魔法少女&仮面ライダー育成計画 〜Episode of Mirror Rider〜   作:スターダストライダー

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お待たせしました。

今回は割とのほほん(?)とした回になります。

それから、おかげさまで通算UAが5万を突破しました! これも皆様の応援のおかげです。これからもよろしくお願いいたします。


P.S 『シンフォギア XD』で、小日向未来のエクスドライブモード、とったどぉぉぉぉぉ!


102:お泊まり会

「フッ! ヤァッ!」

「……!」

 

スノーホワイトが左右に振れ動きながら、リップルに接近し、右のハイキックを繰り出す。対するリップルは軽く後退し、手刀で首元を狙うが、動きを読んでいるのか、首を勢いよく下げて、手刀は髪の毛を掠め取った。そして再び拳が飛んでくる。勝負は再び拮抗する事になった。

スノーホワイトが、縦横無尽に駆け回って、戦いに馳せ参じるように体を動かす。こういった光景は遊園地での、パートナーとの一戦以降、頻繁に見られるようになった。空いた時間には、スノーホワイトを初めとした8人に加え、時々会いに来てくれるハードゴア・アリスを含めて9人で訓練が行われるようになった。訓練を提案したのは、先日改めて生きる決意を固めたスノーホワイトだ。『誰かに守られる』だけでなく、『誰かを守る』自分になりたい。その為には、今以上に力を身につけて強くならなければ。スノーホワイトの決意は固かった。否、それは九尾も同じだったか。

この特訓に関して、当初はラ・ピュセルやハードゴア・アリス、そしてリップルはあまり快く思っていなかった。スノーホワイトが前に出て戦う必要はない。彼女には危険な真似はさせたくない。闘うのは私達だけでも充分ではないか、というのが彼女達の本音だ。だが、そんな彼女らに、スノーホワイトはいつになく真剣に語った。

 

『私の為を想って、そう言ってくれるのは有り難い事でもあるけどね。ただ優しいだけの私じゃ、もうダメなんだ。小さい親切だけじゃ何も変わらないし、見てるだけじゃ何も変えられない。他人任せじゃ、何も解決しない。……そういうのを今日までたくさん見てきた。だから、変わりたいんだ。今の私に出来るのは、昨日よりも強くなって、自分の正義を貫いていく事だって思えるから』

 

その言葉を聞いて、3人は返す言葉が詰まり、何も言えなかった。生き残っている魔法少女や仮面ライダーと事を交えて、命を奪わせるような事にはさせたくないが、最低限自分の身を守れるぐらいには強くなってもらうのは、決して損な事ではないだろう。そう考えた一同は彼女の意思を尊重し、こうして夜も更けた山の麓の一角で、拳を交えている。

当初は稽古の場を公園にしていたが、段々と組み手は激しさを増して、子供達が楽しむ為の遊具が壊れてはいけない、というスノーホワイトの配慮もあって、場所を移したのだ。微笑ましくも常識的である、と監督役を買って出ているライアはそう評価した。

こうして大人の目線からスノーホワイトを見ていると、中々に物覚えの良い子だと判断できる。ただの数日でスポンジが水を吸うかのような感じで戦闘における体の動かし方などを吸収し、覚えている。稀に教えている事以上の動きを見せ、ハンデこそつけてもらってあるが、相手になってもらっているラ・ピュセルや龍騎、ナイトを驚かせている。枷が外れた魔法少女の実力は、決して侮れない。

 

「よし、時間だ。そこまでにしよう」

 

ライアは近くに設置された柱時計を見て、訓練の終了を告げた。スノーホワイトとリップルはすぐに距離をとって、一息入れてから、軽く一礼した。

 

「いや〜、今日も一段と激しかったな! そう思わねぇか、トップスピード?」

「あぁ、リップルの腕は分かってたけど、スノーホワイトも案外やるんだな」

「だが、まだ前に一歩踏み出す癖が抜け切れていない。相手に行動を先読みされないように心がけておけ」

「はい」

 

