魔法少女&仮面ライダー育成計画 〜Episode of Mirror Rider〜   作:スターダストライダー

12 / 144
お待たせしました。

「結城優奈は勇者である」の第2期製作が決定して、とても上機嫌な作者であります。2017年のアニメも楽しめそうです!


8.変わらないモノ

「いや〜。にしてもこんなにモンスターがわんさか湧くなんて、今日はバーゲンセールか何かあんのか?」

 

魔法の箒を片手に、トップスピードは遠くを見るように額に手を当てながら、ギガゼール達を見ていた。

彼女がこの場にやって来た理由は単純だ。

何やら騒がしかったから、気になって来てみた。ただそれだけの理由だった。

九尾にとっては初めてみる魔法少女であり、龍騎からしてみれば、SNSでボンヤリとではあるが、目の前の魔法少女と同じシルエットを見た事がある程度だった。そんな中、ラ・ピュセルだけが突然現れたトップスピードに臆する事なく話しかけた。

 

「丁度良かった。トップスピード、君にも協力してほしいんだ。この数は僕達では捌ききれない」

「ん? もちろん良いけど、俺は基本、こういう荒事には向いてないぞ? せいぜい動き回って撹乱するぐらいしか、取り柄が無いぞ?」

「十分だよ。トドメは僕達3人でも可能だ」

「そういや忘れてたけど、そこの2人って新入りだったよな? 確か……」

「九尾だ。仮面ライダー九尾」

「俺、龍騎です! よろしくお願いします!」

「そんなに硬くしなくて良いって。お互い仲良くいこうぜ! ハハハッ!」

「そ、そっか……。じゃあ、よろしくな、トップスピード!」

「おうよ!」

 

まだ会って数分しか経っていないはずなのに、この2人はすっかり意気投合しているようだ。戦場に響く呑気な会話を前に、九尾はため息をつき、ラ・ピュセルは苦笑する他なかった。

だが、敵も黙っているはずもなく、飛び回りながら4人を囲んだ。

 

[挿入歌:果てなき希望]

 

「そんじゃま、ひと暴れすっか! 行くぜぇ、ラピッドスワロー!」

 

そう言ってトップスピードは愛用の箒『ラピッドスワロー』に跨ると、あっという間に飛び出して、ギガゼール達の注意を向けた。

 

「「ハァッ!」」

 

その隙を逃す事なく九尾とラ・ピュセルは駆け出して斬りつけた。

 

「うぉっと……! お、俺も!」

 

出遅れた龍騎も、飛びかかってくるメガゼールに対抗していた。

 

「キキィ!」

「うぉりゃあぁぁぁ!」

 

オメガゼールやネガゼールは跳躍してトップスピードを狙っているが、トップスピードはそれを上回る高さにまで上昇して、モンスター達を翻弄していた。そして隙あらば急降下して、箒の柄の先端を突いて、オメガゼールを吹き飛ばした。

 

「ハァッ!」

 

一方、龍騎もドラグセイバーを片手に持ち、メガゼールと激しい戦闘を繰り広げていた。メガゼールの持つ武器とぶつかって火花を散らす中、拮抗しあっている隙をついて、メガゼールが武器を振り回し、ひっついていたドラグセイバーを上空に放った。

 

「あぁ! 俺の武器!」

 

龍騎が手を伸ばそうとするが、メガゼールの猛攻により、慌てて手を引っ込めて回避に専念した。すると、空中を舞っていたドラグセイバーを偶然通りかかったトップスピードがキャッチした。そしてドラグセイバーをまじまじと眺めてから、地上にいる龍騎に言った。

 

「これ凄そうだな! ちょっと借りるよ!」

「あ! だからそれ俺の武器……!」

 

龍騎が返してほしいという前に、メガゼールが龍騎を吹き飛ばした。再び攻撃を仕掛けてくる前に、龍騎はカードデッキからカードを取り出し、ベントインした。

 

『GUARD VENT』

 

両肩にドラグシールドが装備され、それを手に持ってメガゼールの攻撃を凌いだ。しかし、いつまでも守りに徹する訳にはいかない。上空を見上げると、トップスピードがまるでおもちゃを手に入れた子供のようにはしゃぎながらドラグセイバーを振り回し、迫ってくるモンスター達を一掃していた。

