魔法少女&仮面ライダー育成計画 〜Episode of Mirror Rider〜   作:スターダストライダー

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今後もコメントの方をよろしくお願いいたします。みんなでより良い作品としていきましょう!


76.ゲリライベント

「な、何だ⁉︎」

「国道が……!」

 

カラミティ・メアリによる狙撃から逃れようとしていた龍騎、トップスピード、リップルは下界の方で鳴り響く爆音を耳にして、顔を向けた。見れば、国道の方で火の手が上がっているではないか。さらに続けざまに別箇所から爆発が起こり、国道は大惨事となっているのが見えた。

 

「まさか、あいつ……!」

 

単なる交通事故とは思えないほどの大規模を目の当たりにして、リップルはとっさにこれが人為的に引き起こされたものだと察し、国道の近くに見えるビルの屋上に目をやった。パートナーのナイトと王蛇が激しい戦闘を繰り広げている中、カラミティ・メアリが国道に向けて銃を構えている姿があった。

 

「あいつ……!」

「何てことしやがるんだ……!」

 

龍騎とトップスピードにも状況が把握できたらしく、怒りと絶句が混じり合っている。

頭の中が沸騰したような感覚に襲われたリップルが、脊髄反射でラピッドスワローから飛び降りたのはその瞬間だった。

 

「ダークウィング!」

 

リップルがパートナーの契約モンスターの名を叫ぶと、ダークウィングが現れて、背中に張り付くと、カイトの要領で飛び降りるのではなく、真っ直ぐに向かう形で、元いた場所へと急降下していった。

 

「お、おい待てよリップル!」

 

トップスピードがリップルを止めようとするが、すでに彼女は遥か彼方へと飛び去っていた。

すると、上空にいた龍騎とトップスピードのマジカルフォンに着信があった。見てみると、ガイからのメッセージだった。中宿で面白いものがある、と表記されていたのを見た龍騎は、怒りを露わにした。

 

「あいつ……! この状況を何だと思ってんだ! それにメアリも……! 俺だけならともかく、関係ない奴らまで巻き込むなんて……!」

 

そう言って龍騎も龍騎専用のラピッドスワローを国道の方に向けようとしたが、トップスピードが反射的にその腕を掴んだ。

 

「待て龍騎!」

「待てるかよ! このままじゃナイトもリップルも、街の人が……!」

「あいつらのやってる事が許せないのは俺だって同じだ! だけど、カッとなって飛びかかっても命を落としかねないぞ!」

 

トップスピードは真っ直ぐにパートナーの方を向いて叫んだ。

 

「自分の命を大切にしない奴が、人の命なんて救えるわけねぇ! だから怒りで動こうとすんな! お前は、仮面ライダーなんだろ⁉︎」

「……!」

 

仮面ライダー。初めてその存在を知った時から取材で追いかけ回していた、都市伝説に値する人助けのエキスパート。そして今、自分がシローに選ばれて得た力の象徴。そんな仮面ライダー『龍騎』となった正史は、荒げていた呼吸を止めて、落ち着きを取り戻したところでトップスピードに言った。

 

「……ありがとう。ゴメンな。もう大丈夫だ」

「あぁ。それでこそ、俺のパートナーだ」

「でも、あの2人を放っておけない。早く助けに行かないと!」

「ったりめぇだ! 行くぜ!」

 

そして2人は方向転換して、ナイトとリップルがいる屋上に向かって速度を上げた。

ようやく肉眼でも確認できる位置まで高度を下げ、ビルの屋上に目をやった。ナイトと後から合流したリップルが、カラミティ・メアリ、王蛇ペアと対峙しているのが見える。

 

「王蛇までいやがったか……!」

「止めろぉ! これ以上被害を大きくするな!」

 

龍騎が上空から説得しようとするが、4人とも聞く耳を持てないほど、目の前の敵に集中している。トップスピードも説得に加わろうとしたその時、国道の方から女性の声が。

 

「助けてぇ、誰かぁ!」

「! 今のって!」

 

どうやら国道にいる、逃げ遅れた人が助けを求めているようだ。仲間の方も気掛かりだが、性格柄、助けを求めている人達を放っておくわけにもいかない。止むを得ず、龍騎とトップスピードはビルから離れて国道の方に出向いた。

声に導かれるようにやってきたのは、火の手がすぐそこまで迫っていた地点。そこには母親らしき女性が、生後間もない赤ん坊を抱きかかえて地面に座り込んでいる姿が。彼女が助けを求めていた声の主に違いなかった。

 

「おい、大丈夫か⁉︎」

「あ、あなた達は……」

「怪我はありませんか⁉︎」

 

2人が道路に足をつけて女性の安否を確認すると、女性は赤ん坊の方に目をやった。

 

「爆発に巻き込まれて、この子が……!」

「「!!」」

 

