魔法少女&仮面ライダー育成計画 〜Episode of Mirror Rider〜   作:スターダストライダー

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お待たせしました。

仮面ライダービルドの面白さ、半端ないって!


117.喰うか喰われるか

「……えぇ。結果としてたまが死んだ事で、こちらのチームは事実上は壊滅。スイムスイムも、スノーホワイトに奪われた魔法のアイテムを取り返そうと躍起になってます。ほとんど口もきかなくなりました。あれはもう、使い物にならないでしょう。あなたも期待していたそうですが、結局はこの有様ですよ」

 

中宿の繁華街も、とある魔法少女と仮面ライダーの手によって、人知れず引き起こされた惨劇から数ヶ月が経ち、工事の跡はちらほら見えつつも、ある程度は元の形を取り戻していた。が、テロという形で落ち着いた事もあり、今ではかつてほどの賑わいはない。事件前までは親子連れもそれなりに見かけてはいたが、治安の悪さが露見された、という風評被害もあって、それらしい影は1つも見当たらない。歩いているのは、肝の据わった屈強な者や、命知らずに大袖を振ってのうのうとうろつく者ぐらいだ。

スーツ姿でスマホを耳に当てながら薄暗い路地を歩いている鎌田 春水も、その1人だ。電話の相手は、言わずもがな。

 

「魔法少女も仮面ライダーも皆、自分の欲望の為だけに戦う。……魔王塾で教わった通りでしたよ。派閥を構成し、統制をもってして力を得ようとしたルーラの考えは、この社会では通用しない。おかげでこちらも吹っ切れましたよ。私は彼らとは違う。……そろそろ認めてはもらえないでしょうか。あなたが理想とする仮面ライダーとして相応しいのは、この」

 

不意に、異臭が鼻にこびりついた。血生臭いものだ。距離はそれほど離れていない。電話を続けながら、痕跡を辿る鎌田。角を曲がった先で、その正体が判明した。

普通の人間なら卒倒するような光景がそこに広がっているが、人としての感覚が薄れてきている鎌田は、全くといって動じていない。

血の海に伏しているのは、如何にも暴力団の組員を思わせる格好の男性達。微かに呻き声も聞こえてくる。それを遮るかの如く、頭を踏みつけて完全に息の根を止める、蛇柄のジャケットを着込んだ男が、目の前に現れた鎌田に目を向ける。

 

「……失礼。少し野暮用が出来ました。この話の続きは後ほど」

 

そう言って電話を切り、カバンを路地に放り捨てる。

 

「この有様を見て物怖じしないやつがいるとはねぇ。良い度胸じゃないか。あたしは嫌いだけどね。それって結局あたしらをナメてるみたいなもんだしさ」

 

続いて男の背後から姿を見せたのは、西洋のガンマンを思わせる、豊満な女性。彼女はニヤつきながらピストルをホルダーから取り出す。対する鎌田は肩をすくめる。

 

「生憎だが、こんなものは、私にとってもう見慣れた光景の1つに過ぎない。何故なら、君達と私には共通点がある」

 

そう言って、懐から水色のカードデッキを取り出して開示する。それを見て、2人の目つきが変わった。

 

「そのデッキ……アビスだったか? こいつはとんだ巡り合わせだな。……良いよ。相手にしてやるよ。あたしはともかく、こいつのイライラは、近頃あたしでも制御が追いつかなくてね。抑制剤として一役買ってくれよ」

「足りないんだよこいつらじゃなぁ……! さっさと北岡を殺りたいところだが、今はお前で我慢してやるヨォ……!」

 

男……浅倉 陸は飢えたハイエナの如く、首を鳴らして獲物を睨みつける。鎌田も初めからそのつもりらしく、2人に近づく。

 

「私に勝てるライダーや魔法少女など、いるわけがない。あの時は不覚をとってしまったが、もう同じ手に引っかかる事もない」

 

またいずれ、私をコケにした九尾達はこの手で始末しますけどね。そう呟くと、近くに立てられていたガラスにカードデッキをかざし、腰にVバックルを形成する。

 

「ナメた事ばっか言いやがって……。浅倉、あたしもやらせてもらうよ」

「……勝手にしろ。戦いの邪魔だけはするなよ」

 