龍騎やトップスピードとは対称的に、ナイトのやや厳しめの評価に、スノーホワイトは力強く頷く。

その後はトップスピードが持参してきた軽食を口にしながら、今日の訓練の反省点や課題を話し合い、時計の針の両端が頂点を指す頃になって、一同は解散する事となった。龍騎はトップスピードと共に、共住している家へとラピッドスワローを走らせ、ナイトとライア、リップルもそれぞれの家へ戻った。

残された九尾、スノーホワイト、ラ・ピュセルは固まって屋根の上を飛び回りながら家路を急いだ。周りを警戒しながら解散場所まで辿り着き、ラ・ピュセルは手を振る。

 

「じゃあ、また明日……っていうか、もう日付は変わってるから、また後で、かな?」

「まぁそうか。んじゃあ……」

「……あ、ちょっと待って」

「? スノーホワイト……?」

 

不意にスノーホワイトが2人を、主に九尾の方を向いて声をかけてきた。

 

「あ、あのね……。明日から、お父さんもお母さんも、用事があって、家に居ないの。まだ、ちょっと1人が寂しいっていうか、その……。だから、ね。無理だったら別に良いんだけど、だいちゃんかそうちゃんの家に、行っても良いかなって……。あ、もちろんだいちゃんの家だったら、神社の仕事も手伝えるから……」

「「えっ?」」

 

スノーホワイトからの頼みに、2人はポカーンと口を開ける。スノーホワイトの方は段々と顔が紅くなっている。

しばらくの沈黙の後、九尾は口を開いた。

 

「まぁ、明日なら別に学校終わってからなら大丈夫だ。親には説明しておくから、ご飯も用意できるし。寝床も用意できるから、来なよ」

「い、良いの⁉︎」

「なぜ驚く?」

 

スノーホワイトの反応に戸惑う九尾。何となく理由を察したラ・ピュセルは、2人に見えない位置で笑みを浮かべていた。すると、不意に九尾がラ・ピュセルの方を向いてこう言った。

 

「そうだ。ラ・ピュセル……颯太も来いよ」

「は?」

「どうせ泊まるなら多い方が良いし。それに、最後にお前と2人で寝たのって中学に上がる前だろ? 久々にどうだ?」

「いや、そうかもしれないけど……」

 

さすがに気まずく思えたラ・ピュセルは、とっさにこう言い返した。

 

「だ、だったら! アリス……亜子も誘ったらどうだい? ほぼ同年代だし、悪くはないだろ?」

「あ、うん。そうだね。だいちゃん、それでも良い?」

「構わないけど?」

「(本当は、だいちゃんと2人きりで話す機会があるだけで良かったんだけど……ね)」

 

といった感じで、4人でのお泊まり会の開催が決まった。半ばとばっちりな感じでアリスもとい亜子を参加させてしまった事に、ラ・ピュセルは申し訳なさを感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして迎えた翌日。大地ら4人は、学校終わりに家に荷物を取りに戻った後に、榊原家が住んでいるN神社へ足を運んだ。その日の朝に両親に事の次第を説明すると、2人はすんなりと宿泊を許可した。そればかりか、大地の両親は夕食の献立を如何に豪勢にしようかと、息子そっちのけで相談しており、時折大地を見ながらニヤつく様子に、当の本人は嫌な予感しか感じられない。知り合いの女子2人を連れてくる、という言い方がまずかったのだろうか。

ともあれ一同は、夕食の時間になるまで、前もって約束した通りに神社の手伝いをした。足の怪我もある為、座ったままの状態で手を動かしていた颯太。最初は外泊の誘いに戸惑っていたが、勇気を出して同行し、あたふたしながらも懸命にこなしていた亜子。そして魔法少女の時と同様に、困っている人に対して手助けを勤しんできた小雪。3人の協力もあり、仕事はいつも以上にスムーズに進み、3人もまた、普段は滅多に経験できない事をさせてもらい、感謝の気持ちでいっぱいだった。