ぐったりしている赤ん坊を見て、2人はハッとした。見たところ外傷はなさそうだが、煙が充満しているこの場所に、いつまでも放置しておくわけにもいかない。自身のお腹にも、小さな命を身篭っているトップスピードにとって、無視できない話だ。一方、龍騎もまた、一度犯してしまった失敗から立ち直った事でより強固なものとなった正義感が働いたのか、女性に駆け寄って安心させるように言った。

 

「すぐにここを離れましょう! 俺達が手伝います! トップスピード!」

「あぁ! このまま病院に! さぁ、早くこれに乗って!」

 

トップスピードはラピッドスワローに乗って、後方に乗るように示唆した。女性は困惑していた。無理もない。脱出するためとはいえ、いきなり箒に乗れと言われても、飛べるはずがないと思っているのだろう。中々ラピッドスワローに乗らない女性に痺れを切らして、トップスピードは叫んだ。

 

「何も考えんな! 今は、赤ん坊の事だけを考えろ! 俺達が、絶対に死なせねぇ……!」

「早く乗って! 俺達が、絶対に守るから!」

 

龍騎とトップスピードに励まされ、女性はトップスピードの後方にまたがり、龍騎と共に国道を離れて、病院の近くまで送っていった。女性が振り落とされないようになるべく安定し、なおかつスピードを上げながら、2人はラピッドスワローを飛ばした。龍騎が今一度ビルの方に目をやった。銃撃戦や、剣の打ち合いが続いているようだ。

 

「(待ってろよ……! すぐにそっちに向かって助けてやるからな!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで少し時間を巻き戻し、舞台はOREジャーナル本社へ。中宿の国道で大規模な爆発や火災が起こっている事は、当然ながらすぐに掴んでいた。やがてデスクに設置されていた固定電話が鳴り響き、編集長の大久保は受話器を手に取った。相手は先んじて中宿に出向いている令子だった。

 

『編集長! たった今、現場に到着しました!』

「どうだ令子! そっちの状況は!」

『かなり酷い状況です。詳しい原因は分かっていませんが、国道や繁華街を中心に、あちこちで爆発が……キャア!』

 

受話器越しから再び爆発音が鳴り響き、令子の悲鳴が大久保の耳を貫いた。令子が今いる場所からは遠かったようだが、緊迫した雰囲気が社内にも伝わってきた。

 

「令子、大丈夫か⁉︎」

『な、なんとか……。どうにかして先へ進もうかとは思ってるんですが、人だかりや検問が敷かれはじめていて、今は人のいない裏ルートを探っているところです』

「分かった! ……ところで、正史はどうした?」

『それが、さっきから何度も電話してるんですが、一向に出る気配が無いんです』

「何だってぇ⁉︎ あいつこの非常事態にどこほっつき歩いてやがるんだ⁉︎ いや、待てよ。ひょっとしたら巻き込まれたんじゃ……」

 

可能性が無いとも言い切れない。大久保は窓の外に目をやってから、令子に指示を出した。

 

「よし分かった。令子、俺も今からそっちに向かう! 令子は引き続き、調査を進めておいてくれ! くれぐれも無茶だけはするなよ!」

『了解しました! また何かあったら連絡を入れます!』

 

大久保は受話器を置いた後、振り返って同じく社内で仕事をしていた島田に声をかけた。

 

「島田、お前も一緒についてこい! 現場の状況報告や、常に令子から送られてくる速報をいつでも流せるように準備しておけよ!」

「お任せあれ!」

 

島田は、ようやく自分が活躍できる場が出来た事で、俄然やる気になったようだ。大久保は自身が運転する車に島田を乗せると、安全運転を心がけながら、現場へと急行した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラピッドスワローから飛び降り、ダークウィングと共にビルの屋上へと戻ったリップルは、難なく屋上に着地した。ダークウィングは背中から離れてミラーワールドへと帰還した。

 

「リップル……!」

 

ナイトは戻ってきたリップルに顔を向けた。その鎧には傷跡が付いており、王蛇とカラミティ・メアリからの激しい猛攻を受けた証拠である。

 

「……ハッ。お前も、俺と戦いに来たか」

 

王蛇はまた新たな対戦相手に恍惚しているようだ。その一方でカラミティ・メアリは鼻を鳴らして呟いた。

 

「遅ぇよ、お嬢ちゃん。龍騎が戻ってきてないみたいだけど……。ま、いっか」

「……チッ!」

 

こうしている間にも、繁華街からは爆発音が鳴り止まない。速攻で仕留めるしかない。そう考えたリップルがマジカルフォンに手を伸ばそうとした時、カラミティ・メアリが声をかけた。

 

「おっと待ちな、お嬢ちゃん。こないだみたいにサバイブになろうったって、そいつは問屋が卸さないよ」

 

そう言ってメアリがポケットから取り出したのは、2本の押しボタンがついたスイッチ。リップルが警戒していると、メアリは笑いながらスイッチの説明をした。

 

「もしあんた達がサバイブになろうとしたら、こんな風に」

 

