魔法少女&仮面ライダー育成計画 〜Episode of Mirror Rider〜 作:スターダストライダー
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「……おーい正史。早く起きねーと遅刻するぞー」
「……」
タイガが脱落してから一夜が明けて、朝日が昇ってきた頃。臨月にもほど近い、膨れたお腹の上にエプロンを着ているつばめが、未だに姿を見せない正史を起こそうと、寝室に顔を出す。名前を呼ばれて上半身を起こす正史だが、その表情は優れない。誰の目から見ても寝不足だと分かる。
無理もないか。つばめは心の中でそう呟く。
昨日、それまでほとんど関わりを持ってこなかったリュウガと交戦し、その正体が、正史のかつての友である銀斗だと分かり、彼や美華に強い復讐心を抱いてこの戦場に赴いた事を知った正史が受けたショックは、つばめにも計り知れない。ファヴとシローからタイガの脱落が発表されてからも、悲しむ様子も見せずに呆然と、頭を抱えて俯いていた。
今、彼は2つの選択を迫られている。今日の17:00までに、リュウガの前に来て自らの死を受け入れるか。それともこのまま背を向けて遠くに離れ、大久保や令子、島田を見捨てるか。正直なところ、正史の中では前者に揺らぎつつある。自分1人の為に多人数が犠牲になるなんて、あってはならない。それならよっぽど自分が犠牲になる方がまだマシだ。お人好しならではの、シンプルな発想だった。
……だが、それでも自分の中で割り切れない気持ちが芽生えている。心の片隅で、死を受け入れる自分に抵抗を感じているのもまた事実。
「……どうすりゃいいんだよ」
思わずつばめの前でそう呟いてしまうほど、正史の精神はグチャグチャに掻き乱されている。それを見てつばめも放っておけるはずもない。それでも、なるべく直接的に干渉しないように、声をかける。
「ほらほら! ボーッとしてないでさっさと顔洗ってきなよ。丁度出来立てのもんが待ってるんだからさ。冷めないうちに食べようぜ! 朝は特に腹一杯食っとかないと、今日一日もたないぞ」
「……あ、うん」
そう言って素直に起き上がり、洗面所に足取り重く歩く正史。そんな後ろ姿を見て、ため息が出そうになるつばめだが、胎児への負担や、正史に余計な気をつかわせないようにと堪えた。
いつもより多めに朝食を作ったが、正史の口には普段の半分にも満たない量しか放り込まれなかった。本人曰く、「食欲が湧かない」との事。相当な重症だな、と表情に出さないように努力しながら、つばめはトーストを頬張りつつ、俯く彼に視線を向ける。気がつけば、出勤時間まであと僅かに迫っている事に気付き、正史は普段着に手を通す。
必要なものをカバンに入れて、手に持とうとしたその時、背後からつばめが抱きついてきた。正史は突然の事に動揺する中、つばめは膨れたお腹を押し付けすぎないように注意しつつ、冷たい背中を温めようと肌を密着させる。
「……リュウガ、っていうか、銀斗って奴が言ってた事だけどさ」
「……!」
「……オレだって、もしお前の立場になって決めなきゃならなくなった時は、オレの体の事よりも、誰かが犠牲になるのを止めたいって思う。自分のエゴに、他人を巻き込むなんて、絶対嫌だからな。……でも、もしその道を選んで、オレが死んで悲しむ奴だっているのも事実だ。迷うのは当たり前だよな。大切な人が出来るって事はさ。そういうところまでちゃんと視野に入れとかないといけないんだ」
大切な人がいる。今まさに背中から抱きついている女性が、正史にとって、その1人だ。だが、事の原因を作ってしまったのは事実。自分のエゴが、本来なら関わるはずもなかった男を、戦いに引きずり出してしまった。それを償わなければならない気持ちがある。
