魔法少女&仮面ライダー育成計画 〜Episode of Mirror Rider〜   作:スターダストライダー

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仮面ライダーリバイスでは、遂にさくらも仮面ライダー『ジャンヌ』となり、3人兄妹で仮面ライダーになるという、今までとは一風変わった展開になってきましたね。後、OPがカッコいい!

話は変わりますが、今回はオーディンの過去と、この試験の真の目的が明らかとなります。


137.魔法少女とは 仮面ライダーとは

榊原大地が奇跡の復活を遂げて、しばらくの間、余韻に浸る一同。

しかし、悠長に喜んでばかりもいられない。周辺からは、街の異常事態をかぎつけてサイレンが近づいているのが分かる。じきにこの辺りも警察らで溢れかえるに違いない。被害は甚大だが、ここから先は魔法少女や仮面ライダーが介入してしまったら、騒ぎが大きくなるのは間違いない。

後の事を警察達に任せるとして、一同は、魔法少女ユイから全てを聞き出すべく、場所を変える事に。

やって来たのは現場から遠く離れた、船賀山のとある一角。以前、クラムベリーとオーディンが隠れ蓑にしていた山小屋の事を思い出した龍騎の提案で、人目につかないその場所を、話し合いの場にしたのだ。

入ってみると、クラムベリーの死後、オーディンもほとんど使っていなかったのか、微かに埃が机の上に溜まっていた。とはいえこの場所で実の兄が生活していたとあっては、ユイも部屋の真ん中で立ち尽くし、瞳を閉じてしばらく黙り込んでいた。時折、涙を拭う素振りも見せており、よほど慕っていたのだと痛感させられる。

しばらくして、ナイトに声をかけられたユイは、トップスピードに手伝ってもらいながら、小屋の中にあった菓子と温かい紅茶を勝手ながら拝借して、机の上に並べた。準備が整った所で、先ずは皆無言のまま、温かい飲み物を口につける。人間、命懸けの戦いが終わった後の一杯は心が癒されるのか、ホッと一息つく者がちらほら見えた。変身を解いた大地も、少し前まで冷たかった体が一気に温まるのを感じとった。

 

「……さて、何から話しましょうか」

「全部だ。それ以外に何がある」

 

一息ついた所で、蓮二が返す刀でそう発言する。

 

「なら先ずは、君とオーディンの関係性について、だな。改めて聞くが、君がオーディンの妹というのは間違いないのか?」

『事実だ。それは私が保証しよう』

 

手塚の問いに答えたのは、彼女ではなく、テーブルに置かれていた魔法の国特製の端末だった。そこから立体映像で浮かび上がった茶色の鳥を見るが早いか、ピリピリした空気が部屋に広まった。

 

「シロー……。やはりお前も、最初から俺達をハメる為に、仮面ライダーに仕立て上げたようだな」

「シロー……!お前……!」

「その点については、私が知り得る情報と照らし合わせて問い詰めましょう。私もシローとは少しながら縁がありますので」

 

蓮二と正史を遮るように、ユイは話を元に戻す。

 

「私の一族は、魔法の国と深い関わりがあり、生まれた時から特別な力……皆さんに分かりやすく例えるなら、魔法を携えていました。私達一族は、魔法の国と人間界が共存できる架け橋を担い、才能を持つ人間をスカウトし、発展する為の役割をもって、尽くしてきました。私と兄も、その1人として、幼い時から英才教育を受けてきました」

 

お菓子に手をつける事なく、淡々とそう話すユイの口調は、次第に明るくなっているように思えた。

 

「……信じられないかもしれませんが、兄は本当は優しい人なんです。毎日お絵描きをして、友達を作る事もできない代わりに、他愛もない会話を交えながら、真っ白な画用紙に、外の世界がどんなものなのか、想像を膨らませて、それを色とりどりに描き出していく時間は、私達にはかけがけのないものだった。おやつも兄の方がいつも多かったのですが、それを察した兄がこっそり均等になるようにしてくれたり、私が泣いている時も、いつも励ましてくれて、喧嘩した時も、すぐに向こうから謝ってくれたり……。言い出せば、キリがないかもしれません」

 

それを聞いた大地は、どことなく行方不明になった自分の兄の事を思い浮かべていた。思い返せば、自分も小学校に上がるまで、颯太に出会うまで、友達と呼べる者はいなかった。そんな時、そばにいてくれたのは兄だった。優しさの塊のような人だった。