メアリはそこまで言って、片方のスイッチを押した。その直後、メアリの背後に見えていた街の一角で爆音が鳴り響き、老若男女の悲鳴が重なった。それを見た2人は自分でも制御できないくらいに歯ぎしりした。

 

「アッハッハ! 心配しなくたって、今のは見せしめ程度だからね。小規模な方さ。でも、こっちはどうかなぁ?」

 

余裕綽々にもう一つのスイッチを見せつけるメアリ。

 

「貴様……!」

「簡単な事さ。ようはあんた達がそのままの状態で戦ってくれるんなら、そのボタンを押すような事はしないってわけ。その約束ぐらいは守ってやるよ」

「そっちから呼び出して、私や龍騎を殺そうとしたくせに……!」

「それにまんまと乗ったお嬢ちゃんもどうかと思うけどね」

 

メアリの小言を聞いて、リップルは今までにした事のないぐらいに舌打ちを響かせた。これ以上被害を拡大させないようにする為には、サバイブの力なしで2人を倒さなければならない、という事だろう。リップルは短刀を鞘から引き抜いて構えた。

 

「お前相手に、サバイブなんか無くったって……!」

「そうそう、そうこなくちゃねぇ!」

 

国道の方で再び爆発音が聞こえ、それが合図となってカラミティ・メアリが挨拶代わりにと、銃弾を発射した。リップルはそれらをすべて俊敏な動きでかわして、お返しとばかりに手裏剣を放った。魔法により追尾機能を持った手裏剣はドラグノフに全て命中し、ドラグノフは使い物にならなくなった。が、それで止まるカラミティ・メアリではない。ドラグノフを放り捨てて次に四次元袋から取り出したミニガンを、今度はナイトに向かって撃った。

 

「!」

 

ナイトはとっさにダークバイザーを引き抜き、全弾を器用に弾いた。球切れになったミニガンを構えながら、メアリは不敵な笑みを浮かべる。

 

「相変わらずイラつかせる目を向けてくるねぇ。んじゃあ、その目で救ってみせなよ、この街をさぁ!」

「カラミティ・メアリ……!」

 

リップルが鋭い目線を向けながらメアリに向かって歩き出そうとするが、王蛇が立ちふさがった。

 

「お前は、俺と遊んでいけ。あいつとはもう飽きた。お前も戦えるんだろ?」

 

リップルはためらわず舌打ちし、短刀を握り直した。リップルと王蛇、ナイトとカラミティ・メアリ、といった対戦カードが決まり、上空から龍騎やトップスピードの声が聞こえてくるが、煮え滾る怒りで耳にする余裕はない。

4人の中で最初に動いたのはリップルだった。短刀を王蛇に向けて、殺気立った勢いを向ける。

 

「ハハハッ!」

 

だが王蛇はそれに臆する事無く手に持っていたベノサーベルで受け止め、乱暴に振り回してきた。対するリップルはかわしつつも反撃の機会を伺っていた。腕力などの肉体的パワーだけなら、メアリを上回るであろう王蛇に、隙を作らせてはいけない。その一心でリップルはクナイや手裏剣を放ち続けた。

そしてナイトも、カラミティ・メアリの銃撃を最小限の動きで回避し続けていた。頃合いを見計らって一気に間合いを詰めるナイトだが、カラミティ・メアリはすぐさまミニガンを捨てて、四次元袋から新たな拳銃を取り出した。ナイトが突き出したダークバイザーはその拳銃によって受け止められたが、拳銃の方は砕けなかった。よく見ると、ダークバイザーの刃の部分が、拳銃の先についていた刃渡り30センチほどの銃剣で押さえつけられている。

メアリが選んだ武器は、接近戦でも活躍し、なおかつ射撃が不得意な持ち主でも戦える、銃剣のついた武器『トレカフ』だった。その銃剣でダークバイザーを捌いたのだ。

 

「まぁ、トレカフだけでどうにかなるわけないわなぁ」

 

笑みをこぼしながら、トレカフを振るうメアリ。対するナイトもダークバイザーで懸命にぶつけている。

 

「グゥッ……!」

「ハハハッ!」

 

その一方で、リップルは王蛇の容赦ない猛攻により、地面に打ち付けられた。が、すぐさま立ち上がり、振り下ろされるベノサーベルをかわして、手裏剣を投げつけた。ベノサーベルで弾いてはいるものの、何発かは腕を掠めて、血が流れている。が、王蛇は全く気にする様子もなく、腹の底から笑っていた。

 

「良い感じだなぁ。戦いはこうでなきゃな!」

「化け物が……!」

 

リップルは舌打ち交混じりにそう評価した。メアリもそうだが、王蛇も尋常ではないくらいに人間離れしている。全身から狂気性を感じさせる王蛇を見ていると、次第に自分の方が飲み込まれそうになる。リップルは全意識を目の前の相手に向けて、集中力を高めた。

