インフィニット・ストラトス ただあの空を自由に飛びたくて 作:如月ユウ
エクシア以外でガンダムのクロスオーバーをしたかったから
「一夏のやつ遅いな……」
先に受験会場に着いて一夏を待っていたがメールをしても一向に返ってこない。このまま待っていたら受験に遅れてしまう。
「仕方ない……一夏には悪いけど中に入っておこう」
受験会場に入って試験を受けた。無事に受かるといいな。
◇
「ただいま~」
「お帰り姉ちゃん」
僕の姉『山田真耶』が帰って来た。この家には僕と姉ちゃんしか居ない。
両親は交通事故で他界、姉ちゃん一人で僕をここまで育ててくれた。
いい加減、姉ちゃんに甘える訳にもいかず、受かれば就職はほぼ確実の藍越学園に入学することにした。一夏も同じ理由で僕と一緒の高校に受けることとなった。
「今日はいろんな事があってくたくただよ~。先輩の弟君がISを起動しちゃうとかびっくりだよ」
「えっ、一夏がISを起動した? それってどういう意味?」
インフィニット・ストラトス(以下IS)
一夏の姉である織斑千冬さんの親友の篠之ノ束博士が開発した宇宙空間を想定して作られたマルチフォーム・スーツである。
しかし束博士の意図とは別に宇宙空間に想定させて作られたISは他の兵器よりも圧倒するスペックを持ち、その高性能なスペックから宇宙進出ではなく軍事兵器へと変わってしまう。
ISは女性にしか反応せず、女性が偉いという風習が生まれ、女尊男卑という社会へと変わってしまった。
「私が聞きたいよ。なんで一夏君がISを起動したのか先輩に聞いても知らないと一点張りだし」
あとでチャットでIS起動の話について聞いとこう。
◇
DAN:おい、ワンサマーがIS起動したってニュースではいってたがマジか?
ヤマト:姉ちゃんから聞いたけどマジらしいよ。ワンサマー現在拘束中でチャットも来れないとのこと
mk:というかヤマトと同じ受験の会場だろ? なんでIS起動したんだ?
ヤマト:知らんよ、僕は間違えず会場に行ったんだから。僕は悪くない
DAN:ワンサマーIS触れたからもしかして男性の適性検査とかあるんじゃねぇ?
mk:うお! マジか! IS学園って女学園だからハーレム待ったナシフラグだよな!
ヤマト:これも姉ちゃんから聞いた話だけどIS学園って実弾射撃とか真剣とか使って訓練とかするからある意味軍事学校って言ってた
DAN:だが、女学園に変わりはない! 待ってろ俺のハーレム!
mk:ハーレム王に俺はなる!
ヤマト:お前ら……w
◇
卒業式を控えたある日、学校で緊急集会を開いてISの適性検査を行った。
全学年クラスの男子が次々とISに触れるがうんともすんとも言わず動かず、何人か男子が俺のハーレム計画がぁぁぁぁと嘆いていてその嘆きに弾と数馬も含まれていた。
「次、山田悠人」
「はい」
無事に藍越学園の受験に合格した僕からしてどうでも良い。入学式の日まで積みゲーし放題だからはやく終わって帰りたい。
今日はラチェット&クランクにしよう。ランチャーNo.8マジチート武器。
「は?」
ISに触れたとたん僕はISを装着していた。
「えっ、えっ、えっ? マジ?」
「おい山田……お前、女だったのか?」
「いや、先生! ここでボケないでください! れっきとした男ですよ! 組体操で上半身裸になったでしょう!」
「ちょっと待て、今からIS学園の人に連絡する」
「なら、僕の姉ちゃんに連絡してください。姉ちゃん、IS学園の先生だから」
スマホを渡すと先生が姉ちゃんに連絡をする。
「あ、もしもし山田君のお姉さんですか? はい、実は山田君がISを起動してしまいまして……えぇ、はい、わかりました。はい……はい……では、失礼します」
スマホを僕に返してくれた。
「山田、お前のお姉さんとIS学園の教師がここに来るから校長室に行ってきなさい」
「は、はあ……」
校長室に行ってソファに座って待機していると姉ちゃんともう一人がはいってきた。
「ひさしぶりだな悠人」
「千冬さん……」
一夏の姉で姉ちゃんと同じIS学園の教師をしてる千冬さんが姉ちゃんと一緒に校長室にはいってきた。
僕の隣に姉ちゃん、校長先生の隣に千冬さんという座り方でソファに座る。
「さて、山田君。君はどういう立場でいるかわかっているかね?」
「え、えぇ……一夏と同じ男性なのにISを動かしてしまった一人ということですよね?」
「そうだ、お前も一夏と同じように世界で唯一ISを操縦出来る男性適合者になった。そんな貴重な人材は誰もが欲しがる。最悪の場合、誘拐や拉致をされて毛細血管や骨の髄まで隅々まで解剖させられるだろう」
冗談ではなく本気で血の気が引いていく。
一夏もこんなことを言われて同じように血の気が引いたんだろう。
「千冬さん、僕はどうしたら……」
「悠人、一夏君と同じようにIS学園に入学するしかないわ」
「真耶が言ったように君は学園に入学するしか方法はない。IS学園に入学すれば3年間は身の保証が出来る」
「じゃあ……藍越学園の入学は」
「この際だ、諦めるしかない」
頭が真っ白になり、周りが見えなくなる。
今までの努力を潰されたような……そんな気分に陥ってしまい、僕は何も言えなくなった。
◇
「悠人、はいるよ」
あれから学校の授業も受けず、姉ちゃんと一緒に家に帰ると部屋に引き込もっていた。
「先輩が本当に申し訳ないって言ってたわ。私の弟のせいで悠人の合格を潰してしまったって」
「…………」
ここで一夏のせいにすれば楽になれるかもしれない。けど、一夏も好きでISを起動したわけじゃない。
だから恨んだり怒ったりしちゃいけない。一夏も被害者なんだから。
「なあ、姉ちゃん……」
「なに?」
「人生ってなにがあるか、わからないもんだなって…姉ちゃんに甘えてばかりじゃいけないから卒業したら就職確実の藍越学園に入学しようと勉強頑張ったのに……それなのに……」
勉強漬けの毎日をしてようやく合格したのにそれが一瞬で消えてしまった。
それが悔しかった。努力してようやく手に入れた合格なのにそれがなくなるなんて。
「悠人……」
姉ちゃんが僕を包むように抱き付いてくる。
「私、知ってるよ……悠人が頑張って努力してきたのお姉ちゃんは知ってる……」
「姉ちゃん……」
こうして抱き締められるのはひさしぶりだ。小さい頃に姉ちゃんにこうやって抱き締められたっけ……。
「つらいよね……せっかく頑張って掴んだ合格なのに…」
つらいに決まってるよ……姉ちゃんのために頑張ったのに……。
「こういうときには泣こう?いっぱい泣いていいからね?お姉ちゃんがいるから」
「ふぅ……うぁ……うわぁぁぁぁ!」
我慢出来ず思いっきり泣いた。
泣いて泣いて泣きまくった。声を出して姉ちゃんの服を掴んで思いっきり泣いた。
「大丈夫だよ……お姉ちゃんが悠人を守るから…悠人は私のただ一人の家族なんだから……」
「うわぁぁぁぁ!」
泣き疲れるまで姉ちゃんは僕から離れず側に居てくれた。
冷静に考えてみると高校の入学を控えたときにISの適正があったら
行きたかった高校のパスを捨てないといけなくなるんですよね
努力して合格したのに強制的に入学を潰されたら絶望しますよね
それが志望率がかなり高い高校だったらなおさら