そう言って浅倉も鎌田と同じ動作をする。

 

「「変身!」」

 

鎌田と浅倉は同時にカードデッキを装填し、それぞれアビス、王蛇に変身。元から変身していたカラミティ・メアリと共に、ガラスを通じてミラーワールドに突入。路地に残ったのは、赤く染まって物言わぬ壊れた人形と化したものだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『SWING VENT』

 

「アァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」

 

咆哮と共にエビルウィップを振り回して先手を取る王蛇。アビスは軽くステップを踏んで回避する。隙を見て蹴り飛ばして、カードをアビスバイザーにベントインする。

 

『SWORD VENT』

 

2本のアビスセイバーを両手に持ち、王蛇に猛追をかける。エビルウィップは弾き飛ばされ、王蛇は火花を散らしながら倒れこむ。イライラが増したのか、仰向けになりながら唸り声を上げる。

アビスがその首を取ろうと駆け出すが、メアリの狙撃による横入りによって阻まれる。

 

「邪魔だ。お前の相手はこいつらだ」

 

『ADVENT』

 

アビスは契約モンスターであるアビスラッシャーとアビスハンマーを召喚し、メアリの相手を務めさせる。メアリは舌打ちしながら銃を持ち替えつつ応戦している。

アビスの注意がメアリに向けられたその隙に、王蛇は起き上がって新たなカードをベノバイザーにベントインする。

 

『SWORD VENT』

 

右手に持ったベノサーベルを振り上げながら、アビスに叩きつける。元からの獰猛な性格が攻撃力に転換されており、その一撃は重い。アビスも口から息が洩れる。しかし一瞬の隙をついて足払いで王蛇を地面に倒し、アビスバイザーの突きを入れる。王蛇は転がる形で回避し続けた。

 

「さすがに2体相手は割に合わないなぁ。来い、メタルゲラス!」

 

一方のメアリは、遠距離型のアビスハンマーと、近接型のアビスラッシャーを同時に対処するのは不利と判断して、黒いメタルゲラスを呼び出すと、アビスラッシャーに飛びかかるように指示を出す。不意打ちで倒れこむアビスラッシャー。アビスハンマーが動揺している隙に、ショットガンに持ち替えて得意の銃撃戦に持ち込む。アビスハンマーも負けじと銃撃で応戦する。

 

「ウォォォォォォォォ!」

「フンッ。その威勢ぶりは評価してやろう。だが、まだ甘い」

 

変身前においては持ち前の暴力性から、最悪の名で知られている王蛇の猛追を、ことごとく回避し、カウンターとばかりにアビスセイバーを振るい続けるアビス。

 

「(これまでの観察から、カラミティ・メアリは銃撃戦、つまり遠距離での戦いに特化した魔法少女。だがその分数で押されれば対応が難しくなる。流れ弾に注意すれば、モンスターだけに任せておけばいい。そして王蛇は、メアリ以上に警戒するべき人物ではあるが、不用意に間合いに入らなければ、単調な攻撃だけに意識を集中させ、じわじわと追い詰める事ができる。……この勝負、迅速に終わらせられそうだ)」

 

心の中で勝利を確信するアビス。それも、生まれ持った才能、すなわち観察眼があっての事だと自称する。

様々な『凶悪』と烙印された仮面ライダーや魔法少女を輩出してきた『魔王塾』でも、塾長である『魔王パム』という魔法少女からもお墨付きを得ており、後に傘下に下った『ピティ・フレデリカ』という魔法少女からも、過大な評価を受けている。

彼が本来なら何の由縁もないこのN市に訪れたのも、全てフレデリカによる指示だった。同じ『魔王塾』の出身であるクラムベリーとオーディンが試験官として始まる『人材育成計画』なるゲームに、プレイヤーとして参加し、スカウトするに相応しい魔法少女や仮面ライダーを吟味してこい、という依頼に、アビスが選ばれたのだ。N市に潜入してからは、クラムベリーやオーディンといった、魔法の国の関係者に不審がられないように、『鎌田 春水』として普通の会社員と同じように生活を送っていた。

