インフィニット・ストラトス ただあの空を自由に飛びたくて   作:如月ユウ

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今回は短いですが次回はかなり長いです


51話 気まずい空気

今までモテた事がなかった僕に合意だが五人の恋人が出来た。デュノアストライクを拡張領域(パス・スロット)に入れて整備室を出て自分の部屋に戻るが……。

 

(なんでみんな、僕の部屋にいるんだ……)

 

理由は分からないが全員、僕の後ろについて行き、そのまま僕の部屋に入ってきた。

恋人同士だから一緒に行動するのは当たり前だろうと昔の僕なら言ってたがここまで気まずい雰囲気になるとは思わなかった。

 

(話題……なにか女の子向けの話題はないのか)

 

生まれてきて今まで一度もモテた事がないので女の子が好きそうな話題が何一つ思い浮かばない。

 

(共通出来る話といえばガンダムしかないけど、それじゃあ駄目だ。他に……他にありそうな話題はあったか)

 

ガンダム以外で何か話題がないか必死で考える。

 

 

 

 

(夢……じゃないよね? アタシ、悠人の彼女になったのよね?)

 

バレないように制服越しから太ももをつねると痛みを感じた。

夢じゃない……本当に悠人の彼女になったんだ。

 

(嬉しいには嬉しいけど……)

 

合意とはいえ、アタシ以外に悠人の彼女が4人いる。

アタシよりも魅力的で女の子らしい雰囲気を持っている。

 

(仕方ないよね。悠人って優しくて真面目で物事には真剣に取り組むし)

 

ここにいるみんなはそれぞれ違う理由で好きになったらしいけど共通して言えることは悠人にしかない『何か』に惹かれたことよね。

それを知れたのはアタシ達、5人だけかもしれない。

 

(それに比べて一夏は唐変木で女の子の態度には反応しないで……悠人を見習いなさいよ。箒とセシリアが可愛そうだわ)

 

一夏が好きな2人は振り向かせようと必死にアプローチをかけているがあの一夏(唐変木)は反応せず、挙げ句には勘違いしたりしている。

 

(もし、悠人じゃなくて一夏に告白したらどうなってたかしら……)

 

アタシが毎日、酢豚を作ってあげる→それってタダで食えるってことか?

 

(……なんかムカついてきた。悠人と会わなかったら多分……いや、絶対ぶん殴ってたわね)

 

悠人は喧嘩や暴力があまり好きではなく、誰も怪我をしないやり方で穏便に解決している。

こうして考えると改めて悠人を好きになって良かったと思う。

不謹慎かもしれないけど一夏(唐変木)よりも悠人(優柔不断)のほうがまだマシだった。

 

 

 

(本当に良いの? 私がこれ以上幸せになっても)

 

悠人は私が女の子としてIS学園に再編してくれてデュノア社まで救ったくれた。

それだけで感謝しきれないのに悠人と恋人同士になれるなんて……どれだけ私を救ってくれるの?

普通に学園生活して、普通に友達と過ごして、普通に恋をして……幸せ過ぎて溺れちゃいそうだよ。

 

(ここまでしてくれているのに私は悠人にお礼したと言えば背中を洗っただけ……それだけで良いのかな?)

 

ううん、駄目に決まっている。悠人には返し切れない恩があって私の身体を捧げる必要がある。いや、自分の意思で身体も心も人生の全てを捧げたい。

 

(悠人って胸が大きいほうが好きなのかな……)

 

楯無さん程ではないが私のスタイルは良いと思っている。臨海学校のとき悠人の腕に抱き付いたらちゃんと反応してくれた。

 

(悠人は優しいから本当は我慢してるのかな? 男の子ってせい……『アレ』が溜まりやすいから定期的に静めないとおかしくなるんだよね? それなら我慢しなくても私の身体を好き使って良いのに……)

 

乱暴にされるのは怖いけど悠人が激しく求めてくれるならいいかなって。

それぐらいしても文句なんて一つもない。むしろ、普段は見ない悠人を見れるかもしれない。

 

(一度、みんなに相談して悠人の『アレ』について話したほうがいいかもしれない)

 

夏休みになる前に『アレ』について決めたほうがいいよね。

 

 

 

 

(こういうときは私から話かけたほうがいいのだろうか? しかし、誰もが牽制し合っているこの状況は下手には動くのは得策ではない)

 

我が部隊の副官……クラリッサ・ハルフォーフ大尉から借りたショウジョマンガでこのような展開があったことを思い出す。

こういうとき、どちらか話そうとするとタイミング良く言葉が重なることがあるらしい。

 

(話しかけるのはいいが私は軍の中でしか生き方を知らない。シャルロットには外の知識を学んでいるが嫁と話が合うかどうか)

 

IS学園に来る前に外の娯楽や話題について勉強するべきだと後悔する。

 

 

 

(私……本当に悠人君の恋人になれたんだよね?)