 

「! そうだ! あれに乗れれば……!」

 

龍騎は何を閃いたのか、ドラグシールドを捨て、メガゼールによる武器の突きをジャンプしてかわすと、その上に乗っかって、高く飛び上がった。そして真上にいたトップスピードが乗るラピッドスワローにしがみついた。

 

「うわっちょっ⁉︎ 何してんだ⁉︎」

「こ、これに乗せてくれよ! 重くて落ちたりしないよな⁉︎」

「ま、まぁ2人乗り用だから問題無いけどさ。こいつに乗ってるだけじゃ、あいつらにダメージなんて……」

「大丈夫! 俺に任せて!」

 

龍騎は自信に満ちた声で叫んだので、トップスピードはそれ以上理由を聞く事なく減速して、龍騎をちゃんとラピッドスワローに乗せた。

 

「で、どうすんだ?」

「まぁ見てなって」

 

そう言って龍騎は新たに1枚のカードをベントインした。

 

『STRIKE VENT』

 

すると、上空から龍の頭を模した『ドラグクロー』が右手に装備された。

 

「そのまま一気に進んで! ハァァァァァァァッ!」

「あいよ!」

 

龍騎が右腕を後ろに引くと、トップスピードは少し降下して、スピードを上げた。同時に2人の周辺をドラグレッダーが旋回し始めた。

 

「ハァァァァァァァ!」

 

龍騎が地上に向けて右腕を突き出すと、ドラグレッダーやドラグクローの口から炎が吹き荒れた。そしてその炎は、トップスピードが繰り出すスピードに乗っかって、地上にいたり、飛び上ろうとしていたメガゼールやマガゼール、オメガゼールらに降り注ぎ、回避する間もなく『ドラグクローファイヤー』の直撃を受けて爆散した。

 

「ッシャア!」

「おぉ! カッコいいじゃんかよ!」

 

トップスピードは龍騎の姿やドラグクローを見て、目の色を変えた。

龍騎も、初めて使用したドラグクローを興味深げに観察していると、ふと思い出したかのように、別方向を向いた。

 

「! そうだ、あの2人のところに行かなきゃ! トップスピード!」

「分かってるって!」

 

そう言って2人は遠くに離れた九尾やラ・ピュセルのいる方に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、九尾とラ・ピュセルのコンビの方は、ほぼ順調と言っていいほどにモンスターを圧倒していた。

 

「うぉぉっ!」

 

ラ・ピュセルが振るう大剣の風圧を受けて、ギガゼール達は地面を転がっていた。そして九尾も最小限の動きでギガゼール達の合間を潜って斬りつけていた。だが、一向に数が減る様子が無い。

 

「ならここは……」

 

九尾は1枚のカードを取り出し、フォクスバイザーにベントインした。

 

『TRICK VENT』

 

そして駆け出す九尾に向かって、ギガゼールが正面から飛びかかった。その瞬間、九尾の隣にもう1人の九尾が現れて、ギガゼールの一振りは空を切った。

 

「えっ⁉︎ 双子⁉︎」

「ん⁉︎」

 

後から駆け付けた龍騎とトップスピードが、九尾が増えている事に驚いていた。それだけに留まらず、もう1体が出現してギガゼールに攻撃した。

 

「三つ子⁉︎」

「また増えやがった⁉︎」

 

その後も九尾は分裂し続け、最終的に8体の九尾がギガゼールに斬りかかっている光景が広がった。

 

「ど、どんだけいるんだよ⁉︎」

「分身の術って訳か……。そういやこれってリップルにも真似出来るのか?」

 

トップスピードは龍騎に聞こえない音でそう呟いた。

そうこうしている間に、ギガゼール達を一ヶ所に集めたのを確認した九尾は、ラ・ピュセルに合図を送った。

 

「ラ・ピュセル!」

「!」

 

九尾の次なる行動を理解したラ・ピュセルは、大剣を横にして、肩に担いだ。

 

『FINAL VENT』

 

