2017/03/31
まーたいきなり誤字ってました。
クスリキマってたとしても推敲はしよう、な!
お兄さんとの約束だ!
知恵の実。禁忌の象徴。それは赤くて、血のように紅に染まっていて、そして愛らしい。可愛らしい。一皮むけば、白い肌。無垢で、そして染まりやすい白。
「林檎が剥けたわ」
皿にカットした林檎を乗せて、金剛に差し出す。
「ありがとうございマス」
「Warspite、楽しそうデシた。私も嬉しいデス」
「そう?」
「顔に出てマシた」
こうして戯れているときが一番幸せだから、きっと笑っていたのだと思う。
だから、
「あなたとだからよ」
そう返す。口元を緩めて。そう、幸せだから。
瑞鶴の葬式からしばらくの日が経った。今は皆で喪に服している。軍紀に従ったものじゃなくて、各々が思い思いの方法で。
川内達三姉妹は49日が明けるまで禁酒。
鳳翔は休業。
伊勢・日向のコンビは戦艦に逆戻り。
山城は自己啓発本を読むことにしたらしい。
望んで不幸に浸り続けることから抜け出して、彼女と違う人生を歩むことが、何よりの供養になる、と言っていた。私にはあまり思いもよらない方法だったけれど、人はそれぞれだ。私がヒトデナシであるように、人の道も違っていていい。だから誰も文句は言わなかった。
金剛は、仕事を休むことにした。彼女が選んだのは休暇だった。仕事から離れて、ただ安穏としている。それが供養になる、と彼女は言った。私もそれでいいと思う。
私のやり方は、特に思いつかなかった。他人を思いやる方法が、あまり思いつかなかったから。
山城は言っていた。
「幸せは、怖くないのね」
私にとっては自明のことでも、彼女にとっては重大な決意だったらしくて、それから彼女は良く笑うようになった。
電話をしながら晴れの空の下で佇む彼女は、多分明るい方を見ていたのだと思う。
「幸せって、怖いものかしら」
「突然デスね」
「私は怖いと思わないのだけれど」
「私は、怖いデス、少しだけ。少しだけ、デスけどね」
金剛は答えた。目を伏せながら、ゆっくりとした口調で。多分、噛みしめるようにそう言ったのだろう。
「こうしていていいのか、わからなくなってしまって、それが漠然と怖いのデス」
「いいの。こうしていて」
「ありがとうございマス」
首を傾げながら儚く微笑む姿に、私はまたときめいてしまう。私の悪癖、本性、そして愛。それがこうして首をもたげるのだ。あまりに愛らしい彼女に、不謹慎にも惹かれてしまう。人からすれば蝋人形寸前でも、私にとっては愛しのドールだから。
「ほら、食べて」
差し出した林檎の皿の上から、ひとかけらを指で摘んで彼女の口にあてがう。
「ハイ」
返事して、彼女はそれを咥えた。
私のドール。私の思い通りのドール。私のための、究極のそれ。私は彼女をモノとして愛することを決意した。そして、彼女もそれを受け入れてくれた。だから、私はそれに甘えていいのだし、それを当然だと思っていいと知っている。そう、この幸せを恐れなくてもいい。
「そういえば気付いたのだけれど、同性愛って禁忌らしいの」
「それも突然デスね」
「でも、私、関係ないと思っているの。それに、知恵あるものがたどり着く愛の形なのかもしれないって、そう思ったわ」
「そうデスか」
彼女は私の言葉にあまり干渉してこない。それもまた、私と彼女の愛の形。禁忌、非道、そんな人の道を行く私達の、拍子抜けするほどの乾き。でも、それが私の望んだ結末なのだ。私も、ひとかけらを指で摘み上げて口に放り込んだ。
「林檎は、甘いわね」
「でも、少し酸っぱいデスよね」
「それでいいと思うの」
何故ならば、禁忌は甘酸っぱくて、人間が知るには過ぎたるものだから。
ヒトデナシの私たちには、きっとお似合いなのだ。
というわけで恥ずかしながら帰って参りました。
Twitter上でお題をもらいながら細々と書く生活を送っていたのですが、ちょうどなんかピンと来るものがありましてアフターストーリー執筆と相成りました。即興で書いたので超短いですが。
そんなこんなで、おさらば二回の後にこの体たらく。恥ずかしいったらありゃしないけれど、恥ずかしげもなく書いてみました。
どうだ、イチャイチャしているぞ!
と弁明したところで今日の体力が尽きました。
それではこのあたりで。
ごきげんよう!