魔法少女&仮面ライダー育成計画 〜Episode of Mirror Rider〜   作:スターダストライダー

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「鷲尾須美は勇者である」は、小説本編は読んだ事無かったけど、映画を観たら、結構良かったなぁ〜。……いつかはハーメルンでも執筆していこうかな……?(もちろんオリジナル展開、並びに生存キャラありで)

後、おかげさまで通算UAが3万を突破しました! 今後もよろしくお願いします!


71.危険なお誘い

N市の中央公園の広場に設置されている噴水は、月に一度の午後10時からライトアップが行われている。月に一度という事もあり、レア感が伴っている、というのも人気の1つだが、季節に応じて様々な変化を美しく見せる為、その日を狙って見物に来る市民は多い。

その日も噴水広場では単調なリズムで水を噴き上げて、幻想的なライトアップは、ベンチに座っていた家族やカップル達の心を和ませた。

この時、皆は噴水に夢中で気付かなかったのだろう。噴水広場の近くにある多目的ホールの屋上から、異様な姿をした8人の人影が市民達に混じって見学していた事に。その人物達は時折噴水から目線を外して、地上にいる人々に目を凝らしていた。

やがて噴水のライトアップが終了し、1人また1人と席を立ち、その場を後にする。

 

『……』

 

気がつけば、公園に残っていたのは屋上にいる8人だけ。

しばらくの間は沈黙が続いたが、やがてとんがりハットの少女がため息をつき、忍者風の少女が舌打ちを響かせたところで均衡が崩れた。

 

「……うん、まぁアレだな! 月一のライトアップも無事終了したって事で、とりあえず良かったな!」

「あぁ、そうだな! それに結構見てて楽しかったし」

「どこがだ」

 

トップスピードと龍騎の発言にナイトが冷たくあしらうと、パートナーのリップルも続けざまに、トップスピードが言っていた事を復唱する。

 

「今日は人が集まるから、揉め事の1つや2つはある」

「……あ、えぇっと」

「だから絶対、魔法少女や仮面ライダーの仕事もある」

「いや、その……。まぁアレだ! 何事もなく平和に終わったって事で良いんじゃね? 俺達魔法少女や仮面ライダーにとっては!」

「そ、そうですよね。平和が一番、ですよね」

 

隣で腰を下ろしていたスノーホワイトも、苦笑いを浮かべながらトップスピードに同意する。スノーホワイトにそう言われて、これ以上文句を言うのが面倒になったのか、

 

「……信用するんじゃ無かった」

 

とだけ呟いて、それ以降黙り込んだ。

そもそも、今回彼らがこの場にいるのも、トップスピードの自信に満ち溢れたお誘いが、事の始まりだった。人が集まる噴水のライトアップというイベントになら、人が増える分だけ仕事も増えるし、人目がある以上、他の面々から狙われる事もないはずだ、と力説をしていた。パートナーの龍騎を初め、スノーホワイトや九尾、ラ・ピュセル、ライアはすんなりと承諾し、リップルとナイトも、それならばという事で期待を寄せて現場にやってきたわけだが、その期待とは裏腹に、揉め事も厄介事も何も起こらず、気がつけば自分達以外誰もいなくなった。唯一仕事としてやってのけたのは、人が集まり始める前に空き缶や割れたガラスに、コンビニ弁当などのゴミ拾いぐらいだろうか。

 

「そういえば、今日はモンスターも出なかったね」

「言われてみればそうだな。これだけ人が集まるなら格好の的かと思ったが……」

「モンスターも気分屋なのかもな」

 

ラ・ピュセルとライアの発言に、龍騎は呑気そうに答えた。それを聞いたナイトは呆れ、リップルは舌打ちをする。結局この日は思っていたよりもキャンディーが集まる事は無かった。無論平和が一番なのは2人にも分かっていたが、今彼らに必要なのは、揉め事であり、キャンディーなのだ。今週はこのままいけば、キャンディーの少ない者が脱落する日が迫りつつあるのだ。