パートナーシステムが導入される事も裏を通じて知っていたので、パートナーになるであろう人物となるべく身近で行動する事を意識して、ルーラとベルデが指揮するチームに自ら所属を申し出たのも、フレデリカの指示だ。その結果、ルーラにスカウトされて入った、スク水の魔法少女『スイムスイム』がパートナーに選ばれた。無感情で、何をしてもルーラを意識した発言しかなく、それが逆にこちらへの介入がほぼ皆無だと位置付けられ、大いに助かった。

 

『LIQUID VENT』

 

パートナーカードを行使して、王蛇の拳が液状化した体をすり抜けると、背後を取って首を絞め上げる。呻き声を上げながら振り解こうとする王蛇だが、その前に首の関節を砕こうと、腕に力を込める。

が、2人の足元に何かが放り投げられたのを見て、目を見開く。見間違いでなければ、手榴弾と思われる投擲物を確認して、王蛇を離して横に飛び退くアビス。王蛇が地面を蹴るのと同時に爆発し、2人は吹き飛ぶ。両者共に地面を転がるが、ダメージは爆破地点に近かった王蛇の方が大きいようだ。なお、今の手榴弾はメアリが追い詰められている王蛇を目撃した際に、アビスハンマーの隙を伺って放り投げたものである。一歩間違えればパートナーに手をかけるような行為だが、メアリに悪びれた様子はない。パートナーがどうなろうと、御構い無しのようだ。

また妨害される可能性もあると踏んだアビスは、決着をつけるべく、カードデッキに手をかざす。

 

「私は迅速な決断が売りなんでね。先ずは1人、片付けさせてもらおう」

「イライラするぜェ……!」

 

『『FINAL VENT』』

 

2人が同じカードを各々のバイザーにベントインしたのは、ほぼ同タイミング。

王蛇は飛び上がり、背後から出現したベノスネーカーから吐かれた毒液に押される形で、両足を突き出す。

反対に、アビスはメアリと黒いメタルゲラスを相手にしていた2体の契約モンスターを集結させ、アビソドンに姿を変えると、メアリとメタルゲラスをノコギリのような鼻で吹き飛ばし、アビスの背後から接近し、アビスは飛び上がってその背中に乗り、頃合いを見計らって飛び蹴りを放つ。アビソドンも突進を試みる。

 

「「ハァァァァァァァァァァァァァァ!」」

 

『ベノクラッシュ』と『アビスダイブ』がぶつかり合う。威力はほぼ互角だったが、アビソドンの一押しが、アビスの勢いに加算され、結果として王蛇の蹴りが押し返され、地面に叩きつけられる。

 

「グォッ……!」

「ッ……! 中々の威力だったよ。お前みたいなやつがもっと早く魔王塾に入っていれば、この世界も変わっていただろう。この場で殺さなければならないのが、本当に惜しい」

「魔王、塾だぁ……? 何だ、そいつは……」

 

アビソドンに叩かれて無防備な腹を強打されて膝をつくメアリが、血を拭いながら問いかける。アビスは質問に答える事なく、アビスセイバーを持つ。

 

「お前達は何も理解していない。この戦いの本当の目的を。生き残るだけがこの戦いの全てではない。本質とは常にその先にある。故にこれが単なる選抜試験だと思うだけなら、所詮はそこまでだ」

 

もっとも、もうその本質を知る術はないがな。

そう言ってアビスは、王蛇の近くに落ちているベノバイザーを、手の届かない場所に蹴り飛ばす。これで地面に倒れこむ王蛇に、反撃の術を与えるチャンスを潰した事になる。アビスダイブの一撃は大きかったらしく、転がって回避する様子もない。

 

「力に溺れた哀れなライダー。先ずは、お前からだ」

 

アビスセイバーの刃先を王蛇の首にめがけて、一気に振り下ろす。それだけで、ライダーの1人が脱落し、後は手負いのメアリを始末して、ようやく脱落者も過半数が割れる手はずだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無音の世界に響く、発砲音と共に、腹の辺りに熱を感じるまでは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「⁉︎ ウグァ……⁉︎」

 

アビスセイバーが手から滑り落ち、腹を抑えてよろけるアビス。その手からは血が滴り落ちる。最初は何が自分の身に起きたのか理解な苦しんだアビスだが、すぐに得意の観察眼で把握した。