一生懸命働いて腹を空かせた後の夕食は格別だな、と颯太が述べていたように、普段よりも美味しく感じていた大地。ここまで賑やかな夕食は兄が行方不明になる直前以来だろうか。大地は改めて、3人や、自分達を支えてくれる正史やつばめ、華乃、蓮二、手塚らに感謝した。

夕食を食べながらのトークは大いに盛り上がった。小学生時代のエピソードを中心に、自分達のプロフィールが次々と暴かれていった。颯太に至っては勢い余って、男である自分が小雪と同様に魔法少女に夢中になっている事を露見されてしまい、しばらくの間は茹でタコのように顔を紅くしていた。

その一方で、亜子には小学生時代のエピソードが、これといって思い当たる節がなかった。あったとすれば、それは父親である重蔵が母親を殺し、叔父叔母の家に引き取られた事ぐらいか。さすがに大地の家族がいる前では話す気分にはなれなかった。大地の部屋で4人だけが集まった所で、打ち明ける事にした。亜子が一身に背負ったであろう哀しき境遇に、他の3人は驚いたり悲しんだりと、表情を変えていた。

 

「……そっか。そうだったんだね。あの時から亜子ちゃんは、変われたんだ」

「……はい。あの時は、本当に、ありがとうございました。いつかは、ちゃんとお礼を言いたいって、思ってました。だから、お二人みたいな魔法少女になりたい。生きて隣に立ちたい。それが、私の目標でした」

「目標……」

「小雪さんに嫌われた時は、正直なところ、これからどうすれば良いのか迷ってました。……でも、正史さんやOREジャーナルの皆さんと会えて、私の中で、ちょっとずつではあるんですが、変わっていけたような気がして……。こんな私でも、生きていて良いんだって、思えた事が凄く嬉しくて……」

 

段々と涙目になりながら、本音を吐露する亜子。そんな彼女の目元に向かって、指でなぞるように涙を拭ったのは、颯太だった。

 

「話してくれて、ありがとう。君も、随分辛い思いをしてたと思うけど、もう大丈夫だ。悲しい事ばかり抱え込むのはもうお終い。これからはもっと楽しい事を見つけていこうよ」

「颯太、さん」

「僕なんかじゃ君の支えになるかは分からないけど、ここには大地や小雪、正史さん達もいる。みんなで、支え合うんだ」

「……はい!」

 

亜子は、涙を拭きながら、微笑んだ。闇のように黒い過去を持つ彼女の表情に、光は確かに灯っているようだ。

その後は就寝時間となり、寝床の関係上、女子2人はベッドの上に、男子2人は床に敷いた布団で寝る事となった。因みに、事前にこの日の魔法少女並びに仮面ライダーの活動は休みになっていたので、4人は久々に肩の力を抜く時間が取れた。

間も無く日付が変わろうとする頃、ようやくまどろみ始めてきた大地は、背中越しにモゾモゾと動くような気配を察して、横になりながら、そちらに体を向けた。窓の外に見える月明かりをバックにしながら、小雪がちょこんと座っている姿があった。

 

「……何だ?」

「うん、ちょっと、ね……」

 

2人はなるべく他の2人を起こさないようにと、小声で会話を始めた。

 

「隣、行っても、良い……?」

「……」

 

大地は断るのも面倒になったのか、無言で颯太を起こさないように、体を動かしてスペースを空けてくれた。小雪は礼を言いながら、布団の中に潜り込み、顔を向かい合わせた。小雪が布団に入って早々、彼女は口を開いた。

 

「……ありがとね。今日、私の我が儘に付き合ってくれて」

「別に良いけどさ。……ってか、何で俺の家に泊まろうとしたんだ? いや、別にダメだったって言ってるわけじゃないけどさ。その……、何で、俺なんかと」

 

不意に言葉を詰まらせた大地。原因は、小雪が大地の寝間着の裾を掴んで体を密着させたからだ。そして、少し震えるような声で話しかける。

 

「……ごめんね。でも、急に、怖くなって……」

「怖い?」

「……私ね。こないだ、怖い夢を見たんだ。……そうちゃんやみんなが死んでる中で、私だけが立ってて、そしたら、だいちゃんが、私を……」

「……」

 

