ジパング×艦これ ~次元を超えし護衛艦~   作:秩父快急

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航跡4:大規模軍事演習~海自艦娘VS深海棲艦~前編

 みらい が鎮守府に着任してから一ヶ月。演習を繰り返し、射撃練習の成績も向上しいよいよ実戦に参加するレベルまで上がってきた。今日は、海軍省から司令長官を始めとする視察団がここ、横須賀鎮守府に視察に来られる日だ。視察団の来訪に備えて、前日から鎮守府では大掃除が行われていた。

「そろそろ、視察団の方が到着する時間ね。」

応接室の最終チェックをしながら ゆきなみ が話す。

「吹雪ーお湯を沸かしといてー。」と、深雪が叫ぶ

「はぁーい」と吹雪の返事が聞こえたのもつかの間、応接室に長門が入ってくる。

「視察団の方が到着したぞ。公開演習に参加する者は、速やかにドック前に集合!!あと、みらいは至急、提督室へ向かうように。提督が、お呼びだ」長門に言われ、みらいは提督室へ向かう。

 

コンコン!

 

「海上自衛隊 ゆきなみ型イージス艦 DDH-182みらいです!」

「あっ!きたきた。」と、ドアの向こうで声がする。「どうぞ。」と、提督の声がしてみらいは中に入る。中には、柏木提督と海軍服を着た初老の男性が居た。

「山本長官。こちらが、今回新たにうちに配備されたゆきなみ型イージス艦のみらいです。」

提督がみらいを紹介する。すると…。

「初めまして。日本国海軍省から参りました。連合艦隊司令長官の山本五十六と言います。みらいさんお会いできで光栄です。」と、手を差し出しながら挨拶する。みらいは握手をしながら、自身の自己紹介をした。

「いや~ みらいさんは、あの一航戦の加賀を演習で倒したそうですねぇ。お話は、海軍省でもつくづく伺っています。」と、みらいを誉める山本長官。その結果、みらいの顔は少しながら赤くなる。

「ところで、柏木提督?」ふいに、山本長官が提督に声をかける。

「はい?なんでしょうか?」

「済まんが。みらいさんと、少し話をしたいのだが大丈夫かね?」

「ええ、構いませんよ。演習は、1030からですからまだ、30分ほどありますので。」と、提督が伝えると

「済まぬな。では少しの間、席を外してくれんかね?みらいさんと、二人きりで話したいんだ。」

長官の以外な発言に驚いた提督だったが、流石に目上の人であるためすぐ、席を外した。

 

「長官?私に何か用ですか…?」みらいは長官に聞いた。

「ああ、実は君が艦娘として出てくる前から…。私は、君の事を知っていた。いや、船の時に乗ったことがあるといった方が良いか。」

 

「…えっ?」

 

「実はな、私の名前は山本五十六であるが…。この時代の人間じゃない。太平洋戦争中の帝国海軍の司令長官だったんだ。どういうわけか分からんが、戦地で敵兵に拳銃で胸を撃たれたんだ。そのまま意識を失って、気づいたら大きな病院のベッドで寝ていたというわけだ。この世界の海軍省の司令長官という立場で居ることに気づいたんだ。」

 

 

数秒の沈黙のあと、

 

 

「…ってことは、長官は私がタイムスリップした世界から来たってことですかぁ!?」

「みらいさん…。声、大きいですヾ(゚д゚;)」

突然のみらいの大声に驚く山本長官。みらいが驚くのも無理はない。歴史上では、太平洋戦争で戦死したはずの人間が目の前に居るのだから。

 

「私と君…。みらい さんでしたかな?この時代に存在しているのには何かしらの理由があるのだと思う。戦艦大和…。いや、大和くんか…。この世界では…。今日、帰港するはずだ。大和くんにもあって、相談してみたら良いだろう…。」

と、長官はみらい に向かってこう話した。

 

「演習参加者は整列!!」

長門の掛け声で公開演習参加組はドック前に集まる。「演習…上手く出来るかなぁ…。」と、心配げな声を出す電。ゆきなみが、「大丈夫。訓練通りにやれば大丈夫よ。」と、励ましている。壇上に柏木提督が上がった。

「では、これから公開演習を行う。皆、演習だからと言って油断せず。実戦だと思って参加すること!また、本日は海軍省から山本長官がお見えになっている。皆、日頃の訓練の成果を思いっきり出しなさい!!」

提督の一声で演習が始まった。

 

予定通り、順調に演習を行う艦娘達。もちろん、海上自衛隊の護衛艦メンバーも海自チームとして演習に参加していた。

 