信頼を奪ってしまった友の為に責任を取らなければならない。でも、それで自分が死ねば、悲しみがまた一つ生まれる。どっちが正しい選択なのか。正史はますます分からなくなった。それが証拠に、右手には握り拳が作られている。
そんな彼を見て、つばめは最後にこう呟く。
「……まぁ、小難しいのはオレも苦手だからさ。選ぶのはお前だ。何を選んでも、オレはお前に反対しないし、ついてくよ」
「つばめ……」
「ほら、さっさと行かないとまた編集長に怒られっぞ! 今日も頑張ってこいよ!」
「お、おぉ……」
つばめに背中を押され、正史はうっすらと笑みを浮かべて、つばめに手を振りながら玄関の戸を閉めた。外からため息が一つ聞こえてきたのを、つばめは聞き逃さなかった。
つばめは腕を組みながら考え込む。悔しい話だが、今の自分にパートナーを立ち上がらせるだけの力は無いと見える。このままでは、本当に自分を犠牲にしかねない。「何を選んでも反対しない」とは言ったものの、正史を失いたくない気持ちが勝っている。
それに、こうして悩み続ける事自体、正史らしくない。そんな彼に、一歩踏み出す勇気を、彼自身の強みを引き出す事を、可能にする人物がいるとしたら……。
つばめはいそいそと懐からスマホを取り出し、ある人物に電話をかけた。
「ちょっと城戸君! 手が止まってるわよ! まだあなたに頼みたい仕事はたくさんあるんだから!」
「す、すいません……」
「全く……。ほら、この部分は私が引き継ぐから、そっちは任せたわよ」
遅刻ギリギリのところで入社した正史は、仕事中もずっと銀斗に迫られた選択の事ばかりが頭をよぎり、記事の作成にも普段以上に乱れが生じていた。
今日の正史は様子がおかしい。マイペースに自分が使っているパソコンにデコレーションをしている島田を尻目に、令子は首を傾げている。
それは奥のデスクで孫の手を使って背中を擦っている大久保も同様だった。
「……」
大久保の鋭い視線に気づく事なく、正史はパソコンの画面に顔こそ向けているが、全くと言っていいほど作業に集中できていない。
昼食時に至っては、普段は人一倍、同居している彼女が作ってくれた弁当を美味しそうにがっつく彼も、今日に限ってはほとんど口にしていない。
午後に入ってからも、難しい顔つきでほとんど指を動かさずにいた。時折、壁時計に目を向けていた。刻限までもう間も無く。カウントダウンは確実に正史を追い詰めていた。どちらが正しい選択なのか。つばめや大地といった、同じ力を持つもの同士ならいざ知らず、天秤にかけられているとも知らない人達に相談できるはずもなく、時間だけが過ぎていく。
「島田。ちょっとお茶っ葉切らしたからよ。その辺のコンビニでパックでもいいから買ってきてくれ」
事態が動いたのは、約束の時間まであと1時間半に差し掛かった頃だった。
「えっ? でもこないだ買ってきたばかりですし、まだ仕事が残ってて……」
「良いからいいから。ちゃんとお駄賃用意してあっから。ほら、買ってこい」
「うぅ……。最近私の扱いが酷いような……」
島田はブツブツ文句を言いながらも、席を立ってお茶っ葉の調達に出かけようとする。正史が代わって出向こうと発案するも、大久保に呼び止められた。すると今度は、大久保と無言でアイコンタクトを取った令子が立ち上がり、口を開いた。
「編集長。私も席を外します。近場で取材が出来たので。明日の朝、仕上げてきたものを持ってきます」
「おぉそうか。じゃあ頼むわ」
「ではお先に」
そう言って令子も仕事場を出て、残されたのは考え込む正史と、そんな彼を見つめる大久保の2人だけ。辺りに他の人の気配がなくなったのを確認した大久保が、唐突に話しかけた。
「さてと。んじゃあ正史。そろそろ、お前の口から色々と聞かせてもらおうか」
「えっ」
「えっ? じゃねぇよお前。お前に何かあったのはもうバレバレなんだよ。何年同じ大学で先輩後輩やってきたんだよ」