 

「でも、そんな人が、どうして……」

 

だからこそ疑問も当然浮かび上がるわけで。ハードゴア・アリスがそう尋ねると、ユイの表情が引き締まる。

 

「……兄が変わったきっかけは、やはり、あの選抜試験だったのでしょう」

「!」

「ラ・ピュセル?」

「……その様子ですと、あなたは既にご存知のようですね」

「……あぁ。クラムベリーと戦った時、話してくれたよ。自分が本当の自分に目覚めた時だって、笑いながら話してた」

 

ラ・ピュセル以外の面々は、その事故の事など知る由もない。だが、彼女はその全てを知っている。それを語る為にこの地にやってきたと言っても過言ではない。

 

「一定の年齢になると、魔法の国の住人に選ばれる為の試験を受け、それに合格した者が、晴れて本物の魔法少女、仮面ライダーになれる。兄もその習わしに従い、訓練を重ねた結果、ようやくその試験を受ける事ができた。……あの時、最後に見た兄の後ろ姿は、今でも忘れられません。嫌な予感がして、強引にでも兄を説得出来ていれば……」

「……一体、何があったの」

『そう難しい事ではない。その選抜試験で、他にもいた魔法少女が生み出した悪魔が暴走し、20人近くいた候補生が皆殺しにされた。それだけの事だ』

「……ッ!」

 

淡々と言ってのけるシローだが、聞かされた側としては気分の悪くなる話だ。続けてユイが、事件後に独自に調べたと思われる内容を話し始めた。

 

「兄が受けた選抜試験の最中、地下室の中で候補生の1人が悪魔を召喚しました。しかし術者自身が未熟だった事もあってか、すぐに暴走を始めたそうです。……結果、召喚者や候補生、更には悪魔を止めようとした試験官は全て、原型を留めない状態で、遺体となって発見されたそうです。生き残ったのは、兄ともう1人、同じ試験に参加していたクラムベリーだけだった」

 

気がつけば、先ほどまで菓子に手を伸ばしていたトップスピードも、食欲が失せていた。紅茶から漂う湯気も、段々と消えかけている。

更にシローから放たれた一言は、皆を驚かせるものだった。

 

『因みに、その試験の監督役を担っていたのがファヴだったのだ』

「⁉︎何だと……!」

『ファヴは元々、万が一に備えて事故の発生を防ぐ為のチェック機能として働くはずだった。が、ファヴはその職務の一切を放棄した』

「その結果、オーディンとクラムベリーを除く全員が見殺しにされた……!つまりはそういう事なんだな」

 

そう呟く手塚の声は若干震えていた。冷静沈着な彼といえど、事の原因があの白黒のマスコットキャラクターにあったと知って、怒りを隠しきれないのだろう。

 

『黒猫などの、従来の型に当てはまるような、オーソドックスな使い魔に比べ、私やファヴのような、足元にある管理者用端末を使ったデスクワークに定評のある電子妖精型の使い魔は、魔法の国では重宝されている。だからこそ、私が所属していた「監査部門」でも、そのシステムが採用されていた。とりわけ、事務仕事を嫌がる風潮のある、魔法の国の「人材発掘部」では、我々のようなタイプを使い魔として用いる職員が8割を占めている。ファヴは、その人材発掘部の中でも古参の使い魔だった。古参ではあったが、先ほども述べた通り、職務に対する情熱は皆無だ。元々は持ち合わせていたのか、最初から持っていなかったのか、それは私にも分からないが、言ってみれば、不良品のようなものだったのだろう』

 

試験に倦み、マスターに飽き、惰性だけで仕事を続ける。それがファヴの本性なのだ。シローはそう語った。

 

『奴にとってあの事故は、決まりきった試験を吹き飛ばすイレギュラーな事態として、一種の着火剤だったのだろう。興奮したあいつは、暴走した悪魔を倒した2人を……とりわけ魔法少女の方に興味を持ったのだろう。上層部には、「2人の体力、精神共に異常なし」とでっちあげる事で、彼女を次のパートナーに迎え入れた。私もファヴの紹介を受けて、晴れてオーディンのパートナーとなった。彼の理想には、私も共感し得る所があったからな』

