インフィニット・ストラトス ただあの空を自由に飛びたくて 作:如月ユウ
特に悠人のキャラが崩壊
「お、男……」
「はい。こちらに僕と同じ境遇の方がいると聞いて本国より転入を──」
「「「きゃあああああ!」」」
女子は我慢出来ず、デュノア君が言い終わる前に内側から溜めていた歓喜を爆発させた。
「男子よ! 3人目の男子!」
「しかも私達のクラスによ!」
「美形で! 守ってあげたくなる系の!」
「我が世の春がきたぁぁぁぁ!」
「感謝っ! 圧倒的感謝!」
最後の部分がなんか聞いちゃいけないような台詞だがスルーしておこう。
「はいはい静かにデュノア君が驚いているわ」
パンパンと手を叩いてエドワース先生はみんなを静かにさせる。
「SHRはこれで終わりだから質問したいときは休み時間のときにしなさい」
そう言ってエドワース先生は教室を出ると女子は我先にとデュノア君の席へ特攻する。
「ねぇ、シャルル君ってフランスから来たんだよね? フランスってどういう国なの?」
「シャルル君、日本にきたばっかりだよね? シャルル君からして日本はどう?」
「もしかして専用機とか持ってるの?」
「あ、えっと……」
一度に質問をされて戸惑っている。聖徳太子じゃないんだからいろんな方向から話しかけても答えられないよ。
デュノア君がちらりと僕を見てきた。助けてほしいと言っているのかな?
しょうがない。
「あっ、僕もいいかな?」
デュノア君を囲っている女性陣を割って入り、デュノア君の席にいく。
「自己紹介まだだったね。僕は山田悠人。見ての通りIS動かせる男性操縦者だよ」
「僕はシャルル・デュノア。男性操縦者は2人いるって聞いてたけど」
「もう1人は1組にいるよ。僕の友達だからお昼のときに挨拶しとく?」
「うん、そうしてもらえるなら嬉しいかな」
「さっきシャルル君が言ってたデュノアってもしかして」
「僕の会社だよ。父がね、その社長をしているんだ。一応フランスで一番大きいIS関係の企業だと思う」
そういえばストライクに乗る前に使ってたのはラファール・リヴァイヴだったね。姉ちゃんも同じISを使っていたから僕もそれでいいやと簡単に決めてたがまさかデュノア君の会社が造ったISを操縦してたんだ。
「デュノア君の会社が造ったISってラファール・リヴァイヴだよね?」
「うん、ラファール・リヴァイヴは第2世代開発最後期の機体だけど、そのスペックは初期第3世代型にも劣らない性能で安定した性能と高い汎用性、豊富な後づけ武装が特徴なんだ。現在配備されている量産型ISの中では最後発でありながら世界第3位のシェアを持ち、七ヵ国でライセンス生産。十二ヵ国で正式にも採用されてる。ラファール・リヴァイヴの特徴である操縦の簡易性で操縦者を選ばないことと
なんだかCOLT社が開発したM1911みたいだ。
M1911とは当時アメリカ軍が正式拳銃として使われていた回転式拳銃であるM1892の威力不足から.45口径のであるM1911に更新された自動拳銃で一発で相手を吹き飛ばす威力を持っている。
アメリカ軍の正式拳銃として次期アメリカ軍正式拳銃が登場するまでのアメリカ軍正式拳銃の座を守っていたがベレッタM92Fに正式拳銃の座を譲った後でもその勢いは止まることを知らず、現在でもM1911を正式拳銃として使っている軍隊も多い。
日本でもM1911を11.4mm拳銃と呼ばれていて、9mm拳銃が開発されるまで使われていた。
M1911の派生型は数知れず、個人のカスタマイズも含めれば星の数程の種類を有している。
「僕もストライクを使うまではラファール・リヴァイヴにお世話になってたよ」
「ストライク?」
「僕の専用機だよ」
待機状態であるストライクをデュノア君にみせた。