腹に撃ち込まれたのは、間違いなく弾丸だ。となれば、この場合はメアリが狙撃した、と考えるのが筋だが、メアリの手にそれらしき武器は握られていない。

銃口から煙が出ている拳銃を所持しているのは、倒れ込んでいる王蛇の方だった。懐から出したと思われるが、それまで直接的にしか攻撃を展開してこなかった王蛇が飛び道具を使うなど、誰が想像できただろうか。

 

「ば、バカな……! 王蛇が飛び道具を使う事など、今までになかった……! 私の観察眼に、狂いが生じたのか……!」

「試験だか、観察眼だか知らないが……!」

 

拳銃を放り捨てて、首を鳴らしながら起き上がる王蛇。

 

「俺には関係ない……! 今戦えれば、それで充分なんだよぉ! ウォォォォォォォォォォォォォォ!」

 

全身を震わせて雄叫びを上げるライダーの姿を見て、アビスは恐怖という2文字を覚えた。自分の体が震えている事に気付き、止めようとするが、むしろどんどん震えが大きくなっていく。

自分自身も人外だという自覚はあった。だが、目の前にいるそいつは、その比じゃない。かといって獣なんて容易な例えでは説明がつかない。強いて言うなら、モンスターそのものだ。故にアビスの決断は早かった。

 

「想定外だ……! 一旦出直すとしよう……!」

 

『STRIKE VENT』

 

アビスクローを右手に装着し、『アビスマッシュ』による激流で撹乱させようとする。

 

「ほらよ!」

 

だがその前に、メアリがベノバイザーを拾って王蛇に向かって放り投げると、予め引き抜いたカードを、ベノバイザーを受け取った瞬間にベントインする。

 

『STEAL VENT』

 

「なっ……⁉︎」

 

するとアビスの右腕についていたアビスクローは、王蛇の右腕に行き渡り、鼻で笑った後、逆にアビスめがけてアビスマッシュを放ち、アビスは壁に打ち付けられた。

 

「おいおい。帰るなんて言うなよ。お楽しみは、これからだろぉ……?」

 

『UNITE VENT』

 

契約モンスターを合体させる能力を持つカードをベントインすると、ベノスネーカー、黒いメタルゲラス、黒いエビルダイバーが合体し、ジェノサイダーが、アビスの背後に召喚された。

続けざまに別のカードを引き抜き、ベントインしようとするのを見て、アビスは本能的に、最後に残っていたカードを取り出す。

 

「(あれをやらせるわけにはいかない……! その為には、このカードを……!)」

 

残された僅かなカードの中から、この状況に最適なアドベントカードを引き抜き、ベントインしようとするが……。

 

「ギャア⁉︎」

 

不意に右手のひらに赤黒い穴が空いて、手放されたカードが宙を舞った。カードはヒラヒラと地面に向かって落ち、ガンマン風魔法少女の足元にポトリと置かれた。『DIMENSION VENT』と表記されたカードだ。

 

「レアアイテムのカードか。こいつで逃げようって魂胆かい? 生憎だがなぁ、そんなもんではいそれと逃がすほど、あたしらも余裕じゃないもんでね。惨めに死にな」

 

そう言ってメアリがオマケとばかりに、アビスの左足に銃弾を撃ち込む。血が流れ、身動きが取れなくなる。

 

「消えろ、そろそろ」

 

『FINAL VENT』

 

「ハァァァァァァァァァァァァァァ!」

 

王蛇はジェノサイダーの前に立つアビスめがけて駆け出し、きりもみ状に回転を加えてキックを放つ。アビスはらしくない動揺のあまり、動く事が出来ない。

無防備なまま、『ドゥームズデイ』を正面から受けて、ジェノサイダーに向かって吹き飛ばされる。そして待ち受けるのは、ジェノサイダーの腹に空いた、ブラックホールに通じる穴。バネのように吸い込まれていくアビスの体だが、最後の力を振り絞って腕に力を込め、上半身だけがジェノサイダーから突き出ている形となり、完全には吸い込まれてはいない。

だが、そこまでだった。そこから力を込めて脱出しようとしても、吸引力が凄まじく、腰から下が抜け出せない。体力も消耗し、段々と腕に力が入らなくなっていく。ここで気を抜けば最後、『死』を受け入れなくてはならない。

 

