魔法少女&仮面ライダー育成計画 〜Episode of Mirror Rider〜   作:スターダストライダー

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ちょっと早いかもしれませんが、今後の展開の都合上、この辺りから、彼にスポットを当てていきます。

前回のあとがきで言い忘れてたのですが、ご飯を食べてる時が一番幸せですよね。私的に、『目の前に出された料理は基本残さずに食べきる』主義を持ち合わせているぐらい、私も食べる事が生きがいです。皆さんも、朝昼晩しっかり食べましょうね。


62.次に脱落するのは……

「だから、その……。ホントにゴメン! やっぱり俺、間違ってた。誰かを殺してまで生き残ろうだなんて、思っちゃいけなかった。変わっちゃいけなかったんだ。もうそんな事じゃ迷わないから!」

「まぁ、こいつがこう言ってるんだ。ここは一つ、な」

 

翌日。待ち合わせ場所に龍騎が訪れて、一昨日の件を謝罪した。トップスピードも傍らで皆に言い聞かせている。

対する皆の反応は様々だった。

 

「まだ答えは見つけ出せれていないようだが……。それでも良いと俺は思う。まだ先は長い。だから自分の運命に押し潰されるなよ、龍騎」

「私は……、全然、気にしてませんから。龍騎さん、また一緒に頑張りましょうね。だいちゃんもそう思うでしょ?」

「あ、あぁ」

「……チッ。世話の焼ける奴」

「……まぁ、また同じ事が起きれば、戦えば良いだけだしな。その時は容赦しない」

「ちょっとちょっと。2人ともさぁ、もっと素直になりなよ……」

 

トップスピードが苦笑する中、龍騎はこの日持参してきた袋の中から、タッパーを取り出してきた。

 

「でさ。これ、お詫びと言っちゃあなんだけど。作ってきたから、みんなに食べてもらおうかなって」

「? 何ですかそれ?」

 

スノーホワイトが首を傾げると、龍騎はタッパーの蓋を開ける。中には、キツネ色にこんがりと焼けた、特徴ある形の手料理が敷き詰められていた。正史と親しい九尾は、いち早くその料理名を口にした。

 

「これって、餃子……? 城戸さんの得意料理ですよね」

「そ! 前に話した事もあるんだけど、餃子に結構うるさくて。いつかは、みんなに食べさせようって決めてたんだ」

「美味しそうですね!」

「今日はトップスピードのやつだけではなく、城戸の分もか。楽しみだな」

「「……」」

 

スノーホワイトとライアが興味を示す中、ナイトとリップルは眉間に皺を寄せていた。ライダー達は変身を解き、小皿に特製醤油を盛って、箸で掴んで皆で一斉に口にした。

途端に、皆の目の色が変わったように見えた。真っ先に口を開いたのは、言わずと知れたトップスピード。

 

「! うんめぇ! これマジで最高だな! どうやって作ってんだ⁉︎」

「へへ。まぁ、昔バイトしてた時にちょっとアレンジしてね」

「本当に美味しいです!」

「久しぶりに食べましたけど、やっぱり城戸さんのやつが良いですね」

「うん、よく出来てる」

 

スノーホワイト、大地、手塚も絶賛する中、蓮二とリップルも渋々口にする。普段は不貞腐れている表情が多い2人だが、半分に残しておいた餃子に目が釘付けとなっている。

 

「どう? 結構イケるだろ?」

「……まぁ、悪くない」

「(トップスピードが作るかぼちゃの煮付けよりはマシか……)」

 

2人は無愛想な形で、正史の餃子の出来を評価した。トップスピードは高笑いし、正史と手塚、スノーホワイトも素直になれていない2人を見てニヤニヤしていた。ただ、大地だけは黙々と餃子を口にしており、しばらく食べ進めたところで、ようやく口を開いた。

 

「颯太も気にいるだろうな、これ」

「そっか。そうだよね」

 

スノーホワイトも相槌を打つと、正史もそれに続く。

 

「うん。今から持ってっちゃうと冷めちゃうから、今度また作って持っていこっか。退院したら、その祝いに」

「イイじゃん! 絶対気にいるぜ、お前の料理なら!」

「……? (前より親しくなってる……)」

 

リップルは、普段以上のスキンシップを正史にとっている事に僅かながら疑問を抱いたが、考えるだけ無駄かと思い、すぐに忘れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば、颯太君っていつ退院するの?」

「こないだ向こうでそうちゃんの家族と会ったんですけど、来週ぐらいになるかと……。最近はリハビリも始めてるそうです」

「相変わらず気分は優れないみたいですけどね」

「そっか。元気になって戻ってきてくれるといいなぁ〜」

 

食事の後、この日のキャンディー集めを終えた一同は、再び待ち合わせ場所に戻って雑談を始めた。

 

「だが奴にとって親しいメンバーを、この数週間で4人も亡くしている。精神的にも堪えるだろ」

「俺もそう思っている。占ってみたが、まだ彼の心中は大きな葛藤で揺れ動いている。一度また出向いて様子を見ようとは思っているが……」

 

ナイトとライアがそう話すと、龍騎はおもむろに立ち上がった。

 

「大丈夫! 俺、信じてるから。ラ・ピュセルは必ず戻ってくるってさ!」

「……どこからそんな自信が湧いてくる」

「それは……。何となくだよ!」

 

それに……、と龍騎はどこか改まった雰囲気でこう話した。

 

