魔法少女&仮面ライダー育成計画 〜Episode of Mirror Rider〜   作:スターダストライダー

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大変長らくお待たせしました。

実家への引っ越し等も落ち着いて、投稿が再開出来るわけですが、気がつけば明日で1年が終わってしまう事に……。
何としてでも、来年には完結させたいので、応援よろしくお願いいたします。

今回は、相当エグいラストになっております。残酷描写に注意するのはもちろん、出来るだけ辛辣なコメントは控えていただきますよう、よろしくお願いいたします。


125.友を守る為に 驚愕の結末

坂凪(さかなぎ) 綾名(あやな)、7歳。市内の小学校に通う、お嬢様感を醸し出した、物静かな1年生。それが彼女の、表向きの肩書きだ。

家は、裕福とまではいかないが、決して貧乏ではない。それは住んでいる土地の広さを見れば分かる。育ちの良さもあってか、何でも卒なくこなし、周りの人達からの評価は高い方だ。その為か、小学生であるにもかかわらず、自分専用のスマホを持つ事も許可された。

そんな彼女が憧れているもの。それは『お姫様』一択だ。小さい頃、母に読んでもらった童話に出てくるお姫様に見惚れ、そんな人に仕える事が、彼女の目標となった。

そんなある日、スマホに表示された画面の中に、『アバターとコスチュームの組み合わせで、殺人鬼にもレースクイーンにも陶芸家にもお姫様にもなる事が出来る!』と書かれていた広告を発見し、これを見た綾名は、無課金という言葉に惹かれつつ、一も二もなく、そのゲームをダウンロードした。言わずと知れた、『魔法少女育成計画』だ。

しかし実際のところ、彼女は初期アバターから一切コスチューム等を変更する事はなかった。彼女の中で『お姫様=白』という認識が強く、結果として白い部分が一番多かったという理由で、スク水のような衣装となった。それでも、パーティー全体に防御アップの特殊効果をつけたり、常時バフを意識した設定にするなど、ゲームの流れを考慮したカスタマイズには念を入れていたようだが。

そんなある日、彼女の目の前に、マスコットキャラクターであるファヴが登場し、小難しい事を口にしてるなと思いつつ、画面をタップし続けた結果、彼女はゲームのアバターと同じ身なりの魔法少女『スイムスイム』へと変身を遂げた。

ファヴの説明によれば、彼女の魔法は『どんなものにも水みたいに潜れるよ』というものらしく、水泳を習っていた彼女は、早速色々な場所に潜って性能を確かめてみた。流石に山の中を潜っていた時は深く潜りすぎて、息継ぎが出来なくなりかけたが……。その為、本来の目的である『人助け』とは無縁の生活を送っていたのだが、『ルーラ』と呼ばれる魔法少女との出会いで、彼女の運命は大きく変わった。自分が理想としているお姫様に限りなく近い容姿の彼女を一目見て、迷う事なく彼女に付き従っていこうと決め、ルーラからの勧誘もあっさり受け入れた。既にルーラの傘下に入っていた、たまやガイといった面々とはそこまで話し合う事は無かった。ただ1人、『ルーラ(お姫様)』の命令に一言一句従い、行動していく事に、満足していた。

そんな彼女の価値観を変えたのは、やはり夢の中で、パジャマ姿の魔法少女に言われた、この一言ではないだろうか。

 

『お姫様に仕えるんじゃなくて、あなたがお姫様になるのはダメかな?』

 

ルーラのようなお姫様になる事を夢見ていた少女にとって、その一言は考えさせられるものだった。

ルーラこそがお姫様であり、お姫様こそが正義の塊。ルーラは強く、賢く、可愛らしく、リーダーシップに溢れていた。そんなルーラを目指そうとしたのだが、何よりも厄介な存在だったのが他でもない、ルーラと呼ばれている魔法少女そのものだった。ルーラが2人いては、ルーラとは成り得ない。誰よりも彼女に憧れ、尊敬し、それを形にする為には、ルーラを殺さなければならなかった。