ナイトもそれに続くようにメアリに向かってダークバイザーを振り下ろすが、その度にメアリは銃剣で捌いて跳ね除けられ、反撃とばかりに弾を乱射してくる。これだけダークバイザーを当てているにもかかわらず、トレカフには傷一つつかない。その理由を、ナイトは距離を置いて推測した。

 

「それも、お前の魔法によるものか」

「あいにくだったね。あたしが手にした武器は、絶対に壊れないのさ。銃はもちろん、パートナーの武器もね!」

「だったらどうした」

 

ナイトはそう吐き捨てて、カードデッキからカードを1枚取り出し、ダークバイザーにベントインした。

 

『TRICK VENT』

 

ナイトの両サイドに、シャドーイリュージョンによって形成された分身体が出現し、一斉にメアリに襲いかかった。

確かに武器の強度は格段に上がっている為、容易に破壊する事は難しいだろう。だが、その持ち主の場合は、話は別だ。どれだけ武器が強化されていようと、使用者は脆いのだから、そこを狙って叩きのめせば良い。

 

「……とでも思ってるんだろうけど」

 

カラミティ・メアリはそう呟いた後、四次元袋から新たな銃を取り出す。機銃掃射型の銃を取り出し、ほぼフルオートの状態で8体に分裂したナイトに向かって引き金を引いた。

 

「何体に分かれようが、全部まとめて撃ち殺せば良いだけの事さ!」

 

途切れる事なく銃弾が襲いかかり、1人また1人と分身体が消滅していく。だがナイトの方も手筈を整えおり、4体まで減った頃には、カラミティ・メアリを囲んでいた。

 

「……チッ。チマチマと面倒臭い動きばっかしやがって……」

 

イラつきながらも、銃を時折変えながらナイトを狙っていた。トリッキーな立ち回りを得意とするナイトは、それを活かしてメアリに斬りかかろうとするが、一つ一つの攻撃の威力はメアリの方が高く、隙をついてもメアリの銃から火が吹き、その度にナイトはかわしていく。均衡は崩れなかった。その間にも、国道や繁華街からは爆発音が鳴り響いている。ナイトが動き回りながらもそちらの方に時折気が向いている事に気付いたメアリは、挑発するように叫んだ。

 

「ほらほら! あたし達を止めなきゃ、この街はもっと酷い目に遭うよ、正義の味方さんよぉ!」

「……正義の味方、だと?」

 

不意にナイトは冷めた口調で言い返した。

 

「そんなもの、俺は最初から望んでいない。俺には、龍騎やトップスピードのような人助けは向いていないし、出来ない。唯一出来るのは、目の前の敵を倒す事だけだ」

「そうかい。けどあんた、その割にはあたしを全然殺そうとする気がないように見えるのは気のせいかなぁ?」

「何?」

「ひょっとしてあんた、処女みたいなもんで、本心じゃ殺す気がないんじゃないのかい?」

「黙れ!」

 

ナイトは一喝し、再びメアリに接近戦の挑んだ。メアリは易々と挑発に乗ったナイトを見て、さも可笑しそうに撃ちまくった。

と、ここでリップルが王蛇の猛攻をかいくぐり、距離を詰めて、足払いで王蛇を地に伏せた。

 

「オォ……!」

 

リップルは王蛇の右腕を両足で絡め取り、腕十字固めの体制に持ち込んだ。関節が外れたような音が右腕から聞こえてきた。このまま一気に締め付けて、右腕を使い物にならないくらいに、力をさらに入れた。

 

「フハハハハッ!」

「⁉︎」

 

だが、王蛇の口から出たのは激痛に伴う悲鳴ではなく、狂気に満ちた笑いだった。そして王蛇は、関節が外れたにもかかわらず、右腕を強引に曲げて、そのままリップルを地面に叩きつけた。

 

「ガハッ⁉︎ そん、な……!」

 

息が切れ、動揺を隠せないリップル。そして王蛇は続けざまに空いていた左拳でリップルの顔面を殴った。とっさに首を後ろにやった為、クリーンヒットこそしなかったが、鼻に当たり、血が滴り落ちた。

 

「こ、のぉ!」

 

ヤケになったリップルが飛びかかり、マウンドポジションを取ろうとするが、王蛇は受け流すようにリップルを突き飛ばした。空中でバランスをとって、足から着地したリップルだったが、先ほど後頭部を地面に打ち付けたショックで後ろによろめき、数歩後退した。

もうこれで疑う余地はなくなった。王蛇は、カラミティ・メアリ以上に、精神的にも肉体的にも人間としての範疇を超えている。好戦的で常にイライラが止まらず、外れた関節を痛がる様子もない。どう対処しようかと思考を巡らせていたその時、カチリと足元から音がして、リップルは思わず足元に目をやった。

 

「!」

「何……⁉︎」

 

ナイトも瞬時にパートナーに起きた異変を察知した。よく見れば、リップルの右足が踏んでいるコンクリートが僅かに沈み込んでいる。何かのスイッチを押してしまったと気付いた時には、リップルの背筋に怖気が走った。

 

「アッハッハ! ヒャアッハッハッハッハ!」

 