「共感……?」

『……私は、人間に興味があった。人間はこの地球上に生息する数多の生物の中でも、感情を持ち、自ら考え、行動する。その思考は時として我々のようなデータ生命体の予測を遥かに超える。その一方で、人間は長い歴史の中で、数多くの過ちを犯した。環境破壊に、人間同士の差別。それらを生み出す人間達に、魔法などといった非科学的な力を与えた時、魔法の国を始め、この世界にどれだけの害を成すのか、とても気になった。そこで新たにパートナーとなったオーディンと話し合い、我々は決めたのだ』

「決めた……?」

『人間が本当に価値のある生物なのか。そして極限の領域に達した時、人間の内に秘めた本性を知りたい。そうして執り行われたのが、今回君達が選ばれた、魔法少女、仮面ライダーの「人材育成計画」なのだ』

 

人材育成計画。

初めて耳にした言葉に、息を呑む一同。

シロー曰く、新たな魔法少女や仮面ライダーを魔法の国に迎え入れるべく、使い魔であるファヴとシローのマスターとなったクラムベリー、オーディンの監督の下、N市を舞台に、試験が執り行われる事が正式に受理された事が、全ての始まりだった。

便宜上、選抜試験を行い、成績の上位者が魔法の国に迎え入れられて、そこで本当の魔法少女、仮面ライダーと認定される。その裁定はマスターによって差異はあるが、基本的に選ばれるのは、何十人もいる候補生の中で、1人か2人しか出ないとされている。これは、人間が魔法の国に干渉しすぎないように、最低限の人員に、魔法の力を受け取り、非日常を歩むか否かを自由に選んでもらう為の措置だそうだ。

 

「!ちょっと待てよ……!じゃあ場合によっちゃ、お前らが8人まで絞ったとしても、そこから更にまた数を減らす事も出来たって事か⁉︎」

『無論だ。最も、オーディンは街中にモンスターを解き放つ事で、候補生を疲弊させ、あわよくばそこで犠牲になってもらう形で数を減らそうとしたようだが』

 

改めて、シロー達の企てた計画に憤りを覚える一同。

 

『選抜方法は、マスターによって異なる。ある者は、普通に良い事ばかりを行い、その業績に伴って合否を決める。またある者は、こちらが用意した敵キャラと戦ってもらい、成績優秀者を決める。何れにせよ、その采配は、マスターに決定権がある』

「じゃあ、今回の試験は……」

『現代社会では、ソーシャルゲームが普及している事を知った我々は、それを組み込む事で候補生を選抜した。巷では課金が一般的とされているが、それではごく僅かしか絞り込めない。多彩な人材を見つける為に、敢えて無課金を軸としたゲームとして、日本に普及させた。結果、人選にはさほど時間は掛からなかったし、中高生を中心に、小学生や弁護士、大学教授、更には犯罪者と、幅広いジャンルの候補生を見出す事に成功した。……王蛇のように、こちらから手を加える事もあったがな」

「!端末を所持しているとは思えないはずの浅倉がライダーになったのは、お前達の手引きがあったからなのか……!」

「くっ……!」

 

とりわけ、自分にとって親しい者に手をかけられた事のある手塚とトップスピードは、やるせない気持ちで一杯だった。

束の間、スノーホワイトがハッとなってシローに問い詰めた。

 

「!じゃあ、ねむりんは……!ルーラもインペラーも、まさかあなた達が……!」

『通常の試験では、勇気、知恵、人格などと魔法に関係ないものなど、我々にとってはどうでも良い要素に重きを置いて選ばれた者達が本物となり、脱落となった者は記憶を書き換える形で元の生活に戻される』

「……は?」

 

さすがの正史も、シローの言葉に違和感を覚えたようだ。

当初はマジカルキャンディーが最も少ない者から順に脱落していく方式が運用されていた。シザースの遺体が見つかり、ラ・ピュセルが殺されかけ、オルタナティブがベルデに殺された辺りから、明確なサバイバルゲームが展開されたと思い込んでいた彼らだが、シローの話が本当なら、シザースより前に脱落した3人は……。

 

「まさか、あいつらが死んだのも、全部……!」

『ルーラの場合は違うが、他の2人に関しては、おおよそ君達の見解で間違いない。命がかかっているとなれば、生き残る為に人間の本性が曝け出され、堕とし合いが始まる。現に、ガイもこのシステムを知った事で、本格的に試験に乗り気になったのだから、彼の発言は、我々としては予定調和そのものだった』