このままいけば、の話だが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから一同は地上に降りて、トップスピードがいつものように用意してきた料理を口にする事にした。

 

「どうだ? 今日の筑前煮の味は?」

「うん、美味い!」

「はい、とっても美味しいです!」

「俺もだ」

「……まぁ、はい」

「この筍が良いね」

 

正史、スノーホワイト、手塚、大地、ラ・ピュセルの順に料理の出来具合を述べる中、蓮二とリップルだけはいつもと同じ反応だった。

 

「……フン」

「……別に」

「相変わらず素直じゃねぇな」

「うっさい」

 

そう言うものの、トップスピード本人や2人に何かと突っかかってくる正史は苛立たしいが、トップスピードが作る料理には満足していた。事実、芯の芯まで出汁が染み込んでいる。

 

「しっかしアレだな。こんなこったら酒でも飲みながら見物してやりゃ良かったかもしれんね」

「えっ? でもトップスピードは……」

 

正史がパートナーの腹部に目をやって何かを言おうとしたが、彼女がにこやかに人差し指を立てて唇に当てたのを見て黙り込んだ。危うく彼女が抱えている秘密がバレそうになったが、お腹に子供がいる事を考えると、トップスピードのそれは不謹慎な発言でもある。

その一方で、スノーホワイト達は正史の言葉が聞こえていなかったのか、返答をしていた。

 

「あ、あの……。私はまだ未成年ですから、さすがにお酒は……」

「わーってるって。大地もそうだし、ラ・ピュセルだって同じだろ?」

 

トップスピードは大地の姿と、以前その目で直に見たラ・ピュセルの変身者、岸辺 颯太の姿を思い出して頷いた。

 

「俺はまぁ飲めるけど。手塚とか蓮二は?」

「俺は、あまり強くないからな。誘われたら多少は、という程度だ」

「俺もだ」

「ふーん。で、リップルはどうよ」

 

続いてトップスピードはリップルにも尋ねる。

 

「私も無理」

「何でさ?」

「未成年……」

「……えっ? それって魔法少女としてってわけじゃなくて、リアルガチで?」

 

リップルの一言に、本気で唖然とするトップスピード。他の面々は以前にリップルの変身者、細波 華乃の姿を目にしている為、すぐに彼女が未成年だという事は容易に想像できた。

 

「へぇ〜、見えねー! つーかリアルだといくつよ?」

「17」

「マジで? 俺、19」

「……オイ」

「そっちも酒ダメだろ」

 

もちろん今の2つのツッコミが、ナイトとリップルの口から自然に出たものだという事は言わずもがな。

 

「そっかぁ。正史と蓮二と手塚は年上だって分かってたし、大地とスノーホワイトとラ・ピュセルは年下だってのも分かってたけど、リップルは年下だったのかー。俺、タメか上だと思ってたわ」

「それでその態度は……」

 

年長者相手でも、態度や言葉遣いには気を遣わない姿を普段から見ていた大地は呆れ、リップルは舌打ちをした。

 

「ところでさ。学生諸君に聞きたいけど」

 

それからすぐに、トップスピードは話題を変えて、現役の学生生活を送っている4人に話しかけた。

 

「何ですか?」

「学校は楽しい?」

「はい。楽しいですよ」

「……ちょっと面倒ですけど、まぁ、それなりには」

「最近は足の怪我もあって部活とは疎遠になりつつあるけど、楽しくないわけじゃないよ」

「普通……」

 

スノーホワイト、大地、ラ・ピュセルがそう答える中、リップルは端的に呟く。その後もトップスピードの質問は続く。

 

「友達とは仲良くやってる?」

「はい。そうちゃんとだいちゃん以外だと、仲良しのよっちゃんやスミちゃんって子がいます」

「俺は……まぁ、いないわけじゃないです」

「僕は……。大地やスノーホワイトとはもちろんだし、学校のみんなとも仲良くやれてます」

「友達は、いない……」

「んじゃあ家族とは?」

「もちろん!」

「家の仕事を手伝ってるんで、苦労はしますけど、何とかやってけてるって感じ」

「相変わらず魔法少女好きだってバレないかが心配だけど、それ以外なら、特には」

 