純粋無垢な小学1年生の決断は、それほど遅くはなかった。試行錯誤したものの、結果としてルーラを脱落させ、更にはパートナーとなったアビスのサポートもあって、その後のリーダーを引き継いだベルデをも殺害し、ようやく彼女はリーダーの座に君臨した。

しかし、現実はそう上手くいかない。ある者は仲間に裏切られて死に、またある者は英雄になる事を夢見て死に、またある者は知らず知らずの内に死に、またある者は正体を知られた為、掟を守る為にその手で殺し、気がつけば、自分の周りには誰もいなくなっていた。

ルーラなら、全員を生き残らせた上で、この戦いを終わらせる事が出来たのだろうか。その問いに答える者は、もう、誰もいない……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何、これ……!」

 

外から雨が激しく屋根を叩く音が室内に響く中、小雪は声を上ずらせる。彼女の手には、マジカルフォンが握られており、画面に表示されたメッセージの内容に、衝撃を受けていた。

自室の中で何かする事もなく、ふと何気無く開いたメッセージ欄。そこに記されていたのは、スイムスイムに向けて送られていたメッセージの履歴だった。今日の日付で、夕方にルーラをそちらに返却する為に、ダムで待ち合わせしたい、といった内容。

当然ながら、小雪はそんな文言を打った覚えもないし、あの魔法少女に武器を返そうなどと考えた事もない。いつ書いたかなどは分からないが、マジカルフォンによるやり取りの履歴は、ファヴ達の許可なくして削除出来ない、とファヴから説明されていた事を考えると、誰かが自分の持つ端末を使ってメッセージを書いて送ったと考えるのが筋だ。

 

「……あ」

 

思い当たる節は、あった。

昨晩、スイムスイムからまたルーラの返却を執拗にねだってきた際、リップルが自然な動きで自身のマジカルフォンを取って、何やら操作をしていた。当人からは、ルーラを自分のマジカルフォンに移したと話され、それで無理やり納得させられていたのだが、もしかしたらその時に、武器の移動とは別に、『なりすまし』によってスイムスイムを誘い出したのではないか、と。

あのリップルが素直にルーラを返すとは思えない。ならば目的は一つしか考えられない。

 

「スイムスイムを、倒す為に……!」

 

反射的に立ち上がり、叫ぶ。

 

「変身!」

 

窓を開けたスノーホワイトは、床を蹴って、豪雨の中を突き進んだ。道中で他の面々に連絡を入れて、リップルを止めるようにお願いしつつ、自分は先行して現場に向かう事を伝えた。これで少なくとも、九尾やラ・ピュセルは駆けつけてくれるだろう。

スノーホワイトは、ただひたすら前だけを向いて、屋根を駆け抜ける。頭の中にはリップルの事しかなかった。理由は2つだ。

1つは、リップルの安否だ。確かに今のスイムスイムは激レアアイテムである通称『ルーラ』を失っているが、同胞を何人も殺しているのも事実だ。つまりは実力も込みで、人を殺す事に手慣れている。対照的にリップルは、強力なアイテムもあり、実力こそスイムスイムに引けを取らないかもしれないが、先日、あのカラミティ・メアリをトップスピードと2人がかりで倒したばかりだ。決して殺し慣れているわけではない。そんな彼女が1人でスイムスイムを倒しにいくのは、無謀のように思えてくる。最悪、返り討ちに遭ってもおかしくない。

そしてもう1つの理由が、リップルにこれ以上、罪を背負わせない事だった。

 

〜ただ一つだけ、自分にとって大切なものを最後まで守り通す為だったら、私はその『人殺し』でも構わない〜

 

脳裏に、クラムベリーからの襲撃を受けて、負傷して彼女の家に運ばれた際、人間の姿で面と向き合った時に交わした言葉が蘇る。

彼女にとって守りたいものは、今回ならばスノーホワイトに置き換えられるだろう。スイムスイムに狙われていると分かった以上、その脅威をいち早く片付けるべく、彼女は戦場に自らの意思で出向いた。自分を『人殺し』と自嘲して。