小雪の言っているそれは、クラムベリーに重傷を負わされ、華乃の家で療養している最中に夢を見た時の光景である。

 

「あんな事、きっと起こらないって思ってる。けど、時々、心配になるんだ。だいちゃんが、いつの間にか遠いところに行っちゃったら、私はこれからどうすれば良いのかなって……。きっと、私にとってだいちゃんはもう特別な存在だって思ってる。だから、いなくなる時が来たらって思うと、とても、怖くて……」

「……俺は」

 

すると、それまで黙って聞いていた大地の手が、小雪の背中に届き、自然と引き寄せる形で2人の体が密着した。突然の事で動揺して、顔を紅くする小雪に対し、大地も少し恥ずかしげな様子を見せながら、彼女を安心させるように呟いた。

 

「俺は、どこにもいかない。仮にどこかに行ったとしても、どれだけ離れてても、俺はお前の事を忘れない。お前だって、俺を忘れなければ良い。だから、もうそんな事は考えるな。俺はお前のパートナーだ。絶対に、お前は俺が守る」

「だい、ちゃん……」

 

ゆっくりと顔を上げて、大地の顔を見つめる小雪。大地の表情に、一切の揺らぎはない。それが小雪を安心させた。そして裾を摘む力を強くして、穏やかな声色で呟く。

 

「親以外で、誰かと同じ布団で寝るなんて初めてだけど……。だいちゃんがいてくれると、凄く、落ち着く。大きくて、あったかい……」

「俺も初めてだけど、なんかまぁ、悪い気はしないな。うん」

 

そう言って頭をポンポンと叩く大地。小雪は顔を赤らめており心臓の鼓動が自分でも信じられないくらいに早い。そして彼女は思い切ってある言葉を口にしようとする。

 

「あ、あのねだいちゃん、私……」

 

ふと目線を上げると、大地は寝息を立てていた。よほど仕事の疲れが溜まっていたのだろう。もう限界だったようだ。小雪は苦笑しつつ、最後に耳元でこう呟く。

 

「私も、だいちゃんを守れるくらいに強くなる。だから、生き残ろうね。約束だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不意に寝返りをうった衝撃で目を覚ましてしまったのは、大地の隣で寝ていた颯太だった。ふと隣にいる親友に目を向けると、寝息を立てている彼の向こう側に、幼馴染みの姿があった。

 

「(おぉ、仲良しだな)」

 

普段見慣れない、2人の大胆な行動に若干戸惑いつつも、一旦窓の外に目をやろうとする。そこで颯太は、亜子が上半身だけを起こして、外の光景を眺めているのに気づいた。月が間も無く地平線の底に沈もうとしている、ようやくうっすらと明かりが見え始めた頃の事だった。時計を見れば、普段彼が起床している時間よりも早い。

もう一眠りしようかと思った颯太だが、亜子の様子が気になり、小声で彼女の名を呼んだ。

 

「……あ、颯太、さん。おはよう、ございます。……起こしちゃいましたか?」

「い、いや別に。……早いね。やっぱり寝床が変わると早起きする感じ?」

「い、いえ。普段からこの時間には……」

「そっか」

 

颯太も上半身を起こして、その後、ベッドに手をつけながら、起き上がろうとする。亜子は慌てて音を立てないように颯太の腕を掴んだ。まだ完治しているわけではないので、フラついている颯太を支えようとしているのだ。

 

「あ、ありがとう」

「平気です」

 

そして2人は、窓の外を見つめながら、暇を持て余す為に、寝ている2人の迷惑にならない程度で話し始めた。

 

「空、綺麗、ですね」

「あぁ。言われてみれば、こんな時間の景色は初めて見るかも」

「生きているから、見れるんですよね」

「? 亜子?」

 

ふと横に目を向けた颯太が、亜子の不安げな表情を目撃した。その視線に気づいた亜子は慌てて平気を装った。

 