「や、やめろ……! やめてくれぇ! こんな、事で、私が、死ぬと言うのか……⁉︎ 最強であるこの私が、こんな奴らにぃ……!」

「おうおう。ミイラ取りがミイラになるってこの事かぁ? ほらほらもっと喚けよ! 助けを請いてみろよ! ほらほらほらぁ!」

 

メアリはマグナムを逆手に持って、トンファーの要領で、アビスの頭を殴り続けた。声を出したくても、出す余裕すらない。

王蛇が黙って見過ごしている間、メアリは興奮のあまり、全身を紅潮させながらジェノサイダーに吸い込まれているアビスを殴り続けた。強い者、偉ぶっている者、自信に満ち溢れている者、つまりは上にいるはずの者が、抗いようがない暴力に辱められたその瞬間に見せてくれる表情……は仮面に覆われて見えないが、それ以外に仕草や命乞いの言葉。それを見たり聞いたりするのがメアリにとって最良の薬だった。アルコールや違法ドラッグなどでは決して味わえられない、快楽の一種だ。

やがてその酔いが醒めると、マグナムを本来の用途に準じて、引き金に指をかける。そして、今や『弱者』と成り下がった、ボロボロの仮面ライダーのこめかみに向けて、銃口を合わせて、そして唇の端を吊り上げる。

 

「最高だったよ。あんたみたいなやつと遊べてな。つーわけで、愚図はさっさとおねんねしな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして。

躊躇いなく引かれた引き金。1発の銃声がミラーワールドに響き、力の入っていた腕はダラリと垂れ下がり、掃除機に吸い込まれる塵のように、出口のない暗黒の世界に引きずり込まれていき、高らかな笑い声がこだまして……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファヴ:『えぇ〜、今回は、新しい脱落者が出たのでお知らせするぽん!』

シロー:『今回の脱落者はアビスだ』

ファヴ:『いよいよ32名いた魔法少女と仮面ライダーも、当初予定していた半分になったぽん! でもご存知の通り、残りの枠は8名だぽん。8名になるまで、頑張ってキャンディー集めるぽん! それじゃさよなら〜』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やはり彼には荷が重すぎましたか。まぁ、仕方ありません。逸材が減るのは残念ですが、この試験を通じて彼の代わりを見つけ出せれば、問題ありませんから」

 

子供の頭部大ほどの水晶玉に、アビスの姿が映らなくなったのを確認した魔法少女は、座っていた椅子に深く腰掛け直す。

星型の、飾りをつけたヴェールや首飾り、星のペイントに星柄のストッキングなどと、全体的に星だらけのスタイルを兼ね備える魔法少女『ピティ・フレデリカ』に、悲観な様子は見受けられない。

彼女の魔法『水晶玉に好きな相手の姿を映し出すよ』は、対象の頭髪を手の指に巻いて結ぶ事で、水晶玉にその髪の毛の持ち主が映し出されるのだ。場合によっては、自分の手を水晶玉の中に入れて、そこに映っている物を掴んだり、自分の所に引き出す事も出来る。だが、その力を持つフレデリカに、彼を救出する選択肢はなかった。

 

「試験の中間報告が見れなくなるのは惜しいですが、脱落する魔法少女と仮面ライダーは、あと8名。全ての結果が出るまで、それほど時間はかからないでしょう。……彼が、仮面ライダー九尾を初めとしたチームが、どこまで活躍するか、期待したいものです」

 

そう思いませんか?

背後に立ち尽くしている、男女2人に対して、フレデリカは問いかける。返ってきた返事は覇気がなく、曖昧なものだった。

いつも通りの反応だ、と思っていると、ヤカンがしゅんしゅんと鳴り始めたので、火を止めるために立ち上がった。彼女が求める、理想の魔法少女、仮面ライダーが描く結末に期待を寄せながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪中間発表 その14≫

 

【アビス(鎌田 春水)、死亡】

 

【残り、魔法少女9名、仮面ライダー7名、計16名】

 

 

 




というわけで、唐突ですがたまが脱落してから2話目で新たな脱落者の発表となりました。まぁ彼の役目は果たしたようなものですし。

最後に出てきた男女2人についてですが、一応N市、もとい仮面ライダーや魔法少女達に関係している者でありますが、多分深くは掘り下げないつもりです。

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