「俺、まだちゃんとした答えは出せれないけど。漠然とだけ決めた事はある。俺達8人は、絶対に最後まで生き残るように、とりあえず頑張るって事! それで、誰かと戦っちゃう事になったとしても、もう逃げないって事は、決めたんだ」

「おぉ! 良いこと言うじゃん! 俺も賛成するぜ!」

 

トップスピードが俄然やる気になって叫ぶ中、リップルは軽く舌打ちし、ナイトは肩を竦めた。

そんな中、ライアはジッと龍騎やトップスピードを見つめていたので、その視線が気になった2人は声をかけた。

 

「? どうかした、ライア?」

「何かついてるか?」

「いや。……憑き物が落ちたように見えてな。それだけ、大きな試練を乗り越えた証拠だ。今のお前達は、特に龍騎は、運命を変える何かを握っているように見える」

「そっかなぁ? 俺は全然感じてないけど」

「おう。俺も」

「まぁ、本人には気づかないものさ。今のナイトも、随分と変わったものだ。俺とコンビを組んでた時は、まずそんな態度を見せなかった」

「……フン」

 

唐突に話を振られたナイトはそっぽを向く。すると、今まで口を開いていなかったスノーホワイトがこう言った。

 

「そういえば、ライアさんって、前はナイトさんの教育係を務めてたって」

「え、そうなの⁉︎」

 

始めて聞く事実に、龍騎は思わず目が点になる。

 

「あぁ。偶々活動拠点が近い事もあってな。シローの頼みでナイトの教育担当をした。だが、彼の性格を見ても分かる通り、ほとんど会話が成り立っていなかった。時折占って、その運勢を教えても、頑として聞き入れなかった。それで、自然解消されていったのさ」

「アレは、お前に何でも見透かされるのが嫌だったからだ。あの頃は特にな」

 

そう呟くナイトは、首元に目を向けていた。その時龍騎がふと思い出したのは、香川の葬式が行われている最中に、喧嘩になって蓮二が首からぶら下げていたペンダントを、誤って引きちぎってしまい、中身を見てしまった事だった。あの写真に写っていたのは、ぶっきらぼうな蓮二とは対称的に、ハキハキとした、蓮二より歳下の女性。恐らく彼が生き残ろうとする事に関係がありそうだが、未だに全貌は見えてこない。

今度機会があれば、多少強引でも聞き出してみよう。そう決めている龍騎を余所に、ナイトは淡々と語っていた。

 

「ただ、今となってはもううんざりするほど慣れた。お前が何を言おうと、気にしないぐらいにはなったつもりだ」

「……そうか。お前も、変わったな」

「言っておくが、この戦いから降りないという意志は変えないぞ。戦いはまだ続いている。気を抜いたら、それで一瞬だ」

 

ナイトは念を押すように呟く。それはリップルも同様らしく、小さく隣で頷いていた。

ライダーや魔法少女同士の戦いは、まだ続いている。改めて目の前の現実を認識したスノーホワイトは内心震え上がる中、ライアも、さも分かっていたかのように、懐からマッチの箱を取り出しながら、静かに呟く。何かを占うようだ。

 

「……ラ・ピュセルの一件で分かってはいたが、中々運命は変えにくいな。特に、こういう戦いの運命は」

 

そう言ってマッチに火をつけようとするが、右手を使わず、地面に置いてやろうとしているので、やりづらそうだった。それを見て、龍騎は一昨年の戦闘で、龍騎の暴走を止めようとした際に彼の右手をドラグセイバーで傷つけてしまった事を思い出して、上から押さえつけて箱を固定させた。

 

「悪いな。手伝ってもらって」

「良いって。元は俺がしでかした事なんだし」

 

マッチで擦り、火がつくと皆に見せるようにかざした。他の一同も食い入るように見つめている。スノーホワイトが質問をした。

 

「あの……? 何を占ってるんですか?」

「次に消える者を、占いでな」

 

ライアが占っているのは、次の脱落者のようだ。

次の脱落者。その単語を聞いて、スノーホワイトや九尾、龍騎、トップスピードは息を呑む。

 

「戦いは続く。次に脱落するのは……」

 

ライアがそう呟いた後、沈黙が辺りを支配する。

しばらくして、ライアが僅かに体を揺らすと同時に火が消えた。何かを知って、動揺しているようだ。そして彼は、一瞬だけある人物に目をやった。が、すぐに視線を火の消えたマッチに戻す。

 

「お、おい。どうだった……」

「次に、消えるのは……」

「消えるのは……?」

「……」

 

だが、ライアは何も言わない。ただジッと、煙を見つめている。

 

「な、何だよ。もったいぶってないで言えよ。結構怖いんだよ、お前の占いってさぁ」

 

トップスピードが待ちきれなくてせがむ中、ライアはマッチを握りしめて、皆に背を向ける。

そして彼は口にする。次に、抗えぬ運命に身を委ねる事になる、その人物を……。

その名は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次に消えるのは……、……『俺』だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空気が凍りつくというのは、まさにこの事だろう。九尾の、スノーホワイトの、龍騎の、トップスピードの、ナイトの、リップルの驚きに満ちた視線が、はっきりとライアに向けられる。

一難去ってまた一難。月明かりの下では、突きつけられた定めによって、暗雲が立ち込み始めていた……。

 

 

 




大事な事なので、2回言います。

『一難去ってまた一難』となる展開でした。

さぁ、ライアは運命を変える事が出来るのか⁉︎ 皆さん、応援してやってくださいね!

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