スノーホワイト、大地、ラ・ピュセルの返答は割とすんなりしていたが、家族の事を聞かれた途端、リップルは空いていた手を握りしめて、憎悪を吐き散らすように呟いた。

 

「あんな奴ら、家族なんかじゃ……!」

「リップルさん?」

「っ! 何でも、ない……」

 

スノーホワイトに声をかけられたリップルはハッとして、黙々と料理を口に運んだ。里芋にもしっかりと味が染み込んでいる。

 

「(リップルさん、親と仲良くないのかな……?)」

 

スノーホワイトは、リップルの異様な反応が気になったようだ。ただ、リップルの隣にいた蓮二だけは何かを知っているのか、ジッとリップルの顔を見つめている。

 

「なるほどなー。みんなそれなりには満喫してるみたいで良かったよかった。けどアレだな。俺も17の時はリップル、お前みたいな感じだったわ」

「そうなの?」

 

正史が筑前煮を頬張りながらそう尋ねる。

 

「でも、リップルの方がマシかもな。聞かれればきちんと答えてくれる所は、俺には持って無かった。そんな素直に答えてた事なんて、記憶にも無いな」

「へぇ」

「俺もあの頃は荒れてたからなー。もっとこう、尖ったナイフみたいな感じで誰も寄せ付けなかったし。まぁ今はもう丸くなってるけど」

「今は……って。昔はそんなに悪かったんですか? とてもそんな風には見えないんですけど……」

 

今度はスノーホワイトが質問をする番だった。対するトップスピードは何故か自慢げに高校生の頃の事を話し始めた。

 

「おうよ! 何てったって俺は昔、『エンプレス』って呼ばれる暴走族のリーダーを務めてたからな!」

「ぼ、暴走族……⁉︎」

「……エンプレス? 何それ?」

 

不意にリップルが反応を示した。

 

「えっ? 知らないの? 北宿を中心に活動してた、結構有名な集団だよ? この街じゃ右に出る者はいなかったって噂が広まってたから」

「知らないし」

 

新聞記者という職業柄か、何かとそういった事情に詳しい見習いジャーナリストはここぞとばかりに説明したが、リップルは肩を竦めるばかりだった。

 

「へへっ。驚いたろ?」

「意外性がなさすぎて逆に驚いてる」

「……さいですか」

 

思った以上の反応の薄さに、トップスピードはため息をついた。

そんな中、不意にラ・ピュセルは大地がどこか上の空になりながらも、一点を強く睨みつけているのに気づいて声をかけた。

 

「大地?」

「っ。何だ」

「それはこっちのセリフ。何か考え事をしてたみたいだけど、どうしたんだ?」

「別に、お前には関係ない事だから……」

「いや、でも……」

 

ラ・ピュセルが何かを言おうとしたが、唐突にそれを遮るように、甲高い声が聞こえてきた。

 

『リップル、リップル』

「ん?」

 

皆がリップルの持つマジカルフォンに目を向けると、自動的にオンになったマジカルフォンからファヴの立体映像が浮かび上がった。ファヴはリップルだけでなく周りを見渡して、龍騎の変身者である正史がいる事に気付いた。

 

『あっ。龍騎もいるなら丁度いいぽん。2人にちょっと大事なお話があるぽん』

「俺とリップルだけに?」

 

正史が首を傾げていると、ファヴは要件を伝えた。

 

『実はさっきカラミティ・メアリからメッセージをもらって、明後日の午後19時に、中宿のホテルプリーステスで会いたいって言ってるぽん』

「カラミティ・メアリが……⁉︎」

 

ラ・ピュセルの呟きに、一同は険しい表情を浮かべる。つい先日、彼女やそのパートナーである王蛇から手痛い仕打ちを受けていたスノーホワイトは、思わず大地の腕を掴んでいた。他の面々も、彼らとは嫌な思い出しか見つからず、そんな彼女からのお誘いともなれば、すぐには首を縦に振れないのが普通だった。事実、ファヴの話を聞いたリップルは嫌そうな顔をしている。

