ジパング×艦これ ~次元を超えし護衛艦~   作:秩父快急

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さて、前回の更新からだいぶ時間が経ちましたがやっと筆が進みました。(楽しみにしていた方、更新遅れてすみません )なかなか時間が取れない上に、ネタがなかなか思い付かず苦戦してますが…。引き続き暖かい目で御覧ください。



深海棲艦空母機動部隊
航跡32:海軍の闇~思惑~


 

海上自衛隊の護衛艦[みらい]は横須賀へ向けて航行していた。マリアナ基地出港から5日目、横須賀まではあと三日というところまで来ていた。

 

「~ん!今日はいい天気だなぁ。」

後部甲板で飛龍と吹雪が話していた。

「…飛龍さん。横須賀まで、敵に見つからずにたどり着けますでしょうか?」吹雪は深海棲艦に遭遇しないか心配していた。深海棲艦は水中から奇襲してくる事もあれば…。大編隊で空襲して来ることもある。[みらい]がイージス護衛艦とはいえ空と水中から同時に攻め込まれたらひとたまりもない。

「そういえば吹雪ちゃん。みらいさんを最近見かけないんだけど…。」と、飛龍が尋ねてきた。

「みらいさんは、マリアナ基地出港前にこの艦のイージスシステムと自身の艤装を接続させるテストをやっていましたよ。結果は良好で、これからも接続試験を行うと菊池三佐が話していました。」

 

「そっか…。最近会ってないから、話したかったんだけどねぇ~。」と残念そうに飛龍は呟いた。

 

 

1030[みらい]CIC

 

「これで完了っと…。」頭にタオルを巻いた青梅がCICのイージスシステム管理用サーバーの間からゆっくりと出てきた。顔は機械油で汚れホコリまみれになっていた。

「艦長。では試験を始めます。」菊池がキーボードで接続するとウィィィイイイインンンンとシステムが唸り始める。そしてみらいの頭の中に多くのデータが流れ込んでくる。みらいは自身の端末で情報を整理しながら接続を待つ。そしてモニターに、[接続完了]と、みらいの艤装のイージスシステムに接続したと表示が出た。

「よし、これでこいつの解析能力が向上しましたぜ。」青梅が額の汗を拭きながら話す。

「…みらいさん。システムリンクは大丈夫ですか?」菊池がみらいに尋ねると、みらいは息を少し切らしながら「ハァハァ、大丈夫です。」と答えた。システムの接続を提案したのはみらい本人だった。自分自身である護衛艦[みらい]。自分のシステムを知るには自身と艦のシステムを接続させる。みらいがこれまでに関わった戦闘データも入力出来る上、システムを接続させて戦闘を行う方が理論的によいと判断したのだった。ただ、システムを接続させると体に負担がかかる為…。当初、菊池は反対していた。だが、みらいの要望により接続を行う事となった。

 

「ハァハァ…。」息を切らしながらモニターを見つめるみらい。過去の戦闘データの移行が終わり菊池が接続を解除するとみらいは近くあった椅子に座り込んでしまった。

「みらいさん。別に無理しなくともいいのだよ。」と、梅津が声をかけるが…。「私の二の舞にさせたくないんです。」と、みらいは丁重に断った。

「二の舞…。とは?なんのことですかな?」梅津が尋ねるとみらいは話始めた。「私が船の時にタイムスリップしたのは、太平洋戦争のど真ん中。ミッドウェー海戦直後。ガタルカナルでの持久戦が始まる少し前でした…。」

 

~中略~

 

「なるほど。この世界は現代社会であるとはいえ、その…貴方が経験した通りに進むと。」と、菊池が話す。「しかし私自身、この世界がどう進むかは分かりません。ですが、隊員の方々の命を無駄にしたくない。専守防衛の精神でこの艦と日本と言う国を守りたいと思っています…。」と、話してみらいはコップの水を飲み干した。

 

 

1340 みらい通信室

 

隊員達が交代で昼食を終えた頃…。監視している[じんりゅう]から通信が入った。滝参謀がお会いしたいとの事だった。

「フッ…。停船してから約五分。早いな。」滝は浮上した[じんりゅう]の艦橋から望遠鏡で見ていた。短挺には角松二佐の他に柳の姿があった。

「ほぅ、立派な潜水艦だなぁ。」短挺から[じんりゅう]を見上げる角松。艦内の応接間に入ると滝が出迎えた。

「すまないな。こんな狭いところで。」

「滝参謀…。ご用件はなんでしょうか?」角松が尋ねると滝はあることを言った。

 

同時刻 [みらい]CIC

 

「報告!4時の方向より敵機影接近!数は1 。接触まで30分!」と、青梅が叫んだ。

 

 

 

 

 

 

「あなた方には横須賀に入ってもらうわけにはいかなくなった。ある人物がどうも気に入らないらしい。…そこでだ。」滝は椅子に座り足を組ながら…。

 

「あなた方二人が[みらい]に戻ることは二度とないだろう。」

 

「なんだと!?」角松が驚いた直後ガクンと艦内が大きく揺れた。洋上では…。

「副長ーっ!!」と隊員が叫ぶ。そして[じんりゅう]は海中へ去っていった。

「いかん仕組まれた!短挺は直ちに回収。総員対空戦闘用意!」CICでは梅津が叫ぶ。

 

ピーピーピーと戦闘用意を知らせる非常アラームが艦内に鳴り響く。

「今はこの海域から脱出することが先決だ!副長達は後で必ず回収する。機関最大戦速!」梅津艦長の指示で、[みらい]は急加速で動き始めた。だが…。

 

「CICソナー。[じんりゅう]の動きがおかしいです‼」と一報が入る。[じんりゅう]艦内では角松の予想に反して滝が「潜望鏡深度まで浮上。…ただし毎分1メートルずつだ。」と指示を出していたのだ。

 

「通信室![じんりゅう]に浮上を中止せよと伝えろ!ソナーを使いモールス信号で呼び掛けるんだ。」と、菊池が指示を各部署に飛ばす。

 

「…報告!みらいより入電。[敵機接近中。貴艦は速やかに浮上を中止させたし。本艦は当海域より離脱する。]」と、[じんりゅう]の隊員が話す。

「滝参謀…。どうするかね?」と艦長が尋ねるが…。滝は「潜望鏡深度まで浮上だ。」と答えるだけだった。

 

みらいCIC

 

「敵の判別はできるか?」

「目標は深海棲艦の偵察機ですぜ…。目視距離まであと10分。」菊池の問いに青梅が答える。報告をもとに菊池は…。

「艦長。…どうしますか?」

梅津はモニターを見ながら「我々の目的は艦娘達の輸送だ。戦闘が目的ではない。」

「でしたら…。」

「ECM作動!敵の通信能力を封鎖せよ。」

梅津の判断でECMによる無線妨害を行うこととなった。

 

 

 

「アレハ、日本ノ駆逐艦ダ。」

 

目視距離に入り、深海棲艦の偵察機はみらいを確認したのか旋回して戻り始めた。

 

「艦長。敵機動部隊に報告されたら必ず標的となります。目標の撃墜命令を…。」菊池の具申で梅津は撃墜命令を出した。

 

「後部VLSシースパロ1番データ入力。発射用…。」

「無駄ですぜ砲雷長…。本艦に敵機影40接近中。」

菊池の指示は青梅の発言によって書き消された…。CICのモニターの隅には、敵機動部隊が表示されており…。多くの敵機が表示されていた。

 

 


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