「ふぅ、敵の第一攻撃はなんとか防げたわね…。」

額の汗を拭きながら ゆきなみ が呟く。

「いや、一息付くにはまだ早いですよ。まだ、対潜水艦の演習がありますから…。」ときりしま か話す。

「ええっ~!?まだ、あるのぉ…。」と、ほたか と かが が揃って文句を言い始め、ひゅうが が慰める。その様子を苦笑いで見ていた みらい だが…。ふとレーダーを見ると、みらい達から南南西に向かって約500キロ離れた地点。レーダー画像には隅っこに[Unknown]と表示された群れが鎮守府の方向に向かって飛行しているのを見つけた。

 

「…へ!?」

 

驚きのあまり固まるみらい。その様子を見ていた あたご が、「…みらい? どうかしたの??」と尋ねる。

 

「えっ!?あ、えっと~その…。」

あいまいな返事をするみらいに対して、

「ちゃんと言いなさい!」と、ゆきなみ が一喝する

 

「…えっと、五分くらい前から私のレーダーに…[Unknown]が何個か表示されてるんだけど…。姉さん?これは敵?なのかな??」

完全に判断できなくなっているみらい。仕方ないので、ゆきなみ にレーダー画面を見せる。すると ゆきなみは、

「ちょ、みらい!! これはいつから出ていたの!!」

と、ゆきなみがに荒々しい声を上げた。

「え、あっ…五分くらい前か…。」

「それは早く報告しなさい!ってか、みらい!!一緒に、提督にこの海域の飛行スケジュールの確認を求めて!!」と、指示を出し始めるゆきなみ。

 

ー鎮守府 無線室

 

ピピーピー…。

「ん!?」

無線を受信し、大急ぎで紙に書き写す大淀。写し終えると無線室に居る他の艦娘に無線番を頼み、猛ダッシュで提督の所へ向かう。

 

ー公開演習の観覧席

 

「いや~流石、新鋭のイージス艦。射撃精度もすごいですなぁ。」

「いえ、本物の戦闘になったらどう対応できるのか。海上自衛隊組は先制攻撃反対派が多いですからねぇ~」と、山本長官と柏木提督が話している。すると、大淀が大慌てで駆け込んでくる。提督の耳元で「すみません提督。演習中の ゆきなみ班から無線連絡があったのですが、鎮守府に向かってUnknown目標が飛行しているのを発見したそうです。」その言葉に提督は…。

「なにぃ!?Unknown目標だと。長官、ちょっと失礼します。」

「ああ、構わんよ。」

長官に一声掛けて、提督は席をはずした。そして、大淀に指示を行う。

 

ピピピピッ!

「鎮守府より入電!!当海域周辺での航空機の飛行予定は無し!Unknown目標が敵と識別出来次第、撃墜せよ!!演習中の全ての艦娘は実戦に切り替えて迎撃すること!」と、あたごが叫ぶ!

「みらい!航空機のコース上に敵空母が居るか?」

旗艦の ゆきなみ が みらい に聞く!

「あっ!はい!!コース上に敵と思われる艦隊あり!推定、空母1、戦艦1、駆逐艦3と思われます!航空機!我々に接触するまであと30分!」

 

少しの沈黙のあと、ゆきなみが…。

 

「…このまま、私たちが敵機を見過ごす訳にはいかないわ。鎮守府からの攻撃部隊が来るまで、ここで防ぎましょう。私たちの力では、かなう相手か分からないけど…。日本を守る気持ちは変わらない。ここは私たち、海上自衛隊の護衛艦の力を見せましょう。」

 

「はいっ!!」

 

旗艦の ゆきなみ が話すと、みらい を始めとする護衛艦組メンバーが一斉に返事をした。

 

「みらい!お前の海鳥を偵察に出してくれないか?」と、あたごが声をかけてきた。

「えっ?か、構わないけど…?」

「いや~ みらいが積んでる海鳥は、他の機体より速くて偵察に向いてるから…。」

 

「分かりました!では、海鳥を発艦させます!」

「敵機と分かったらすぐに連絡しろ!頼んだぞ、みらい!!」

みらいは「はい!!」と、返事をして発艦準備にかかる。

「シーフォール準備整い、次第発艦せよ!」

みらいが左手の飛行甲板に海鳥を乗せると、海鳥のエンジンがかかり、プロペラが勢いよく回り始める。

「システムオールグリーン!シーフォール発艦します!」と、海鳥のパイロット妖精が叫ぶ!海鳥は静かにみらいの飛行甲板から飛び立った。

「シーフォール?無線は聞こえる?」

みらいが海鳥に無線で呼び掛ける。

「こちらシーフォール。感度良好です!」

「了解!シーフォール、敵に見つからないように接近し、状況を報告せよ。敵の場合は速やかに帰還せよ。」みらいが海鳥に、テキパキと指示を行う。

海鳥は目標を確認するため、飛び去った。

 

 


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