「あ、ごめんなさい。別に変な事は言ってないつもりですけど……」

「いや、大丈夫。亜子にとって、生きる事の意味って、結構深いと思うしさ」

 

それから、亜子はこう言った。

 

「あの時……。スイムスイムに襲われてた私を、あなたは助けてくれた。本当に、ありがとうございます」

「大した事はないよ。あれくらいしないと、魔法少女失格だ。君の方こそ、あの時無事で良かった」

「あ、はい。颯太さんのおかげです。……思えばあの時から、私の中で、生きる事の意味を知れたのかもしれません。あの時は、まさか自分が死ぬだなんて、夢にも思わなくて……」

 

亜子の言うように、変身している状態なら無敵だが、普段は別だ。だからこそ、『死』の恐怖がこびりつく。

 

「私、勘違いしてたのかもしれません。生きる事にどれだけの価値があるのかを」

「生きる意味、か。僕も、前にクラムベリーに殺されかけた時、九尾の助けが無かったら、きっとこうして夜空を見上げる事なんて無かっただろうな」

 

窓の外から、バイクの音が聞こえてくる。新聞配達に勤しんでいるのだろう。

やがて、颯太はこう呟く。

 

「僕達は、案外似ているのかもしれないね。大地と小雪、2人に支えてもらっている点で」

「お二人に……。そう、かもしれないですね」

 

亜子は自然と納得する。2人がいてくれたからこそ、魔法少女が好きになり、親友になれて、そして殺されかけた所を助けてくれた。2人がいてくれたからこそ、あの日死のうとしていた自分を悔い改め、魔法少女になって戦いに身を投じる道を選んだ。颯太と亜子にとって、大地と小雪は切っても切り離せない存在だ。

やがて颯太はこう呟いた。

 

「……僕は、これからも守っていきたい。今みたいに争いが起きる前の時みたいに、あの2人が当たり前のように過ごす日常を、この力で守っていきたい。もちろん守るのは2人だけじゃないよ。守りたいものを、悪い事をしようとする奴らから守りたい。亜子も、その中に入ってる」

「颯太さん……」

「必ず、守ってみせる。それが、僕の理想の魔法少女だから」

「……優しいんですね。颯太さんは」

「そうかな……? あまり自覚はないけど」

「……私も、守りたい。この魔法も、その為のもの、です。最後まで、2人を守りたい」

 

誰かを守るのは難しいかもしれない。でも、人として生きる上で、大切なものを守る為に、自分の理由として戦うのは、決して間違ってはいない。2人の決意は固かった。

 

「……さてと。それじゃあ、もう少し寝たいから僕は」

「……ぁ」

 

颯太が床に戻ろうとした時、亜子に袖を掴まれた。その瞳には、何かを懇願しているようにも感じられる。

 

「? どうしたの?」

「……もう少し、いてもらっても、いい、ですか? 颯太さんが、近くにいてくれるだけで、……落ち着きます」

「えぇっと……」

 

困惑しつつも、一度布団に入っている大地と小雪に目をやり、その後「分かった」と小さく呟いてから、颯太はベッドの上に寝そべった。亜子も静かに、横になって背中越しに颯太に寄り添った。

 

「温かい……です」

「う、うん」

 

颯太は若干顔を赤くしつつも、背中に伝わる熱い感触が、颯太の眠気を覚ました。それでもなお、紳士として抵抗する事なく、亜子のそばに居続けた。颯太も亜子も、自分でも理解できないほどの胸の鼓動が、身体中を駆け巡る。まるで、新たな青春の1ページを刻むのを予感させるかのように……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、朝日が差し込む頃になって、大地と小雪、颯太と亜子がそれぞれ寄り添うように寝ていたと知った一同の顔はとても滑稽だったと、大地の両親は後に語る。

 

 

 

 

 

 

 




ラ・ピュセルとハードゴア・アリスに不思議なフラグが立ちましたが、まぁ、こういうのもアリかなと思いまして……。今後にご注目。

そろそろ新作の方もあらかた煮詰まってきたので、その際はまたご報告します。

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