すると、それまでナイトと激闘を繰り広げていたカラミティ・メアリが腹を押さえながら高笑いして、リップルの足元を見ながらいけしゃあしゃあと語り始めた。

 

「あんた達も龍騎並みにバカだねぇ! あたしが無策にこの場所からお嬢ちゃん達を狙ってばかりいたと、本気で思ってたのかい!」

「! まさか……!」

 

最初からこの手の罠に嵌める為に、メアリと王蛇は動いていた。まんまとメアリの策略に嵌められてしまった事に気付いたリップルとナイト。だが、すでに罠は作動してしまっている。

 

「ほらほら、足離してみなよお嬢ちゃん! いつまでもそこに立たれちゃ迷惑千万だろうよぉ!」

「くっ……!」

 

『GUARD VENT』

 

メアリがナイトからリップルに銃口を向けたのを見て、ナイトはとっさにカードをベントインして、リップルの前に立った。『ウィングウォール』というマントの盾を装備したナイトに向かって、銃弾の嵐が降り注いだ。

 

「ナイト……!」

「ぐっ、ウゥ……!」

 

ウィングウォールによって守られているものの、1発ごとの威力の大きさ、さらにはここまで蓄積されていたダメージによる体力の低下が、ナイトに苦悶の表情を浮かび上がらせた。リップルは今、地面から右足を離すことは出来ない。離せば仕掛けられていた地雷が爆発するからだ。これが単なる対人地雷なら、身体強化された魔法少女や仮面ライダーにはさほど効果はないが、カラミティ・メアリが仕掛けた魔法の地雷となると、話は別になる。完全に防戦一方になってしまい、ただ必死にメアリの銃撃を耐え忍ぶナイト。

ようやくカチカチという音しか聞こえてこなくなった頃には、ウィングウォールからは煙が上がっており、疲労したナイトは片膝をついた。

 

「ナイト!」

「カラミティ・メアリに逆らうな」

 

すると、銃を捨てたメアリが次に四次元袋から取り出したものを見て、2人は息を呑んだ。

 

「カラミティ・メアリを煩わせるな」

 

メアリが手にしたものは、深緑色の球状で、一つ一つにピンが付いている。それが2つ。

 

「そして」

 

メアリはピンを指にかけ、外すと同時に、2人に向かって投擲した。

 

「カラミティ・メアリを、ムカつかせるな」

 

先ほども述べたが、世間一般の地雷なら致命傷とはならない。それは彼らに向かって投擲された手榴弾も同様。だが、カラミティ・メアリの魔法は『持っている武器をパワーアップできるよ』である事を忘れてはいけない。目の前からは手榴弾、足元からは地雷。逃げ場を失った2人に、爆破という一撃が迫り、そして……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スノーホワイト、ラ・ピュセル、ライアが大地を震わせるほどの爆発音を耳にしたのは、彼らがようやく国道にたどり着いた直後の事だった。

 

「な、何⁉︎」

「また爆発か……!」

 

爆破の発信源を探ろうとするスノーホワイトとラ・ピュセルだったが、あちこちで似たような事が起こっている為、見当もつかなかった。

 

「……ダメか。龍騎達と連絡が取れない」

 

マジカルフォンを使って安否を確認しようとしたライアも、肩を下ろした。3人は改めて、国道の惨状に目をやった。

 

「酷い……。何で、こんな事に……!」

「カラミティ・メアリがこの近くで待ち合わせをしていた事と言い、さっきのメールと言い、偶然起きた事故とは思えない。またよからぬ事を企んでいるとみて間違いない。……後は、九尾が巻き込まれているのかどうかだが」

「クソォ……! 一体何を考えてるんだあいつらは……!」

 

ラ・ピュセルが感情剥き出しで周囲を睨みつけていると、スノーホワイトが魔法で助けを求めている人の心の声を感知した。

 

「! みんな、こっちの方から声が!」

「よし、向かうぞ」

「あぁ!」

 

3人はスノーホワイトを先頭に、破壊された車の間をくぐって、救助に向かった。

声のした方へたどり着いた3人は、そこで2人の人影を発見した。地面に倒れていた人々を火の手が回っていない場所へと移動させていた2人は、どちらも黒一色の姿。スノーホワイトはすぐにその人物達の正体を察した。

 

「アリス、リュウガさん!」

「! スノー、ホワイト……」

「やはり来たか」

 

一方で、ラ・ピュセルは初めて見る魔法少女に目が点になった。

 

「あの子は……魔法少女、なのか?」

「そっか。そうちゃ……ラ・ピュセルは初めて会うんだったよね。この子、ハードゴア・アリスって言うの。それからアリス、彼女はラ・ピュセル。私の幼馴染みなの」

「……よろしく、お願い、します」

「あ、あぁ。それから、あなたは……」

 

と、今度はリュウガの方に顔を向けた。

 

「俺は、リュウガ。アリスのパートナーだ」

「リュウガ……。龍騎と酷似しているようだが、彼と何か関係があるのか……?」

「……さぁな」

 