呆れ口調ではあったが、その表情は真剣そのものだ。どうやら自分が悩む姿を見て、気にかけてくれたようだ。その事に申し訳なさを感じつつ、作り笑いで誤魔化そうとする正史。
「い、いや〜。別に大した事じゃないっすよ。ただちょっと、昔喧嘩別れした友達に昨日バッタリ会っちゃって、色々と複雑な空気になっちゃって、それで……」
「その割には、えらく深刻そうな顔してるじゃねぇか。何があっても真正面からバカみたいにぶち当たっていく姿勢はどうした? そうしたくても出来ない理由があるんだろ?」
「……」
この人の前で、嘘はほぼ通じない。正史は改めて、大学時代の先輩の顔を見やる。
「全部さらけ出せ………なんて言うつもりはないけどよ。お前程度が何かでっかいもん背負ったって、潰されるのがオチだろうよ。もしそれがどうしても下ろせないもんだったらいっそ、他の奴におすそ分けする形で押し付けたって、俺は嫌じゃないぜ」
「……」
「話してみろよ。スカッとするかも、だぜ。仮にも俺はお前の先輩だ。後輩の悩みぐらい、ドーンとこいってんだ!」
「編集長……」
両手を広げて、心の傷を負った正史を受け止めようとする姿勢を見て、正史は自然と、自分の中に抱えていたものを語り始める。
幼少期から仲の良かった友人がいた事。高校生になって、最初は美華と付き合い始めたが、途中で自分に移り変わった事。大久保も知っているように、結果的に彼女と破局した事。それを知った友人が自分に憎しみを抱き、人生を狂わせてしまった事。
仮面ライダーの事や、OREジャーナルを人質に取っている事以外は、全て大久保に打ち明けた頃には、夕日が窓の外から差し込んでいた。刻限まで、あと1時間である。
「……そっかぁ。美華も関わっていた事でもあり、あいつを死なせちまった事が、そのダチの油に余計に火を注いじまったってわけだ。んで、お前に対して逆恨みを抱いている、と。だからお前は、どう謝れば良いのかわからずじまい、と。……そりゃあまた随分とスケールのデカい悩みだな」
1人大きく頷く大久保。正史はその様子に目もくれず、美華の形見でもある白鳥のキーホルダーを見つめていた。
「……俺、全然、答えが出せないんです……。今だって……、あいつの事、何も分かってやれなくて……。俺の望んでた人生って、あいつにとって障害でしかなかったとしたら……。俺って、あいつの為に何かできる事って、あったのかなって……。結局、迷ってばっかで、あいつにしてやれる事、全然思いつかなくて……。情けないのは分かってますけど、でも……やっぱ、答えが、見つからないんです」
正史の独白を、何も介せずに耳に入れる大久保。正史はチラッと時計に目をやる。時間はあまり残されていない。そろそろ決断するべきか。そう思って、一言断りを入れて立ち上がろうと、腰を浮かす。
「上等だよコノヤロー」
が、大久保のこの一言を受けて、正史は思考を停止させられる事に。
「?」
「良いんだよ、んなもん。答えなんか出せなくてよ」
「えっ?」
答えを出す必要はない。あまりにも予想外の返答をされて困惑する正史を見て、大久保は笑いながら孫の手を叩く。
「考えてきたんだろ? 今まで、お前のその、出来の悪い頭で必死によぉ。それだけで十分なんじゃねぇか? 全貌を知った訳じゃねぇが、少なくともこうやって話を聞く限りじゃあ、俺はそう思うぜ」
「編集長……!」
ただし、だ。
大久保が念を押すようにこう告げる。
「何が正しいのか選べないのは良いが、その選択肢の中に、自分の事もちゃんと入れとけよ」
選択肢に、自分を入れる。
その言葉の意味が分からないといった表情を見せる正史に対し、大久保は孫の手を向けながら、こう言った。
「お前が信じるもんだよ。お前だって、ここんところに芯がねぇと、話し合いにもなんねぇし、誰もお前の言う事も聞いてくんねぇだろ。なっ?」
空いた拳を胸のところに当てる大久保を見て、正史も思わず同じポーズを取る。