 

〜私は、あなたのような魔法少女に憧れていた〜

 

「そんなの、ダメだよ……!」

 

下唇を噛み締めるスノーホワイト。

これ以上、自分1人の為に、他の誰かに重荷を背負わせたくない。罪を重ねてはいけない。これ以上命を奪ってしまえば、きっともう、後戻り出来なくなるから。例え本人がそれを望んでいたとしても、だ。

 

「リップルは……! 魔法少女だよ……!」

 

全速力で駆け抜けるスノーホワイト。これ以上、自分の周りから魔法少女を失わさせはしない。果たして彼女は、間に合う事が出来るのだろうか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァッ、ハァッ……!」

 

爆音が鳴り止み、片膝をついたナイトはサバイブ状態から元のフォームに。同じく肩で息をしていたリップルも同様に、サバイブが解ける。

目線の先に、スク水姿の魔法少女が横たわっている。側にいた契約モンスター達は、ナイトサバイブのファイナルベントで跡形もなく消し飛んだようだ。が、魔法少女である彼女だけはまだ生きているようだ。それが証拠に、僅かに体が上下に動いている。

至近距離でカラミティ・メアリ特製のスタングレネードを使った為に、直撃したスイムスイムのみならず、近場にいたナイト、リップル、そして両腕を切り取られたハードゴア・アリスも、少なからずその影響を受けている。雨音が聞こえず、耳鳴りも酷く、足が震えている。

それでも、リップルはすぐに我に返り、一旦右腕で、左目から出た血を拭い取り、殺すべき対象をしっかり位置確認した後、ゆっくりと前へ進む。マジカルフォンを取り出すと、ルーラを持ち、その刃先をスイムスイムに向ける。彼女にとって慣れ親しんできた武器でトドメを刺す。それがせめてもの慈悲だ、というメッセージを込めて、敢えてルーラを使うようだ。

 

「終わらせる……! この、手で……!」

 

フラつきながらも、ようやく殺すべき魔法少女の前に立てたリップル。ナイト、アリスは何も言わない。ここで彼女を止めてしまっては、ここまで戦ってきた意味がない。

ルーラを振り上げる。魔法を行使するだけの力は残っていないのか、抵抗する素振りを見せない。ならば後は、心臓に突き刺せばそれで生命を断ち切れる。

……が、目一杯振り上げた直後、スイムスイムは光に包まれた。変身が解かれるようだ。そして光は徐々に失われ、その中が露わとなる。刹那、リップルは思考が停止した。他の2人も同様だ。

そこに、スイムスイムはいなかった。魔法少女ではなく、人間の、それも自分達よりずっと歳下……小学1年生くらいの少女が、そこに倒れこんでいた。

スイムスイムの変身前の姿か。片目だけで見えた光景に、思わず動きを止めてしまうリップル。あれだけ自分達を苦しめ、他の魔法少女や仮面ライダーを殺してきた魔法少女が、こんなにも幼いとは。躊躇してしまうのも、無理はないだろう。心が乱れ、そのまま振り下ろす事が出来なくなった。

だがその一瞬。僅か10秒間の躊躇いは、綾名の意識が回復する為の時間を作ってしまう。

 

「……変身!」

 

小さく、素早くその言葉を発すると、バッ!と起き上がると同時に、リップルのみぞおちに肘を曲げて打ち込む。

不意の一撃で酸素が吐き出され、意識が飛びかけるリップル。背中から、近場にあった街灯に叩きつけられ、腕に力が入らなくなり、右手に持っていたルーラが宙を舞い、少し離れたところに音を立てて地面に叩きつけられた。

リップルの手元から離れたのは、それだけではない。懐にしまってあった一本のクナイが零れ落ち、追い詰めたリップルの首元を締め上げながら、そのクナイを拾い、先端を無防備な忍者に向ける。ナイトとアリスが助けようとするが、足に力が入らず、前へ進めない。

 