「ストライクガンダムはガンダムSEEDに出てくる機体でGAT-Xシリーズの試作型機体なんだ。ストライクの最大の特徴はストライカーパック。ストライカーパックには
こうして見るとストライクガンダムとラファール・リヴァイヴはある意味同型機と言ってもいいだろう。
「山田君、ストライクって言ったけどもしかして」
「僕の専用機はガンダムだよ。なんでガンダムなのかはわからないけどね」
一部の女子がガンダムという言葉に歓喜に満ちた声をした。
「山田君、今ここで『俺がガンダムだ!』って言ってみて!」
「いや、なんで刹那の台詞なの?」
「ガンダム装着してるんだよ! なら『俺がガンダムだ!』って言っても違和感ないって!」
その法則はおかしい。
ガンダムは好きだけど中毒症になるほどガンダムにのめり込んでいないから。
「けど、ここでISを使ったら校則違反だよ。使うならアリーナじゃないと」
「なら、今日行くアリーナの場所教えて!」
「あ、ちょっと抜け駆けはダメだよ!」
「私も! 私もガンダム見たい!」
僕の専用機がガンダムだと教えてしまったため休み時間はかなり疲れてしまった。
◇
今日のお昼はデュノア君を紹介するために鈴と一夏達と一緒に屋上で摂ることになった。屋上といえば大空のしたにコンクリート一色だがこのIS学園は芝生が敷き詰められている。
屋上に芝生がある学園があるなんて流石、IS学園。
「一夏のクラスにも転校生来たんだ」
「でも、あいついきなり俺のことを叩いてきやがったんだ」
そのときを思い出したかのように怒りを露にし、叩かれた頬をなでる。
「一夏さんに暴力をするなんて風上にもおけませんわ!」
「なぜなんだ……私は……一夏と……」
一夏が叩かれたことにセシリアさんは怒っているが箒はなぜか落ち込んでいる。
「悠人、はいアンタの分」
鈴が大きめのタッパーを僕に渡してくれた。中身はなんだろうな~。
「おぉ、酢豚だ! それにエビチリや青椒肉絲に回鍋肉も!」
「酢豚じゃ飽きるって言ったからね。他のも作ったのよ」
主菜だらけタッパーだが味が混ざらないように仕切りをしている。
ご飯も欲しいと思っていると海苔無しのおにぎりも用意してくれていた。鈴はこういう細かい部分はしっかりとしている。
「うん。うまいよ鈴」
「当たり前じゃない」
おにぎりを片手に鈴が作った四種類の中華料理を次々と食べる。
視線だけで鈴を見ると嬉しそうな顔をしている。
「一夏、実は私もお弁当を作ってきた。もちろんお前の━━」
「んんっ! 実はわたくしも今朝ははやく起きてしまいまして、こういうのを作りました。よろしけばどうぞ」
箒はお弁当、セシリアさんはバケットを取り出して一夏に渡した。
「あ、あぁ……ありがとう」
箒とセシリアさんのを受け取ると少し引いた態度をとっている。男なんだから女の子のお弁当を残さず食べろよ。
「あの……僕も一緒で良かったのかな?」
あ、一夏のことを説明しようとしたがすっかり忘れていた。
「ごめんデュノア君、自己紹介するの忘れてた。彼は僕のクラスに転校生したシャルル・デュノア君。フランスから来たんだって」
「はじめましてシャルル・デュノアです」
軽くお辞儀をすると一夏達の自己紹介をする。
「俺は織斑一夏。悠人と同じ男性操縦者で悠人と幼馴染みだ」
「篠ノ乃箒だ。一夏と悠人とは幼馴染みだ」
「イギリス代表候補生のセシリア・オルコットですわ。クラスで『唯一』の代表候補生ですの」
「アタシは凰鈴音。中国代表候補生で2組のクラス、悠人と一夏とは幼馴染み」
「僕のことはシャルルって呼んでいいよ」
デュノア君……改めてシャルルと呼ぶことになったので僕達も同じように名前で呼ぶようにした。
新しい男性操縦者がいるから仲良くなっていかないとね。
◇
「死ねぇぇぇぇ一夏ぁぁぁぁ!」
仲良くなっていかないとねと言ったな?
