昨年のキスカ撤退作戦時に負傷した梅津艦長。角松は新年の挨拶をしに梅津が入院している横須賀市内の病院へ向かう。深海棲艦の新たな動きと資料にはない軍の動き…。角松が下した決断とは。
1月2日 横須賀防衛医療センター
「失礼します。」
この日、角松はキスカ撤退作戦時に負傷した梅津元艦長の元に訪れていた。
「おや?副長…。では、無かったな。角松艦長。」
「お久しぶりです。梅津艦長。」
二人は病室で面会していた。梅津は起き上がり、角松を出迎えた。角松は新年の挨拶と今日までの航海記録をしに来たのだ。
「…なるほど。MI作戦は無事に成功したんだな。艦長になって初めての大規模作戦は緊張しただろう。」
「ええ。」
角松はMI作戦の事について話をした。横須賀鎮守府総出の大規模作戦であったこと。艦娘達のお陰で作戦が成功したことだった。そして角松は一昨夜の夜襲について話始めた。
「まさかだと思っていたが、我々の持っている情報とは異なってきたみたいだな。」
梅津は窓の外を見ながら呟いた。外は小雪が舞っていた。
「こうなると、今後の戦闘はますます厳しいものになるでしょう。」
と、角松が呟く。そして無言の時間が数秒流れた。
「…ところで、我々に関係した艦娘達は元気にしているかね?」
「特に負傷した艦娘も居らず、無事に正月を迎えられました。」
「そうか。それは良かった。」
「ところで艦長、お体の具合はどうですか?」
角松は梅津の体調を尋ねた。
「ああ、手術は成功して今はリハビリ中だ。若干右半身に後遺症のしびれが残ってしまったがな。」
梅津がキスカ撤退作戦時に負傷した時、頭を強打して脳内出血。それでも艦長交代の式を行い入院したのだ。そして、2回の手術を受けて現在はリハビリ中である。短距離の歩行ならば杖を使えば可能だが、ほとんど車イスでの移動が中心となっている。
「では、艦長。お大事に。」
と、角松が敬礼して出ていく。角松が病室から出たあと梅津は今後の戦闘について窓の外を見ながら考えていた。
1330 みらい 幹部居住室
「そうか。梅津艦長は元気だったか。」
「だが、後遺症があるとなると…。狭い艦内での移動は不自由になるな。」
角松 尾栗 菊池 の三人が話をしていた。
「残念だが、梅津艦長の容態から見て我が艦に戻り、再度みらい艦長として任務を行うのは難しいだろう。」
角松は残念そうに呟いた。今まで師匠的存在だった梅津艦長。角松は新たな艦長として指揮を執る事が出来るか心配だった。また、消息不明の草加の行動も気になる。
「まぁ、悩んでいたってしかたないとおもうぜ。今まで通りにやろう。」
と、尾栗が話した。菊池も珍しく尾栗の意見に賛同した。
「そうだな。今まで通りに我々は我々の持っている力と情報を使って行動しよう。」
海上自衛隊時代の記憶と、これ迄の戦闘の経験をもとに行動していくことで三人は一致した。