ジパング×艦これ ~次元を超えし護衛艦~   作:秩父快急

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航跡50:艦長交代

 

 翌9月24日 横須賀鎮守府

 

 早朝に横須賀に入港した護衛艦みらいの後部甲板に乗組員達が整列していた。

「…皆、集まってもらってすまない。私から今後の艦の運用について話がある。」話始めたのは尾栗に支えられながら医務室から移動してきた梅津の姿だった。頭に包帯を巻き、松葉杖を使いよろよろと壇上に立つ姿は…。以前の元気な梅津の姿ではなかった。

 「先日のキスカ島の戦いで、運悪く負傷しこのような状態だ…。この状態では艦の指揮を執ることは不可能。よって、本日1200を持って艦長権限を副長の角松二佐に委任したいと思う。」

 その言葉に一瞬どよめきが走った。

 「皆が思う通り、新艦長は階級制度で決まった…。私の判断に不満を持つ者も居るだろう…。だが、私は長年の経験から角松二佐が次期艦長としてふさわしいと思う。…我々は、異世界からこの艦これ世界へとやって来た。これまで、私の指揮の元で冷静沈着に海上自衛隊の隊員として行動してくれたことに感謝する。」と、話し椅子に座る。そして、新艦長に任命された角松の自己紹介兼艦長交代が終わり…。梅津がみらいから離れる時がやって来た。担架に横になり、国防海軍の軍医達に迎えられタラップを降りていく。

 

 「気をつけ!!…梅津元艦長に対し、頭(かしら)~~、中(なか)!」

 

 角松の一声で乗組員達が一斉に梅津に向かって隊の敬礼をする。梅津は力を振り絞りながら、挙手の敬礼をした。(角松…。あとは頼んだぞ…。)と思いながら。

 梅津はその後、横須賀市内の国防軍横須賀病院に入院することとなった。念のため入院と言う桃井の判断は正しかった。艦内では応急措置でしか対応できなかったが、精密検査をしたところ頭蓋骨にヒビが入り、患部周辺に軽度の脳内血腫が発生。緊急手術を受けた。診断結果は全治2カ月。病院に入院しなければ大事に至ってたであろう。

 

 一方、新しく護衛艦みらい艦長に任命された角松は…。早速、仕事に取りかかっていた。今日はこのあと1700より護衛艦みらい幹部(尾栗と菊池)と共に、鎮守府で柏木提督と会議が行われることになっていた。海上自衛隊の慣例では、艦長に任命されたものは艦長室に移動し内部の統制を保つ事が必要不可欠なのだが、角松はあえて艦長室に私物を移すことを控えた。それは、いつか必ず梅津元艦長に戻ってきてもらいたい。部下の隊員達と壁を作りたくないという、角松なりの配慮だった。角松は、新艦長任命式の後…。各部署に挨拶回りしていた。

 「おっ、角松新艦長!見回りですか?」艦橋に入ると尾栗が声をかけてきた。角松の制服は二佐の階級のまま。本来ならば、梅津が退任したことにより幹部組は階級が一つ特進するのだが…。角松は今までの制服で見回りをしていた。

 「洋介…。じゃなかったな、艦長。新しい制服、積んでなかったのか?」

 「いや、今までのこの制服のままで行こうと思う。我々の本当の艦長は梅津艦長だからな。」と、角松は話した。「確かにそうだよな。うちらの中じゃ梅津艦長が一番だからな。といっても、梅津艦長が退任した今…。お前が艦長なんだからな。しっかり頼むぜ。」と、尾栗は角松の肩を思いっきり叩いた。

 「おう、慣れないことばかりだろうけど…。艦長としてこの艦を動かしていく予定だ。」

 と、角松は答えた。その頃、CICでは菊池が今回のキスカ島撤退作戦の報告書をまとめていた。本来ならば菊池と尾栗は、角松が特進したことにより不在となった二等海佐の位に就くことになっている。パソコンを打ちながら、菊池はあることを考えていた。(元のシナリオから離れつつあるこの世界。本来ならば、多国籍軍が深海棲艦殲滅に向けて核兵器を使うが…。もし、このペースで物事が進んだ場合。本来の世界軸とは違った、別の世界軸が広がる可能性がある。現に、我々はガダルカナルとキスカで敵勢力にたいして大きな打撃を与えている。このペースが進むのなら…。)

 

 

 




さて、梅津艦長が負傷し指揮が出来なくなり…。新たに角松二佐が護衛艦みらいの新艦長として任命されました。キスカ島沖海戦が終わり新たな艦長の下、休息をとるみらい。しばらくは休息編が続くと思います。(あー。キスカ島海戦書くの大変だったf(^^;)

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