魔法少女&仮面ライダー育成計画 〜Episode of Mirror Rider〜   作:スターダストライダー

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初めての方は初めまして! スターダストライダーです!

今回からまた新たなクロスオーバー作品を投稿していきます!「魔法少女育成計画」の小説を、最近アニメ化する事を知って読んでみてとても良かったので、よく似ている仮面ライダー龍騎と合わせてみたくて書こうと思いました。

基本的にバッドエンドは苦手な方なので、そこはご了承ください。

それでは、不定期更新ではありますが、どうぞ!


プロローグ

 

 

榊原(さかきばら) 大地(だいち)は、とにかく毎日が退屈で仕方なかった。

 

「……行ってきま〜す」

 

両親に聞こえてるかも分からないぐらい低い声で、実家兼N市の観光スポットでもある「N神社」を後にした大地は、誰ともなしにため息をついてからいつも(・・・)のように石段を降り始めた。

石段を降りて、一本道路を渡った先にバス停があり、大地はいつも(・・・)のように時間に余裕を持って列に並んだ。そしていつも(・・・)の時間に大量の人が乗ったバスが来て、それに乗り、いつも(・・・)のように席に座れず、吊り革に掴まって揺れるバスの車内で立ちながら窓の外に広がるいつも(・・・)通りの景色を眺めていた。

大地が住んでいるN市は、4年ほど前に大合併した事で、近辺では最大規模の港湾都市に生まれ変わった。それに伴い、市役所を筆頭に何とも奇抜なデザインの建物が乱立するビル群や、寂れたままの山間部の村落、最新の医療機器を完備している病院、倒産して放置されたままの工場などが同居する事になり、他方からも注目の目が集まった。

しかしそれも過去の話。今となっては、大地にとっては何ら変わりようのない、歪な都市としか思えなかった。

 

 

 

 

 

 

……いつも通り過ぎる。

 

 

 

 

 

 

 

大地は外の景色に見飽きて、スマホを取り出した。起動しようとした時、すぐ近くからこんな会話が聞こえてきた。

 

「これさ、ホントにあった話だと思う?」

「何々……。……魔法少女?」

「何となく、帽子被った人に見えない?」

 

何となく耳に入ったその言葉につられて、声のした方を振り返ると、3人の女子中学生が会話しており、そのうちの真ん中に立っていた1人がスマホの画面を他の2人に見せていた。偶然にも大地が立っている位置からもその画像が確認出来た。

そこに写っていたのは、長いつばのついた帽子を被り、箒にまたがって空を飛んでいるという、何ともファンタジー感溢れる画像だった。魔法少女というよりかは、西洋の魔女にも見えなくない。

 

「小雪はどう思う?」

「えっ?」

 

不意にスマホを見せていた少女が、その隣にいた、大人しそうな少女に質問した。小雪と呼ばれた、前髪にリボンをつけた少女は少し画像を凝視した後、苦笑いしながら首を横に振った。

 

「う〜ん……。魔法少女じゃないと思うよ。どっちかっていうと魔女みたいだし」

 

偶然にも、小雪と呼ばれた少女も大地と同じ考えをしていたらしい。何となく大地は3人から目が離せなくなった。そんな視線に気づくことなく、今度は中央にいた少女が別の画像を見せた。

 

「ほら、見てみて。まとめサイトまであるよ。魔法少女だけじゃなくて、仮面ライダーも」

「えっ? 仮面ライダーって、あの……?」

 

2人だけでなく、大地も気になって覗き込んだ。そこにはこんな記事が掲載されていた。

 

『箒に乗った少女が高速道路でスピードの出し過ぎを注意していた』

『トラックに轢かれそうになった子供を、突然現れた女騎士が素手でトラックを押し止めた』

『犬耳の少女がナンパされていた女性を助けた』

『エイみたいな武器をつけた仮面の戦士が、溝に引っかかっていたボールを取ってくれた』

『黒いマントの騎士が、ひったくり犯を捕まえてくれた』

『ガンマンスタイルの女性と紫色の仮面の戦士が、大陸系マフィアを壊滅させた』

 

「……何これ? 怪物と戦うならまだしも、何で魔法少女や仮面ライダーがマフィアと戦うのよ? それだったらこっちの方がまだ信憑性あるっぽくない?」

 

そう言って別の少女が指さした記事は、『鏡から出てきた化け物に襲われそうになったところを、緑色のメカニックな戦士が追い払ってくれた』という内容のものだった。

 

「まぁね。でもどっちにしたって目撃情報がこんなにあるって凄くない?」

「現場にいた人が投稿したなら、臨場感あり過ぎっしょ? 第一マフィアが投稿なんてする?」

 

全くもってその通りだ、と大地は心の中で同情した。いわゆる外道集団と呼ばれる奴らが、自ら恥を晒すとは思えない。

 

「よっちゃん、いっつもそうやってあたしの話否定して……。でも本当にいたら面白いじゃん、魔法少女に仮面ライダー!」

 

スマホを持つ少女が興奮気味に呟いているのを呆れながら聞いていた大地だが、そこにこんな言葉が聞こえてきた。

 

「よっちゃんもスミレちゃんも違うよ。本当に魔法少女や仮面ライダーがいても、そんな事する訳ないんだってば」

「「……は?」」

「(……は?)」

 

2人だけでなく、大地もポカーンとしていた。小雪と呼ばれた少女は目をキラキラさせながら語り始めた。

 

「魔法少女や仮面ライダーは正義の味方で、どんな時でも困ってる人を助けてくれるんだから!」

 

しばらく3人……もとい4人だけの空間で沈黙が流れていたが、スミレと呼ばれた少女が先に合掌しながら口を開いた。

 