ライアからの質問をはぐらかすリュウガだったが、それどころではないと思ったスノーホワイトが、4人に呼びかけた。

 

「と、とにかく! 今はみんなで協力して、取り残されてる人達を助けよう!」

「あぁ、行こう!」

「私も、ついて、いきます」

「そうだな。話は事が済んでからにしよう」

「……」

 

そしてアリス、リュウガと合流し、計5人となったメンバーは、引き続き地面に倒れている人達を運んだり、車に取り残されている人々を強引に扉を開けて引きずり出してから担ぎ上げたりと、懸命に働き続けた。だが、被害は拡大する一方で、明らかに人手不足だった。

 

「まだ、こんなにも……! どうしよう……!」

「九尾や龍騎達の方の捜索もしなきゃいけないのに、これじゃあ時間だけが過ぎて……!」

「落ち着けラ・ピュセル。とにかく今は手の届く範囲でやれる事をやるしかない」

「……九尾が、どうかしたんですか……?」

「えっ? う、うん。それが……」

 

九尾というワードを聞いて、アリスがスノーホワイトに尋ねていたその時、5人の前方に小柄な人影が空から降りてきた。片方しか翼の生えていない天使だった。

 

「あれは……ミナエル?」

「……」

 

何の前触れもなく現れたミナエルを前に、ラ・ピュセルは警戒心を強めて、大剣を持って前に出ようとした。以前、鉄塔で襲撃を受けた時の記憶がよぎり、敵とみなしているようだ。

 

「ミナエル……! 何をしに来た!」

「ま、待ってラ・ピュセル! ダメだよ! 救助を手伝ってくれようとしてるのに!」

「えっ?」

 

ラ・ピュセルは拍子抜けた声を発し、スノーホワイトはミナエルに呼びかけた。

 

「あ、あの……! あなたも、手伝いに来てくれたんだよね! だったら、一緒に困ってる人を探しに行こうよ! 今までの事は全部水に流しておいておくから、協力して」

「……そうだ、あんただよ」

 

だが、ミナエルはスノーホワイトの質問に答える気はないようだ。そればかりか、最初からスノーホワイトを見ていない。そのギラついた目線の先には、これまで散々追いかけ回していた龍騎とそっくりの人物が。

 

「私も、とんだ勘違いしてたんだね。ユナを殺したのは、本当は、あんただったんだ……! その目で、ユナを殺した……!」

「なっ……⁉︎」

 

新事実を耳にして、驚きを隠せないラ・ピュセルとライア。リュウガは何も語らない。

 

「ま、待って! 確かにこの人はあなたの妹に手を出したかもしれないけど、今はそれどころじゃ……!」

「部外者は黙っとけよ!」

 

ミナエルは罵声をスノーホワイトに浴びせて、そしてリュウガに再び目を向けると、拳を震わせ、そして。

 

「あんたは、この手でぇ……! うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「! ダメ……!」

 

スノーホワイトが呼び止めるよりも早く、ミナエルはリュウガに向かって突撃し、上昇して、リュウガめがけて急降下した。その間にミナエルの姿が変わり、斧へと変わった。

 

「死んじゃえぇ!」

 

リュウガは瞬時に両腕を前にクロスして身構えたが、斧はお構いないしリュウガの左腕に突き刺さった。装甲を貫いて、血が噴き出たのを見てスノーホワイトは悲鳴を上げた。ラ・ピュセルとライアも唖然としている。ただ、ハードゴア・アリスは動じる事なくその左腕を見ていた。

 

「……フンッ」

 

リュウガは鼻を鳴らすと、なおも深々と刺さっている斧を掴むと、勢いよく引き抜いて、地面に叩きつけた。

地面に叩きつけた衝撃で、ミナエルの変身魔法は解除され、元の姿に戻った。

 

「……こんなものが無駄だと、なぜ学習しない」

 

そう言ってリュウガは怪我をしていない右腕を使い、ドラグバイザーをスライドし、カードデッキから1枚のカードを取り出した。描かれているのは、パートナーであるハードゴア・アリスのアバター姿。それをドラグバイザーにベントインした。

 

『RECOVERY VENT』

 

すると、左腕の傷はあっという間に修復され、元通りとなった。パートナーカードである『リカバリーベント』により、如何なる怪我もすぐに治るようになったのだ。

 

「は、はぁ⁉︎」

「傷が、治った……!」

「ハードゴア・アリスの魔法か」

 

ミナエル、ラ・ピュセル、ライアが口々にそう呟く中、新たな声が聞こえてきた。

 

「……シスターナナのメールに書いてあった事、本当だったんだね」

「タイガ……!」

 

現れたのは、ミナエルのパートナーである仮面ライダー『タイガ』。

 

「ちょ、何よそれ! あんたのパートナーの魔法、えこひいきだろ!」

 

歯ぎしりしながらもリュウガを睨みつけるミナエルに対し、リュウガは新たなカードをベントインした。

 

