魔法少女&仮面ライダー育成計画 〜Episode of Mirror Rider〜   作:スターダストライダー

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今回は割とほんわかしてる回です。


9.チャット会に参加しよう!

「ふぅ〜……」

 

長く感じた宿題を終え、腕を伸ばす大地。時計に目をやると、間も無く小雪と約束していた時間を迎えようとしていた。

 

「そろそろか」

 

大地は勉強机から離れ、ベッドに横になってからマジカルフォンを起動し、チャットルームへと入室した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

画面には、ゲーム内で設定されていたアバターがそっくりそのまま映っており、入り口と思わしき門の前に立っていた。そんな九尾を歓迎するかのように、周辺には様々な魔法少女や仮面ライダーがいた。

 

トップスピード:『お、きたきた!』

ねむりん:『こんばんはぁ〜』

シザース:『噂をすれば、ですね』

 

「結構いるな……」

 

大地が画面を見てそう呟いていると、九尾の隣に、スノーホワイトが出現し、遅れて20秒後に龍騎のアバターが並び立った。どうやらたった今入室したようだ。

 

ファム:『あら。丁度3人揃ったわね』

シスターナナ:『この方々が、噂の新人さん達ですね』

龍騎:『良かった〜。遅れちゃったかと思った』

トップスピード:『大丈夫だって! あたしら最初からもう少しここにいるつもりだったし』

ナイト:『……帰ってもいいか?』

トップスピード:『ダメに決まってんだろ⁉︎ 折角新人が挨拶に来たんだから、それに応えるのが先輩ってもんだろ』

ライア:『そうだぞ、ナイト』

 

ライアと呼ばれるアバターがコメントしてから、しばらくナイトからのメッセージは無かった。頃合いとみたのか、スノーホワイトが挨拶をした。

 

スノーホワイト:『あ、あの! 初めまして! スノーホワイトと言います! その、よろしくお願いします!』

トップスピード:『そんなに緊張しなくたって平気平気!』

龍騎:『俺、龍騎です!』

 

スノーホワイトと龍騎が自己紹介したので、大地も仮面ライダーとしての名前を入力する。

 

九尾:『九尾です。よろしくお願いします』

トップスピード:『んじゃあこっちからも自己紹介だな。龍騎と九尾はもう知ってるだろうけど、俺はトップスピード! よろしくな!』

スノーホワイト:『あれ? 2人はもう会ってるんですか?』

 

スノーホワイトから疑問の声があがるのも無理はない。昨日、大地や颯太の通う学校に現れたモンスターの襲撃を2人や龍騎に加えて、トップスピードが乱入して解決してくれたのだ。その事を龍騎は説明した。

 

龍騎『うん。昨日一緒に戦ってたから』

スノーホワイト:『そうだったんですか』

トップスピード:『それから、この2人が昨日話してたナイトとリップルだ!』

リップル:『……どうも』

ナイト:『……どうも』

 

忍者風の魔法少女リップルと、コウモリをモチーフにした仮面ライダーナイトの2人は全く同じコメントを返した。どうやら人と関わるのは苦手なタイプのようだ。大地がそう解釈している間にも自己紹介が続いた。次にコメントしたのはパジャマ姿の魔法少女だった。

 

ねむりん:『ねむりんで〜す』

シザース:『私はシザースです。どうぞよろしく』

 

ねむりんの次は、蟹をモチーフにした黄色い仮面ライダー『シザース』がそうコメントした。

 

シスターナナ:『私は、シスターナナと申します』

ウインタープリズン:『ヴェス・ウィンタープリズンだ』

 

その名の通り、背徳感の強いシスター姿の魔法少女『シスターナナ』と、長いマフラーやコートを着込んだボーイッシュな魔法少女『ヴェス・ウィンタープリズン』が挨拶をすると、すぐ近くにいた、コオロギをモチーフにした黒いライダーと白鳥をモチーフにした白いライダーの2人がそれに続いて挨拶した。

 

オルタナティブ:『オルタナティブです。以後お見知り置きを』

ファム:『ファムよ。よろしくね』

 

「(このファムってライダー。ひょっとして女か……?)」

 

表示されたコメントの口調を見て、大地はそう感じた。考えても見れば、颯太のように男が魔法少女になっているのだから、女が仮面ライダーになるのも不思議ではない。もっとも、女が仮面ライダーになるのはまだしっくりくるが、男が魔法少女になるというのは、いざ真剣に考えてみると、若干違和感がある……。

とはいえ親友がそのような姿になっていたところで関係を改める必要は無いと大地は考え直し、再び画面に目を向けた。

 

ラ・ピュセル:『ラ・ピュセルだ! 歓迎するよ!』

 

騎士らしく堂々としているラ・ピュセルのその挨拶は、スノーホワイトに向けたものだろう。

 

ライア:『俺はライアだ。よろしく』

 

その次に、ラ・ピュセルの隣にいた、エイをモチーフにしたピンク色の仮面ライダー『ライア』だった。

 

アビス:『私はアビス。よろしく』

 

鮫をモチーフにした青いライダーの『アビス』がそう紹介すると、小高い丘の上でバイオリンを弾いている、エルフのような魔法少女が挨拶した。

 

クラムベリー:『私は、森の音楽家クラムベリー。そしてこちらが』

 

クラムベリーに続いて、不死鳥をモチーフにした、黄金色の仮面ライダーが腕組みをしながら律儀に答えた。

 