「夢のあるご意見をいただき大変ありがとうございまーす」

「……ふぇ?」

「小雪はさぁ。何ていうか、夢見るよね。妄想ギリギリぐらいの」

「(夢の見過ぎだろ……)」

 

大地は心の中でそうツッコンだ。すると、よっちゃんと呼ばれた少女が納得した表情を浮かべた。

 

「あそっか。あんたこういうの好きだったんだ?」

「まぁ、嫌いじゃないけどね……」

 

小雪と呼ばれた少女は照れ笑いを浮かべながらそう言った。どうやら本当に魔法少女が大好きみたいだ。

すると、よっちゃんと呼ばれた少女が思い出したかのように自分のスマホを取り出してあるサイトを見せた。

 

「あ、そうそう。これだけどさ。さっき言ってたアレじゃない?」

 

そう言って見せた画面には2つのリンクサイトがある。1つは『魔法少女育成計画』で、もう1つは『仮面ライダー育成計画』というタイトルのアプリだった。それを見た大地は、特に『仮面ライダー育成計画』の文字を見た瞬間、ドキッとしてしまった。彼にとってそのアプリは無関係では無かったからだ。因みに小雪と呼ばれた少女も『魔法少女育成計画』の文字を見て、顔が紅くなっていたが、誰もそれに気づかない。

スミレと呼ばれた少女は訝しげにそのサイトを見つめた。

 

「魔法少女育成計画に、仮面ライダー育成計画?」

「聞いた事ない? 結構流行ってるよ。この2つのゲームって、同じスポンサーがついてるって事で、しょっちゅうコラボしてるみたいでさ。」

「へぇ……」

「これの宣伝で、ゲームの会社がでっち上げてるとかさ」

「なら、小雪もやってるんじゃないの?」

 

スミレと呼ばれた少女は小雪と呼ばれた少女に問いかけた。対する小雪と呼ばれた少女は恥ずかしがりながら言った。

 

「まぁ、偶には……」

「……やってるんだ」

 

スミレと呼ばれた少女は若干ドン引きしているようだ。

 

「課金も無いし、絵も綺麗だし、遊ぶと結構面白くて……」

「あ、もしかして小雪。あの噂信じてるんじゃない?」

「噂?」

 

スミレと呼ばれた少女だけでなく、大地も気になって耳に意識を集中した。

 

「マホ育で遊んでると、何万人かに1人、魔法少女になれるんだって」

「えぇ⁉︎ 何それ、おかしいよね色々」

「(……何だよそれ。魔法少女になれるって……)」

 

大地も思わず耳を疑うような話を聞いて、驚きを通り越して呆れていた。

 

「だからさ。仮面ライダーの方はあたしも疎いから分かんないけど、目撃情報にある魔法少女って、その噂と連動してる、みたいな」

「そっか〜。大人の世界は汚いなぁ〜。……で、小雪は信じてるの?」

 

スミレと呼ばれた少女がやれやれといった表情を浮かべながら、小雪と呼ばれた少女に再び問いかけた。

 

「! し、信じてる訳無いじゃ……!」

 

ビクッとしながら否定したのを見て、大地は今までの言動から見て、彼女の言葉が嘘であると悟った。とその時、バスが大きく揺れて、小雪と呼ばれた少女がバランスを崩して後ろに倒れかけた。

 

「わわっ⁉︎」

「小雪⁉︎」

 

が、彼女が倒れるよりも先に、大地が片手で背中に手をやって支えた。

そこでようやく大地と、小雪と呼ばれた少女が初めて目を合わせる事となった。小雪と呼ばれた少女が驚いたような表情を見せているのに対し、大地は無表情で見つめている。

 

「あ、あの! ありがとう、ございます……!」

「……魔法少女が好きなのは良いけどよ。自分の事も気をつけろよ」

「……⁉︎」

 

会話を聞かれていた事を知った彼女は、恥ずかしさが頂点に達したのか、顔をこれでもかというほど紅くして、背を向けた。それからもう一度振り返って小さく頭を下げた。大地は特にリアクションを取る事は無く、それ以上介入しない事にした。

やがてバス停にたどり着き、3人の少女はそこが目的地だったらしく、会話しながら降車した。それからバスが発進すると、小雪と呼ばれた少女が顔を上げて大地と目を合わせた。大地も不思議と目が離せず、遠く離れるまで互いに見つめ合っていた。

 

「(……変な奴)」

 

小雪と呼ばれた少女が見えなくなった事で、大地はそう思いながら再び外の景色に目線を上げた。

 

「(……けど、何でだろうな。あいつ、どっかで見た事あるような……)」

 

大地の心の中でそんな疑問が解けぬまま、バスは一定速度で道路を走っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、小雪と呼ばれた少女も先ほどまで自分が乗っていたバスを、しばらくの間見つめていた。思い起こされるのは、先ほど転倒しそうになった自分を助けてくれた少年の顔。

 

「(……何でかな? そうちゃん以外、仲良しだった男の子はいなかったはずだけど、初めて会った気がしない……)」

「小雪〜? 急がないと遅れるよ〜」

「あ、うん! 今行く!」

 

小雪と呼ばれた少女は、解けぬ疑問をそのままにして、2人の後を追いかけていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、彼らはまだ知らない。この何気ない出会いが、その後の2人の運命を大きく左右するきっかけになる事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、次に彼らが出会うのは、異端の世界で繰り広げられていた戦場である事も。

 

 




というわけで、最初はプロローグということでこれ位にしておきたいと思います。いかがでしたでしょうか?

「俺ツイ」や「まどマギ×ゴースト」の方もなるべく遅れずに投稿していくので、合わせてそちらもよろしくお願いします。

それでは、これからも「魔法少女&仮面ライダー育成計画」をよろしくお願いします!

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