ところが1人だけ、真逆の反応を示す者が。

 

「明後日の午後19時に、ホテルプリーステス、だな。分かった」

「城戸さん⁉︎」

 

正史は待ち合わせ場所や指定時間をメモに書き込むと、メアリからのメッセージを承諾するように呟いた。

 

「待て城戸。相手はあのカラミティ・メアリだ。罠だとは思わないのか?」

 

さすがの手塚も危機感を抱いているのか、正史に考え直すように言ったが、本人はいたって真面目な顔をして答えた。

 

「そりゃああいつらには今まで酷い目に遭ったけどさ。ひょっとしたら今までの事を謝ろうって思って俺達に会おうとしてるかもしれないだろ? それでこっちが断ったら、今度こそ向こうが改心する機会がなくなるかもしれないし」

「バカが。あいつらがそんな簡単に改心するなら、もっとこの戦いもスムーズに行ってる。いい加減人を疑う事も覚えろ」

「いちいちそんな事気にしてたら、人間やってけないし! それにほら、今回は王蛇も俺達を呼んでるわけじゃないんだろ、ファヴ?」

『ファヴやシローが把握してる内では、王蛇からの連絡は来てないぽん』

「とにかく! 俺は行くよ。話し合えば分かってくれるに決まってる。それが人間だろ?」

 

頑なに意志を曲げない正史に、手塚も説得を諦めてしまったようだ。その代わりに、ポケットから紐付きのコインを取り出し、ぶら下げてしばらくの間、コインをジッと見つめ続けていた。やがて目線をコインから外し、占い結果をため息混じりに呟いた。

 

「……正直、先が見えないな。決して良い方向とは言えないが、悪い方向ばかりではなさそうだ」

「手塚の占いでも無理か……。なら、俺もついてくよ。どの道送ってかなきゃならないし」

 

トップスピードも同伴を決め、残るはリップルの返答のみとなったが、依然としてリップルは不機嫌そうな顔をしている。

 

「……私はパス」

「いやパスって……。気持ちは分かるけどさ。でも行かなきゃ行かないでスッゲー面倒くさい事にならない?」

「嫌なものは嫌」

 

カラミティ・メアリとは因縁しかないリップルはなおも会合を拒んでいる。トップスピードはため息をついてから、こう語った。

 

「最低でも半年だけは生き延びたいっていう俺のささやかな願いが叶わない事になったとしたら、それはそれで俺にとってはすんげー嫌なんだけどな」

「……あのさぁ」

 

不意にリップルがトップスピードに顔を向けて、鋭い目つきでトップスピードを睨みつけた。

 

「良い加減なぜ半年なのか、教えてくれてもいいだろ」

「あー……」

「ま、まぁさ! ここはカラミティ・メアリの誘いにのってあげようよ! それにさ、ほら、トップスピードにだって色々事情があるかもしれないし……」

 

トップスピードだけでなく、今度は正史まではぐらかすように話を逸らす姿に、蓮二は目がついた。

「……城戸。お前何か知ってるのか、トップスピードの事で」

「えぇっと、それは……」

 

まさか蓮二に尋ねられるとは思っていなかったのか、正史がしどろもどろになっていると、ファヴが割り込んできた。

 

『ちょっとちょっと、リップル。カラミティ・メアリは大事な用事だって言ってたぽん。龍騎も行く気満々だし、同じ魔法少女として、聞いてあげてほしいぽん』

 

ファヴも説得に入り、リップルはますます不機嫌そうな顔をする。

 

「だからそんなに嫌そうな顔しないでってば」

 

トップスピードにそう指摘され、リップルは再び舌打ちをする。その一方で、蚊帳の外にいたスノーホワイトやラ・ピュセルも不安げな視線を向ける。

 

「本当に、大丈夫なんですか……?」

「確かに、相手は無法者だ。向こうは何をしでかすか分からないし……。大地からも何とか言ってくれよ」

「お、俺は……」

「大丈夫だよ。いざとなったら俺が前に出て何とかするからさ」

「何その根拠のない自信……」

 