オーディン:『オーディンだ。ようこそチャットルームへ』

龍騎『結構いるんだな〜。でも、これで全員なの? シローの話じゃ、もっといっぱいいるって聞いてたけど』

シスターナナ:『そうですね。少し前まではそれなりにいたんですけど、ちょうどあなた方と入れ替わりになったんです』

オルタナティブ:『とは言っても、普段はこれほど集まる事はありませんからね』

ラ・ピュセル:『さっきまでは、君達の話をしてたからね』

九尾:『俺達の?』

 

大地は気になってそうコメントした。すると早速返事が返ってきた。

 

ねむりん:『そうだよ〜。3人とも凄いもんね〜』

トップスピード:『魔法少女とか仮面ライダーになって、まだ1週間も経ってないのにな』

ファム:『今週の成績の上位は、あなた達3人が占めてるものね』

シザース:『そうですね。私がなった当初でもここまでマジカルキャンディーが手に入る事はありませんでした』

スノーホワイト:『成績……? トップ……?』

 

スノーホワイト同様、大地もファムの言葉が気になっていた。すると、そんな疑問を解決するように、クラムベリーが解説した。

 

クラムベリー:『成績順位は、マジカルフォンで確認できます』

オーディン:『因みに、一位はスノーホワイト、二位は九尾、三位は龍騎という順になっている』

龍騎:『へぇ〜! 凄いなスノーホワイト!』

スノーホワイト:『そんな。恐縮です。私、人助けぐらいしか取り柄が無いから』

 

スノーホワイトが照れたように呟いた。思えばスノーホワイトは、九尾と出会う前からかなりの数の人助けをし、その度にマジカルキャンディーをゲットしていた。九尾が二位になれたのも、彼女のサポートがあっての事だった。

 

シスターナナ:『まだ分からない事だらけでしょうけど、先輩方に色々と教えていただくと良いですよ』

九尾:『ありがとうございます』

スノーホワイト:『ありがとうございます!』

龍騎:『ありがとう!』

 

そこからは、主にトップスピードによる面白おかしい体験談の語りだけが続いた。シスターナナはそれに相槌を打ちながら時折自身の体験談を語り、そこにウィンタープリズンやオルタナティブ、ファムがちょくちょくコメントを入れたりしていた。ねむりんは単に聞いてる方が面白いからなのか、聞き役に徹しており、シザースやアビス、そしてオーディンも偶にコメントするだけで、彼らもねむりん同様聞き役に徹していた。クラムベリーは部屋の隅でバイオリンを使ってBGMを流している。

 

「(話し、長……)」

 

その一方で、大地は段々とトップスピードの長話に飽きてきていた。適当にコメントを書き込むのも面倒になり、そろそろ退室しようかと思っていると、スノーホワイトが突破口(?)を開いてくれた。

 

スノーホワイト:『あ、あの。もう夜遅いですから、そろそろ退室しても良いですか?』

ライア:『そうだな。明日も色々と忙しいだろうから、もう寝た方が良い』

 

スノーホワイトのコメントを見て、大地はふと、壁に掛けてある時計に目をやった。確かに両方の針は頂点を指そうとしていた。いつの間にか数時間経っていたようだ。

 

ラ・ピュセル:『あ、ちょっと待って。退室する前に伝えたい事がある。スノーホワイト、担当地域が隣という事もあるんだけど、君の教育係を引き受ける事になったんだ。改めてよろしく』

スノーホワイト:『はい。よろしくお願いします!』

トップスピード:『おっと! 俺からも伝えておかなきゃな。龍騎。昨日シローやファヴと相談して、俺が教育係になったから、よろしくな!』

龍騎『あぁ。よろしく!』

 

スノーホワイト、龍騎の担当が決まったという事は、必然的に九尾の担当も決まっているはずだ。そう思った九尾に話しかけてきたのはライアだった。どうやら彼が教育係になるようだ。

 

ライア:『九尾。君の教育係は俺が担当する事になる。これからも長い付き合いになるから、よろしく』

九尾:『はい』

スノーホワイト:『それじゃあ、お休みなさい』

龍騎:『それじゃあまた!』

シスターナナ:『はい。お休みなさい』

ウィンタープリズン:『良い夢を』

ねむりん:『お休み〜』

トップスピード:『じゃあな!』

 

チャットルームを退室した後、大地は一息ついて天井を見上げた。随分個性的なメンバーばかりだったな、と、チャットでのやり取りを思い返していた。シローの話によれば、仮面ライダーと魔法少女は合わせて31人いる事になる。つまり、今回のチャットでは会わなかった者達もいるのだ。あまり多いと窮屈だなと思いつつも、その後、脳裏に浮かんだのは、2人の人物の事だった。

 

「(あのナイトとリップルって奴は、結局あれから一言もコメントしてなかったな)」

 

大地の思う通り、最初の挨拶以降、ナイトとリップルは自発的に喋る事は無かった。雰囲気も似ているが、かなり前から知り合っているようにも感じられた。

そう思っていると、マジカルフォンから音が鳴った。メッセージを受信したようだ。開いてみると、相手はライアだった。

 

[明日の22:00に、倶辺ヶ浜海水浴場近くの大きな鉄塔で待ち合わせしよう。ラ・ピュセルもそこで待っている]

 

ライアが待ち合わせ場所に選んだのは、昨晩ラ・ピュセルと話し合った鉄塔だった。ラ・ピュセルも来るという事は、彼女に指導してもらう事になっているスノーホワイトも当然現れる。

明日の晩に集まるメンバーの中で、ライアと直に会うのは初めてになる。チャットではそれほど悪い印象は見られなかったが、どんな人物なのだろうか。そんな疑問を抱きながら、大地は眠りについた。

 

 




4話のスイムスイム、なんかメッチャ怖かった……。

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