「屈服、しないなら……! 部下には、出来ない……! ルーラなら、絶対、こうする……!」

「アァッ……! ガハッ……!」

 

首を絞められている状態では抵抗する力も出ないのか、リップルは呻くばかり。

 

「リップル……さん……!」

「やめろォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッ!」

 

ナイトの悲痛な叫びも、スタングレネードの影響で聞こえてこない。

そして。

お姫様は忍者に向けて、クナイを振るい……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤黒い液体が、街灯を、地面を、染め上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜.ゴメン、トップスピード……! 約束、守れなかった……〜

 

『死』を覚悟した少女は、不意に首元が緩み、息が出来るようになった事に疑問を浮かべ、そして目の前の光景を確認する。

えっ、と思わず息を詰まらせるリップル。ナイトとアリスも、目の前で起きている事に思考を停止する。

リップルの体は、生ぬるさが残る血で汚れていた。しかしそれは、リップルの体から流れ出たものではない。

えっ、と次に声を上げたのは、スイムスイムだった。口から血が溢れ出ている。上半身が焼けるように熱い。不意に顔を下に向けると、彼女の豊満な胸の谷間が見える。その間から、銀色に光る、鋭く尖ったものが、彼女の背中を貫いているのが確認できた。

 

「ルー……ラ……?」

 

スイムスイムは、自身の体を貫く、慣れ親しんだ武器の名を呟く。その上半身から流れ出た血が、リップルを、そして地面を赤く染め上げる。

何故、リップルの手元から離れたはずのルーラが、スイムスイムを貫いているのか……? 当然だが、魔法を行使する余裕がなかったリップルには、手元から離れた武器をコントロールする力はない。かといって、ナイトやアリスも、武器を手に取る時間さえなかった。

 

「ルー……、ラ……!」

 

クナイを落とし、震える両手で、その刃先に触れるスイムスイム。その表情は、どことなく恍惚なものに見えた。ようやく、ルーラが戻ってきた。そればかりか、ルーラと一心同体になれた。血が流れ、意識が薄れながらも、スイムスイムは愛おしそうに刃先を握る。

不意に人の気配を感じた彼女は、ゆっくりと顔を、後方に向ける。誰かいる。その人物の顔を認識した直後、崩れるように、前のめりに膝を曲げて倒れこんでいく。その際、リップルや後方にいた2人は、ようやくそこに誰かが立っている事を認識した。

刹那。リップルは自分の眼に映る光景が信じられなかった。片目でしか見れなくなった今でも、そこに見える人物が誰なのか、ハッキリと認識できてしまう。否定したくても、認めたくなくても、だ。

雨風に晒されながら立っていた人物。それは……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

肩で息をし。

 

学生服や頭の花飾りを、返り血で真っ赤に染め上げ。

 

いかにも棒状のものを握っていたかのような体勢で。

 

両目から、雨か涙か分からない、透明な液体を流している……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

憧れの魔法少女……『白雪姫(スノーホワイト)』が、確かに、そこにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雨の音が、緑地帯を支配する。背中から刺し貫かれたスイムスイムの全身が再び光に包まれ、元の小学生の姿に戻る。ただし今度は、その小さな体を中心に血の海が形成されていき、二度と起き上がる事はない。

スイムスイムは、死んだ。そして誰が彼女に手をかけたのか。その答えは、明白だ。

 

「そん、な……!」

 

彼女だけは、その手を汚してほしくなかった。この、血で血を拭いあう戦いには、関わってほしくなかった。死ぬはずだった自分を救ってくれた彼女だけには、こんな事をしてほしくなかった。両膝をついた黒服の魔法少女は、開いた口が塞がらない様子だ。

 

「……っ」

 

その近くにいたコウモリの仮面ライダーは、僅かに俯く。戦いの渦中にいる以上、こうなる事は頭の片隅で分かっていたはずなのに、いざ目の当たりにすると、やるせない感情が湧き出てくる。イメージがつかなかったから、尚更だ。

 

「……んで」

 