ジト目で正史を見つめるリップルだが、その表情からして、完全に信用していないわけではなさそうだ。

 

「悪いが俺は降りるぞ。戦いが目的ならまだしも、ただの話し合いで無駄に命の危機を晒したくもない」

「俺もだ。それにこの人数で固まって現地に向かっても、向こうは警戒を強める。それこそ話し合いでは済まなくなる」

 

どうやらナイトもライアも、カラミティ・メアリとの関わりを極力避けたいようだ。

こうして話し合いの結果、ホテルプリーステスに向かうのは龍騎とリップルに加え、送迎係となったトップスピードだけとなり、後の5人は万が一に備えて待機する、という事で話は落ち着いた。

が、この話し合いの最中、大地だけは全く別の事を考えていた事に、彼らは気づいていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここでいいか?」

「うん。十分だよ。ありがとう、だいちゃん」

 

その後一同は解散し、九尾はスノーホワイトを家のそばまで送った。以前はそこまでする必要もなかったが、カラミティ・メアリと王蛇から襲撃を受けて以来、また狙われる可能性も低くないという名目のもと、パートナーが付き添う事となった。時折ラ・ピュセルとライアも手伝ってくれる。

 

「……ところでだいちゃん」

「?」

「ここ最近、ずっと何か考え事してるみたいだけど、大丈夫? 心の声が聞こえてこないし、もし自分だけで抱え込んでるなら、私が」

「平気だ。スノーホワイトには全然関係ない事だし」

「え、あ……。そ、それなら良いんだけど……」

「じゃあ、俺はこの辺で」

「う、うん。お休み、だいちゃん」

「あぁ」

 

九尾は軽く手を振り、スノーホワイトに別れを告げて、N神社の所まで高く跳躍した。自宅の屋根の上に立ったところで、九尾はポツリと呟いた。

 

「……そうだ。これは、俺がやらなきゃいけない事なんだ。小雪や、颯太や、城戸さん達が、関わっちゃいけない」

 

何かを決意したものの、また心の中で決意が揺らぎ始めている様子の九尾。九尾はマジカルフォンを取り出し、ある人物へ、メッセージを送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやっ……?」

 

山の廃屋で静かなひと時を堪能していたクラムベリーの元へ、メッセージが送られてきた。

 

「珍しいですね。まだ試験の途中なのに、このタイミングで私に連絡とは」

 

そう言いながらもマジカルフォンを手にするクラムベリー。興味なさげな表情だったクラムベリーが、メッセージの送り主を見て、眉がつり上がるまで数秒もかからなかった。

 

『前に、あんたは言ってたよな。俺には人を殺すだけの覚悟が足りないって。もし、俺がその覚悟を決めた時、俺はどんな強さを手に出来る。 九尾』

 

文面を全て読み終えたクラムベリーは、口の両端もつり上がっていた。

やはりあの日の戦闘は無駄ではなかったと、改めて確信した。ラ・ピュセルは殺せなかったものの、あの戦闘を境に、結果的に九尾を参戦派に引き込むだけの役目を果たす事は出来た。

ならば、後はもう一押し。それによって『九尾』という、現時点では候補生となり得る仮面ライダーは、より自分にとって理想の存在となる。それを育て上げた者の名として、クラムベリーやオーディンの名が刻まれるのは必然。後の記録の改ざんなど、ファヴやシローの協力があれば造作もない為、この試験が成功すれば、試験官としての今後の自分の立場もより強固なものと化す。

そしてクラムベリーは、九尾を『最強』へと踏み出す一歩として、こんな文面を送り返す。

 

『強者として、如何なるものをも寄せ付けない、絶対的な力を併せ持つ、仮面ライダーや魔法少女が本来持つべき真の力、ですよ。 クラムベリー』

 

 

 

 




余談ですが、Amazonの力も借りて、ようやく龍騎シリーズの超合金フィギュアが揃いました……! 改めて見ると、カッコいいです。

次回は、久々にあのペアが登場!

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