悪いね、あれは嘘だ。
「悠人! ちょ、ちょっと待て!」
「うるせぇぇぇぇ! 鈴から聞いたぞ! てめぇ、姉ちゃんの胸を揉んだんだって!?」
「あれは事故なんだ!」
「事故でも触ったんなら有罪でぇぇぇぇ! 懲役無しのぉぉぉぉ! 死刑直行だぁぁぁぁ!」
アリーナにいるのは白式を装着した一夏とストライクを装着した僕だけである。
「大人しくランチャーストライカーの試験運用の餌食となれぇぇぇぇ!」
左手に持っているのは高圧縮状態の臨界プラズマエネルギー砲を撃つことが可能な320mm超高インパルス砲アグニ。
ランチャーストライカーパックのメイン装備で遠距離からの砲撃を得意とする。
アグニから放たれるプラズマエネルギー砲が一夏を狙って一直線に放たれる。
「そうだ、悠人! そこをガツンとだ!」
「悠人さん! そこはバルカンで相手の退路を奪いつつ……そうです、そこを狙ってください!」
「やれぇぇぇぇ悠人ぉぉぉぉ! 一夏なんかぶっ殺せぇぇぇぇ!」
アリーナの片隅にいる鈴は僕を応援してくれている。箒とセシリアさんも僕を応援してくれているが気にしないでおこう。
◇
「えっとなにが起きてるの?」
今のこの状態を理解していないシャルルはなぜ、悠人は一夏に怒りをぶつけているのかわかっていない。
「一夏のやつ真耶さんの胸を揉んだのよ」
「えっ……な、なんで胸を?」
「山田先生が空からグラウンドに突進してきてな。一夏が白式でなんとかしたがその後が問題だった」
「山田先生のあの豊満な胸を我が物ばかりと思って触っていらしていたのです!」
「それでなんで悠人が怒っているの?」
「悠人は真耶さんの弟。悠人、ある意味シスコンだから真耶さんに何かあったらあんな風に相手の言い訳を全く聞かずに暴れるってわけ」
「うん、悠人が怒る理由はわかった。けど、なんでみんなも怒っているの?」
「「「一夏(さん)のせい」」」
3人とも同じだった。
「おらおら逃げんな! アグニの威力がどれくらいあるか確認が必要なんだよ!」
「あたったら死ぬだろ!」
「知るかぁぁぁぁ!」
右肩に装着している120mm対艦バルカン砲と350mmガンランチャーも一緒に撃ちまくる。
「山田君……すごく強かったんだ……」
「ストライクってあんなに動き良かったっけ?」
「なんか私達が思っていたガンダムの戦い方とはちょっと違っていたね」
観客席にいるのはストライクを見たいと言っていた女子達。悠人の戦い方を見てクラス代表にして良かったと改めて認識した。
◇
「なんかごめんね」
「仕方ないよ。シャルルは男なんだし、僕と同じクラスなんだから」
シャルルの部屋だが僕と同じ境遇なので僕の部屋の同居人となった。
急な編入なので個室の準備は出来ず、個室が出来るまでは同じクラスである僕の部屋にいることとなった。
「それにしても……」
こうして見るとシャルルって美少年だよね。同じ男である僕だがなんか情けない。
あと、服装を変えれば女の子と言ってもあまり違和感がないかもしれない。
「悠人?」
「あ、ごめん。シャルルってなんか男の娘に見えるなって」
「おとこのこ?」
「
「ちょっとそれ酷いよ!」
「ごめんごめん。シャルルは男なんだし女の子の格好したらおかしいもんね」
「そ、そうだよね」
「そうそう」
「「あっはっはっはっはっ!」」
男なのに女の子の格好する人はよっぽど特殊な趣味を持った人だけだよ。シャルルはそんな趣味なんてないしね。
「あ、そうだ。ストライクについて知りたいんだよね?DVDあるから一緒に見よう」
「DVD?」
「アニメだよアニメ、ガンダムは見たことある?」
「見たことないかな」
「なら、さっそく見ようよ」
家から持ってきたDVD-BOXから1巻目を抜いてDVDプレイヤーにいれるとマリュー艦長のナレーションが始まる。
セシリアの飯マズは悠人は知りませんので箒とセシリアからお弁当をもらったときは二人からお弁当をもらうとは思わなかったと悠人は考えてます