「何で……!何でそんな事を……!」

『候補者達が命をかけて戦い、最も強い者が生き残る。そのシステムを採用する事で、人間としての一線を超えた、新たなステージに到達する存在を創り上げる。それが、クラムベリーとオーディンが打ち出した方針だ』

 

最もあの2人の場合、興に乗り過ぎて生き残った者まで殺してしまう事が多々あったがな、とシローはため息をつくような動作を見せるが、聞かされている側は、納得のいかない事ばかりだ。

 

『ファヴもよく言っていたよ。性善説に則った「魔法の国」の方針はチョロい。勝者の記憶をいじって都合の良いものにし、不都合な事が露見しないように努力を惜しまず、その結果、我々の選抜試験では優秀な輩が輩出されたとして、かえって評判が良くなった、とな。有能な使い手は、即座に魔法の国の即戦力として扱われ、杓子定規の試験で無能を引き入れる試験官に比べれば、我々の方が立派な愛国主義者だと胸を張れる事にも繋がる』

「……チッ!胸糞悪い……!」

 

リップルは包み隠さず、舌打ちと共にありのままの心情を吐露する。裏でそんな事が行われているなど気づかなかったとはいえ、ここに至るまで幾多の犠牲が出たのだから、それに関わった者達からすれば、たまったものではない。

 

「……ちょっと待てよ。じゃあ……、キャンディー集めってのは一体……」

『無論、今回の試験においては、殺伐とした展開に導くだけの、単なる数値に過ぎない。当然、この土地の魔力を介して作られたものではないのだよ。勿論魔法を素に作り上げたものだから、万に一つ魔法の国にこの試験が露見されかけたとしても、魔法の国で生成されたものを使っていると分かれば、我々の信頼が揺らぐ事もなくなる。……まさか、九尾復活の要因として使われる事になるとは、こちらも予想していなかったがな』

 

大地が反応に戸惑う中、トップスピードが拳をテーブルに打ち付け、水滴がポロポロと滴り落ち始めた。

 

「んだよそれ……!じゃあオレのダチだった、ルーラは……!オレを庇ってくれた、たまは……!母親として、背負うべき背中を見せてくれた、メアリ姐さんは……!何だって、死ななきゃ、ならなかったんだよぉ……!」

 

嗚咽が激しくなるトップスピードの背中をさする正史。正史自身、元恋人であった美華や、旧友の銀斗が利用され、そして死んだ事を思うと、胸が痛くなる。

大地も、スノーホワイトも、ラ・ピュセルも拳を強く握っていた。恩師が殺された時、大切な事を教えてくれた人が突然いなくなった時の喪失感、何も知らずに遺された遺族が背負う悲しみ。それらを果たして、目の前にいるマスコットキャラクターは、理解できるのだろうか……?

手塚はゾッとした。もし雄一が自殺する事なく、あのゲームを続けていたら、彼が仮面ライダーとなり、自分の知らない所で彼はなぶり殺しにされていたのかもしれない、と。

 

『……しかし、私としては大変興味深い結果だった』

「黙れ……!それ以上私達を煽るようなら、この場で消す……!」

 

リップルがクナイを片手に立ちあがろうとする。が、シローは止めなかった。

 

『正直に言うと、私は今回の結果は、互いに殺し合い、相討ちとなって終わるものだとばかり思い込んでいた。人間の本質を考慮すれば、互いに自滅の道を歩むものだと考えていた。……だが、結果は違った。本来、戦闘欲に刺激を植え付ける為に導入したパートナーシステムを介して、仲間を守る事に使ったお前達を見て、自然と、私が予想していたものとは違う結果が見られるのではないか、と期待するまでに至った。そして今日、お前達は運命に抗った結果を見せてくれた。あのオーディンが、最強と認める者が現れたのだからな。……やはり、人間とは計り知れないものを持ち合わせている。ファヴは刺激欲しさに戦いを加速させていたが、私は先程も述べたように、人間の本質を知る事を目的としていた。どうやら私も、まだまだ世の理を理解できていた訳ではなかったようだ』

 

皆の視線を一身に請け負った上で、その鳥はこう語った。

 

『この戦いに勝敗をつけるべきだとすれば……。……認めよう。我々の「負け」だ。極限の中で戦い抜いてきたお前達の生き様は、私の想像を遥かに超えていた。煮るなり焼くなり、好きにすれば良い。どの道私の役目はこれで終わりなのだからな』