その間に、九尾はカードをベントインし、気合いを入れた。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

フォクスロードと共に飛び上がり、前転して右足を突き出し、フォクスロードと合体した。それを見たラ・ピュセルは、一気に大剣を下から振り上げるようにフルスイングした。

 

「「ウォォォォォォォォッ!」」

 

バッターのように振り抜いた大剣は倒れていたギガゼール達に直撃し、全員まとめて上空に吹き飛ばされる。そこに向かって九尾が『ブレイズキック』を叩き込み、ギガゼール達は身動きが取れぬまま、炎に包まれて爆散した。まさに親友だからこそ出来るコンビネーションプレイと呼ぶに相応しい戦いぶりだったと言えるだろう。

九尾とフォクスロードが着地すると、モンスターを全て倒した事を証明するかのようにマジカルフォンが鳴り、マジカルキャンディーの数が上昇した。

 

「おぉ! モンスター退治でゲットするの初めてだけど、こんなに貰えんのか! ボロ儲けしたなぁ!」

 

マジカルフォンを見て興奮しているトップスピードをよそに、ラ・ピュセルはホッと一息ついた。

 

「(あんなにも大群のモンスターと戦うのは初めてだったけど、勝てて良かった……。これもあの龍騎ってライダーや、九尾……いや、大地が……)」

「ラ・ピュセル」

「!」

 

九尾が歩み寄って来るのを見て、ラ・ピュセルは身構えた。もしかしたら、男友達である自分が魔法少女に変身していた事に言及するつもりなのか。確かに不用意に確認もせずに変身してしまったのは事実だし、いきなり異性に変貌してしまったのを見て、気持ち悪がられてしまうのも無理ないのかもしれない。そう思ったラ・ピュセルは、ある種の覚悟を決めていた。

が、そんなラ・ピュセルの期待を裏切るかのように、九尾は手を出して、ハイタッチしようとしてきた。

 

「やったな」

「……! あ、あぁ」

 

ラ・ピュセルは戸惑いながらも九尾とハイタッチをした。それから九尾に話しかけようとしたラ・ピュセルだったが、龍騎とトップスピードが割り込んできて、それを遮った。

 

「いやぁ、凄かったな今の! 2人とも息が合ってたっていうか……」

「俺も遠くから見てたけど、ラ・ピュセルもそうだし、九尾も最高だったぜ! もちろん龍騎もな!」

「お、おう! まぁな!」

 

龍騎は照れたように頭を掻く仕草を見せた。

それからトップスピードはラピッドスワローに跨り、3人に手を振った。

 

「んじゃあまた明日のチャットで会おうな! 今度はちゃんとリップルとナイトも連れてくるからさ!」

 

それを聞いて真っ先に反応したのは龍騎だった。

 

「ん? ちょっと待って! 今リップルとナイトって言わなかった⁉︎」

「言ったけど? チームを組んでる仲だからな」

「俺、昨日そいつらと一緒に戦ってたんだ! あいつら、他の奴らとはつるむ気がないって言ってたけど……」

 

それを聞いて、トップスピードは爆笑した。

 

「アッハッハ! それはあいつらがツンデレなだけさ。なんだかんだで俺とも長い付き合いだからな。……あ、そうだ。もしあれだったら、俺があんたの教育係になってやるよ。そしたらあの2人とも一緒にいられるからさ。お互い仲を深め合っていこうぜ」

「いや、俺は別にそこまで頼んで……」

「んじゃあまたな!」

 

トップスピードは龍騎の話を聞く事なく、あっという間に発進し、ミラーワールドから出て行った。

 

「行っちゃった……」

「トップスピードは普段からああいう感じだからね……」

 

トップスピードの事をこの中ではよく知っているラ・ピュセルは、もう慣れたと言わんばかりに苦笑した。やがてマジカルフォンから活動時間に限界が近づいている事を知らせる音が鳴り響いたので、3人は退散する事にした。

 

「それじゃあ、俺はあっちの鏡から出るよ。近くに停めてあったから」

「そうか」

「今日はありがとう。また明日、チャットで会おう。今日の活躍もあるし、みんな大歓迎してくれると思うよ」

「へぇ。じゃあな!」

 