そして。

顔についていた返り血は雨で流され、視界も少しずつ戻りかけてきた忍者の声は、震えていた。思考回路もままならない。

信じられなかった。人一倍優しく、どの魔法少女よりも、魔法少女らしく謳歌してきたはずの彼女が、その手で同じ魔法少女を貫き刺した事が。

怒りが湧いてきた。自分の手で決着をつけようと躍起になったにもかかわらず、最後の最後で油断し、殺されかけ、そして彼女に『罪』を背負わせてしまった自分が、猛烈に許せなくなった。

 

「何で……! どう、して……!」

 

自分への問いかけのつもりが、彼女には自分への問いかけに聞こえたのだろう。ビクつきながらも、全身を震わせ、そして血に染まった両手を見つめる。

 

「守り、た、かった……!」

「……!」

「守られる、んじゃない……! 守りたい……! そう思って、ここまで、来たの……!」

 

なのに。

木々を転々とし、ようやくリップル達の姿が見えた時、スイムスイムに首を絞められる彼女の姿が見えた時、自分でも驚くほど俊敏に、気づかれない位置から着地して走り出し、落ちていたルーラを拾い、前に突き出し、そして……。

目線を下げて、大きな薙刀が深々と幼女に突き刺さり、伏している光景に今一度目を向け、両手で頭を掻き毟る。手についた血が、ピンク色の髪の毛を赤く染める。

 

「私が……! 私が、やった……! 私は、もう……! 魔法少女じゃ、いられな」

 

不意に、正面から抱きしめられる感覚がスノーホワイトを包み込む。濃い血の匂いが鼻に付く。布の柔らかさが、濡れた肌に張り付く。

 

「やめて……! それ以上、言わないで……! 全部、私が悪いんだ……! スノーホワイト……! あなたにこんな、苦しい事をさせてしまった……! ごめん……! 本当に、ごめんなさい……!」

 

頬を伝う涙を止める事なく、リップルは力強く抱きしめ、スノーホワイトを説得する。

言いたい事がもっとあるはずなのに、言葉に出来ないスノーホワイト。

 

「……っ、アッ……! 私、は……!」

 

そこが我慢の限界だった。

雨に負けないほど、腹の底から声を出し、枯れるほどにまで、嗚咽を辺りに響かせた。リップルを抱きしめ返し、彼女もそれに抵抗する事なく、抱きしめ返した。

程なくして、九尾、ラ・ピュセル、ライア、トップスピード、龍騎といった面子が到着。各々の反応は様々だった。

龍騎とトップスピードは、負傷しているナイトとアリスを介抱しつつ、事切れている少女を見て息を呑み、幼い命が戦いの果てに散った事を受け止め、互いに慰めるように肩を寄せ合った。

ライアは全体を見通して、状況を理解した後、何も言わずに見守る事に。

ラ・ピュセルは泣き崩れるスノーホワイトを目の当たりにし、彼女がやった事が信じられないのか、リップルと同じ表情を浮かべる。

そして九尾は……。

 

「……」

 

スノーホワイトとリップルの側に寄り、無言のまま、血のついたスノーホワイトの頭を撫でるだけに留まった。

その日の雨は、スノーホワイトが泣き止むまで続き、止む頃には、赤い跡はほとんど洗い流されていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪中間報告 その17≫

 

【スイムスイム(坂凪 綾名)、死亡】

 

【残り、魔法少女6名、仮面ライダー6名、計12名】

 

 




……というわけで、魔法少女アニメにおける禁忌に手を伸ばしてしまった作者でありました。

色々考えたのですが、『仮面ライダービルド』でも、戦兎が青羽を殺してますし、一応こういう展開でもアリなのかな……? と思ってます。最低の考えかもしれませんが、やはりスノーホワイトにも戦いの過酷さというものを知ってもらいたくて、このようにしました。色々賛否があるかと思われますが、何卒ご理解の程よろしくお願いいたします。

それでは、来年度も変わらぬご愛顧をよろしくお願いいたします。

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