「俺の、信じるもの……」
それは、自らがこの戦いにおいて掲げている目標を問われているようにも感じられた。
正史自身、最初はラ・ピュセルが呟いていたように、正しい魔法少女や仮面ライダーを決める試験のようなものだと思っていた。バカみたいに正義感を振りかざし、それが結果的にマジカルキャンディーと呼ばれる、延命の為のアイテムの確保に繋がった。世のため人のために、この力を使う。鏡の中に潜む脅威が、街に暮らす人々の日常を脅かすというのなら、そんな人達を守る為に、変身する。これからもそんな日々が続くと思っていた。
だが、蓋を開けてみればどうだ。ねむりんの脱落(=死)を筆頭に、キャンディーの奪い合い、そして魔法少女及び仮面ライダー同士での殺戮へと発展。龍騎もそうだが、スノーホワイトや九尾、ラ・ピュセル、ライア、そしてトップスピードといった面々は、こんなふざけた戦いを止めるべく奮闘してきた。それは、途中で協力してくれた、ファム達も同様。
だが、龍騎は守れなかった。恩師や先輩、やり直そうと想っていた恋人。あの4人を守りきれずに死なせてしまった事は、龍騎達が作ったチーム内でも、今なお後悔の念が渦巻いている。自棄になった自分も、死に急ごうとしていた。それを止めてくれたのが他でもない。そのお腹に新しい命を宿し、最低でも半年は死ねないと、強く生存を望んでいるパートナーだった。彼女がいなかったら、きっとこうして大久保に悩みを打ち明ける時間さえなかっただろう。そして彼は再び立ち上がった。
「(でも、俺の信じるものって。俺がこの戦いに賭けてるものって、一体……)」
正史が強く望むもの。
この戦いをやめさせる事か? もちろんそれが一番望ましい結末だ。どうにかして魔法の国にこんな無駄な争いをやめさせる様に頼めば、これ以上現場に血が流れる事はない。だが、シスターナナがそれを試しても、結果的に黙殺されている。そもそも、現時点で生き残っている仮面ライダーや魔法少女にも、血の気が多い輩がいる。そんな彼らに、今更どう説得しても、改心するビジョンが浮かんでこない。心の片隅で、そんな事は分かっていた。それでも、彼は訴え続けた。
それは何故か? きっかけはやはり、室田 つばめが自身の哀しき過去を打ち明けてくれた時だ。あの日から、正史にとってつばめは、パートナーであるだけでなく、本心から彼女の幸せを守ろうと決めた。それが結果として、スイムスイムとアビスに殺されかけた彼女を救い、今も同居生活を送れている。あの日、彼女を死の運命から回避させられた事が、彼にとっての誇りだ。そしてその誇りを胸に、これからも自分は……。
「……!」
刹那、正史は立ち上がる。
彼は、見つけたのだ。彼だけの生き残る、真の理由を。
『お前は、何の為に生き残ろうとする』
以前、蓮二にそんな風に言われた気がする。
「(今なら、答えられるかもしれない)」
思えばあの頃の自分は、迷ってばかりだった。蓮二はそれを見透かして、自分に冷たくあたっていたのだろう。本当の意味で、生きる事の大切さを見出す為に。
その為には、この戦いには、自身の手でケジメをつけなければならない。自分のエゴを貫き通すという、本当の意味での仮面ライダーになる為に。そしてその先に待つ、幸せを築く為に。
「おっ。いい目つきになったじゃねぇか」
その様子を見ていた大久保が、ニヤリと笑みを浮かべる。深呼吸を一つしてから、正史はこの日初めて大久保に真っ直ぐと視線を向けた。
「編集長。俺、今やらなきゃ一生後悔するかもしれない事、見つかりました。……行かせてください! 行って、自分の言葉で、あいつに全てをぶつけたいんです!」
「……お前ならそう言うと思ってたよ。なら、特別サービスだ。今日のうちに、ケリつけてこい。ダメだったらその時はその時だ。青汁50杯分の贈呈並びに100時間残業。それで手を打ってやる」
「編集長……! 俺、そうならないように頑張ります!」