『SWORD VENT』

 

「り、リュウガさん⁉︎ 何して……!」

「スノーホワイト、他の奴の救助は、お前達に任せる。ここは、俺が引き受ける」

 

そう言って黒いドラグセイバーを持ったリュウガが、ミナエルに斬りかかった。

 

「や、止めて2人とも! 喧嘩してる場合じゃ……!」

「ハァッ!」

 

必死に説得するスノーホワイトへ、今度はデストバイザーを構えたタイガが襲いかかるが、ハードゴア・アリスとラ・ピュセルが同時に前に出て、タイガを弾き飛ばした。タイガは起き上がりながら、カードデッキからカードを取り出す。

 

「……邪魔しないでよ。僕が英雄になる為なんだからさ」

 

『STRIKE VENT』

 

デストクローを両手に取り付けたタイガがゆっくりと歩み寄り、ラ・ピュセルが大剣を身構えるが、アリスが腕を横に伸ばして呟いた。

 

「……私が、相手に、なります」

「アリス……!」

「……スノーホワイトを、傷つけようとした。だから、倒します」

 

ハードゴア・アリスはマジカルフォンを手に持ってタップし、同じく黒いドラグセイバーを持ってタイガと交戦を始めた。

 

「リュウガさん、アリス! 私達と一緒に人助けをするんじゃ無かったの⁉︎」

 

こうしている間にも、助けを求めている声は広範囲で拡大しつつある。そんな中、頭の中に響いてくる声の中に、奇妙な言葉が聞こえてきた。

 

『困ったなぁ、どうしよう……。スイムちゃんはここに来た魔法少女や仮面ライダーを襲えって言ってたけど、事故の方に行って助けてあげた方が良いような……。でもスイムちゃんが言ってた事だし、あの子をやっつけてからガイと合流すれば、良いのかな……』

「だ、誰かいるの?」

「スノーホワイト?」

『えっ。あの子、私の事が見えてるの? そ、それは困るよ。何で見えてるの?』

 

声の主は明らかに怯えながらも近くにいるとみて間違いない。だが、姿が見えないのだ。

 

「どうしたんだスノーホワイト」

「あ、あの方向から、声が聞こえてきて……。見えてたら困るって……」

 

スノーホワイトが指さした方へ顔を向けるラ・ピュセルとライア。ラ・ピュセルが目を凝らして、一点を見つめていると、空間が僅かに揺れ動いたのをラ・ピュセルは見逃さなかった。

 

「そこにいるのは誰だ! 出てこい!」

 

ラ・ピュセルは人がいる事を確かめる為、大剣の面の部分を振り回した。

 

「ひゃあ⁉︎」

 

すると、何も無かった空間から犬耳の魔法少女が外套を羽織った状態で姿を現し、前のめりに倒れこんだ。ラ・ピュセルの大剣を避けようとしてつまづいたようだ。

 

「お前は、たま!」

「外套……。そうか、レアアイテムの透明外套を使って急襲するのが狙いだったか……!」

「あぅぅ……!」

 

どうやら背後からスノーホワイトを襲うのが狙いだったようだが、相手が悪かった。心を読まれてしまっては、姿を消していても、反応を辿ればバレてしまうのだ。

 

「何見つかってんだよ! あんたが見つかったらダメじゃん! この無能で役立たずのバカ犬!」

「うぅ……」

「ちょ、ちょっと……! そんな言い方しなくても!」

 

ミナエルの罵声を聞いて、狙われる立場だったスノーホワイトはたまを庇うようにミナエルを咎めたが、ミナエルは聞く耳を持たない。

 

「もういい! お前が使えないならあたしに寄越せよ! そんでもって、自分の力でさっさとあいつら殺してこい!」

 

そう言って透明外套をたまからひったくった後、再度リュウガと交戦した。たまはどうすればいいのか分からずオロオロしている。そんなたまへラ・ピュセルが険しい表情を見せながら大剣を突きつけた。

 

「お前も私達の邪魔をしようというのか!」

「ヒィ……!」

「あのさぁ、それこっちのセリフなんだけど」

「「「!」」」

 

不意に横手から、彼らを呼び出した張本人である、たまのパートナーのガイが姿を現した。

 

「ガイ!」

「そっちこそ邪魔しないでほしいな。折角世界一面白いゲームの真っ最中なのにさ。水を差すような事やめてよ」

「面白いゲームだと⁉︎ まさかこの騒動も、お前が引き起こしたものなのか!」

 

ラ・ピュセルの問いに対し、ガイは肩を竦めながら呟いた。

 

「さぁね。でも本格的にゲームを動かしてるのはカラミティ・メアリと王蛇ってとこかな。俺はもっと面白くしようとして、裏から手伝ってるだけ」

「どうして……!」

 

すると、スノーホワイトが声を震わせながら叫んだ。

 