『……』

 

シローの敗北宣言に面食らいつつも、複雑な心中の者達。そこへ、先ほどから黙り込んでいたユイが口を開いた。

 

「……シローの処遇については、今後、魔法の国と協議して、適切な罰を受けるべきだと思います。勿論、私の事も含めて」

「⁉︎どういう事……⁉︎」

「今回の件、本来なら一族を代表して、私が兄を止めていれば、ここまでの騒ぎにはならなかった。全ての責任は、私にあります。魔法の国もそう判断する筈です。ファヴの管理用端末が消された以上、魔法の国は間も無く特使を派遣して、調査に乗り出すでしょう。そうなれば、今回の事を皆さんに打ち明ける機会もなかった筈です。こうして面と向かいあい、真実を明かせるのも、これが最後になるでしょう」

「そんな……。ユイさんは何も悪くないのに……」

 

スノーホワイトはそう言うが、ユイは首を横に振るばかり。彼女なりに責任を感じている事が伺える。そして同時に、オーディンやクラムベリーもまた、魔法の国の使い魔の我儘によって、運命を翻弄された犠牲者の1人なのだと実感する。

 

「……それと、今後の事になりますが」

 

不意に話は変わり、ユイの口から語られたのは、生き残った者達の進路に関するものだった。

 

「今回の件は、魔法の国にとってもイレギュラーな事態と見られると思います。謝罪は勿論の事、あなた方は正式な魔法少女、仮面ライダーに認定されるのは、まず間違いありません。その際、魔法少女や仮面ライダーを辞めるという選択肢も提示されるでしょう。勿論、今度は命ではなく、記憶から消される、という形で……。その上で、あなた方にお伺いします。人智を超えた力を得て、互いに殺し合い、生き残ったあなた方は……、それでもまだ……」

 

そこで一旦息を吸い、ひと段落置いてから、確認の言葉を投げかける。

 

「それでもまだ、あなた方は魔法少女を、仮面ライダーを、続けようと思いますか?」

 

数秒の沈黙。

結果、その場では決められないとなり、一同は一旦解散する事に。ユイとシローに見送られ、山小屋を後にする一同。

去り際、九尾に変身した大地が、シローに向けてこんな事を述べた。

 

「……言っておくが、俺はお前を赦したつもりはねぇぞ、シロー」

『……』

「……けどまぁ、退屈だった日常を変えるきっかけを作ってくれた事だけは、礼を言わせてもらうぜ。……本当にそれだけだからな」

 

それだけ告げると、ユイに軽く手を振って、その場から跳び去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして彼らは考えた。

 

両親と共に神社の経営を手伝いながら。

机に伏して、鞄にぶら下げてある魔法少女のキーホルダーを突きながら。

自室でコソコソと、魔法少女アニメを見返しながら。

刑務所に留置されている父親に会いに行く道中で。

N市で起きた大規模な事故の取材に追われながら。

自室で、膨れたお腹に気をつけながら、入院の準備をしつつ、遺影代わりの写真に写る男性を見つめながら。

路上で、立ち寄った通行人を占いながら。

バイト先の喫茶店で忙しく手を動かしながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして後日。ユイの言った通り、魔法の国から特使が派遣された。

彼らは9人に平謝りし、正式に魔法少女、仮面ライダーとして認め、「魔法の国」名誉住人という、異例の高待遇としての資格を与えられるか、魔法に関する一切の記憶を消去し、元の暮らしに戻るか。その選択肢が出された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして。

 

各々が出した答えとは……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




若干駆け足になりましたが、これにて、『魔法少女&仮面ライダー育成計画』本編は、終了となります。
とは言っても、まだ終わりではありません。この後の予定としては、番外編を前後に分けて投稿し、最後にエピローグを出して、そこで本当の完結となります。

そこで唐突なお願いではありますが、ここまで投稿された全137話の中で、どの回が印象に残ったか、どの話が良かったか、ご意見ご感想を書くついでに、教えていただけますでしょうか?皆さんのコメントを参考に、今後の執筆活動に活かしていければと思いますので。
因みに個人的に力を入れていたのは、125話「友を守る為に 驚愕の結末」です。

では、皆様からのコメント、お待ちしております。

P.S大地の兄と蓮二の妹については、番外編で少しだけ触れるかも……?

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