた。『欲しいなら奪いにいけ』ってな」

「それでどうなりました?」

「あの二人、なにを勘違いしたのか私をライバル意識し始めて……なぜ、こうなった」

「それ、先輩が悪いと思いますよ? そんな言い方したら対抗心を燃やしちゃいます」

「なら、どう言えば良かった?」

 

もし、同じ立場ならどう答えるか真耶に聞いてきた。

 

「私なら行くなら積極的に行かないと気付かないって言います」

「真耶が言うと説得力があるな」

「先輩が悠人を見ていたように私も一夏君を近くで見ていましたから」

 

同じように両親がいない二人はお互いに協力して悠人と一夏を育てた。

真耶は一夏を千冬は悠人を自身の弟のように見ていた。

 

「悠人が離れたらどうする?」

「そうですね……私も自分を理解してくれる人を探してみます」

 

悠人が新しい人生を歩むなら自分も悠人には固執せず自分の道を歩むべきだと考えていた。

 

「もし、真耶に好きな人が見つかったら悠人は光のように飛んで来そうだな」

「もしかしなくてもISを使って来そうで怖いです」

「それはあり得る……いや、あいつならやる」

 

一夏以上のシスコンな悠人は真耶を悲しませるような事をしたら彼氏をなぶり殺しにすると思い込み、身震いをした。

 

 

 

 

夏休み最終日。

今日で学生の長期休暇が終わるので明日から授業が始まる。

 

「忘れものはない?」

「大丈夫よ。もし、あったとしても悠人の家だから取りに行けるし」

 

それ、忘れものをする前提で言ってるよね?

玄関を出て、家の鍵を閉める。

 

「当分の間は我が家とはおさらばか」

「外泊届けを出せばいつでも帰れるじゃない?」

「でも、姉ちゃんは教員寮に住んでるから帰っても一人なんだよ」

「あんたは一人じゃないわよ。アタシも泊まってあげるから。必要なら毎日一緒に──」

「それならお姉さんも参加しちゃおうかしら?」

「私も泊まりたい」

 

顔を赤くして何かを言おうとしたら二人の声が聞こえて振り向くと簪と刀奈さんがいた。

 

「か、簪と刀奈さん。いつの間に……」

「5分くらい前かしら? 悠人君が夏休み最終日に行くって言ったからお迎えに来たの」

「ここから歩いていくよりも私達の車で行けば速く着くから」

「良いんですか? ラッキー」

 

歩いて行けば時間がかかるし、乗せてくれるなら儲けものだ。

 

「鈴、どうしたの?」

「なんでもない」

 

眉をひそめてむすっとした表情をして簪と刀奈さんが乗っていた車に乗り込み、そのままIS学園に向かって行くが……。

 

「離れていた分、ちゃんと補給しないと」

「暖かい……」

 

簪と刀奈さんが僕の左右に座って姉妹サンド状態になっている。

寄りかかるように密着して腕は抱き付きいているのでかなり近い。

というか胸があたってヤバい。腕に挟んでいてわざとなのか身体を動かして感触が伝わるように刺激してくる。

 

(刀奈さんはわかるとして簪、君はそんな事をする子じゃなかったのに)

 

からかうのが好きな刀奈さんは男心をくすぐるような事をするので馴れていたが簪は見た目や性格からしてそういった事は恥ずかしくてやらなかったのに積極的とはいかなくても少しづつ触れ始めている。

 

「悠人君は胸を挟まれるのは好き?」

「えっと……」

「嫌そうにはしてないわよ。だって、すごいえっちな顔して喜んでいるわ?」

 

顔にそう書かれていたらしく、正直に答えることにした。

 

「嫌じゃないかな。気持ちいいし」

「良かった……悠人君がそうして欲しいならいっぱい勉強する。悠人君が喜ぶような事をいっぱい調べる」

「すごい尽くされちゃって悠人君は幸せ者ね」

 

幸せ者……。

僕はなっていいのかな……みんな、僕を好きになってくれたのは嬉しいが……。

 

「先輩、お願いがありまして」

「なに?」

「アタシも生徒会に入れてください」

「理由を聞こうかしら?」

 

隣にいる刀奈さんは真剣な表情になっていて入部したい理由を聞いてくる。

 

「ただ、悠人と一緒にいたいからという単純で下らない理由なのはわかってます。でも、アタシも真面目にやりますのでお願いします」

 

頭をさげて懇願した。

下らないと思われるがそれでも僕と一緒にいたい。

プライドや誇りを捨てて頼んでいる。

 

「まあ、私も悠人君と一緒にいたいから生徒会に加入させたからね」

「じゃあ……」

「凰鈴音。あなたには生徒会庶務に任命します」

「ありがとうございます!」

「鈴、私と同じ役職だね」

「えぇ、よろしくね」

 

鈴の加入に簪も歓迎して喜びを分かち合っている。

 

 

 

 

IS学園の正面ゲートの前に車を停まると車から降りて荷物を持った。

 

「ここに来るのも1ヶ月ぶりね」

 

ボストンバッグを肩に背負って空を見上げていた。

 

「ゆうとぉぉぉぉ!」

「ぐえっ!」

 

背後から声が聞こえたので振り向いた瞬間、シャルロットが腹部に突進するように抱き着いた。

ちょっと、今のは冗談抜きで痛い。

 

「あぁ……三週間ぶりの悠人だぁ……」

 

突進してきた本人は惚けた表情で顔をグリグリと擦りつける。

 

「ひさし、ぶり……だね」

「悠人、今日は部屋に泊まって良いよね? その……同じベッドで一緒に」

「残念だけどそれはお断りよ。今日までアタシが悠人と一緒にいるんだから」

 

当然のように鈴も入ってきて僕から離れさせようとするが言うまでもなくシャルロットは拒む。

 

「今週までずっといたから少しくらい良いじゃない!」

「アタシだって最初の三週間、我慢したのよ!」

「ヤダヤダヤダヤダ!私も悠人と一緒にいたーい!」

 

しゃ、シャルロットが壊れた。

フランスから離れて三週間経ったけど、こんな我が儘娘になるとは……。

 

「面白い事になっているな」

 

旅行カートを引いて来たのはラウラで軍服を身に纏っていた。

 

「ラウラ、鈴ひどいんだよ。悠人と会うのは三週間ぶりになのに一緒にいちゃダメだって」

「みんなで話し合ったからな。すまんなシャルロット、時と場合によるが今回は規則のほうを取る」

「ラウラの裏切りものー!」

 

鈴とラウラに引き摺られたシャルロットは僕から離れた。

 

「今日はみんなと一緒に僕の部屋で夏休み何をしたか話をしよう。鈴、夜は二人っきりでね?」

「悠人大好きー!」

「だから抱き着くのは禁止よ!」

「ヤダー!このまま悠人と一緒にいたーい!」

 

腰に抱き着いているシャルロットをひっぺがそうと鈴が腕を掴んで騒がしくなる。

今年最後の夏休みは愛する嫁達(みんな)と一緒に過ごした。




原作4巻終わりました時期的にもちょうど良いですね
次回から原作5巻です。亡国機業も登場しますのでどういった展開になるか楽しみにしてください

活動報告にて謝罪があります

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