「どうしてこんな酷い状況を目の前にして平気でいられるの⁉︎ あなた、仮面ライダーなんでしょ⁉︎ だったら、困ってる人を助ける為に使うべきじゃないの⁉︎」

「ハァッ?」

 

ガイは素っ頓狂な声を発し、スノーホワイトを指差しながら言った。

 

「スノーホワイトってさぁ。前から思ってたんだけど、よくそんな綺麗事ばっか口にしててここまで生き残れたよね。他人の為に力使うとかさ、バカじゃないの? そういうのって目障りなんだよね。だからさ、さっさと消えてなくなれよ。最低最悪だよ、お前みたいな奴」

「お前……!」

 

ガイの冷ややかな発言に、さすがのライアも怒りを隠せず、一歩前に出ようとするが、それを遮るように、スノーホワイトの事をよく知るラ・ピュセルが、はち切れんばかりの大声を発した。

 

「何を笑ってるんだ! 世の為人の為に、正しい魔法少女としてあるべき姿の為に力を使う事が、そんなにおかしいのか!」

 

大声で叫ばれたので、たまは怯えて耳を閉じた。だが、ガイは平然とした様子で、逆にこう反論した。

 

「あのさぁ、おたくら何か勘違いしてない? 俺達ライダーや魔法少女なわけでしょ? それにさ、今の自分達が置かれてる立場分かってる? 毎週1人脱落するか、潰し合わないと生き残れない状況よ? ゲームに参加しといて、今更何言ってるのって感じ」

「ゲーム……!」

「ま、そういうことだからさ。一人リタイア確定って事になるね。どうせリタイアするならさ、くすぶってないで完全に消えたらどう? みっともないし」

 

ガイが再びスノーホワイトを指差しながら、彼女をリタイアと罵る。それを聞いた瞬間、ラ・ピュセルの頭の中の沸点は越していた。

 

「……ライア。スノーホワイトを連れて、九尾を探しに行って」

「……えっ」

「人手が少なくなってる今、彼の助けが必要になる」

「ま、待って! ラ・ピュセルは……」

「……こいつらだけは、僕が、相手にしなきゃいけないんだ! 大丈夫、前の時みたいな失敗はしないから!」

「でも!」

「いいから行くんだ! これ以上被害を拡大させるな! ライア、頼む!」

「……分かった。無理はするなよ」

「分かってます」

「行こう、スノーホワイト。ここはラ・ピュセルに任せよう」

「……!」

 

ライアに連れられて、スノーホワイトはその場を後にした。魔法を使って、九尾の心の声を探って居場所を見つけに行ったのだ。

 

「ふぅ〜ん。ま、役者が少ないのもアレだけど、とりあえずは暇つぶし程度にやろっか」

「……この騒動も、魔法少女や仮面ライダーを一箇所に集める為の布石だったのか」

「まぁ、最近ルールを守る奴は増えたけど、面白い事一つもやらない奴がいて困ってたんだよね。ここまでやったげないと、あのリタイア確定のあいつだって、参加してくれないでしょ?」

「スノーホワイトは、お前の駒なんかじゃない! これ以上仲間を侮辱するようなら、容赦しない!」

「はいはい。御託とかどうでもいいからさ。そろそろ始めよっか。たまはどうする? 下がっててもいいよ」

「う、うん……」

 

たまは一歩下がり、ガイはカードデッキからカードを1枚取り出し、メタルバイザーにベントインする。

 

『STRIKE VENT』

 

ガイがメタルホーンを、ラ・ピュセルが大剣を構えると、爆発音が鳴り響き、それを合図にラ・ピュセルが先行した。

 

「お前みたいな奴は、仮面ライダーとして認めるものかぁ!」

「さぁて、楽しませてよ」

 

こうしてリュウガとミナエル、ハードゴア・アリスとタイガ、そしてラ・ピュセルとガイの一騎打ちが、燃え盛る国道にて始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その一方で、スノーホワイトは時折振り返りながら、ラ・ピュセル達を気にかけていた。

 

「そうちゃん……。ライアさん、本当に大丈夫なんですか?」

「俺はラ・ピュセルを信じている。あいつは自分の力で運命を変えると決意した。『自分』をよく知ったからこそ、出来る事もある。とにかく今は、九尾の捜索が優先だ。急いで彼を探そう」

「は、はい!」

 

スノーホワイトはライアと共に、九尾を探しに国道を駆け抜けた。通りかかった所で助けを求めている人達の援護も忘れずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だがこの時、スノーホワイトやライアは、九尾の捜索に夢中になり過ぎてて、大事な事を見落としていた。

ミナエル、タイガ、たま、ガイといった、同じチームのメンバーが襲いかかってきたにもかかわらず、同じチームメイトのアビスとスイムスイムが、その場に居合わせなかった事に。

 

 




今回はライダー同士、魔法少女同士というよりかは、『ライダーvs魔法少女』という組み合わせで対戦カードを組んでみました。その方が迫力あるかな、と思いまして。

さて、次回は遂に、皆さんが気になっていたあの展開が……!

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