そう言うとサッと身を翻し、コートを羽織って荷物をまとめると、「お先に失礼します!」と告げて、OREジャーナルを後にする。
そんな後ろ姿を、物陰から盗み聞きしていた令子と、買い物帰りの島田が見送っていた。
「……正史君、随分急いでるみたいですけど、何かあったんですかね」
「さぁ。彼の事だから、唯我独尊とばかりに、自分の選んだ道に向かっていったのかもしれないわ」
そう呟く令子は、大久保と無言でアイコンタクトを取り、2人同時に自然と笑みがこぼれた。
「(正史。何を選ぶのもお前の勝手だが、今のお前には『つばめ』っていう大切なもんがあるからな。落ち込んでたお前を誰よりも気にかけてくれてたんだ。その期待を裏切るんじゃねぇぞ)」
職場を出た正史は、目指すべき場所がある方角に目を向ける。
「時間がない……! 早くあそこに行かないと……!」
「そこで、オレの出番ってわけだ!」
不意に横手の路地から声がしたので振り返ってみると、人目につかない場所に、長いつばのついたとんがりハットをかぶった魔女が、魔法の箒を片手に、壁に背をつけていた。
「トップスピード……!」
「決まったみたいだな。お前だけの『答え』ってやつが」
「……あぁ、決まったよ。向こうに納得してもらえるとは思ってないけど、それでも、俺が決めた道だから。もう迷わないよ」
「ならそいつをぶつけに行くっきゃないよな! 送ってやるから乗りなよ。こっちの方が早く着く。オレも見届けるからさ」
そう言ってトップスピードはラピッドスワローに跨り、後ろに乗るように催促する。
「ほら、行こうぜ!」
「ッシャア!」
その表情に、もう迷いはない。正史は勢いよくまたがると、目的地めがけて急加速しながら、真っ直ぐに空を駆け抜けていった。
「……タイムリミットまで、もう僅か、か」
公園に設置されていた時計に目をやり、佇んでいるのは、黒龍の騎士。この時間になれば、人が通りかかる事も滅多にない為、仮面ライダーの姿のままでも、何ら問題はない。
彼の目的はただ一つ。自分の幸せを奪った男に復讐する為。それ以外に戦う理由などない。その目的さえ果たせば、後は時間の流れが勝手に事を進めてくれる。自分の命の行方も……。
「……本当に、それで、いいんです、か」
「……?」
横手から、彼のパートナーであるハードゴア・アリスが、人形を抱えながら、腰を折り曲げて問いかける。
「正史、さんは、何があっても、スノーホワイトや、九尾のように、挫けず立ち上がる、そんな人です。……私も、そんなあの人に、救われた。命の大切さを、知りました」
「何が言いたい」
「……どっちを、応援すれば良いのか、分からない、です」
正史に恩義を感じている事と、パートナーとして共に戦ってきた事。2つの葛藤が、ハードゴア・アリスの心中で駆け巡っている。この戦いが成立すれば最後、どちらかは死ぬ。どちらにも死んでほしくない。彼女もまた、『答え』を見出せず、迷い続けている。
「……アリス。俺と最初に出会った時、俺と交わした決まり事を、覚えているか」
「……お互いの事情に、深くは干渉しない事、ですか?」
「そうだ。お前が何を選ぼうが、お前の自由だ。それに、これは俺の戦いだ。他人の入る余地などない、俺がケリをつけなければならない、そんな戦いだ」
「……それが」
それが、あなたの戦う理由なのか。もっと他に、道を見つけようと、選ぼうとは思わなかったのか。
そんな彼女の切実な思いは、言葉に出る事はなかった。遠くに見える空から、流れ星のように急降下する物体が見えたから。箒にまたがる、2人の男女が戦地に赴いてきたのが見えたから。
最近はリアルが忙しくなり、投稿に遅れが生じてます。その為、次回の投稿が年内最後になるかと。
よって2017年の『魔法少女&仮面ライダー育成計画』を締めるのは、『龍騎vsリュウガ』の一騎打ちとさせていただきます。