龍騎は手を振りながら、彼がやって来た方向に走り去った。

残された2人も、最初に入ってきた鏡から現実世界に戻ってきた。変身が解かれ、大地が背伸びをしてリラックスしていると、颯太が話しかけてきた。

 

「あ、あのさ……」

「?」

「えっと、その……」

 

先ほどまで悩んでいた事をどう伝えようか迷ってしまい、うまく呂律が回らない颯太。大地が首を傾げていると、チャイムが鳴り響いた。そういえば、まだ昼休みだった事を思い出して、2人は顔を合わせた。

 

「わ、悪い! 今夜場所を設けてまた話そう!」

「あ、あぁ。良いけど」

「それじゃあ場所は……」

 

そう言って颯太が待ち合わせ場所や時間を指定すると、一目散に教室に向かって背を向けて駆け出した。大地は颯太の言動に訝しんでいたが、授業に遅れる訳にもいかないため、急いで教室に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その晩、大地は自室でマジカルフォンを通じてスノーホワイトにメッセージを送った。用事が出来た為、今日は一緒に行動出来ないと連絡し、了承を得た後、九尾に変身してから窓を開けて外に飛び出し、颯太が指定した場所に向かった。

やって来たのは、丘の上に佇む、一際大きな鉄塔。近くに倶辺ヶ浜と呼ばれる夏の観光スポットがあるが、秋という事もあり人通りがほとんどない為、確かに魔法少女や仮面ライダー同士の密会には最適なのかもしれない。

時計に目をやって、時間通りになったのを確認した九尾は飛び上がって、鉄塔の上を目指した。

鉄塔の上には、既に誰かの人影が見えていた。言わずと知れたラ・ピュセルである。

 

「来たぜ。ラ・ピュセル」

「……やぁ」

 

九尾にそう短く返事をしたラ・ピュセルは、隣に座るように示唆した。九尾もそれに従って、ラ・ピュセルの隣に座り、夜の街を一望した。人気はなかったが、海水浴場に広がる海が静かに波の音を立てていた。

しばらくの沈黙の後、最初に口を開いたのはラ・ピュセルだった。

 

「き、今日はありがとう。まさか君が変身して戦ってくれるとは思ってなかったよ」

「俺だってお前が変身するなんて思ってなかったさ。それも魔法少女に」

「……」

 

魔法少女に。その言葉を聞いて、ラ・ピュセルは俯いた。

 

「(……やっぱり、気持ち悪がられてるかな)」

 

これから先、親友としてこのままやっていけるのかが不安で胸が張り裂けそうになる中、九尾が質問をしてきた。

 

「……で、いつからなんだ?」

「えっ……」

「いつから魔法少女になってたんだよ」

「そ、それは……」

「てっきり仮面ライダーに憧れてると思ってたんだけどな。だって子供の頃とか、一緒に特撮見てたし」

「ち、違うんだ……!」

「?」

「ほ、本当は、もっと好きだったんだ。その……、魔法少女の方が……」

 

観念した罪人のように、ラ・ピュセル……もとい颯太は白状した。

幼少期に偶々見ていた魔法少女系のアニメにはまって、それがキッカケで魔法少女に憧れていた事。

幼馴染みとその事でよく語り合って、人生を満喫していた事。

その想いは大地と共に遊んでいる時でも、一瞬たりとも忘れた事がない事。

中学生になった今でも、魔法少女が好きである故に、人目につかないように隣町のレンタルショップまで出向いて、魔法少女系のDVDを借りたり、そういった類の漫画やライトノベルを自宅の隅に隠し持っていた事。

当然『魔法少女育成計画』にも手を出し、何度かプレイしている内にファヴにスカウトされ、魔法少女『ラ・ピュセル』となり、人助けやモンスター退治に勤しんできた事。

 

「だ、だから。正直憧れの魔法少女になれた事は嬉しかったし、同時に怖くもあった。もし僕の正体が他の魔法少女や仮面ライダーに知られたら、どんな目で見られるのか、とにかくその事だけが、頭によぎってた……」

 