 

アニメやゲームで主人公とヒロインの恋が実って恋人同士になる展開。

それを私と悠人君がなって……本当に夢みたい。

 

(うぅ……なにを話せばいいんだろう……)

 

自分から話を切り出すのは苦手で女の子らしい話題だと悠人君が話の輪に入れなし、アニメやゲームの話だと悠人君しか分からない。

 

(ガンダムの話にすればいいのかな……でも、それはそれで恋人同士で話ことじゃないし)

 

男女が共通する話題を勉強をすれば良かった……。

 

(そうだ、お姉ちゃんも悠人君が好きだからお姉ちゃんなら)

 

私では荷が重すぎるのでお姉ちゃんを見る。

 

(お姉ちゃん、みんなから『人たらし』って言われてるからなんとかしてよ)

 

情けないが完璧と言われているお姉ちゃんに任せよう。

 

 

 

 

(ど、ど、どうしよう。こういう時は年上の私が話かけた方がいいのかしら?)

 

誰一人、話しかけることなく長い沈黙が続く。

本当なら簪ちゃんだけを選んで欲しかったが簪ちゃんの後押しで私も悠人君の彼女になった。

悠人君と恋人同士になれるのは嬉しいがものすごく緊張してしまう。

好きな人と一緒だからというのもあるが……。

 

(簪ちゃん以外の子も悠人君の彼女になったからそれも含めて誰も話せないのよね)

 

正直どうしたらいいのか私でも分からない。恋愛なんてしたこともないし、その初恋が合意の五股(・・)よ。

 

(真面目に考えて世間からすれば悠人君は女たらしと言われるわよね。本当は私達が悪いのに……)

 

女尊男卑の世界だから悠人君は格好の的だが一夏君と箒ちゃんとは幼馴染みで悠人君の家族は織斑先生と一夏君を引き取って育てたから親戚以上の関係だと知っているはず。

悠人君の家族が亡くなって織斑先生が悠人君の両親の遺影の前で深く感謝していた姿は世界的にニュースにもなっているから狂気な行動をする人がいなければ大丈夫だろう。

 

(お父さんにお願いして悠人君の護衛を頼んで貰おう)

 

ふと、簪ちゃんが期待した目で私を見ているのに気付く。

無理無理、お姉ちゃん完璧じゃないから。

簪ちゃんが思うような強い人じゃないの。彼氏なんて出来たことないからどういう話題を振ればいいか分からないのよ。

 

 

 

 

(よし、ここはみんなの彼氏である僕が話題を出そう)

 

この際だ、何でも良いから話題を一つ出そうじゃないか。

 

「ねぇ、みんなは──」

「そ、そうだ! 機体も完成したことだし、パーティーとかやらない? 自分の国のお菓子を持ってきてお菓子パーティーとかどう?」

 

お、お菓子パーティー?

 

「い、良いわね。アタシ、ゴマ団子作るわ」

「お姉ちゃん、私は和菓子を作るから一緒に作ろう」

「なら、私の部屋に行きましょう。ロシアのお菓子を用意するわ」

「我がドイツにもクーヘンがある。シャルロット、手伝って欲しい」

「パーティーは今週の土曜日。授業が終わったら悠人の部屋に集合ね」

「えっと、お菓子パーティーって。あとなんで僕の部屋で──」

「じゃあね悠人、準備があるから私達は出るね!」

 

バタバタと足音を立てて部屋から出るとバタンと部屋の扉が閉められる。

 

「なにしたかったんだろう……ほんと」

 

頭が重く感じる……仮眠しよう。

部屋の鍵を閉めてベッドにダイブして意識を手放す。




分かりやすい脳内思考

悠人→彼女無し歴同年数なのでコミュ症発動
鈴→一夏だったらグーパン確定
シャルロット→エロい妄想するエロイエロー
ラウラ→副官の2次元知識は世界一ぃぃぃぃ!!!
簪→お姉ちゃんに投げやり
楯無→世間が悠人を襲うか心配。あと無理ゲーだよ簪ちゃん

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