言いながら、ラ・ピュセルは顔を俯かせた。その表情は昼間とうって変わって暗く、本気で悩んでいる様子だった。九尾はしばらく黙って見つめていたが、不意にラ・ピュセルの方から九尾に目線を合わせた。

 

「……ねぇ。今更かもしれないけど。やっぱり僕って気持ち悪いと思う? サッカー一筋だって言ってた僕が、こんな格好でこの街を彷徨いてるって思うと、変だよね……。嫌いになったってしょうがないよね……」

 

自虐的にそう確認してくるラ・ピュセル。このまま縁を切る事になっても、構わないという姿勢を見せる為にも、ラ・ピュセルはなるべく堂々とする事にした。

対する九尾の反応は……。

 

「……らしくない事言いやがって」

 

不貞腐れた口調でそう返した。ただ、その口ぶりはラ・ピュセルが想像していたものとはまた違う感じがした。ラ・ピュセルが困惑していると、九尾は淡々と語り始めた。

 

「俺とお前は知らない仲じゃ無いんだから言わせてもらうけどよ。んな事でお前を嫌うわけないだろ。ここで忌み嫌うぐらいだったら、最初から友達になってないし。これぐらいで関係を変える必要なんてこれっぽっちもないだろ」

 

九尾は少し歯切れが悪そうに呟くが、ラ・ピュセルは驚きのあまり、目を見開き続けている。

 

「お前が魔法少女好きだったのはよく分かった。なら、それで良いじゃねぇか。俺は別に否定しないし、それがなりたかった自分だったんなら、それを自分の中で誇ればいいんだよ。それに……」

「それに?」

「け、結構カッコいいじゃねぇかよ、その格好……」

 

九尾はそっぽを向くように目線を逸らした。自分の姿を初めて褒めてくれた親友の言葉を聞き、ラ・ピュセルは思わず涙ぐんだ。が、どうにかしてそれを堪え、真っ直ぐと九尾を見据えた。

 

「だから、その……。自分の事、そんなに嫌いにならなくてもいいんじゃねぇの? 他の奴らには黙っておくからさ。もっと騎士らしく堂々としてろよ。その方が颯太っぽくて似合うし」

「……あり、がとう。……大地」

 

思わず変身前の姿の名前を呟いてしまったラ・ピュセルだが、それだけ感極まって、精一杯親友に感謝している証拠でもある。

それからラ・ピュセルは立ち上がり、背中に背負っていた剣を抜いて肥大化させ、高く掲げた。

 

「なら僕は、ここに誓おう! 魔法騎士ラ・ピュセルは、我が生涯の友である仮面ライダー九尾と共に、恥じる事なくこの街で戦う事を!」

「お、おぉ……」

 

大胆な行動に困惑する九尾だったが、ラ・ピュセルが手を差し出した事で、彼も立ち上がって手を伸ばし、誓いを立てるように互いの手を握った。

 

「これからもよろしく、九尾」

「あ、あぁ。まぁその、よろしくな、ラ・ピュセル」

 

彼が親友で本当に良かった。ラ・ピュセルは今以上に大地の存在に感謝する事はなかっただろう。

ただ、彼にはまだ残っている課題があった。

 

「あ、それから1つ頼みたい事があるんだけど……」

「? 何だ?」

「こないだの書き込みで何度か目撃してたんだけど、君はいつも、新人のスノーホワイトと行動を共にしてたよね?」

「あ、あぁ。ほんのちょっと前からの話だけど」

「じゃあ、彼女の正体も……?」

「ま、まぁな」

「そうか……。なら、明日……ううん、明後日までスノーホワイトには僕の正体を明かさないでくれないか?」

「良いけど、何でだ?」

「こ、こういう事は僕の口からちゃんと話さないといけないし……。それに、直に会って確かめてみたいから」

 

理由は分からないが、スノーホワイトとは何かしらの接点があるのかもしれない。何れにせよ、明後日までには解決する事だろうと思った九尾はそれ以上追求しない事にした。

親友が互いの正体を知り、共に戦うというハプニングこそあったが、改めて友情を確認し合った大地と颯太であった。




友達って、やっぱり良いですよね。

次回はもっと多くの魔法少女や仮面ライダーが登場します。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。